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2章
★二人格とひとり ディエス視点<過激表現有>
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まだ外は明るい。
ユリシーズの部屋には薄いレースカーテンしかかかっておらず、当然周りは活動している時間帯だ。
生活音がしているくらいの方が、かえって他の人狼に聞かれにくくていい。自分の匂いが沁みついているベッドで、妻のアイリーンが小さく喘いで恥ずかしそうにしているのを見ながら、ユリシーズはそんなことを気にしていた。
はだけた青いバスローブから、張りのある胸が露出している。じわりと浮かんだ玉の汗が、するりと谷間に流れて行った。その時に立ち上る匂いで、ユリシーズは意識が飛びそうになる。
劇薬のような、身体を貫く刺激が襲い続けていた。
これが発情期の匂いなのだろうかと、酔いに似た感覚で思う。
人狼の間では有名な話だが、伴侶が相手を求める時には特別な匂いを発するのだという。それを嗅いでしまったら、雄は本能に抗えないのだと聞いた。
いや、とっくに抗えなくなっていたのだとユリシーズは思う。
初めて出会った時から、なんて美しくて魅力的な女性だろうと焦がれていた。
身代わりで偽りの妻だと分かっていたのに、惹かれる気持ちが止められなかった。
今こうして触れることができるのが、どれだけ幸せなのだろうとユリシーズは泣きたくなってくる。
偶然出会っていたら、手に入れられなかった女性かもしれない。
両親に売られたと言っていたが、アイリーンの纏う色香は、あらゆる男性を魅了するのだろう。死神伯と言われた血塗られた自分の元には、やってきてくれなかったのではないだろうか。
「愛しのアイリーン。恥ずかしがらずに、こちらを見てください」
目線の合わない顔は、必死に声を抑えるように堪えている。
すぐにすべてを曝け出してもらえるなどとは思っていないが、もう少し快楽に溺れさせてみたい。
「ぃゃっ……」
首を振って抵抗しているが、その唇を奪って舌で口内を探ってみれば、ゆっくりと力が抜けていった。
「夫の前で、素直になってくれないのですか?」
「だって、こんなの私じゃないわ」
目を潤ませながら、上気した顔で上目遣いに訴えて来る。
ああどうして貴女は、と苛立ちに似た暴力的な愛情が芽生えてしまった。
思い切り壊してしまいたい。
彼女を堰き止める最後の砦を崩し雌の姿を暴いてしまえば、アイリーンは観念してくれるだろうか。
流れた汗を、逆流させるように舐めて絡めとる。
舌の這う動きで形を変える乳房に、小さく歯を立てて痕を付けた。
アイリーンの腹部には虐待の痕が残っていたが、全て自分のマーキングで愛情の証に上書きしてしまいたいと思う。
「んっ……」
アイリーンは漏れそうになる声を抑えているのか、両手で口を塞いでいた。手を自由にできないくらいまで追いつめたいという欲望がユリシーズを侵食していく。
「アイリーンは、私のことが好きなのですよね?」
腰から上に向かって手を滑らせると、うなずく動きがびくりと跳ねる。
まだ我慢ができる程度の刺激なのだと思うが、焦りそうになるのを自制した。
「好きじゃなきゃ、こんなこと……」
アイリーンがそう言って困ったように眉を下げる。
そうだ、彼女は確かに同意したのだとユリシーズは思い出した。
この行為がアイリーンにとっても望んだ結果なのであれば、思い切り愛情をぶつけてみたい。
白くて柔和な肌が、しっとりと濡れている。
昨日はユリシーズを心配して眠れなかったらしいが、潤んだ目には疲れよりも抵抗が見えた。
「そうですね、貴女は好きでもない男に身を委ねたりはしないでしょう。こんなに美しく……でも、もっと力を抜いてくださっていいのに……」
「そんなの、分からない」
困った表情を浮かべるアイリーンから、新しく魅惑的な匂いが漂い始めている。
ユリシーズはくらりと眩暈を覚えると、そのまま本能が暴走するのに任せた。
「やめてっ!」
アイリーンの悲鳴が懇願するように響くが、ユリシーズは匂いに誘われるようにアイリーンを探る。
