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「最近、エンドリアの様子はどうだ?」
「え? 特に大きな問題はありませんが……」
「それなら良かった。ただ、最近も街で暴れていた男女を捕らえたと聞いてな。治安の方が問題なのかと思ったんだが……」
「それは……特に大きな問題はありませんね」
……少し、表情が変わってきたな。
ブライトはいちゃもんつけて犯罪者にして、それから無理やり奴隷にするのが趣味だ。自分好みの人間を見つけては、そんなことをやっているらしい。
今回は、それに関しての牽制とスザクとセイリンの二名をこちらに譲ってもらうつもりだ。
むしろ、二人が捕まっていたおかげで踏み込んで話ができるので感謝しているくらいだ。
「そうか? では、男女に理不尽な理由をつけて捕まえた、というのはどうだったんだ?」
「……それは、一体どちらから、でしょうか?」
明らかに表情が変わった。
晩餐会がなければ、セイリンと奴隷契約を結ぶことも考えていたはずだ。
ブライトは口を滑らせた人間について考えていたようだが、まあクーラルという情報屋に調べられたとは思っていないだろう。
もちろん、クーラルの名前を出すつもりはなく、俺は冷たい表情とともにブライトを見る。
「ブライト」
彼の名前を呼ぶ。なるべく威圧感を込めてだ。
俺の気持ちは十分に伝わったようで、ブライトは怯んでいる。
「今、お前のところで捕まっている二人は……俺の知り合いなんだ」
「……え!?」
驚いたようにブライトは叫び、それから顔を青ざめさせていく。
大変なことをしてしまったということに気づいたようで彼の表情がどんどん険しくなっていく。
それほど暑くはないというのに、額にもびっしりと汗が浮かんできている。
「だから、できれば二人を解放してほしいと考えているのだが……ダメか?」
「も、もちろん今すぐにでも解放させます!」
「そうか。話が分かるやつで助かったよ。……ただな、ブライトよ。……あまり、やりすぎるなよ?」
俺は少し殺気を込めてブライトに笑顔を向けると、彼も必死に笑顔を浮かべて頷いた。
……これだけ言っておけば大丈夫だろう。
こちらは明言こそしていないが、これでまだ好き放題やるというのなら、彼の更迭も考えなければならない。
彼の嗜虐的な趣味を除けば、今のまま続けてもらっても構わない。
正直言って、俺はメインストーリーの修正の方で忙しいので人材の用意と派遣まで構っていられないからな。
「とにかく。明日にでも二人を屋敷にまで連れてきてくれるか?」
「かしこまりました!」
ひとまずこれで、スザクとセイリンの身柄は確保できるだろう。
……もう、二人が出会ってしまった以上、二人をメインに据えた物語は始まってしまったのかもしれないが、俺の監視下に置いておけば、最悪のエンディングだけは回避させられるはずだ。
ていうか、回避しないと俺もろとも世界が崩壊するからな。
なんとしても、修正しないとな……。
このゲームには、大きく分けて人間と魔族という種族がいる。
現在、人間と魔族は非常に仲が悪く、北の大陸では今もいつ大戦が始まるかという状況が続いている。
とはいえ、この大陸では魔族のまの字もないほどに平和ぼけしているが。
魔族と人間が戦っているのはここから遥か北の大陸だからな……。
いやまあ、魔族の中には飛んで来れるやつもいるので、海を渡ろうとすればいくらでもいけるのだが……そこまでしてこの大陸に襲撃する魔族はまずいない。
この大陸をとったところで、魔族側からはうまみもほとんどないからだ。
我が国も、物資などの支援こそしているが、どこか他人事の感覚は消えていない状況だ。
このゲームでは、主人公が人間と魔族のどちら側につくかを選ぶことができる。
多くのプレイヤーは人間を最初に選び、二週目で魔族を選択する。
それは、主人公の血筋が勇者と魔王の間に生まれたハーフだと、人間側のストーリーをすることで知るからだ。
……そして三週目。
二つのルートをクリアした状態で、最初に選ぶ選択肢をどちらも選ばずに30秒放置することで分岐する。
――――――――――――――――――――――
