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第12章 騎士はその地で

騎士団本部にて 2

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「ロキがずっと仕事をくれているのも大きいですかね」

新規の仕事には、拠点を増やし続けるロキからの依頼も含まれていた。

「シンがいるからだろう。別にあいつはレヴィ騎士団に声をかけることだってできる。今や中産階級で、騎士爵よりも立場的には権力があるようだからな」

ロキは本業の多忙さもあり、騎士爵も必要がなくなったため騎士団を辞めた。
シンの話によれば、護衛を雇うためハウザー騎士団に仕事を発注し続けてくれているらしい。

「まあ、それもあるかもしれませんが……。団長への恩が一番大きいんじゃないですかね」

シンに言われて、ロキが恩など……とカイは考えたが、あれで案外律儀なところがある男だ。

騎士爵があったことで商売がやりやすかった時期もあったようだし、これまで目をかけて来たことを何かしら恩に感じているのかもしれない。

「どうだろうな。相変わらず我が妻に未練があるような感じはしたが」
「そりゃ、女王陛下が可愛いからですよ」

シンは呆れて溜息をつく。
初めてレナに会った頃、シンとロキはレナを見てその姿に沸いた。
見た目の可愛らしさに加えて、無垢で芯の強いところにロキが惹かれて行ったのもシンは理解していた。

あの頃、カイはレナに興味などなかったではないか。
それが今や夫婦になっているとは、現実は不思議に溢れている。

「レナは、可愛いのだろうな。その位のことは分かって一緒にいるつもりだ」

カイはぽつりと呟いて、先程から黙ったままの部下たちに視線をやる。

「ロキも俺もレナの外見に惹かれたわけではなかった。人を好きになるというのはそういうことなんじゃないか?」

カイが自分自身で納得しながら説明したが、シンは首を傾げる。

「でも、女王陛下は団長の外見に惹かれていたように見えましたけど?」
「なんだと……? レナは俺の外見が気に入っているということか……? シンからはそう見えたのか?」
「まあ、はい。それは間違いないと思いますけど……」

カイは複雑な気分だった。
もしカイの顔が父親に似ていたら、今のレナとの関係は無かったのかもしれない。

「それは、参ったな」

カイはもう少し本質で好かれているはずだと確信していた。
愕然としているカイを見て、部屋に集まっていた部下たちは可笑しくて笑ってしまう。

「団長、もう結婚してるんですからきっかけなんてどうでもじゃないですか」
「第一印象がそうだとしても、きっと今はそれだけじゃないはずですよ」
「一緒になった後は、外見以外の要素が大事なんじゃないですか?」

普段はカイに気軽に話しかけたりできない部下たちが、この時ばかりは距離が近かった。

「どうせ、女王陛下は団長にしか目が行かないんですから、大したことじゃないです」

シンは当然のように言う。
それもそうかと気を取り直して、カイは仕事の話を始めた。
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