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第三幕
㉓ 殿下。秘密のお代、お支払いたしますわね
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「シル、ヴィア?」
だが、その姿はどう見ても10代の少女のものではない。
老婆に似合わぬ甘い香の匂いにローランは、やっと老婆の姿の仕掛けに気がついた。
――欺時の香。
レオンハルトと同じく、シルヴィアもまた香の魔力を使って老婆に姿を変えたに違い無かった。
そして、ローランを待ち構えて気を引いたのだろう。
この一瞬のために。
じわりとナイフの刺さった傷口に熱が籠もる。
傷そのものは大したことはない。
衰えきった老婆の細腕では特別に誂えられたドレスを貫き通すには力が足りていなかった。
つけられたのも、ほんのかすり傷だ。
だが、ナイフに込められた呪いがローランの中に潜り込むには十分な傷だった。
普段ならば、絶対に気がついたはずの単純な仕掛け。
アウグストにしても、上手くいけば儲けもの程度の罠だっただろう。
だが、それを見逃してしまった。
そうさせたのは、ローランの中で共食いを続ける霊台の2つの呪いによるものだ。
――魔術師よ。あまり呪いを軽く見るな。お主の運命に干渉するぐらいはやってのけるぞ?
押さえ込んでいたつもりだったが、甘かった。
「ローラン!? 大丈夫か!?」
「殿下、私に触れてはなりません!」
完全にアマーリエとアウグストに気を取られていたレオンハルトが、慌ててローランを支えようと手を差し伸べる。
しかし、ローランはその腕を振り払うように拒絶した。
「今、触れられては霊台の呪いが殿下に感染ります!」
ローランの内に潜り込んだ新しい呪いが、その名を縛ろうと蠢いている。
それに抗するのに必死で先に入り込んだ2つの呪いを抑える余力が無い。
今、ローランに触れれば、本来の対象であるレオンハルトを呪いは決して見逃さないだろう。
「しまった!? くそ婆ぁ、やってくれたな!」
「うふふふ。お義姉様。これでお義姉様はアウグスト様の物。今度こそ私たちの奴隷となるのですわ」
半ば八つ当たり気味のカスパルに取り押さえられたシルヴィアが老婆の姿のままで、うなされたように呟いている。
「カスパル。絶対にその人を放さないでくださいよ。あの連中、何をするかわかりませんからね!」
「卑怯な、とでも言いたそうですね。ですが妾はとっくに申しあげましたよ? その証を奪って見せると。その後に何が起ころうと――」
油断でしょうと、クララの憎々しげな視線を涼しい顔で受け流しアマーリアは高らかに笑い声を上げた。
「さて。あとはゆるりと死人どもに任せるといたしましょう。アウグスト?」
「御意。シルヴィア、よくやった。言っただろう、ローラン。お前は必ず私のものになると」
おんおんおんとアウグストの呪術具が不気味なうなり声をあげ、死人達がじわりとローラン達を取り囲む輪を縮めていく。
その表情は皆、一様に自らの自由を奪われた苦しみに歪んでいた。
「何を勝ち誇っている、アマーリエ!」
轟ッとレオンハルトの全身から炎が吹き荒れた。
吹きすさぶ炎風に煽られ、炎に巻かれた死人がアウグストの呪いから解放されて再び眠りに落ちる。
「アウグスト。貴様は赦さぬ。我が魔術師を嬲った罪、贖ってもらう」
「戯れ言を仰いますな。その炎で死人を浄化したおつもりか? 殿下の炎では呪いは殺せませぬ。眠った死人はもう1度起こせば良いだけのこと」
おんおんおんと再びアウグストの呪術具が唸りを上げ、炎で清められたはずの死人が新たに輪に加わっていく。
「……キリが無いか」
押し寄せる死人を焼き清めることを諦めたレオンハルトは、炎を結界へと変じた。
胸のペンダント輝かせながら、持てる力の全てを魔力へと転じて炎を張り巡らせている。
だが、ローランの贈ったペンダントを持ってしてもさほど長くは持たないだろう。
(この、呪いさえなければ……!)
