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第2.5章 過去編 case Noel and Liese:
第82話 内臓逆位
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――力を貸してやろうか?
彼女には、悪魔の囁きが聞こえた。
剣聖の人格と言えど身体は一つ、持ち主の死と共にもう一つの人格も消滅する。
彼女もまだ十全に力を振るうことが出来るようになる前に死ぬのは本意ではなかったのだ。
死ぬほど、心の底から憎む相手を目の前にして、それでも自分の力では敵の命まで手が届かないとき、人はその他一切のすべての損得勘定を抜きにして悪魔に魂を売ることが出来るのだろうか。
ノエルと言う向こう見ずの少女であれば、きっと何も考えず力を手にしようとしただろう。
しかし、15歳の誕生日を迎え、短い時間ながら自己の内面と深く向き合った彼女はほんの少しだが変わった。
自分の持つ力の大きさ、責任の大きさを認識し、置かれた立場故に素直に手を伸ばせない。
怖いよ。
誰か助けて。
なんで私が……何で私にこんな力が、こんな力要らなかった。
誰か……助けて。
元々人質が取られている状態で単身飛び出すのは下策と言える。
一時の怒りが沸々と湧き上がる恐怖で中和され、冷静さを取り戻すとその状況の悪さに驚愕する。
黒装束の手によりリーゼたちは捕縛され、命を握られている。
そしてアルマ、彼女が健在である限り仲間を救うことは叶わない。
今での彼女の頭の中にはもう一人の自分の声が響き続ける。
そんな中、ついにノエルの足が止まった。
今なら人質を殺すこともたやすい、ノエルを仕留めることも出来るかもしれない。
アルマは油断のないように武器を構えながら、それでも少し声のトーンを落としてノエルに語り掛けた。
「剣聖、私と共に来い」
「…………なんで」
「この国は力を持つ者が生き辛い。隣の帝国はいいぞ。力を持つ者が評価され、尊敬されることはあっても迫害されることなどない」
アルマの言う通り、隣国のウル帝国では剣聖は第2段階を超えることが出来なくても処断されることは無いし、カナン公国と比較して能力のある者が優遇される国だった。
しかしそれは同時に力無き者が虐げられることもある社会であることを意味しており、ここでその是非を論じても意味のないことだ。
それでもアルマによる勧誘は続く。
「この国を変えよう。そのために剣聖、ノエル・クレスト。お前の力が必要だ」
力を制御できなかった剣聖はAランク討伐対象として処断される。
その一文を見た時、指先から心の臓までフワッとして何が何だか分からなくて、堪らなく怖くて、吐きそうになって、こんなクラスを与えたこの世界を恨んだ。
「お前も感じたはずだ、剣聖として自分と接する者たちの目を、あの冷たさを。さあ、武器を捨てて、そうすれば悪いようにはしない」
『私がついております。リーゼ様も、旦那様も奥様も、ハルツ様もいます。あなたは1人ではない』
『誰かが側にいないと寂しいのであれば、ご自分から歩み寄りください。明るくてお優しいノエル様なら大丈夫、もし上手くいかなければ私《わたくし》めの隣にお越しください』
私は1人じゃない。
冷たい目を向けられることもある、恐れられることもある、それはきっとこの先ずっとそうなんだろう。
でも…………
「さあ、剣聖」
大丈夫、私は…………
「アルマ……ではないな。お前の本当の名は?」
「サラ、だ」
「そうか。…………サラ、やっぱりお前の手は取れない」
「……残念だ、ノエル・クレスト。お前は今、大事な仲間の命を見限った」
アルマ改めサラが手を掲げると黒装束たちが武器を構える。
人質を取って尚動くことを止めないというのであれば、人質はもういらない、処分するまでだ。
振り上げられた武器は気を失っている面々を目標に、サラの執行合図を待つのみ。
――おい、力を貸せ。
――ふふっ、今更か。まあいい、貸してやる。条件は……
――全部だ。
――は?
――だから全部だ、お前の持つ力全て私に寄越せ。
――契約内容はこちらで決めさせてもらう。それでいいな?
