12 / 50
第12話
しおりを挟む
向こうの世界のことならそりゃあ説明できるが、こちらの世界基準だと俺は色々知らない側なんだけどな。
バクバクと食べるナーフィと黙々と食べるリア。
……ひとまず、リアもナーフィはそれなりに関わってきてくれるので、ここはアンナに声をかけようか。
「空腹は大丈夫か?」
「……く、空腹とまではいっていませんよ」
「そうなのか? まあ、今後も食べたいときは隠さなくていいからな? 魔力に余裕があればいつでも準備できるしな」
「……は、い。おかげさまでありがとうございます。……それと、何も考えずバクバク食べてしまって申し訳ありません……奴隷の立場ですのに」
「いや、奴隷なのはあくまで立場だけなんだし、気にしないでくれ。俺は魔力の強化もしたくて、普段から色々と作ってはアイテムボックスにしまってるんだ。腹が減ったらまたいつでも言ってくれ」
「……ありがとうございます」
アンナはこくりと小さく頷いた。まだ、完全に警戒がなくなったわけではないようだが、それでも問題はなさそうだ。
クックックッ。順調に快楽漬けはできているようだ。
引き続き、アンナとの交流を図るため、声をかける。
「喉は乾いていないか? 何か飲むか?」
「……はい。何かあれば」
「甘いもののと普通のお茶、どっちがいい?」
「……あ、甘い飲み物というのはあのシェイク、でしょうか?」
「うーん、それもあるけど……何か好きなフルーツはあるか? ジュースの話もしていたし、そっちはどうだ?」
マッグドナルドのマッグシェイクとか普通にジュースとか。
あとは、自販機とかで買えそうな各種ジュース。それらを暇なときに召喚している。
フルーツ、といって果たして俺の知識で分かるものをあげてもらえるかは不明だ。
「……オレンジはわかりますか? あれが結構好きですね」
「おっ、それなら、オレンジジュースがあるな」
「お、オレンジのジュースですか? オレンジを絞って作るのですよね?」
「まあ……正確にはちょっと違うんだけどな」
俺が取り出したオレンジジュースはたぶん、果汁100%ではない。
炭酸オレンジジュースの入ったペットボトルをアンナに差し出す。
受け取ったアンナはしばらく中の液体を眺めていた。
「……こ、これは? とても綺麗な入れ物と飲み物ですが……どのように飲めばいいのでしょうか?」
俺は自分の分のお茶を取り出し、ペットボトルを開けてみせる。
アンナは俺の動きを真似るようにペットボトルの蓋を開けると、ぷしゅっと炭酸飲料特有の音が響き、びくっと肩をあげる。
シュワシュワーと中で音を上げるジュースに、アンナはあわあわとこちらを見てくる。
「そのまま飲めるから安心してくれ」
「……の、飲めるんですかこれぇ。ど、毒みたいですけど……っ」
「ちょっと、シュワシュワするかもしれないから、合わなかったら言ってくれ」
「は、はいっ」
「んっ!」
「はいはい。ナーフィの分もあるからな」
「……あ、あたしも……飲んでみたいわ」
「ああ、いいぞ」
やはり、リアとナーフィは自己主張してくれるな。
彼女らにも同じものを渡し俺はアンナを見る。
どこか緊張した様子でその飲み物をみていた。
それでも、これまでの俺が与えていたもののおかげか、すんなりと口にはつけてくれた。
クックックッ。順調だな。
喉をこくりと鳴らしたアンナは、それから目を見開きごくごくと飲んでいく。
初めての炭酸飲料だったと思うが、慣れた様子で飲んでいく。
そして、口を離したアンナは嬉しそうに声を上げる。
「お、美味しい……とても甘いですねこれ……っ! ちゃんとオレンジの味もするし、これすごいです……! この容器も飲みやすいですし!」
そりゃあ、人工甘味料などが入っているから当然だ。
美味しいと感じるために開発されたそれらの効果は、ちゃんと異世界人にも通じるようだ。
「それは良かった。ただ、さっきのハンバーガーと一緒で毎日取り続けると体にはあんまりよくないからな」
「……確かに、これだけの美味しさを毎日いただいていたら、普段の食事が物足りなくなってしまうかもしれませんね……。気をつけます」
いや、そういう意味ではないのだが。
まあでも、毎日食べさせることはしない、と伝わればそれでいいか。
今日は……アピールするためにもジャンクフードばかりを召喚していたが、これからはもう少し健康に気を遣ったものを召喚していくのもありだろう。
三人のエルフたちは嬉しそうに飲み物を飲んでいる。
スラムで出会ったときに比べて表情はかなり緩やかだ。
……とりあえず、ご主人様として問題なく交流できているってことでいいだろうか。
バクバクと食べるナーフィと黙々と食べるリア。
……ひとまず、リアもナーフィはそれなりに関わってきてくれるので、ここはアンナに声をかけようか。
「空腹は大丈夫か?」
「……く、空腹とまではいっていませんよ」
「そうなのか? まあ、今後も食べたいときは隠さなくていいからな? 魔力に余裕があればいつでも準備できるしな」
