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しおりを挟む登録自体は、能力証明書があればすぐにできるため、それほど長く待たされることはないだろう。
実際、列はスムーズに進んでいく。
三十分ほど待てば、俺の番となった。
「いらっしゃいませ。冒険者登録でよろしいでしょうか?」
「ああ。頼む」
「それでは、能力証明書の提出をお願いいたします」
言われるがままに能力証明書を提出すると、ギルド職員は僅かに顔を顰めた。
俺のステータスが低いからだろう。前世に登録したときは、こんなに混んでいなかったため、職員に色々と質問を受けたものだが、今は忙しいこともあってか特には追及されなかった。
まあ、身分証明書代わりに登録する人もいるしな。
きっと俺もそう思われたに違いない。
前は空いていたこともあり、聞き耳を立てていた冒険者に馬鹿にされたものだが、その心配もない。
以前は酷かったものだ。
「あいつ、暗黒騎士だってよ」、「HP2、て。弱すぎんだろ」、「タンク系の職業なのに」などなど。
「はい。それではこれで冒険者登録を終了します。こちら、冒険者カードになりますのでなくさないようにお願いします」
登録はスムーズに終了した。
俺は、それからギルドの資料室へと向かう。
冒険者カードを持っている人なら、誰でも入室可能だ。
と、いってもそれさえなくても中に入れるくらいにはゆるゆるだ。
入り口には見張りの人がいたが、特別何かを要求されることもなく、中に入れた。
ここには、魔物や迷宮に関する情報が保管されている。
とりあえず、レベル上げのために近場のGランク迷宮を調べるつもりだ。
いくつかの資料を見ていったが、今は近くに手ごろな迷宮がないな。
仕方ない。
王都からは一度離れる必要がありそうだ。
北の街、ベーグルティの近くにGランク迷宮があるようだな。
おまけに、迷宮の寿命も近いようだ。そうなれば、迷宮攻略に参加させてもらえるかもしれない。
ボスモンスターを討伐した場合、多くの経験値がもらえるので、ぜひとも参加したいものだ。
他にもいくつかGランク迷宮については調べたが、ベーグルティのGランク迷宮がもっとも都合が良さそうだった。
調べることは終わったので、ギルドを後にして次に向かったのはスキルストーンショップだ。
職業に関連してのスキル以外、いわゆる汎用スキルは後天的に獲得でき、自分の好きなようにカスタマイズできる。
また、初めは四つしかスキルは装備できないが、成長次第で増えていくこともあるそうだ。
今俺が欲しいスキルは、もちろん【根性】だ。
まだ机上の空論でしかないが、【根性】があれば、俺の立場は一気に変わる。
……ただ、問題はそのスキルストーンがこの街にあるかどうかだ。
図書館に情報があったということは、誰かしらが使用してその情報を記したということになる。
……都合よく、見つけられるかどうかだな。大手のクランならば、それなりに管理されているとは思うが、街の一ショップだと中々そこまではされていない。
この世にはたくさんのスキルがあるため、自分の求めているスキルと出会えるかは運による。
祈るような気持ちとともに、俺は近くのスキルストーンショップへと踏み込んだ。
「お客様。身分証明書の提示をお願いします」
スキルストーンショップの入り口にいた男性が爽やかな笑みを向けてきた。
彼はこのお店の店員なのだろう。その隣には、強面の冒険者もいる。
体はしっかりと鍛えられていて、武器や防具もかなりのもののように見える。
……スキルストーンは貴重なものも多いからな、
高値で取引されることも多いため、このように警戒態勢が敷かれているのだ。
俺が冒険者カードを提示すると、彼はそれを手元の紙にメモした。名前を記録したのだろう。
俺の名前さえ分かれば、万が一盗難が発生してもギルドと連携して指名手配するのも容易だからだ。
「ありがとうございます。それではごゆっくり」
にこりと微笑んだ彼に頷きを返し、俺は店内を見て回る。
久しぶりだな、スキルストーンショップに来るのは。
店に入ると、棚がずらりと並び、そこに箱が並んでいる。
箱の中を見てみると、たくさんのスキルストーンが入っていた。
特に分類されているということはなく、様々なスキルが入っている。
……手に持ってみると、どんなスキルなのかが分かるのだが、これ一つ一つ調べていくのは大変だぞ。
スキルが多すぎて、正直眩暈を覚えてしまうほどだ。
一つ一つスキルストーンを手に取って、目的のスキルがないかを確認していく。
今俺が探しているスキルは、三つだ。
【根性】、【リジェネ】、【劣勢強化】の三つだ。
俺が暗黒騎士を最強の職業にするために調べた結果がこの三つのスキルだ。
どれか見つかればいいのだが。
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