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新月の夜 夫婦の誓い
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とうとう、この日が来てしまった。アルと約束をした、新月の日。
あたしは祈りを捧げるからと家族や使用人に断って、いつもより早めに部屋に籠る。
メリーにアドバイスをされて新調した、薄布の寝衣に着替えようとドレスを脱いだ。
部屋で露わになる自分の身体を見つめる。
大して、スタイルが良いとは言えない自分の見た目。
男の人は、好きな人の身体にがっかりしたりしないのかしら。
メリーみたいに見目よい女性に生まれたかったけど、お父様似のあたしは髪の色以外は大体お父様の要素でできている。
レースとチュールの使われたネグリジェに袖を通す。
部屋は真っ暗だけど、あたしの周りで光る精霊たちのお陰で鏡に映る自分の姿が分かる。
人生で初めて着た、ほんのり肌の色が透ける寝衣。
鏡の中の自分を見て、まるでどこかのお姫様みたいだわと驚いた。
さっきまで自分のスタイルに落ち込んでいたけれど、そんなことが気にならない。
女らしく人を飾る服に感動した。
「すごいわ……5割増し……それ以上ね」
鏡の中の自分に、急に自信が湧いてきた。
戦闘服って言うのかしら、着るものでこんなに気持ちが変わるんだから、身につけるものって侮れない。
アルに、どう思われるんだろう。
こんな格好であなたを待つのは、おかしいと思う?
気合が入りすぎているって引かれたりしないか、買う前にすごく悩んだの。
あたしはまだアルを呼んでいないのに、既に苦しい。
ドキドキが、身体を壊してしまいそう。
これからアルを呼ばなきゃって、祈りのために手を組んだけど……太陽神様を呼ぶ声が掠れる。
「たいよ……神……さま……」
がくがくと震えながら、唱える。その先の声が出ない。
どうしよう、どうしようって焦っていたら、目の前に大好きな人の姿が現れた。
「ウィルダ」
アルは、白い軍服を身に着けていた。髪は固められていて綺麗な顔が強調されている。
よく知らない勲章のようなものや、金色の飾りがついた……とても凛々しい姿。
「アル……」
あたしはアルに見惚れながら、その軍服は初めて見るわって言いたかったのに、口に出す前にアルに抱き上げられた。
「私の花嫁は、よく分かっている」
アルはそう言うと軽く唇に触れて、離れた途端にまた深く触れた。
「この服……変じゃないかしら?」
「今までで一番、素敵だ」
そう言って微笑んだアルは、あたしをベッドの上に座らせて、その横に跪いた。
「太陽神に誓う。私の生涯をウィルダに捧げ、夫として深く愛し、誠実に添う。どんな日も、どんな時も、彼女だけを私の妻とする」
アルが誓うと、新しい太陽神の加護がアルの背に宿ったのを感じる。
「月の女神様に誓います。私の生涯をアルに捧げ、妻として深く愛し、誠実に添い遂げます。どんな日も、どんな時も、アルの傍に」
あたしはベッドの上からアルを見つめて誓う。月の女神様の加護で、身体に何か大きな力が走った。
「アル……あたしたち、神様に認められてしまったわ」
誓った後、切なさがちょっぴりあたしを襲ったけど、やっぱり嬉しくてアルを見つめる。
「泣いているのか?」
新月の夜だというのにお見通しだった。アルには、隠し事は出来ないかもしれない。
「色々な感情が襲ってくるの。あなたのことが好きなのに、おかしいでしょ?」
「おかしくなんかない。それも含めて、全てのウィルダを愛したい」
アルはそう言って長いキスをした。
これまでアルはあたしの頬と口にしかキスをしなかったけど、唇が口から外れて輪郭をなぞる。
