43 / 58
第43話
しおりを挟む
ゲーム会社が同じで、ゲームシステムの基本的な部分が同じだから、スキルポイントも共通なものとして処理されてしまっている、か。
色々と、いいことを聞けたな。
……あれ? ってことは、俺よりもチートでは?
い、いやまあ。俺の場合は初期能力や成長のすべてが【ファイナルクエスト】基準だからな。
生まれた瞬間からの戦闘民族なわけで、その部分では負けていないはずだ。
早速、試してみようか。
俺は戦闘を終えたばかりのアイフィへと近づく。
「アイフィは、他に使えるようになったら嬉しい属性魔法はあるか?」
「……そうですわね。火属性魔法は土には相性がいいですけれど、水には弱いですし……その水を使ってくる相手を押し除けられるような風属性魔法、かしら?」
「氷魔法とかはどうだ? 火と氷、使えたらかっこよくないか?」
「かっこいいですね……!」
乗ってきたのはサーシャだ。目をキラキラと輝かせている。
アイフィは首を傾げている。どうやら、この魅力が分からないようだ。
「特には……。それに氷魔法というのは水魔法のようなものでしたわよね? わたくし、水魔法への適性はありませんのよ」
「いや……もしかしたら俺の治療を受けたから、使えるようになってるかもしれないんだ。……試しに、アイスショットの魔法を使いたい、って思ってくれないか?」
俺がスキルを取得するときはそうやっている。
アイフィは相当な疑問を抱きながらも、こくりと頷いた。
「分かりましたわ……アイスショット…………はい思ってみましたわよ?」
「それじゃあ。普段魔法を使うように、アイスショットを使ってみてくれないか?」
「……はい。アイスショット……きゃ!?」
アイフィがそういった次の瞬間。
氷の矢が放たれ、近くの壁へと当たった。
……彼女が先ほど放ったフレイムロードと同じくらいの威力があり、アイフィは驚いたように自分の体を見ていた。
「え!?」
……明らかに、威力が数倍は高いんだから、そりゃあビビるだろうな。
「……こ、これ……結構MP使いますわね」
「ああ、悪い。消費量も多いから気をつけてくれ」
「……は、はい」
【ファイナルクエスト】と【ドラゴニックファンタジー】では、MPの消費量もまるで違うので、まだ成長しきっていないアイフィでは辛いだろう。
「とりあえず、今後はアイスショットの練習もしてもらいたいけど……これも足と同じで内密にな」
「……そうですわよね。明らかに、異常な力ですものね」
「今後、さらに氷魔法を強化していきたいから、新しい火魔法を習得しようともしないでくれ」
「分かりましたわ。……これも、あなたのおかげですの?」
「そう、みたいなんだよな。俺の回復魔法が異常すぎて、色々とおかしくなってるみたいだ。……嫌だったか?」
「……いえ、そんなことありませんわ。むしろ……あなたに与えていただいたこの力、大事にしたいと思いますわ」
うっとりとした様子でそう呟く彼女は、どうやら氷魔法の魅力に気づいてくれたようだな。
……たぶん、まだスキルポイントはあるし、もうちょっとMPに余裕が出てきたら次の魔法も覚えさせようか。
俺とアイフィが話していると、後ろで待機していたサーシャがちょっと頬を膨らませた後、片手を上げてぴょんぴょん跳ねた。
「わ、私も何か覚えられるのでしょうか?」
「サーシャは、何か使ってみたいものはあるか?」
「ま、魔法とか、使ってみたいです! 雷とか、かっこいいですし!」
……俺と属性被るからできれば別のにしたい。
ていうか、そもそもアイフィはMPがほとんどない脳筋ファイターだ。
彼女に下手な魔法を覚えさせても、魔法攻撃力も低いので無意味だ。
「魔法は、サーシャには合ってないと思うんだ」
「……そ、そうでしょうか……」
「それなら、斬撃を飛ばすのはどうだ?」
「ざ、斬撃……? なんですかその魅力ある言葉は……っ」
とても、目を輝かせている。
サーシャの基本的な部分は小学生男子と考えてもいいのかもしれない。
とりあえず、そっちに期待したようなのでスキルを獲得していってもらう。
剣士系スキルをいくつかとって行ってもらい、斬撃を飛ばして攻撃するためのスキルを、獲得してもらう。
ステータスの補正も多少増えただろうし、これでよりサーシャが近接戦闘で強くなっただろう。
「それじゃあ、さっき言った通り疾風斬だ。分かったな?」
「はい……疾風斬!」
そう言ってサーシャは剣を振り抜いた。
生まれた風の刃が、迷宮の壁を破壊する。
楽しくなってきたのか、サーシャはカッコつけるようにしながら何度も叫んで、MPが切れた。
……まあ、こっちも訓練していけば強くなるだろう。
「あと、剛強術も肉体の強化に役立つからうまく使ってみてくれ」
「わ、分かりました……」
MP切れの経験が少ないサーシャは慣れない様子で剣を支えに歩いていく。
とりあえず、こんなところか。
サーシャはスキルをほぼ使わない、ステータスでごり押しするキャラクターだったから、これで一気にできることが増えたな。
今後の成長次第では、さらに戦えるようになるだろうし、楽しみだ。
色々と、いいことを聞けたな。
……あれ? ってことは、俺よりもチートでは?