「……は、い。おかげさまでありがとうございます。……それと、何も考えずバクバク食べてしまって申し訳ありません……奴隷の立場ですのに」
「いや、奴隷なのはあくまで立場だけなんだし、気にしないでくれ。俺は魔力の強化もしたくて、普段から色々と作ってはアイテムボックスにしまってるんだ。腹が減ったらまたいつでも言ってくれ」
「……ありがとうございます」
アンナはこくりと小さく頷いた。まだ、完全に警戒がなくなったわけではないようだが、それでも問題はなさそうだ。
クックックッ。順調に快楽漬けはできているようだ。
引き続き、アンナとの交流を図るため、声をかける。
「喉は乾いていないか? 何か飲むか?」
「……はい。何かあれば」
「甘いもののと普通のお茶、どっちがいい?」
「……あ、甘い飲み物というのはあのシェイク、でしょうか?」
「うーん、それもあるけど……何か好きなフルーツはあるか? ジュースの話もしていたし、そっちはどうだ?」
マッグドナルドのマッグシェイクとか普通にジュースとか。
あとは、自販機とかで買えそうな各種ジュース。それらを暇なときに召喚している。
フルーツ、といって果たして俺の知識で分かるものをあげてもらえるかは不明だ。
「……オレンジはわかりますか? あれが結構好きですね」
「おっ、それなら、オレンジジュースがあるな」
「お、オレンジのジュースですか? オレンジを絞って作るのですよね?」
「まあ……正確にはちょっと違うんだけどな」
俺が取り出したオレンジジュースはたぶん、果汁100%ではない。
炭酸オレンジジュースの入ったペットボトルをアンナに差し出す。
受け取ったアンナはしばらく中の液体を眺めていた。
「……こ、これは? とても綺麗な入れ物と飲み物ですが……どのように飲めばいいのでしょうか?」
俺は自分の分のお茶を取り出し、ペットボトルを開けてみせる。
アンナは俺の動きを真似るようにペットボトルの蓋を開けると、ぷしゅっと炭酸飲料特有の音が響き、びくっと肩をあげる。
シュワシュワーと中で音を上げるジュースに、アンナはあわあわとこちらを見てくる。
「そのまま飲めるから安心してくれ」
「……の、飲めるんですかこれぇ。ど、毒みたいですけど……っ」
「ちょっと、シュワシュワするかもしれないから、合わなかったら言ってくれ」
「は、はいっ」
「んっ!」
「はいはい。ナーフィの分もあるからな」
「……あ、あたしも……飲んでみたいわ」
「ああ、いいぞ」
やはり、リアとナーフィは自己主張してくれるな。
彼女らにも同じものを渡し俺はアンナを見る。
どこか緊張した様子でその飲み物をみていた。
それでも、これまでの俺が与えていたもののおかげか、すんなりと口にはつけてくれた。
クックックッ。順調だな。
喉をこくりと鳴らしたアンナは、それから目を見開きごくごくと飲んでいく。
初めての炭酸飲料だったと思うが、慣れた様子で飲んでいく。
そして、口を離したアンナは嬉しそうに声を上げる。
「お、美味しい……とても甘いですねこれ……っ! ちゃんとオレンジの味もするし、これすごいです……! この容器も飲みやすいですし!」
そりゃあ、人工甘味料などが入っているから当然だ。
美味しいと感じるために開発されたそれらの効果は、ちゃんと異世界人にも通じるようだ。
「それは良かった。ただ、さっきのハンバーガーと一緒で毎日取り続けると体にはあんまりよくないからな」
「……確かに、これだけの美味しさを毎日いただいていたら、普段の食事が物足りなくなってしまうかもしれませんね……。気をつけます」
いや、そういう意味ではないのだが。
まあでも、毎日食べさせることはしない、と伝わればそれでいいか。
今日は……アピールするためにもジャンクフードばかりを召喚していたが、これからはもう少し健康に気を遣ったものを召喚していくのもありだろう。
三人のエルフたちは嬉しそうに飲み物を飲んでいる。
スラムで出会ったときに比べて表情はかなり緩やかだ。
……とりあえず、ご主人様として問題なく交流できているってことでいいだろうか。
555
お気に入りに追加
1,289
あなたにおすすめの小説
トワイライト・クライシス
幸田 績
SF
ある日、人類はサイバーテロによって仮想現実と本物の現実世界を混同。住み慣れた街が、とあるSF小説の世界観に塗り替えられてしまった! 犯人に著作をパクられた女子高校生・澪は、自作のプロットに沿って仲間を集め、自ら主人公を演じて物語を進めようとするが……。桜咲く街を舞台に、すこしふしぎな青春群像×サイバネティック概念マウントバトル(という名の誇大妄想博覧会)が今、満を持して花開く――。
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
【R-18】踊り狂えその身朽ちるまで
あっきコタロウ
恋愛
投稿小説&漫画「そしてふたりでワルツを(http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/630048599/)」のR-18外伝集。
連作のつもりだけどエロだから好きな所だけおつまみしてってください。
