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第13蝶 影の少女の解放と創造主

青白マスクVS元冒険者狩りの姉妹 その2

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「ゴナちゃんっ!」
「うん、わかってるっ!」

 タンッ

 得体の知れない武器を警戒し、一度距離を取るナゴタとゴナタ。


 ナゴタは青マスクの間合いに入った瞬間に、見えない鋭利な何かでドレスの一部を切り裂かれていた。

 一方、ゴナタは、白マスクの持つ小盾に、易々と攻撃を跳ね返された。
 半トン以上もある武器の重さプラス、それを軽々と扱う膂力での一撃がだ。


「いやはや、あの冒険者狩りと恐れられた『神速の冷笑』のそんな笑顔が見れるなんて、この武器を仕入れた甲斐がありましたよ」

 あざける様に皮肉を口にするのは青マスク。
 柄だけだったレイピアの刀身が、今は元に戻っている。


「うははははっ! これは確かにいいぜっ! あの『剛力の嘲笑』のびびった顔が見れたのはよっ!」

 小馬鹿にするように哄笑を上げるのは白マスク。
 左手に装備したバックラーの中心が、水風船のように膨らんでいる。


「ナゴ姉ちゃんっ、こいつらっ!」
「ええ、何かあるとは思ったけど、これは少々厄介だわ」

 切っ先の見えない剣、そして、攻撃を跳ね返す盾を前に、僅かに危機感を覚える。


「そうだな。ワタシの一撃を受けて平気だったのは、お姉ぇか、あのアドって竜の子供だけだったんだけどな。それがあんな小さな盾で防がれるとは驚いたよ」

「そうね。でもあのアドは子供ではないわよ?」

「え?」 

「あれは、見た目と中身が別物。って、今はその話じゃなくて、私の方は、見えない剣っていうか、恐らく柔軟性の高い刀身…… いや、透明なムチみたいなものかもしれない」

 まるでスリットのような、裂け目が出来た自身のドレスに目をやる。


「ムチだって?」

「そう。その証拠って訳ではないけど、青マスクの目は私の方を向いていなかった。けれど、攻撃を当てたと言う事は――――」

「あっ! と言う事は、ムチを当てずっぽうに振ったんだっ!」

 足元から太腿まで裂かれた、姉のドレスを見てそう推測するゴナタ。


「ええ、ただ当てずっぽうと言うよりかは、あの透明なムチをまるで結界のように、自身の周りに展開したんだと思うわ。私はそこに侵入し、勝手にスカートを切り裂かれただけ。私が見えてるなら、普通、足や腕を狙うのが定石でしょう?」

「うん、確かにそうかも。でもそれじゃ近付けないよな」

「ええ、そうね。けど――――」

 
「おやおや、どうしました? もしかしてもう降参ですか?」

 話し合いが続く姉妹に、業を煮やしてか、青マスクが声を掛けてくる。
 その右手には、レイピアが握られていた。


「いいえ、私たち姉妹が降参するわけないでしょう? それよりもその細剣は何処で手に入れたのですか? 刀身が消えるムチのような武器もそうですが、攻撃を跳ね返す小盾も見た事ないですが」

「ああ、これはよ。とある行商人から買ったんだよ」

「買った? そんな希少なものを? 一体どこでですか?」

 自慢気に、青マスクの代わりに答えた、白マスクを見やる。
 その白マスクの左腕には、表面が膨らんだバックラーと、右手にはショートソードが握られていた。


「ああん、なんでそんな事まで教えなくちゃならねえんだ。いきなり青の武器の正体を看破する勘のいい奴に、これ以上情報を晒せるわけねえだろ」

「白の言う通りです。この際ですから言いますが、私たちはあなた方を恐れています。ですからルールを変更し、あなたたちに有効な武器を使用しているのですよ」

「それは、恥も外聞もとうに捨てた。と言う事ですか?」

 青と白マスクの目を見て、警戒するように答えるナゴタ。


「それはそうですよ。前の二人の子供を侮った結果が、ですからね。さすがになりふり構っていられませんよ。特にあなたたちの素性を確認できた今、手を抜くなんて愚行を冒すわけないでしょう」

「なるほど。ルールを変更した経緯には、やはりそういった理由がありましたか。ですが、あなたたちと会うのはこれが初めてだと思うのですが」 

「はは、それはそうでしょう。なにせ私たちが一方的に知っているだけですからね」

 白マスクに視線を向けた後、ナゴタに向き合いそう答える。


『………………』

 ますますわからない。   
 冒険者狩りをしていた、過去の恨みからくる復讐ならわかるが、どこか違う。
 かと言って、高ランクの自分たちを踏み台にして、名声を得る様子でもない。