――ああ、問題ない。
――…………なあ、本当に
「くどい! いいから全部寄越せ! 剣聖!」
5つの金属音が重なり、同時に鳴り響いた。
余韻が消え、地面に弾かれた武器が落ちるころ、人質の処分を執行しようと合図を待っていた黒装束たちが腕を押さえてうずくまる。
先ほどまでノエルは確かに剣を持っていたはずだ。
しかし今は剣を鞘に納め、元居た位置から少しだけずれた場所にゆらりと立っていた。
この一瞬、人が瞬きするかどうかと言ったほどの刹那の時間の流れの中、5人に迫る凶刃を全て叩き落し、そして剣を鞘に納めたのだ。
先ほどまでのノエルは確かに優れた戦闘能力を有していた。
しかし、『優れている』程度でこの人数差をひっくり返すことはできないし、今の芸当はその尺度の中に収まるはずが無かった。
ノエルの眼に迷いはない。
「剣聖、貴様……何を……⁉」
ノエルはサラの言葉をまるで聞いていないようで、グーパーさせている両手を見つめている。
手の感触を確かめ、足元に目を落とし、『うん』と呟くと剣に手をかけた。
おとぎ話に出てくるような伝説の剣でもなければ、家に代々伝わる由緒正しいものでもない。
ただ、愛娘の旅路に降りかかる困難を切り開くために特別に用意された両刃の剣、造りは精巧、斬ることも出来れば叩き潰すことも可能な代物、その刀身が再び陽の光を浴びる。
うん、歪みは無い。
今までで一番、安心してこの剣を握れる気がする。
「貴様! 一体何をした!」
先ほどの問いを無視され、サラは怒気を含みながら再度問いかけた。
何をしたか、そんな抽象的な問いに対してノエルは少し考えたが、やがてああ、と理解したように、
「契約を結んだ。力を前借りするんだ」
そう言った。
剣聖の力の前借り、確かにそう言った。
その時のサラの動揺は隠しようがなく、驚きと畏れが同時に溢れてきている。
しかし同時にある種の期待を含んだような、ようやく欲しいものを見つけた子供のような顔もしていた。
「す、素晴らしい! 人格との明確な契約! 剣聖、こちらに来い! ピースは全て揃った、私たちで新しい世界を築こう!」
「え……あ、その、お、お断りします」
命のやり取りをする戦場において、剣を携えながらではあるがノエルはぺこりとお辞儀をした。
彼女の意図がどうであれ、サラや黒装束にとってそれが最大級の侮辱であることは変わりないだろう。
ノエルが全くなびかずとも、根気よく勧誘を続けていたサラ、内容が内容なだけに首を縦に振りづらいがその低姿勢な勧誘には多少の好感が持てる。
だが、それにも限度があった。
「……もういいや、貴様は力づくで連れていく。必要なのは剣聖の肩書だ、最悪貴様が植物状態だろうと構わないのだからな」
無銘だがよく使いこまれ、身体に馴染んだ剣。
明らかに型のない構えから繰り出される攻撃はトリッキーな動きで相手を翻弄し、ノエルを苦しめていた。
しかし繰り返すが先ほどとは状況が違う。
ノエルの双眸《そうぼう》は自身に満ち溢れていた。
「そう来るだろうと思っていた。大体、お前は悪いようにしないと言いながら私の仲間を『悪いように』しているじゃないか。サラ、お前は何一つ信用できないし、私はお前のことが嫌いだ」
「好き嫌いで大義を捨てるのか」
「お前は大義の為ではなく、大義が好きだからそれに従っているだけだ。都合の良い言葉を並べても、何処まで行ってもお前は自分大好き自己中心的な人間だぞ」
「もういい、四肢を斬り落として連れていく」
「そうか、私はお前の首を落とす」
――剣聖、力を貸せ。
――好きにしろ。代価はいずれ支払ってもらう。
「「殺す!!!」」
人質も、大義も、契約も、作戦も、今は全てどうでもいい。
目の前のこいつをぶち殺す、それ以外の全てはノイズに過ぎない。
剣が交わり、離れ、魔術が撃ちだされ、躱し、撃ち落とし、その間に背後を取り、圧倒的アドバンテージを得たとサラが確信した瞬間ノールックで背後に剣を突き出すノエル。
紙一重で躱したが、重心のぶれたサラの顔面にノエルのハイキックが炸裂した。
衝撃で体が一回転し、遠くまで吹き飛ばされる。
当然剣は手放していて、無防備な状態でサラはゴムボールのように跳ねていく。
魔力による身体強化で顔までガード、そのおかげか頸椎を痛めることもなく気を失うこともなく、木にぶつかる前に自力で体勢を立て直し敵を探す。
……いない!