ニッチなものが含まれるのでまえがきにてシチュ明記。苦手な回は避けてどうぞ。
IF(7話)は本編からの派生。
壁の花令嬢の最高の結婚
晴 菜葉
恋愛
壁の花とは、舞踏会で誰にも声を掛けてもらえず壁に立っている適齢期の女性を示す。
社交デビューして五年、一向に声を掛けられないヴィンセント伯爵の実妹であるアメリアは、兄ハリー・レノワーズの悪友であるブランシェット子爵エデュアルト・パウエルの心ない言葉に傷ついていた。
ある日、アメリアに縁談話がくる。相手は三十歳上の財産家で、妻に暴力を働いてこれまでに三回離縁を繰り返していると噂の男だった。
アメリアは自棄になって家出を決行する。
行く当てもなく彷徨いていると、たまたま賭博場に行く途中のエデュアルトに出会した。
そんなとき、彼が暴漢に襲われてしまう。
助けたアメリアは、背中に消えない傷を負ってしまった。
乙女に一生の傷を背負わせてしまったエデュアルトは、心底反省しているようだ。
「俺が出来ることなら何だってする」
そこでアメリアは考える。
暴力を振るう亭主より、女にだらしない放蕩者の方がずっとマシ。
「では、私と契約結婚してください」
R18には※をしています。
【R18】らぶえっち短編集
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)
R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。
※R18に※
※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。
※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。
※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。
※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。
西谷夫妻の新婚事情~元教え子は元担任教師に溺愛される~
雪宮凛
恋愛
結婚し、西谷明人の姓を名乗り始めて三か月。舞香は今日も、新妻としての役目を果たそうと必死になる。
元高校の担任教師×元不良女子高生の、とある新婚生活の一幕。
※ムーンライトノベルズ様にも、同じ作品を転載しています。
義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。
アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。
捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!!
承諾してしまった真名に
「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。
私はあなたの婚約者ではないんです!
凪ルナ
恋愛
3歳のとき、前世を思い出した私。私ことアメリア・レンドールは乙女ゲーム『サクラ咲く出会い〜君と恋する』(通称『サク君』)の悪役令嬢だった。『サク君』では、私は第三皇子の婚約者だったけど、ぶっちゃけ好みじゃないし、第三皇子の腹違いの兄のサブキャラな皇太子様の方が好きだった。前世を思い出した後、皇太子様の同級生な3つ上の兄に引っ付いて回った結果、皇太子様にも可愛がられるようになり、見事、皇太子エディック殿下の婚約者の座に収まる事が出来た。
これはそんな私が第三皇子に婚約破棄?されそうになり、私が第三皇子と頭お花畑ヒロインにざまぁすることから始まる物語である。
いや、1つ言わせて?
だから、そもそも私あなたの婚約者ではないんです!
ーーーーーーーーーーーー
なんかしばらく色々忙しかったし、色々細かい設定考えてたら更新遅くなりそう…。
元々ゆるゆるふわふわ設定だったもの。
ただいま、更新準備中。しばしお待ちください( ^ω^ )
お気に入り登録100件突破!(2019年1月31日)
お気に入り登録200件突破!(同日)
お気に入り登録300件突破!(同日)
投稿した次の日開いてみたら100件超えてて吃驚しています。
(えっ、これあってるよね?壊れてない?大丈夫?
あっ、壊れてないのね。おーけーおーけー)
ありがとうございます!
お気に入り登録1000件突破!(2019年2月1日)
お気に入り登録2000件突破!(同日)
お気に入り登録5000件突破!(2019年2月13日)
ありがとうございます!
【注】
作者は豆腐メンタルなので、誹謗中傷はおやめ下さい。
誤字脱字等の間違いは多いと思います。指摘してくださるとありがたいです。
感想への返信は遅くなると思います。
突発的に思いついた話なので、設定はゆるゆるです。
誤字脱字等をご指摘いただいたみなさん、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる