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 レウニス レベル1 職業:暗黒騎士
 HP2/2(限界値) MP150/150 力106 体力107 魔力108 速度105 
 職業スキル【暗黒騎士:レベル0】【暗黒魔法:レベル0】【暗黒騎士強化:レベル0】
 スキル【】【】【】【】
 装備【】【】【】【】

 周囲に俺のステータスと職業が公開され、集まっていた人々が息を飲んだ。
 それは当然だろう。
 各種ステータスには、成長限界というものがあり、基本的には限界を迎えたステータスは成長しない。

 HP2、という余りにも低いステータス。
 何より、限界を迎えてしまったこのステータスは、誰がどう見ても明らかに弱い。

「職業は……最弱の暗黒騎士……っ! それに、なんだそのステータスは! HP2など、冒険者として活動できないではないか!」

 父親の怒鳴り声が響き渡る。
 その声に、混ざるように聞こえる嘲笑の数々。
 俺のステータスを、職業を馬鹿にする声がいくつも聞こえてくる。

 俺は何も言い返すことができず、ただ呆然とステータスを眺めていることしかできなかった。
 そして……俺の冒険者人生は始まることもなく、ここで幕を閉じたのだった。


 ……嫌な夢を見た。
 目を覚ました俺は仕事の準備を終えながら、外を眺める。
 成人の儀から五十年か。

 五十年が経ったというのに未だに成人の儀のときを夢で見るなんてな。
 出勤しながらも、中々切り替えることはできなかったが、それでも一日は始まる。
 俺は今、司書として図書館の本を管理していた。
 いつも一緒に仕事をしている人がいるのだが、今日は遅刻だろうか。まだここには来ていない。
 元々、適当な性格の人だし、一人で仕事を進めてしまおう。

 いつものように本の清掃などをしていたのだが、脳内には夢の出来事が浮かんでいた。
 一通りの仕事を終えた俺は、それから図書館の本を漁り、読書をしていく。
 司書の仕事の一つとして、本の閲覧に来たお客様への紹介がある。
 司書はいつでもご案内できるよう、自由に本を見ることができた。

 本来は様々なジャンルの本を読む必要があったのだが、俺が読んでいたのはスキルに関する本が主だった。
 この世には後天的に獲得できるたくさんのスキルがあり、それらすべてを把握している人は恐らくはいないだろう。
 そもそも、把握自体が難しい。同じスキル名であっても、人によって効果は様々だしな。
 
 火を扱うスキルだとしても、その火の形はもちろん、攻撃系なのか防御系なのか、それとも生活系なのか……とにかく多種多様だからだ。

 俺がスキルに関する本ばかりを読んでいたのは……未だ、冒険者への未練が拭いきれていないからだ。
 俺の職業や、HP2を活かすスキルがあるのではないか?

 この世に大量にあるスキルの中のどこかに、そのスキルがあるかもしれないと探し続けた俺は一つのスキルの前で思わず手を止めた。
 このスキルは……。
 改めて、そこに書かれている文字に目を通す。

 『根性 効果HPが一定以上あるときにどんな攻撃を喰らっても1で耐える』。
 
 その一文を見て、俺は自分のステータスを意識する。
 眼前にウィンドウが表示され、俺の残念なステータスが展開される。

 レウニス レベル24 職業:暗黒騎士
 HP2/2(限界値) MP210/210 力201 体力204 魔力201 速度201 
 職業スキル【暗黒騎士:レベル10】【暗黒魔法:レベル0】【暗黒騎士強化:レベル0】
 スキル【力上昇】【力上昇】【力上昇】【力上昇】
 装備【麻痺蛾の剣】【堅守のネックレス】【パワーグローブ】【青の指輪】

 職業は先天的なもの。
 スキルは後天的に獲得できる。
 スキルは迷宮でドロップするスキルストーンを使用することで獲得可能だ。

 職業に合ったスキルを選択することで、より戦いやすくなるのだが、俺の場合はそういった問題でどうにかできる話じゃなかった。

 それは、HP2という問題点。何より、これ以上成長はしないという(限界値)という絶望的な文字。
 通常ステータスは日々の鍛錬とレベルアップで上昇するのだが、限界値に到達したステータスはそれ以上上がらないのだ。
 
 一応、覚醒することで限界値を超える手段もあるのだが、あまり現実的ではない。
 覚醒の仕方が分からないのだ。

 限界の戦いを繰り返したものだけが、覚醒できるとか。
 朝起きたら覚醒していた場合もあるだとか。
 ……とにかく、狙ってできるものではない。

 HP2というのは、俺の職業と非常に相性が悪かった。
 暗黒騎士は、基本的にはパーティーのタンクを務める。
 
 タンクとは、敵の注意を引きつけ、仲間が動きやすいように立ち回る役職で、敵の攻撃を受けやすいことから通常はHPの高い人が務めるのだ。
 ……そう。俺のステータスとこの職業の相性は最悪という他ないのだ。

 だから、俺は家を追放されたんだしな。
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