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第11話

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 あとは、回復魔法の方だな。ただまあ、こちらもヒール自体は使えるようになっている。
 そちらの練習はまた後でしていけばいいだろう。

 一度に、二つの魔法が使えるようになった、といっても父を驚かせるだけだしな。それで寿命が減ってしまったら最悪だ。
 何より、この世界では回復魔法は結構貴重らしいからな。

 ある程度、戦闘を行ってレベルアップしていった先で使えるようになる、くらいのほうが自然なはずだ。

「にぃに、魔法使えるの?」

 屋敷に戻り笑顔と共に問いかけてきたのは、ルーベストくんの妹であるリアナだ。
 俺とは年齢が六歳ほど離れていて、現在七歳。まだまだ、俺に甘えてきてくれてとても可愛らしい。

 彼女の面倒を見るのも俺の予定には組み込まれている。
 この世界に転生させてくれてありがとう、とはリアナと出会えた時に初めて思ったな。

 リアナからの魔法が使えるかどうかの問いかけに対して、俺は彼女の頭を撫でながら答える。

「ああ、結構凄いんだからな」
「えー!? 見たいみたい!」

 天使だ……。ここでぶっ放して見せてあげたい気持ちになるが、何とか必死に抑え込む。

「さすがに家の中で使ったらまずいからな……。今度、訓練しているときに見にきてくれ」
「分かった!」

 リアナはいい子だなぁ。
 俺のニューシスターもとても可愛らしくて、この子のためにも世界を平和にしたいと思った。
 もちろん、オールドシスターのためでもあるぞ?

 嬉しそうに微笑む彼女の頭を撫でていると、母も部屋へとやってきた。
 母はとても二児の母とは思えないほどの美しさだ。
 ……まあ、この人も原作では精神を病んでしまっていたので、ここまで綺麗な姿を見るのは初めてだ。

 母とリアナは金髪で、父と俺は黒髪が遺伝したようだ。
 ラッキーなのは、俺も両親に似て美形なところだ。

 俺とリアナの様子を見て、母は嬉しそうに目を細めた。

「そういえば、聞いたわよルーベスト。魔法が使えるんだって?」
「はい」
「母さんもみたいなー」
「ダメだよママ! 訓練の時じゃないと!」

 リアナはさっき俺が言ったことを母に伝えていた。

 ……家族、か。
 前世の俺は両親が事故で亡くなっていたので……こうして家族で生活をするというのはなかなか経験できなかった。

 できれば、誰一人欠けることのないようにしたいな。

 ――第一の目標は十五歳の誕生日だ。

 魔王が、俺の誕生日にやってきて、この家族を破壊していく。

 ……その時が、俺のデビュー戦になりそうだな。

 そのためにも、俺はさらに圧倒的な強さを手に入れる必要がある。
 リアナたちとの交流を終えたあと、また俺は魔法を使う基礎訓練を行なっていった。


 毎日。俺は同じ基礎訓練を行なっていく。

 【ファイナルクエスト】では、基礎訓練というものがあり、基礎訓練の指示を出して次の日になれば、それに該当したステータスが強化されていく。

 これを使えば、クリア日数は伸びるが誰でも簡単に最強ステータスのキャラクターを作り上げることができる。ただし、クリア日数が伸びると、サブイベントもどんどん消化されていってしまうため、すべてのイベントをみたい、という方は使わないという感じだ。
 単純にストーリーをクリアしたい人は、これを多用すればいいと、それぞれでバランスを保っている。

 基礎訓練はいくつかあるのだが、今はMP、魔法攻撃力を強化するための魔法訓練をひたすらに行っていた。

 【ファイナルクエスト】では、訓練の内容までは分からない。2Dで魔法をぶっ放している様子しか見たことがないが、今は同じようにやってみている。次の日になると、MPが増えているようなので間違いはないだろう。

『女神様。成長しているんだよな?』
『あっ、はい。ちゃんと成長していますよ』
『その見えてるステータスを俺に共有はできないのか?』
『それは、だめです。すべての人たちがステータスやスキルなどは見えないようにしているんですから。平等にしないと、いけませんよ』

 ここまで俺をフォローしておいて、よく言うな。せんべいでも食べているのか、いい音が響く。……気が散るからお菓子を食うのなら通信を解除してほしいもんだ。

『そういえば、ルーベストさんは今日から実戦訓練に参加させてもらえるんですよね?』
『みたいだな』
『魔物との戦い……大丈夫ですか? あれ、結構怖そうですけど』
『まあ、魔法ぶっ放すだけだからな。今のうちに慣れておかないとだろ』

 ……そこまで恐怖心はない。前世でも色々な仕事を経験していたが、その中には動物の解体作業を手伝うようなものもあった。
 なので、生き物の命を奪う、ということに今はそれほど抵抗はない。慣れるまでは大変だったけど。
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