3つの呪いがローランを内側からゆっくりと蝕んでいる。
少しでも気を抜けば、たちまち名を奪われ、自由となった霊台の呪いはレオンハルトに襲いかかるだろう。
「……失敗したな」
レオンハルトは誰に言うともなく、呟いた。
「殿下?」
「ローラン、死人の村でのことを覚えているか?」
「え、ええ」
レオンハルトが何を言いたいのか理解出来ず、ローランは思わずレオンハルトを見上げた。
「最後に俺が何と言ったか覚えているか?」
もちろん、よく覚えている。
というよりもレオンハルトの口癖と言っても良いぐらいだ。
「俺の仕事を取るな、でございました」
「そうだ。よくよく考えて見れば、霊台の呪いは2つとも俺が受けるべき呪いだった。だから――返して貰うぞ」
レオンハルトは言うが早いかローランを強く抱きしめた。
2人の触れあった部分から、本来の行き場を見つけた霊台の呪いが揃ってレオンハルトの身体へと流れ込んでいく。
「で、殿下!?」
「暴れるな! 大人しくしてろ!」
もはや少年のものとは言いがたい逞しい腕から見上げたレオンハルトの顔は、ぶっきらぼうにそっぽを向いている。だが、ローランを抱き寄せる力は間違いなく、彼女だけを見つめていた。
ゆっくりと身体から呪いの熱が引いていく。
ただ1つ残されたアウグストの呪いはさっきまで感じていた怖ろしさも不気味さもなく、とてもちっぽけなものに感じられた。
「ローラン。俺にはやらねばならんことがある。どうしても、とは言わん。が、手伝ってくれると……嬉しい」
レオンハルトの為すべき事。それは皇帝の霊から聞かされた、この国から呪いを打ち祓うという大それた望み。
そして、きっとそれはアーベルとの誓いだろう。
(母様。ローランもどうやら、この国で為すべき事を見つけたようです)
「殿下。殿下の秘密のお代をお支払いするときが来たようですわ」
小さな小さなアウグストのかけた呪いが暴れ回っている。名を寄越せともがいている。
そうまでして、ローランの何が欲しいのか。それさえもあの小心者は明かさなかった。
(アウグスト様。それほど、私の今の名をお望みなら、差し上げましょう。ですが、お代は少し高うございましてよ?)
ローランは決意と共にするりとレオンハルトの腕からすり抜けた。
「殿下。あと、少しだけお守りくださいますか?」
「任せろ。紅の盾の名が伊達ではないことを見せてやる」
強がってはいるが、レオンハルトの身のうちでは互いに矛盾する2つの呪いが荒れ狂っているはずだ。
(母様。今までお守りくださいまして、ありがとうございました。今日より私が――呪殺師の長となりましょう)
甲ッ――と音を立て、舞が始まる。
呪殺師の長。蒼天の蒼、天青石の娘。深樹の翠、琅玕としての最後の呪術が始まった。
だが、その姿はどう見ても10代の少女のものではない。
老婆に似合わぬ甘い香の匂いにローランは、やっと老婆の姿の仕掛けに気がついた。
――欺時の香。
レオンハルトと同じく、シルヴィアもまた香の魔力を使って老婆に姿を変えたに違い無かった。
そして、ローランを待ち構えて気を引いたのだろう。
この一瞬のために。
じわりとナイフの刺さった傷口に熱が籠もる。
傷そのものは大したことはない。
衰えきった老婆の細腕では特別に誂えられたドレスを貫き通すには力が足りていなかった。
つけられたのも、ほんのかすり傷だ。
だが、ナイフに込められた呪いがローランの中に潜り込むには十分な傷だった。
普段ならば、絶対に気がついたはずの単純な仕掛け。
アウグストにしても、上手くいけば儲けもの程度の罠だっただろう。
だが、それを見逃してしまった。
そうさせたのは、ローランの中で共食いを続ける霊台の2つの呪いによるものだ。
――魔術師よ。あまり呪いを軽く見るな。お主の運命に干渉するぐらいはやってのけるぞ?