アルがあたしを探っているのが分かったから、あたしはアルの名前を呼んだ。
暗い新月の夜。お互いの息が絡む。あたしたちは、二人だけで夫婦になった。
*
夜が徐々に明けて行く。部屋に差し込む光に、太陽が昇り始めているのだと分かった。
もう自分のことが分からなくなりそうなくらい、感覚がぐちゃぐちゃになっていた。
アルはなかなかあたしから離れない。今もアルはあたしを抱きしめて、あたしの背中をさすっている。
「そろそろ、朝が来るわ……」
身体を起こして、ベッド脇に散乱する服と露わになっている自分の肌に、突然羞恥心が襲った。
アルもあたしも、朝が来たら離れ離れになるのだろうと思ったから、結局一睡もしていない。
「妻を残して、また私は消えなければいけないのか」
ボソリと呟いたアルに、これからのことを聞かなきゃって気付く。
「数日以内に、迎えに来る。ウィルダを驚かせてしまうことが起きるけど、私を信じて待っていて欲しい」
アルは、心の声を聞いたみたいにそう言って、あたしの髪に触れた。
恐らくこの先、何か予想外のことが起きるんだって分かる。
でも、あたしたちは神様の認めた夫婦になった。だから、例え他の誰があたしたちを否定したって、もうこの関係は覆せない。
「あなたは、無茶をしたりしないでね」
「適度にやるよ」
アルはテキパキと着替え始めて、この部屋に着いた時の軍服に身を包んだ。
あたしたち、折角誓い合ったのに、またお別れなのね。
アルの軍服についた紋章に、見覚えがある気がして引っかかった。あれは、何だったかしら。
「じゃあ、数日後に」
アルはそう言って、完璧な軍服姿であたしにキスをして、また消えてしまった。
あの人があたしの夫なんだと思ったら、あまりに現実離れしている気がする。
でも、頭の中はこの数時間に起きたことでいっぱいいっぱいで、難しい事なんか何にも考えられなくなっていた。
*
そのまま、ずっと部屋に籠っている。
使用人には体調がすぐれないと嘘を付いて、ベッドにずっと身体を埋めていた。
ここに、少し前までアルといたんだって思う度に、断片的な記憶が身体を走って動けない。
あっという間に夕方になって、一日が終わって行った。
こんな何もしない日って、久しぶり。
お父様もお母様も、ここ数日は新商品の発売で忙しかったんだから、とあたしを気遣ってくれた。
まさか娘が勝手に男性と夫婦の誓いをして、契りまで交わしていたなんて知ったらどう思うのかしら。
すごく悪い子になった気分。
あたしは、次に起きる自分の運命の事なんかさっぱり忘れ、アルの余韻に浸っていた。
あたしは祈りを捧げるからと家族や使用人に断って、いつもより早めに部屋に籠る。
メリーにアドバイスをされて新調した、薄布の寝衣に着替えようとドレスを脱いだ。
部屋で露わになる自分の身体を見つめる。
大して、スタイルが良いとは言えない自分の見た目。
男の人は、好きな人の身体にがっかりしたりしないのかしら。
メリーみたいに見目よい女性に生まれたかったけど、お父様似のあたしは髪の色以外は大体お父様の要素でできている。
レースとチュールの使われたネグリジェに袖を通す。
部屋は真っ暗だけど、あたしの周りで光る精霊たちのお陰で鏡に映る自分の姿が分かる。
人生で初めて着た、ほんのり肌の色が透ける寝衣。
鏡の中の自分を見て、まるでどこかのお姫様みたいだわと驚いた。
さっきまで自分のスタイルに落ち込んでいたけれど、そんなことが気にならない。
女らしく人を飾る服に感動した。
「すごいわ……5割増し……それ以上ね」
鏡の中の自分に、急に自信が湧いてきた。
戦闘服って言うのかしら、着るものでこんなに気持ちが変わるんだから、身につけるものって侮れない。
アルに、どう思われるんだろう。
こんな格好であなたを待つのは、おかしいと思う?
