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「ギィア!?」

 ウルトラトロールの堅い木さえも、冥牙はやすやすと切り裂く。

 ウルトラトロールは巨大な身体を振り払い、痛みを誤魔化すように木の鞭を振り抜いてくる。
 だが、俺はそのすべての攻撃をかわしながら、冥牙とミスリルナイフで切り付けていく。

 その体の傷が増えていくと、ウルトラトロールは体をよろめかせる。
 最初の余裕げな雰囲気はなくなった。それを煽るように、俺は笑みを浮かべ、さらに踏み込んで短剣を振り抜いた。

 次で終わりだ。
 俺の一撃がウルトラトロールの硬い木の皮膚を切り裂くと、断末魔のような雄叫びが響いた。
 ……一撃でももらえば大ダメージなのかもしれないが、これくらいなら余裕だな。
 戦闘を終えた俺は素材を回収して、その場から離脱する。

 俺が先ほどまで戦っていた場所には、別の魔物が近づいている。
 ……さすがに第四層の魔物たちだけあって、反応が速いな。
 連戦できるほどの余裕はまだないため、ひとまずは逃げさせてもらう。
 ただまあ、この調子なら第四層での戦闘もなんとかなりそうだ。

 あとは、格上狩りだな。
 俺の空間魔法なら、格上の魔物でさえも大ダメージを与えることは可能だ。
 それを試すため、まずはウルトラゴーレムのもとへ向かう。

 見つけた。
 ウルトラゴーレムは徘徊しているものと、岩に擬態するようにして眠っているものの二タイプがいる。

 俺が今回見つけたのは岩に擬態しているやつだ。
 奴は、こちらに気づくまでは動かないので、先制攻撃しやすい。

 元々、動きが遅い魔物でもあるし……空間魔法も当てられるだろう。
 俺が魔力を込めると、ウルトラゴーレムが動き出す。

 ……さすがに、第四層の魔物だし魔力の感知能力は高いな。
 すぐに俺の居場所を特定してきたウルトラゴーレムが迫ってくるが、俺はそのウルトラゴーレムの足を狙って空間魔法を放った。

「が!?」

 足へと放った空間魔法が、ウルトラゴーレムの足をもぎ取る。
 ウルトラゴーレムが大きく転がったが、すぐに体を起こそうとする。
 まだ、魔力はなんとかなる。
 俺は追撃するように、その体の心臓部分を、空間魔法で抉り取った。
 ……どうだ?

 俺の一撃を受けたウルトラゴーレムは、ぴたりと動きを止める。
 そして、ウルトラゴーレムの目にあった光が消えた。
 ……その後、霧のように死体が消えていって、後には素材だけが残った。

 うまくいったな。
 もしもダメだった時にすぐ逃げられるように足を奪っておいたが、これなら一発で心臓部分に埋め込まれているコアを破壊してしまえば良さそうだ。

 ゴーレム系の魔物はあのコアを破壊できれば倒せるので、空間魔法でピンポイントで狙う練習をするにはいいかもしれない。
 ゴーレムで魔法の練習をして、それ以外で短剣術の練習をしようか。

 格上を一撃で倒せる可能性があることだ。
 これなら……第五層の魔物も、問題なく倒せる可能性はあるよな。
 まあ、可能性があるからといって試すのはリスキーだ。
 ゲームならセーブしてから挑めるんだけどなぁ。
 ゲームじゃないからな……無茶して死んだら意味がない。

 とりあえず、魔力は自然回復するので溜まったらそれでウルトラゴーレムも倒していくとするか。



 第四層と特殊モンスターの狩りで経験値を稼いでもらいながらも、俺は別の情報も集めてもらっていた。

 兵士たちに集めてもらっている情報は、孤児院についてだ。
 ゲーム通りなら、鑑定魔法を使える子がそこにいるはずなのだ。
 この世界には孤児が多くいて、その中には仲間に誘えるキャラもいる。

 このゲームでは、一部の固定キャラクターはストーリー上仲間になるのだが、それ以外は自分でスカウトしていく必要がある。
 ストーリー以外で仲間にできるキャラも、優秀なのばかりなので是非とも仲間にしたいんだよな。

 ヴァリドール自体を強化するためにだ。
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