例にも霊と麗ですか

もわもや

文字の大きさ
上 下
2 / 3

日常

しおりを挟む
あれから三年。
僕は完全に立ち直ってしまっていた。
四年制の大学に進学し、冴えない文系学生人生を絶賛歩み中だ。
「おーい玲矢、代わりに次の講義の出席票出しといてくれよー」
「1000円な」
この阿保は棚沢悠斗、サークルも同じでよく授業も同じになる事が多いから友達になった。
阿保といってもコイツは腹が立つ事に学はあり、授業に参加しなくとも点をとりやがる。
「ケチだなぁ、なぁお願いだよレェえもん、ひみつ道具出すより簡単だろ?ほら紙を出すだけだよ」
「じゃあ500円」
「いや、ドラえもんがのび太君に請求する所見た事ないよ?」
「…」
仕方ないから依頼されてやろうかゆう太くん。


そんなかんやで僕は授業を受けている。
「あら、ご機嫌よう。今日も今日とて死んだ目をしているのね」
「…」
彼女の名前は九条麗華。

僕の彼女である。

何というか、ツンデレだ
僕が入っているサークルで知り合った。彼女の家は名高き総合グループ「九条グループ」の社長一家でいわゆる お嬢様 だが彼女は気品があるとかそういうのではなくワガママでウルサイし名家の令嬢とは程遠い。
僕はそんな彼女と付き合っている。
まぁいいところもあるんだが
「聞いてるの?!挨拶してやったんだから返事ぐらいしなさいよ!」
「…ご機嫌よう」


サークルも終わり遊ぶ約束もないので僕はさっさと帰路についていた。
地元の大学なので、自宅へは歩いて通っているが。街というのは実に歩きづらい街だ。特に僕みたいに急いでもいないほんわかした奴にとっては、都会のせかせかした歩調は合わない。
なんでも、帰路が重いのはそれだけではない。
「…」
例の歩道橋を渡らないと行けないのだ。
ここを渡らないと相当遠回りになるし。ここを通る事自体問題ないと思うようにしている。
「にしても…今日はなんだか変な風が吹くな」
ビル風にしては寒すぎるというか。背筋をすり抜けて風が吹くような悪寒がした。
「…はよ帰ろ」
僕は少し怖くなって小走りで家へ向かった。

家に帰ると、息が上がりゼェゼェ言っている僕を母が心配した。
「あんた大丈夫?」
「っああ、大丈夫ぅ」
喉の潰れた元プロレスラーのような声で僕は返事をした。
「なんなんだ、あの足音。」
あの歩道橋を過ぎた辺りから ペタ ペタ となんだか素足で歩くかのような音が僕を追っている。
怖くなり久々に全速力で走ったが、遅くなっていた。もうワシも歳かのう…
「ねぇ…玲矢ぁ…」
耳もでささやかれた。
「母さん大丈夫だって言っただろう、もう」
だが返ってきたのは一階にいる母さんの声「わかってるわよ」だった。
僕の部屋は二階だが二階には僕しか今はいない。え?おかしくね?
だれが囁いて…
「ねぇってば」
僕は肩を揺すぶられた。
「!?」
なんだこれ悪寒しかしない。肘をぶつけてジーンとするあれとか黒板爪で擦るあれとかと同じイヤな感じ。
僕は恐る恐る背後を見ることにした。

「オイっすぅ!」

「!?」
そこには死んだはずの優花が立っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】

迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。 ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。 自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。 「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」 「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」  ※表現には実際と違う場合があります。  そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。  私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。  ※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。  ※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。

極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。 あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。 そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。 翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。 しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。 ********** ●早瀬 果歩(はやせ かほ) 25歳、OL 元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。 ●逢見 翔(おうみ しょう) 28歳、パイロット 世界を飛び回るエリートパイロット。 ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。 翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……? ●航(わたる) 1歳半 果歩と翔の息子。飛行機が好き。 ※表記年齢は初登場です ********** webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です! 完結しました!

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

身代わりお見合い婚~溺愛社長と子作りミッション~

及川 桜
恋愛
親友に頼まれて身代わりでお見合いしたら…… なんと相手は自社の社長!? 末端平社員だったので社長にバレなかったけれど、 なぜか一夜を共に過ごすことに! いけないとは分かっているのに、どんどん社長に惹かれていって……

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

処理中です...