気合が入りすぎているって引かれたりしないか、買う前にすごく悩んだの。
あたしはまだアルを呼んでいないのに、既に苦しい。
ドキドキが、身体を壊してしまいそう。
これからアルを呼ばなきゃって、祈りのために手を組んだけど……太陽神様を呼ぶ声が掠れる。
「たいよ……神……さま……」
がくがくと震えながら、唱える。その先の声が出ない。
どうしよう、どうしようって焦っていたら、目の前に大好きな人の姿が現れた。
「ウィルダ」
アルは、白い軍服を身に着けていた。髪は固められていて綺麗な顔が強調されている。
よく知らない勲章のようなものや、金色の飾りがついた……とても凛々しい姿。
「アル……」
あたしはアルに見惚れながら、その軍服は初めて見るわって言いたかったのに、口に出す前にアルに抱き上げられた。
「私の花嫁は、よく分かっている」
アルはそう言うと軽く唇に触れて、離れた途端にまた深く触れた。
「この服……変じゃないかしら?」
「今までで一番、素敵だ」
そう言って微笑んだアルは、あたしをベッドの上に座らせて、その横に跪いた。
「太陽神に誓う。私の生涯をウィルダに捧げ、夫として深く愛し、誠実に添う。どんな日も、どんな時も、彼女だけを私の妻とする」
アルが誓うと、新しい太陽神の加護がアルの背に宿ったのを感じる。
「月の女神様に誓います。私の生涯をアルに捧げ、妻として深く愛し、誠実に添い遂げます。どんな日も、どんな時も、アルの傍に」
あたしはベッドの上からアルを見つめて誓う。月の女神様の加護で、身体に何か大きな力が走った。
「アル……あたしたち、神様に認められてしまったわ」
誓った後、切なさがちょっぴりあたしを襲ったけど、やっぱり嬉しくてアルを見つめる。
「泣いているのか?」
新月の夜だというのにお見通しだった。アルには、隠し事は出来ないかもしれない。
「色々な感情が襲ってくるの。あなたのことが好きなのに、おかしいでしょ?」
「おかしくなんかない。それも含めて、全てのウィルダを愛したい」
アルはそう言って長いキスをした。
これまでアルはあたしの頬と口にしかキスをしなかったけど、唇が口から外れて輪郭をなぞる。
アルがあたしを探っているのが分かったから、あたしはアルの名前を呼んだ。
暗い新月の夜。お互いの息が絡む。あたしたちは、二人だけで夫婦になった。
*
夜が徐々に明けて行く。部屋に差し込む光に、太陽が昇り始めているのだと分かった。
もう自分のことが分からなくなりそうなくらい、感覚がぐちゃぐちゃになっていた。
アルはなかなかあたしから離れない。今もアルはあたしを抱きしめて、あたしの背中をさすっている。
「そろそろ、朝が来るわ……」
身体を起こして、ベッド脇に散乱する服と露わになっている自分の肌に、突然羞恥心が襲った。
アルもあたしも、朝が来たら離れ離れになるのだろうと思ったから、結局一睡もしていない。
「妻を残して、また私は消えなければいけないのか」
ボソリと呟いたアルに、これからのことを聞かなきゃって気付く。
「数日以内に、迎えに来る。ウィルダを驚かせてしまうことが起きるけど、私を信じて待っていて欲しい」
アルは、心の声を聞いたみたいにそう言って、あたしの髪に触れた。
恐らくこの先、何か予想外のことが起きるんだって分かる。
でも、あたしたちは神様の認めた夫婦になった。だから、例え他の誰があたしたちを否定したって、もうこの関係は覆せない。
「あなたは、無茶をしたりしないでね」
「適度にやるよ」
アルはテキパキと着替え始めて、この部屋に着いた時の軍服に身を包んだ。
あたしたち、折角誓い合ったのに、またお別れなのね。
アルの軍服についた紋章に、見覚えがある気がして引っかかった。あれは、何だったかしら。
「じゃあ、数日後に」
アルはそう言って、完璧な軍服姿であたしにキスをして、また消えてしまった。
あの人があたしの夫なんだと思ったら、あまりに現実離れしている気がする。
でも、頭の中はこの数時間に起きたことでいっぱいいっぱいで、難しい事なんか何にも考えられなくなっていた。
*
そのまま、ずっと部屋に籠っている。
使用人には体調がすぐれないと嘘を付いて、ベッドにずっと身体を埋めていた。
ここに、少し前までアルといたんだって思う度に、断片的な記憶が身体を走って動けない。
あっという間に夕方になって、一日が終わって行った。
こんな何もしない日って、久しぶり。
お父様もお母様も、ここ数日は新商品の発売で忙しかったんだから、とあたしを気遣ってくれた。
まさか娘が勝手に男性と夫婦の誓いをして、契りまで交わしていたなんて知ったらどう思うのかしら。
すごく悪い子になった気分。
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