『でも、私たちに対し、わざわざ装備を用意していた以上、確固たる理由があるはず。けど、それがなんなのかがわからないわ……』


 ここまで周到に、自分たちへの対策をしていたのには訳があるはず。
 だと言うのに、殺意や復讐心と言ったものも感じない。
 

 その代わり分かったこともある。

 この青と白マスクは揃って、ずっとあるモノを見ていない事だった。
 人間以外にも、魔物と戦うものなら、必ず見なければいけないものを。


 それは――――





「のぉ、ルーギル」

「あんッ? なんだナジメ」

「お主はあ奴らの武器を知っておるか?」
 
 訓練場の待機所では、青と白マスクの装備を、難しい顔で見つめるナジメがいた。


「いいや、俺は知らねえなッ。どうも嬢ちゃんの持ってるもんに近え気もするがッ。ってか、あちこち各地に出張ってる、お前の方が知ってるんじゃねえかッ?」

「うむ。そうじゃな、知っているかと言うか、初見ではないの」

「は? ならどこで見たんだよッ。あんな武器、そんじょそこらじゃ売ってねえぞッ? 王城の宝物庫にはもしかしたら似たようなものあるかもだがよッ。でもそれを奴らが持ってるとは思えねえからなッ」

「そうじゃな。ならわしの、は何処で購入したか話したかの?」
 
 自身が着ている、旧スク水風の衣装を見下ろしながら答える。


「ああッ。確か何処かの道中で、全身鎧の奴から買ったんだろうッ? もしかして、そこで見たのかッ?」

「うむ、興味はなかったが、その鎧の者に説明だけは受けての」

「はぁ? ならなんでそん時買わなかったッ? そう簡単に手に入れられるものじゃねえんじゃねえかッ?」

「うむ、かなり高額なのもあったが、わしはそもそも武器が苦手なのじゃ。それと、盾のような防具も邪魔だしの」

 短い腕をヒョコヒョコと振りながら答えるナジメ。
 どうやら本人は素振りのつもりらしいが、


「ま、確かにお前程の魔法使いには、武器も防具もそこまで必須じゃねえだろうなッ。そもそも武器も握れねえしッ、サイズ探すのも苦労しそうだかんなッ」

 小さい身体を見下ろし、ルーギルはどこか同情するように答える。   


「まあ、そういう事じゃよ。じゃが今思えば、色々ときな臭いの。そんなものをどこで仕入れて、何故ばら撒いておるのか。そもそもどこで作られたか不明だしの」

「ああ、確かにそうだなッ。その鎧の奴の素性もそうだが、なんかコソコソしてねえか? どこかで店でも構えれば、楽に稼げるだろうにッ」

「そうじゃな。じゃが今はこれ以上考えても、答えが出るわけないのじゃ。一応、ねぇねには後から報告はするが。お、それよりも何やら動きがあったようじゃぞ?」

「んッ?」







 カン、カカカカ――――ンッ!


「おやおや、考えましたねっ! ですが防御一辺倒では、いつまでも私には届きませんよっ!」

「く、そんなのわかっていますっ!」 

 ナゴタは青マスクの攻撃を防いでいた。
 何処からくるか分からない攻撃を、両剣を回転させることで捌いていた。

 だが、それでも全てを防ぐことは不可能だった。
 不可視に加え、軌道が読めないのだから、被弾するのは当たり前だった。

 ドレスの数か所が切り裂かれ、徐々に白い素肌を覗かせていった。


「――――そう言えば、一つ聞きたい事があったんですが」

「なんですか?」


 カカカカカ――――ンッ!


「ずっと気になっていたのですが、何故私たちと目を合わせないのですか?」

 露出した肌を気にした様子もなく、攻撃を弾きながらナゴタは尋ねる。  


 カンッ!


「目? ですか?」

「そうです。戦う相手の目ではなく、何故、胸ばかりを見ているのですか?」


 ここが気になっていた。

 こと戦闘に於いて、目を見ると言う行動は、相手の強さや心情、はたまた行動の起こりを察知するのに有効だ。他には視線の誘導によって、隙や不意も突く事が出来る。
 
 だが、この青と白マスクは違っていた。
 ラブナから聞いていたとはいえ、ここまでくると異常だ。

 何せ、前の2つの試合と決闘が始まる前。
 そして今現在、斬り合っている最中でも、その視線はこちらの胸部に固定されているからだ。



「ああ、それは仕方のない事ですよ」

「仕方のない? それは一体どういう事ですか?」

 開き直ったような答えに、更に疑問が浮かぶ。


「私たちはみな、特殊な嗜好を持つ者で、自然と集まった同士みたいなものですから。こればかりはどうしようもないのですよ」

「はぁ?」

 抽象的過ぎて更に混乱する。
   
 過去、私たちを邪な目で見ていた輩は数多くいた。

 それこそ駆け出しの時代には、無遠慮に見られたり、揶揄されたり、間違いを装って触れられそうになるなど、散々な目に合ってきた。

 だが、それもほんの一時期で、すぐさまランクが上がり、名が売れ始め、以来、そういった視線は変わっていった。
 
 身体的特徴よりも実力を。
 情欲より、恐怖なものを見る目に変わっていった。


『だけど、この男たちはそのどれでもないわ。強い執着と憎悪が混在しているような…… 直接会ったのは今が初めてなのに。もしかして、特殊な嗜好ってものが関係しているのかしら』

 




 ボヨンッ!


