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 スレ作って武器売ったら、金は十分確保できた。
 それにしても、俺の知名度は舞のおかげでそれなりにあったようだ。
 舞には感謝しておかないとな。

 全員チュートリアル報酬だったり、コツコツと集めたゴールドを持っていたので、武器は二万から五万ゴールド程度売れた。
 まあ、今の相場ならもっと高値で売れたかもしれないが、金のない異邦人が多いから仕方ない。

 仕入れた武器は結構あったので、合計で七十万ゴールドほどは稼げたので、これである程度自由に金を使えるようになった。

 売却したことによって、称号も色々と手に入ったし、これでまたステータスも強化できるな。
 舞にはもちろん、杖と刀と斧を納品しておいたのでこれで俺の夜の目標は達成だ。

 武器集めのために戦いまくっていたおかげでレベルも30になったので、とりあえず転職活動だな。

 転職神殿へにいくと、いつものシスターさんがいた。

「今って転職できるのか?」
「ええ。神官様はお休みなので、私が代行しますね」
「……寝なくていいのか?」
「気持ち寝ましたから大丈夫ですよ」
「気持ちってことは寝てなくない?」
「気持ちでも寝るというのは大事なことですよ。気持ちで寝たら寝たってことになるんです」
「やっぱブラック――」
「えい」

 ノルマのビンタを受けたところで俺は転職を進めることに。

「転職についてですが、詳しいことは知っていますか?」
「そんなに何か特別なことあるのか? 【暗殺者】を強化してくれるんじゃないのか?」

 大抵のゲームが、そんな感じではないだろうか?
 例えば、【戦士】が【魔法戦士】になるみたいな?
 俺が首を傾げていると、シスターはニコリと微笑む。

「その認識でしたら、少し話したほうがいいかもしれませんね。今回の転職で、ユート様は二つの選択肢があります。一つは、今の職業をさらに極めること。あるいは、別の職業になることです」
「……別の職業も選べるのか?」
「はい。どちらにしますか?」

 ……ふむ。
 メニュー画面が出てきて、詳しい情報を見ていく。
 なるほどな。別の職業を選んでも、第一職のスキルも使えるのか。

 今の俺はまた色々と職業が出ているのだが、例えば【暗殺者】と【戦士】のスキルを選んだとするとこの二つのスキルが使えるようになるらしい。
 自分の戦闘スタイルに合わせ、様々な強化が可能というわけだ。

 こうなると、最初に無職にしておいて隠し職業を見つけていないと、最初の職業は四つのどれかに固定されてしまうのか。

 でも、職業同士の組み合わせ次第で新しい職業が出現することもあるらしい。
 もしかしたら、そのうち職業入れ替えとかもできるようになるかもしれないし、なんとも言えないな。

 職業、どうするかな。
 今後、攻略情報が出てくるとオススメの職業の組み合わせとかも出てくるのかもしれないが、その職業自体かなりの数みたいだからな……。

 さらにここに汎用スキルを合わせ、汎用スキルと職業スキルを組み合わせることなどもあるんだよな……?
 もう、やれることが無限にあるな。

 戦士と魔法使いを習得すれば、魔法戦士、のようなこともできるわけで、これは強いかはともかくとして人気が出そうだな。やっぱどっちも使えるのは憧れるし。

 ただ、俺としては……やはり【暗殺者】のスタイルが合っている。
 一つを極めていこうか。それもまた、一つの選択だろう。
 同じ職業を選ぶと、また別のスキルが手に入るようだし、悪くはないだろう。

「それじゃあ、【暗殺者】で頼む」
「分かりました」

 シスターがそう言った次の瞬間、俺の転職が終わった。
 獲得したスキルは、新たに三つか。

 【偽装者】:一定時間、姿、名前を偽れる。
 【暗殺の一撃】:敵に気づかれていない状態での威力アップ
 【変化への耐性】:すべての状態異常への耐性が上がる。

 どのスキルもいいが、パッとみた瞬間【偽装者】が一番便利そうに思えた。

 ただ、どれも必殺スキル、という感じではないな。
 便利そう……ではあるのだが、あまり俺自身を強化するスキルがないんだよな。
 あれ? もしかして【暗殺者】ってハズレ職業?
 ただ、どれも必殺の一撃ではないんだな。

 まあ、【暗殺者】が派手なスキルを使っていたら、それはそれでちょっと違うという感じもするし、いっか。

「同職業を選んだボーナスとして、すべてのスキルがわずかに強化されますね」

 シスターがそういった。
 ……へぇ、そういう効果もあるのか。
 そうなると、やはり一つの職業を極めた方がいいのだろうか?
 難しいな。
 さらに称号も手に入った。

 第二転職者(Sランク):すべてのスキルの効果があがる。

 これはいいな。ただ、どれほど上がるのか分からないが、合って困るスキルじゃない。
 ひとまず、新しく解放されたスキルブック三つを購入したところで、俺はクランショップへと向かった。
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