「お願い、ユリシーズ、もうやめて。お願いっ」
アイリーンの匂いが強くなっていく。
言葉とは裏腹に、全身が快楽へと傾いているのだろう。美しさに淫らな魅力が増しているのを感じると、ユリシーズの背筋がぞくりとした。
「嫌です」
太腿に辿り着いた舌を探るようにうねらせ、ユリシーズを誘う泉が溢れ出る源を探る。
そうして初めての味覚に夢中になると、アイリーンは何度も高い声で啼き、身体を痙攣させた。
助けを求められるように懇願されながら、支配欲と独占欲が満たされていくなど許されないだろうか。
「アイリーン、ひとつ貴女に謝らなければいけないことが」
「?」
「初めての女性は、痛みを伴うらしいのです」
ユリシーズは乱れるアイリーンを堪能しながら、自身の限界を感じ始めていた。繋がりたいという欲望が止められない。
「つらい思いをさせるかもしれませんが、私を受け入れてくださいますか?」
「……つらい、思い?」
はあはあと荒い息を整えながら、アイリーンがゆっくりとうなずいている。
愛おしくて泣きそうになりながら、顔中にキスをして……。
「ああっ」
これまでとは違う、痛みによる悲鳴が耳元で上がるのを聞いた。
一方のユリシーズには強烈な快楽が襲う。
傷つけたくないと思っているのに痛みを与え続けるのを止められず、とうとう涙を流させてしまった。
「すみません。貴女が苦しがっているのに」
涙を流すアイリーンを抱きしめ、首筋と肩を甘噛みしながら刺激を与え続けてしまう。こんな自分はやはり獣なのだと、行為に罪悪感と背徳感を感じた。
「愛しています、心から。申し訳ないのに、私は貴女を求める行為を止められそうにない……」
これは暴力ではないのか、とユリシーズは葛藤した。
自分だけが悦くなっていて、これではいけないと思う。
「だい、じょーぶ……だから……」
涙の溜まる目を細め、アイリーンがユリシーズの身体に抱きつく。
ああ、どうして彼女といるだけでこの先の道が明るいと思えるのか。ユリシーズはアイリーンの首元に顔を埋める。
包まれる幸福感に泣きたくなりながら、アイリーンの名前を呼んだ。
ユリシーズの部屋には薄いレースカーテンしかかかっておらず、当然周りは活動している時間帯だ。
生活音がしているくらいの方が、かえって他の人狼に聞かれにくくていい。自分の匂いが沁みついているベッドで、妻のアイリーンが小さく喘いで恥ずかしそうにしているのを見ながら、ユリシーズはそんなことを気にしていた。
はだけた青いバスローブから、張りのある胸が露出している。じわりと浮かんだ玉の汗が、するりと谷間に流れて行った。その時に立ち上る匂いで、ユリシーズは意識が飛びそうになる。
劇薬のような、身体を貫く刺激が襲い続けていた。
これが発情期の匂いなのだろうかと、酔いに似た感覚で思う。
人狼の間では有名な話だが、伴侶が相手を求める時には特別な匂いを発するのだという。それを嗅いでしまったら、雄は本能に抗えないのだと聞いた。
いや、とっくに抗えなくなっていたのだとユリシーズは思う。
初めて出会った時から、なんて美しくて魅力的な女性だろうと焦がれていた。
身代わりで偽りの妻だと分かっていたのに、惹かれる気持ちが止められなかった。
今こうして触れることができるのが、どれだけ幸せなのだろうとユリシーズは泣きたくなってくる。
偶然出会っていたら、手に入れられなかった女性かもしれない。
両親に売られたと言っていたが、アイリーンの纏う色香は、あらゆる男性を魅了するのだろう。死神伯と言われた血塗られた自分の元には、やってきてくれなかったのではないだろうか。
「愛しのアイリーン。恥ずかしがらずに、こちらを見てください」
目線の合わない顔は、必死に声を抑えるように堪えている。
すぐにすべてを曝け出してもらえるなどとは思っていないが、もう少し快楽に溺れさせてみたい。
「ぃゃっ……」
首を振って抵抗しているが、その唇を奪って舌で口内を探ってみれば、ゆっくりと力が抜けていった。
「夫の前で、素直になってくれないのですか?」
「だって、こんなの私じゃないわ」