い、いやまあ。俺の場合は初期能力や成長のすべてが【ファイナルクエスト】基準だからな。
生まれた瞬間からの戦闘民族なわけで、その部分では負けていないはずだ。
早速、試してみようか。
俺は戦闘を終えたばかりのアイフィへと近づく。
「アイフィは、他に使えるようになったら嬉しい属性魔法はあるか?」
「……そうですわね。火属性魔法は土には相性がいいですけれど、水には弱いですし……その水を使ってくる相手を押し除けられるような風属性魔法、かしら?」
「氷魔法とかはどうだ? 火と氷、使えたらかっこよくないか?」
「かっこいいですね……!」
乗ってきたのはサーシャだ。目をキラキラと輝かせている。
アイフィは首を傾げている。どうやら、この魅力が分からないようだ。
「特には……。それに氷魔法というのは水魔法のようなものでしたわよね? わたくし、水魔法への適性はありませんのよ」
「いや……もしかしたら俺の治療を受けたから、使えるようになってるかもしれないんだ。……試しに、アイスショットの魔法を使いたい、って思ってくれないか?」
俺がスキルを取得するときはそうやっている。
アイフィは相当な疑問を抱きながらも、こくりと頷いた。
「分かりましたわ……アイスショット…………はい思ってみましたわよ?」
「それじゃあ。普段魔法を使うように、アイスショットを使ってみてくれないか?」
「……はい。アイスショット……きゃ!?」
アイフィがそういった次の瞬間。
氷の矢が放たれ、近くの壁へと当たった。
……彼女が先ほど放ったフレイムロードと同じくらいの威力があり、アイフィは驚いたように自分の体を見ていた。
「え!?」
……明らかに、威力が数倍は高いんだから、そりゃあビビるだろうな。
「……こ、これ……結構MP使いますわね」
「ああ、悪い。消費量も多いから気をつけてくれ」
「……は、はい」
【ファイナルクエスト】と【ドラゴニックファンタジー】では、MPの消費量もまるで違うので、まだ成長しきっていないアイフィでは辛いだろう。
「とりあえず、今後はアイスショットの練習もしてもらいたいけど……これも足と同じで内密にな」
「……そうですわよね。明らかに、異常な力ですものね」
「今後、さらに氷魔法を強化していきたいから、新しい火魔法を習得しようともしないでくれ」
「分かりましたわ。……これも、あなたのおかげですの?」
「そう、みたいなんだよな。俺の回復魔法が異常すぎて、色々とおかしくなってるみたいだ。……嫌だったか?」
「……いえ、そんなことありませんわ。むしろ……あなたに与えていただいたこの力、大事にしたいと思いますわ」
うっとりとした様子でそう呟く彼女は、どうやら氷魔法の魅力に気づいてくれたようだな。
……たぶん、まだスキルポイントはあるし、もうちょっとMPに余裕が出てきたら次の魔法も覚えさせようか。
俺とアイフィが話していると、後ろで待機していたサーシャがちょっと頬を膨らませた後、片手を上げてぴょんぴょん跳ねた。
「わ、私も何か覚えられるのでしょうか?」
「サーシャは、何か使ってみたいものはあるか?」
「ま、魔法とか、使ってみたいです! 雷とか、かっこいいですし!」
……俺と属性被るからできれば別のにしたい。
ていうか、そもそもアイフィはMPがほとんどない脳筋ファイターだ。
彼女に下手な魔法を覚えさせても、魔法攻撃力も低いので無意味だ。
「魔法は、サーシャには合ってないと思うんだ」
「……そ、そうでしょうか……」
「それなら、斬撃を飛ばすのはどうだ?」
「ざ、斬撃……? なんですかその魅力ある言葉は……っ」
とても、目を輝かせている。
サーシャの基本的な部分は小学生男子と考えてもいいのかもしれない。
とりあえず、そっちに期待したようなのでスキルを獲得していってもらう。
剣士系スキルをいくつかとって行ってもらい、斬撃を飛ばして攻撃するためのスキルを、獲得してもらう。
ステータスの補正も多少増えただろうし、これでよりサーシャが近接戦闘で強くなっただろう。
「それじゃあ、さっき言った通り疾風斬だ。分かったな?」
「はい……疾風斬!」
そう言ってサーシャは剣を振り抜いた。
生まれた風の刃が、迷宮の壁を破壊する。
楽しくなってきたのか、サーシャはカッコつけるようにしながら何度も叫んで、MPが切れた。
……まあ、こっちも訓練していけば強くなるだろう。
「あと、剛強術も肉体の強化に役立つからうまく使ってみてくれ」
「わ、分かりました……」
MP切れの経験が少ないサーシャは慣れない様子で剣を支えに歩いていく。
とりあえず、こんなところか。
サーシャはスキルをほぼ使わない、ステータスでごり押しするキャラクターだったから、これで一気にできることが増えたな。
今後の成長次第では、さらに戦えるようになるだろうし、楽しみだ。
136
お気に入りに追加
480
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる