中の人なんてないさっ!

奈々瀬紗音(ななせしゃのん)は、春から中学二年になる十三歳の少女。
幼い頃から歌が大好きで、子ども向け番組の『歌のおねえさん』になるのが夢だった。

しかし、七歳の時に受けた番組オーディションで不合格になり、そのショックで夢と歌から目を背けるようになる。

そんな時、大好きだった子ども向け番組が終了することを知り、紗音は気づく。
時間は永遠じゃない。
どんなに楽しいことも、いつかは終わりを迎える。
だから、"今"を精一杯生きなければならないのだ、と。

そうして紗音は、もう一度夢に向き合い、新しく始まる子ども向け番組のオーディションを受けた。
結果は、合格。
晴れて東京の芸能事務所に所属することになった。

期待に胸を膨らませて臨んだ、番組の打ち合わせ。
そこで紗音は、プロデューサーから衝撃的な言葉を言い渡される。
それは……

「マスコットキャラクターの着ぐるみと中の人が、失踪……?!」

『中の人』を捜索する中で、紗音は不思議な空間に迷い込む。
そこで彼女の前に現れたのは……

異星人を名乗る『青い狼人間』と、『お喋りなうさぎ』と、『角の生えた女の子』だった。

本物だらけのマスコットたちと『歌』を通じて絆を深める、ドタバタスペースファンタジー!
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