目を潤ませながら、上気した顔で上目遣いに訴えて来る。
ああどうして貴女は、と苛立ちに似た暴力的な愛情が芽生えてしまった。
思い切り壊してしまいたい。
彼女を堰き止める最後の砦を崩し雌の姿を暴いてしまえば、アイリーンは観念してくれるだろうか。
流れた汗を、逆流させるように舐めて絡めとる。
舌の這う動きで形を変える乳房に、小さく歯を立てて痕を付けた。
アイリーンの腹部には虐待の痕が残っていたが、全て自分のマーキングで愛情の証に上書きしてしまいたいと思う。
「んっ……」
アイリーンは漏れそうになる声を抑えているのか、両手で口を塞いでいた。手を自由にできないくらいまで追いつめたいという欲望がユリシーズを侵食していく。
「アイリーンは、私のことが好きなのですよね?」
腰から上に向かって手を滑らせると、うなずく動きがびくりと跳ねる。
まだ我慢ができる程度の刺激なのだと思うが、焦りそうになるのを自制した。
「好きじゃなきゃ、こんなこと……」
アイリーンがそう言って困ったように眉を下げる。
そうだ、彼女は確かに同意したのだとユリシーズは思い出した。
この行為がアイリーンにとっても望んだ結果なのであれば、思い切り愛情をぶつけてみたい。
白くて柔和な肌が、しっとりと濡れている。
昨日はユリシーズを心配して眠れなかったらしいが、潤んだ目には疲れよりも抵抗が見えた。
「そうですね、貴女は好きでもない男に身を委ねたりはしないでしょう。こんなに美しく……でも、もっと力を抜いてくださっていいのに……」
「そんなの、分からない」
困った表情を浮かべるアイリーンから、新しく魅惑的な匂いが漂い始めている。
ユリシーズはくらりと眩暈を覚えると、そのまま本能が暴走するのに任せた。
「やめてっ!」
アイリーンの悲鳴が懇願するように響くが、ユリシーズは匂いに誘われるようにアイリーンを探る。
「お願い、ユリシーズ、もうやめて。お願いっ」
アイリーンの匂いが強くなっていく。
言葉とは裏腹に、全身が快楽へと傾いているのだろう。美しさに淫らな魅力が増しているのを感じると、ユリシーズの背筋がぞくりとした。
「嫌です」
太腿に辿り着いた舌を探るようにうねらせ、ユリシーズを誘う泉が溢れ出る源を探る。
そうして初めての味覚に夢中になると、アイリーンは何度も高い声で啼き、身体を痙攣させた。
助けを求められるように懇願されながら、支配欲と独占欲が満たされていくなど許されないだろうか。
「アイリーン、ひとつ貴女に謝らなければいけないことが」
「?」
「初めての女性は、痛みを伴うらしいのです」
ユリシーズは乱れるアイリーンを堪能しながら、自身の限界を感じ始めていた。繋がりたいという欲望が止められない。
「つらい思いをさせるかもしれませんが、私を受け入れてくださいますか?」
「……つらい、思い?」
はあはあと荒い息を整えながら、アイリーンがゆっくりとうなずいている。
愛おしくて泣きそうになりながら、顔中にキスをして……。
「ああっ」
これまでとは違う、痛みによる悲鳴が耳元で上がるのを聞いた。
一方のユリシーズには強烈な快楽が襲う。
傷つけたくないと思っているのに痛みを与え続けるのを止められず、とうとう涙を流させてしまった。
「すみません。貴女が苦しがっているのに」
涙を流すアイリーンを抱きしめ、首筋と肩を甘噛みしながら刺激を与え続けてしまう。こんな自分はやはり獣なのだと、行為に罪悪感と背徳感を感じた。
「愛しています、心から。申し訳ないのに、私は貴女を求める行為を止められそうにない……」
これは暴力ではないのか、とユリシーズは葛藤した。
自分だけが悦くなっていて、これではいけないと思う。
「だい、じょーぶ……だから……」
涙の溜まる目を細め、アイリーンがユリシーズの身体に抱きつく。
ああ、どうして彼女といるだけでこの先の道が明るいと思えるのか。ユリシーズはアイリーンの首元に顔を埋める。
包まれる幸福感に泣きたくなりながら、アイリーンの名前を呼んだ。
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