「もうっ! 何なんだよっ、その盾はっ!」

「わっはははっ! こりゃ面白しれえやっ! 怪力無双の一撃を軽々と跳ね返しちまうんだからなっ! これは良い買い物だったぜっ!」


 一方、同じ訓練場では、ゴナタも白マスクと対峙していたが、攻撃を跳ね返す盾を前に、自慢の怪力が封じられ、かなり苛ついていた。



「うるさいっ! これならどうだっ!」

「お? 今度は乱れ打ちってかっ!」 

 一撃が効かないならばと、手数で攻めるが、


 ボヨヨヨヨ――――ンッ! ×20

 ビュッ!

「うわっ!」

 左手の盾に攻撃を跳ね返され、バランスを崩したところに、右手の小剣で斬りかかられ、一度も攻撃を当てられずにいた。


「うっははははっ! これは傑作だぜっ!」 

「うるさい、もう笑うなっ!」

 これには、さすがのゴナタも笑みが消え、珍しく怒りを露にする。
 白マスクの挑発も相まって、攻撃が当たらない事に激昂する。


 ここが一番厄介だった。
 小盾と小剣の存在もそうだが、それを扱う白マスクの実力が高かった。
  
 ゴナタの攻撃を正確に捉え、反撃とばかりに、的確に小剣で斬り込んでくる。
 その動きは付け焼刃ではなく、正に修練を積んだものの動きだった。

 それを淡々と繰り返され、いつしかゴナタも傷が増えていった。
 腕や足の数か所には切り傷を、衣服も同じ数だけ切り裂かれていた。


「くくく、これは良い眺めだぜっ! 攻撃が弾かれ、そのデカいのが揺れるのもいいが、段々と脱げていく様を眺めるのもよっ!」

 ビュッ!

「なんだお前はワタシの胸がそんなにいいのかっ! ずっと見てたのはそのせいかっ!」

 ボヨンッ

「は? お前こそ何言ってんだっ! 隙あらば盗み見してただけだっ! じゃねえと防げねえだろっ!」 

 ビュッ!

「そんなの同じようなものだっ! 結局見てるんだからなっ! もしかしてその盾も、この為に用意したとかじゃないよなっ!」

 ボヨンッ

「だったらなんだよっ!」

 ビュッ!

「そっちこそなんでだよっ! なんでこんなに目の敵にするんだっ!」

 ボヨンッ

 攻撃を弾かれ、反撃を避け、ゴナタは声を荒げる。
 何故ここまで執拗に、胸ばかりに執着するのだと。


「そんなの決まってんだろっ! 俺と青は、お前たち姉妹に勝って、自信を取り戻すんだよっ!」

 ビュッ!

「うくっ 自信だって? もう意味が分からないぞっ! そもそも会ったこともないだろっ!」 

 ボヨンッ

 本当にわからない。
 聞かなければよかったと後悔するほどに、支離滅裂で意味不明だった。


「ああ、確かに俺たちはお前らに会ってねえっ! けど、森で偶然見ちまったんだよっ! 1年以上も前だがなっ!」

 ビュッ!

「っとっ! 見た? って事は、やっぱり直接は会ってないだろっ! なら何を見たんだよっ!」

 ボヨンッ

「それは、お前たちが泉で水浴びをしてるところをだよっ!」

「っ!?」

「恐らく戦いの汚れを落としてたんだろうぜ? 近くにはお前たちの服が干してあったからなっ! そん時に、お前たち姉妹の全裸をモロに見ちまったんだよっ!」

 小剣の切っ先をゴナタに向けながら、全てを暴露する。


「お、お前っ!? それ、ただの覗きじゃ…… しかもワタシたち関係な――――」

「うるせえっ! そのせいで俺たちは失ったんだっ! 男の自信をなっ! だからこの戦いはそれを取り戻すための戦いなんだよ――――っ!」

 ゴナタの言葉を遮って、吐き捨てる様に咆哮する白マスク。 
 小盾を前に、小剣を振り上げ、声を震わせながら襲い掛かってくる。


 青マスク、そして、この白マスクが戦う訳と、男の自信とは? 





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