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しおりを挟むというのも、このアクセサリーたちは、レベルアップ時にステータスを通常よりも強化してくれる隠し効果がある。
ゲームでは低レベル攻略でこの『ヴァリドール』に到達しないと、すべてのステータスをマックスまで強化することができない。
……まあ、この世界だとゲームのような効果があるのかは分からないということだけは、不安だが……それなら、別のゲーム知識を使ってみるだけだしな。
俺が最強キャラになるために、なんでもやっていくつもりだ。
装備品を持って家へと帰宅すると、ちょうど長男のライフ・ヴァリドーと鉢合わせになる。
豪華な服に身を包んでいることから、もしかしたらどこかの街で社交界にでも参加する予定なのかもしれない。
そんなライフは、俺を見て……露骨に嫌そうな目になる。
「ちっ、落ちこぼれの能無しじゃねぇか」
「兄さん、お久しぶりです」
「喋んなよ、クズが」
そういって、ライフは舌打ちを残して去っていった。
……家族の俺への当たりは、こんな感じで強い。
それは、俺が持って生まれた魔法が原因だ。
俺の持つ魔法は、空間魔法だ。
空間に干渉する魔法で、例えば異空間に物をしまったり、異空間同士をつなげて移動したりできる。
……これだけ聞くと、凄い魔法だと思うだろうが、燃費がとても悪い。
少なくとも、人を移動させる様なのは……今の俺では使えないんだよな。
第一、異空間に物をしまうというのも、この世界ではアイテムボックスという代用品があり、異空間同士をつなげて移動するというのも……転移石と呼ばれるものが各街にあるため、別にそこまで便利な代物ではない。
家族全員が攻撃的な魔法の才能を持って生まれてきたのに、俺だけ使えない能力だったために……家族からの評価はあまりにも低い。
親の愛情を受けることができなかったこともあり、レイスくんの性格は酷く歪んでしまったのかもしれない。
まあ、前世の俺は上司にもっと詰められていたので、あのくらい別に気にもならない。
ちゃんと寝れて、食事が取れるだけで今の環境は最高。というか、睡眠時間が自由に取れるだけで、お釣りが返ってくるレベル。
異世界転生、大感謝だ。転生先も、中世ヨーロッパ風なだけで、魔法技術により細かい部分は発展している。
エアコンのようなものもあれば、冷蔵庫のようなものもあるしな。
前世の社畜生活より、何倍もいい。
ひとまず……訓練開始だな。
訓練? 何をするって?
筋トレだ!
装備品を手に入れてからの一日のルーティンは簡単だ。
まずは、魔法の訓練。
これに関してはヴァリドー家が雇っている家庭教師がいるので、その人に毎日指導をしてもらい、技術の向上を図っていく。
魔法。こいつは使用するまでに手こずるかと思ったが、そんなことなかった。転生したときに、この体で得た経験もすべて俺に引き継がれているようで難なく使用できた。
ゲームのレイスくんが使っていた空間魔法は、剣先だけを空間魔法に入れて使うとかだった。
なぜ瞬間移動とかしないのだろう? と思っていたが、恐らく燃費が悪くて使えなかったんだろうな。
ただ、その燃費に関しては毎日の訓練を続けていけばいくらでも補強できそうだ。
主人公のハイスペックさには劣るが、この空間魔法一本でも、ステータスが整えば問題なく戦えるだろう。
次に行ったのは短剣の訓練だ。
もともとレイスくんは剣を使っていたが、俺は短剣を使うことにした。ゲームでは、特に装備品などの縛りはなかったので、問題はないだろう。
短剣を選んだ理由は、ゲームで性能的にずば抜けているものが多かったからだ。
家庭教師の指導が終われば、その後は自主トレだ。やりすぎは禁物ではあるが、余裕があるわけでもないからな。
ゲームと違ってステータスが見えないので断定はできないが、この世界はあくまで現実世界。
こういったトレーニングで体を鍛えていくことも大事だろう。
ゲームのように、装備した瞬間に剣が使えるようにならなかったし、経験というのは自分で身につけていくしかないんだと思う。
「レイス様。間食に焼いた鶏肉を持ってきましたが……」
「ああ、そこに置いておいてくれ」
訓練の合間合間に、鶏肉を食べてしっかりタンパク質を補給。
筋肉をつけるために、タンパク質は必須だ。
……まあ、鶏の魔物の肉なので、俺の知っている鶏肉とは少し違うのかもしれないが。
食事もしっかりと摂って、一日のおおよそのタンパク質などを脳内で計算しながら、俺は日々を過ごしていった。
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