押さえ込んでいたつもりだったが、甘かった。
「ローラン!? 大丈夫か!?」
「殿下、私に触れてはなりません!」
完全にアマーリエとアウグストに気を取られていたレオンハルトが、慌ててローランを支えようと手を差し伸べる。
しかし、ローランはその腕を振り払うように拒絶した。
「今、触れられては霊台の呪いが殿下に感染ります!」
ローランの内に潜り込んだ新しい呪いが、その名を縛ろうと蠢いている。
それに抗するのに必死で先に入り込んだ2つの呪いを抑える余力が無い。
今、ローランに触れれば、本来の対象であるレオンハルトを呪いは決して見逃さないだろう。
「しまった!? くそ婆ぁ、やってくれたな!」
「うふふふ。お義姉様。これでお義姉様はアウグスト様の物。今度こそ私たちの奴隷となるのですわ」
半ば八つ当たり気味のカスパルに取り押さえられたシルヴィアが老婆の姿のままで、うなされたように呟いている。
「カスパル。絶対にその人を放さないでくださいよ。あの連中、何をするかわかりませんからね!」
「卑怯な、とでも言いたそうですね。ですが妾はとっくに申しあげましたよ? その証を奪って見せると。その後に何が起ころうと――」
油断でしょうと、クララの憎々しげな視線を涼しい顔で受け流しアマーリアは高らかに笑い声を上げた。
「さて。あとはゆるりと死人どもに任せるといたしましょう。アウグスト?」
「御意。シルヴィア、よくやった。言っただろう、ローラン。お前は必ず私のものになると」
おんおんおんとアウグストの呪術具が不気味なうなり声をあげ、死人達がじわりとローラン達を取り囲む輪を縮めていく。
その表情は皆、一様に自らの自由を奪われた苦しみに歪んでいた。
「何を勝ち誇っている、アマーリエ!」
轟ッとレオンハルトの全身から炎が吹き荒れた。
吹きすさぶ炎風に煽られ、炎に巻かれた死人がアウグストの呪いから解放されて再び眠りに落ちる。
「アウグスト。貴様は赦さぬ。我が魔術師を嬲った罪、贖ってもらう」
「戯れ言を仰いますな。その炎で死人を浄化したおつもりか? 殿下の炎では呪いは殺せませぬ。眠った死人はもう1度起こせば良いだけのこと」
おんおんおんと再びアウグストの呪術具が唸りを上げ、炎で清められたはずの死人が新たに輪に加わっていく。
「……キリが無いか」
押し寄せる死人を焼き清めることを諦めたレオンハルトは、炎を結界へと変じた。
胸のペンダント輝かせながら、持てる力の全てを魔力へと転じて炎を張り巡らせている。
だが、ローランの贈ったペンダントを持ってしてもさほど長くは持たないだろう。
(この、呪いさえなければ……!)
3つの呪いがローランを内側からゆっくりと蝕んでいる。
少しでも気を抜けば、たちまち名を奪われ、自由となった霊台の呪いはレオンハルトに襲いかかるだろう。
「……失敗したな」
レオンハルトは誰に言うともなく、呟いた。
「殿下?」
「ローラン、死人の村でのことを覚えているか?」
「え、ええ」
レオンハルトが何を言いたいのか理解出来ず、ローランは思わずレオンハルトを見上げた。
「最後に俺が何と言ったか覚えているか?」
もちろん、よく覚えている。
というよりもレオンハルトの口癖と言っても良いぐらいだ。
「俺の仕事を取るな、でございました」
「そうだ。よくよく考えて見れば、霊台の呪いは2つとも俺が受けるべき呪いだった。だから――返して貰うぞ」
レオンハルトは言うが早いかローランを強く抱きしめた。
2人の触れあった部分から、本来の行き場を見つけた霊台の呪いが揃ってレオンハルトの身体へと流れ込んでいく。
「で、殿下!?」
「暴れるな! 大人しくしてろ!」
もはや少年のものとは言いがたい逞しい腕から見上げたレオンハルトの顔は、ぶっきらぼうにそっぽを向いている。だが、ローランを抱き寄せる力は間違いなく、彼女だけを見つめていた。
ゆっくりと身体から呪いの熱が引いていく。
ただ1つ残されたアウグストの呪いはさっきまで感じていた怖ろしさも不気味さもなく、とてもちっぽけなものに感じられた。
「ローラン。俺にはやらねばならんことがある。どうしても、とは言わん。が、手伝ってくれると……嬉しい」
レオンハルトの為すべき事。それは皇帝の霊から聞かされた、この国から呪いを打ち祓うという大それた望み。
そして、きっとそれはアーベルとの誓いだろう。
(母様。ローランもどうやら、この国で為すべき事を見つけたようです)
「殿下。殿下の秘密のお代をお支払いするときが来たようですわ」
小さな小さなアウグストのかけた呪いが暴れ回っている。名を寄越せともがいている。
そうまでして、ローランの何が欲しいのか。それさえもあの小心者は明かさなかった。
(アウグスト様。それほど、私の今の名をお望みなら、差し上げましょう。ですが、お代は少し高うございましてよ?)
ローランは決意と共にするりとレオンハルトの腕からすり抜けた。
「殿下。あと、少しだけお守りくださいますか?」
「任せろ。紅の盾の名が伊達ではないことを見せてやる」
強がってはいるが、レオンハルトの身のうちでは互いに矛盾する2つの呪いが荒れ狂っているはずだ。
(母様。今までお守りくださいまして、ありがとうございました。今日より私が――呪殺師の長となりましょう)
甲ッ――と音を立て、舞が始まる。
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