自分の元居た方向の正面、右、左、上、下を見て、どこにもいないノエルは一体どこにいるのか。
鉄の冷たさが胸に伝わり、背中から前にグイッと押された感触がした。
「お前の後ろだ。……少し外したか」
サラの背後に立っていたノエルの手にはもちろん剣が握られており、その鋒は彼女の胸から突き出している。
声を出してから攻撃するほどノエルは優しくなく、彼女が声を出したのはサラの心臓部分を貫いた後だった。
少し左にずれたが元々心臓は正中線から左側にあるもの、正確に心臓を貫いたノエルの勝利である。
だから、心臓を破壊したからノエルは声を出した。
それを世間一般で何と言うのか…………人はそれを油断という。
「は?」
背中に回した手には短剣が握られていて、ノエルに迫る。
声が出た。
逆に言えば、ノエルは声しか出なかった。
彼女には、悪魔の囁きが聞こえた。
剣聖の人格と言えど身体は一つ、持ち主の死と共にもう一つの人格も消滅する。
彼女もまだ十全に力を振るうことが出来るようになる前に死ぬのは本意ではなかったのだ。
死ぬほど、心の底から憎む相手を目の前にして、それでも自分の力では敵の命まで手が届かないとき、人はその他一切のすべての損得勘定を抜きにして悪魔に魂を売ることが出来るのだろうか。
ノエルと言う向こう見ずの少女であれば、きっと何も考えず力を手にしようとしただろう。
しかし、15歳の誕生日を迎え、短い時間ながら自己の内面と深く向き合った彼女はほんの少しだが変わった。
自分の持つ力の大きさ、責任の大きさを認識し、置かれた立場故に素直に手を伸ばせない。
怖いよ。
誰か助けて。
なんで私が……何で私にこんな力が、こんな力要らなかった。
誰か……助けて。
元々人質が取られている状態で単身飛び出すのは下策と言える。
一時の怒りが沸々と湧き上がる恐怖で中和され、冷静さを取り戻すとその状況の悪さに驚愕する。
黒装束の手によりリーゼたちは捕縛され、命を握られている。
そしてアルマ、彼女が健在である限り仲間を救うことは叶わない。
今での彼女の頭の中にはもう一人の自分の声が響き続ける。
そんな中、ついにノエルの足が止まった。
今なら人質を殺すこともたやすい、ノエルを仕留めることも出来るかもしれない。
アルマは油断のないように武器を構えながら、それでも少し声のトーンを落としてノエルに語り掛けた。
「剣聖、私と共に来い」
「…………なんで」
「この国は力を持つ者が生き辛い。隣の帝国はいいぞ。力を持つ者が評価され、尊敬されることはあっても迫害されることなどない」
アルマの言う通り、隣国のウル帝国では剣聖は第2段階を超えることが出来なくても処断されることは無いし、カナン公国と比較して能力のある者が優遇される国だった。
しかしそれは同時に力無き者が虐げられることもある社会であることを意味しており、ここでその是非を論じても意味のないことだ。
それでもアルマによる勧誘は続く。
「この国を変えよう。そのために剣聖、ノエル・クレスト。お前の力が必要だ」
力を制御できなかった剣聖はAランク討伐対象として処断される。
その一文を見た時、指先から心の臓までフワッとして何が何だか分からなくて、堪らなく怖くて、吐きそうになって、こんなクラスを与えたこの世界を恨んだ。
「お前も感じたはずだ、剣聖として自分と接する者たちの目を、あの冷たさを。さあ、武器を捨てて、そうすれば悪いようにはしない」
『私がついております。リーゼ様も、旦那様も奥様も、ハルツ様もいます。あなたは1人ではない』
『誰かが側にいないと寂しいのであれば、ご自分から歩み寄りください。明るくてお優しいノエル様なら大丈夫、もし上手くいかなければ私《わたくし》めの隣にお越しください』
私は1人じゃない。
冷たい目を向けられることもある、恐れられることもある、それはきっとこの先ずっとそうなんだろう。
でも…………
「さあ、剣聖」
大丈夫、私は…………
「アルマ……ではないな。お前の本当の名は?」
「サラ、だ」
「そうか。…………サラ、やっぱりお前の手は取れない」
「……残念だ、ノエル・クレスト。お前は今、大事な仲間の命を見限った」
アルマ改めサラが手を掲げると黒装束たちが武器を構える。
人質を取って尚動くことを止めないというのであれば、人質はもういらない、処分するまでだ。
振り上げられた武器は気を失っている面々を目標に、サラの執行合図を待つのみ。
――おい、力を貸せ。
――ふふっ、今更か。まあいい、貸してやる。条件は……
――全部だ。
――は?
――だから全部だ、お前の持つ力全て私に寄越せ。
――契約内容はこちらで決めさせてもらう。それでいいな?