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「え? 特に大きな問題はありませんが……」
「それなら良かった。ただ、最近も街で暴れていた男女を捕らえたと聞いてな。治安の方が問題なのかと思ったんだが……」
「それは……特に大きな問題はありませんね」
……少し、表情が変わってきたな。
ブライトはいちゃもんつけて犯罪者にして、それから無理やり奴隷にするのが趣味だ。自分好みの人間を見つけては、そんなことをやっているらしい。
今回は、それに関しての牽制とスザクとセイリンの二名をこちらに譲ってもらうつもりだ。
むしろ、二人が捕まっていたおかげで踏み込んで話ができるので感謝しているくらいだ。
「そうか? では、男女に理不尽な理由をつけて捕まえた、というのはどうだったんだ?」
「……それは、一体どちらから、でしょうか?」
明らかに表情が変わった。
晩餐会がなければ、セイリンと奴隷契約を結ぶことも考えていたはずだ。
ブライトは口を滑らせた人間について考えていたようだが、まあクーラルという情報屋に調べられたとは思っていないだろう。
もちろん、クーラルの名前を出すつもりはなく、俺は冷たい表情とともにブライトを見る。
「ブライト」
彼の名前を呼ぶ。なるべく威圧感を込めてだ。
俺の気持ちは十分に伝わったようで、ブライトは怯んでいる。
「今、お前のところで捕まっている二人は……俺の知り合いなんだ」
「……え!?」
驚いたようにブライトは叫び、それから顔を青ざめさせていく。
大変なことをしてしまったということに気づいたようで彼の表情がどんどん険しくなっていく。
それほど暑くはないというのに、額にもびっしりと汗が浮かんできている。
「だから、できれば二人を解放してほしいと考えているのだが……ダメか?」
「も、もちろん今すぐにでも解放させます!」
「そうか。話が分かるやつで助かったよ。……ただな、ブライトよ。……あまり、やりすぎるなよ?」
俺は少し殺気を込めてブライトに笑顔を向けると、彼も必死に笑顔を浮かべて頷いた。
……これだけ言っておけば大丈夫だろう。
こちらは明言こそしていないが、これでまだ好き放題やるというのなら、彼の更迭も考えなければならない。
彼の嗜虐的な趣味を除けば、今のまま続けてもらっても構わない。
正直言って、俺はメインストーリーの修正の方で忙しいので人材の用意と派遣まで構っていられないからな。
「とにかく。明日にでも二人を屋敷にまで連れてきてくれるか?」
「かしこまりました!」
ひとまずこれで、スザクとセイリンの身柄は確保できるだろう。
……もう、二人が出会ってしまった以上、二人をメインに据えた物語は始まってしまったのかもしれないが、俺の監視下に置いておけば、最悪のエンディングだけは回避させられるはずだ。
ていうか、回避しないと俺もろとも世界が崩壊するからな。
なんとしても、修正しないとな……。
このゲームには、大きく分けて人間と魔族という種族がいる。
現在、人間と魔族は非常に仲が悪く、北の大陸では今もいつ大戦が始まるかという状況が続いている。
とはいえ、この大陸では魔族のまの字もないほどに平和ぼけしているが。
魔族と人間が戦っているのはここから遥か北の大陸だからな……。
いやまあ、魔族の中には飛んで来れるやつもいるので、海を渡ろうとすればいくらでもいけるのだが……そこまでしてこの大陸に襲撃する魔族はまずいない。
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このゲームでは、主人公が人間と魔族のどちら側につくかを選ぶことができる。
多くのプレイヤーは人間を最初に選び、二週目で魔族を選択する。
それは、主人公の血筋が勇者と魔王の間に生まれたハーフだと、人間側のストーリーをすることで知るからだ。
……そして三週目。
二つのルートをクリアした状態で、最初に選ぶ選択肢をどちらも選ばずに30秒放置することで分岐する。
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