――ああ、問題ない。
――…………なあ、本当に
「くどい! いいから全部寄越せ! 剣聖!」
5つの金属音が重なり、同時に鳴り響いた。
余韻が消え、地面に弾かれた武器が落ちるころ、人質の処分を執行しようと合図を待っていた黒装束たちが腕を押さえてうずくまる。
先ほどまでノエルは確かに剣を持っていたはずだ。
しかし今は剣を鞘に納め、元居た位置から少しだけずれた場所にゆらりと立っていた。
この一瞬、人が瞬きするかどうかと言ったほどの刹那の時間の流れの中、5人に迫る凶刃を全て叩き落し、そして剣を鞘に納めたのだ。
先ほどまでのノエルは確かに優れた戦闘能力を有していた。
しかし、『優れている』程度でこの人数差をひっくり返すことはできないし、今の芸当はその尺度の中に収まるはずが無かった。
ノエルの眼に迷いはない。
「剣聖、貴様……何を……⁉」
ノエルはサラの言葉をまるで聞いていないようで、グーパーさせている両手を見つめている。
手の感触を確かめ、足元に目を落とし、『うん』と呟くと剣に手をかけた。
おとぎ話に出てくるような伝説の剣でもなければ、家に代々伝わる由緒正しいものでもない。
ただ、愛娘の旅路に降りかかる困難を切り開くために特別に用意された両刃の剣、造りは精巧、斬ることも出来れば叩き潰すことも可能な代物、その刀身が再び陽の光を浴びる。
うん、歪みは無い。
今までで一番、安心してこの剣を握れる気がする。
「貴様! 一体何をした!」
先ほどの問いを無視され、サラは怒気を含みながら再度問いかけた。
何をしたか、そんな抽象的な問いに対してノエルは少し考えたが、やがてああ、と理解したように、
「契約を結んだ。力を前借りするんだ」
そう言った。
剣聖の力の前借り、確かにそう言った。
その時のサラの動揺は隠しようがなく、驚きと畏れが同時に溢れてきている。
しかし同時にある種の期待を含んだような、ようやく欲しいものを見つけた子供のような顔もしていた。
「す、素晴らしい! 人格との明確な契約! 剣聖、こちらに来い! ピースは全て揃った、私たちで新しい世界を築こう!」
「え……あ、その、お、お断りします」
命のやり取りをする戦場において、剣を携えながらではあるがノエルはぺこりとお辞儀をした。
彼女の意図がどうであれ、サラや黒装束にとってそれが最大級の侮辱であることは変わりないだろう。
ノエルが全くなびかずとも、根気よく勧誘を続けていたサラ、内容が内容なだけに首を縦に振りづらいがその低姿勢な勧誘には多少の好感が持てる。
だが、それにも限度があった。
「……もういいや、貴様は力づくで連れていく。必要なのは剣聖の肩書だ、最悪貴様が植物状態だろうと構わないのだからな」
無銘だがよく使いこまれ、身体に馴染んだ剣。
明らかに型のない構えから繰り出される攻撃はトリッキーな動きで相手を翻弄し、ノエルを苦しめていた。
しかし繰り返すが先ほどとは状況が違う。
ノエルの双眸《そうぼう》は自身に満ち溢れていた。
「そう来るだろうと思っていた。大体、お前は悪いようにしないと言いながら私の仲間を『悪いように』しているじゃないか。サラ、お前は何一つ信用できないし、私はお前のことが嫌いだ」
「好き嫌いで大義を捨てるのか」
「お前は大義の為ではなく、大義が好きだからそれに従っているだけだ。都合の良い言葉を並べても、何処まで行ってもお前は自分大好き自己中心的な人間だぞ」
「もういい、四肢を斬り落として連れていく」
「そうか、私はお前の首を落とす」
――剣聖、力を貸せ。
――好きにしろ。代価はいずれ支払ってもらう。
「「殺す!!!」」
人質も、大義も、契約も、作戦も、今は全てどうでもいい。
目の前のこいつをぶち殺す、それ以外の全てはノイズに過ぎない。
剣が交わり、離れ、魔術が撃ちだされ、躱し、撃ち落とし、その間に背後を取り、圧倒的アドバンテージを得たとサラが確信した瞬間ノールックで背後に剣を突き出すノエル。
紙一重で躱したが、重心のぶれたサラの顔面にノエルのハイキックが炸裂した。
衝撃で体が一回転し、遠くまで吹き飛ばされる。
当然剣は手放していて、無防備な状態でサラはゴムボールのように跳ねていく。
魔力による身体強化で顔までガード、そのおかげか頸椎を痛めることもなく気を失うこともなく、木にぶつかる前に自力で体勢を立て直し敵を探す。
……いない!
自分の元居た方向の正面、右、左、上、下を見て、どこにもいないノエルは一体どこにいるのか。
鉄の冷たさが胸に伝わり、背中から前にグイッと押された感触がした。
「お前の後ろだ。……少し外したか」
サラの背後に立っていたノエルの手にはもちろん剣が握られており、その鋒は彼女の胸から突き出している。
声を出してから攻撃するほどノエルは優しくなく、彼女が声を出したのはサラの心臓部分を貫いた後だった。
少し左にずれたが元々心臓は正中線から左側にあるもの、正確に心臓を貫いたノエルの勝利である。
だから、心臓を破壊したからノエルは声を出した。
それを世間一般で何と言うのか…………人はそれを油断という。
「は?」
背中に回した手には短剣が握られていて、ノエルに迫る。
声が出た。
逆に言えば、ノエルは声しか出なかった。
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