上 下
494 / 579
第12蝶 異世界最強魔法少女(幼女)との邂逅編

アドの異変

しおりを挟む



 スミカとフーナの戦いも、ようやく終焉を迎えそうな、その半刻ほど前。

 
 ドガンッ!

「がう? ゴナタはさっきの攻撃の方がもっと強かったぞっ! それとナゴタももっと速かったのに、もう疲れたのか?」

「いちいちうるさいなっ! そっちが硬すぎるんだってっ!」
「一体何が言いたいのですか? まだ私たちは余力を残していますよ」

 サロマ村に突如現れた、アドと対峙するナゴタとゴナタの双子姉妹。


 それと、この3人から少し離れたところでは――――

「今が嬢ちゃんに貰った、このアイテムの使い時だッ! だがまだ時機じゃねぇ、もっと確実な隙が欲しいぜッ!」

 姉妹の二人を援護しようと隙を伺い、真剣な眼差しを向けるルーギルもいた。


 だが、その決着は意外なものだった。

 思いがけない幕切れで、この戦いは終止符を打つこととなった。


 
――――


「がうっ!」

 ドガンッ!

「うぐぅ、なんだってそんな態勢で強力な攻撃が出来るんだっ!」

 振りかぶる動作も、力を溜める素振りもなく、ヒョイと突き出しただけのアドの拳を受け止めるゴナタは、アドとは対照的に表情を歪めていた。

 ウォーハンマーを盾に、『デトネイトHブーツ』の推力で下半身を踏ん張り、剛力の能力を使って何とか耐えるが、それも次の一撃を喰らったら、また武器ごと吹っ飛ばされるだろう。


「ゴナちゃんっ!」

「わかったぞっ、ナゴ姉ちゃんっ!」 

 タンッ

 ナゴタに呼ばれたゴナタは、すぐさま後ろに飛び退く。
 ハンマーをグルリと回転させ、アドの拳を弾いて下がる。

 その隙にナゴタが俊敏の能力を使い、瞬時にアドの間合いに入る。
 

「がう? なんだ今度はナゴタか。なら戦いはもう終わりか?」

 ゴナタと入れ替わったナゴタに、どこか不満そうな目で問い掛けるアド。
 小さな拳を開き、わかりやすく脱力している。


 そんな態度にナゴタは憤りを感じ、

「終わり? だって私がまだいるじゃないですか」

 鋭い視線で睨みつけ、両剣の切っ先を向ける。

「だってお前は速いだけで弱いだろ? ゴナタの方が楽しいぞ? がう」

「そうですか? ならその思い違いを正してあげますよっ!」

 ヒュッ

 アドに向けたままの切っ先を、ナゴタは最小限の動きで突き出す。

 ガンッ

「ほら、当たっても痛くないぞ?」

「なら、これはどうですか?」

 ヒュンッ

 両剣を引くと同時に、鋭い前蹴りを放つ。
 突きと同等以上の速度の蹴りは、アドの右脇腹に突き刺さるが、


「がう、痛くないぞ? やっぱりお前は非力なんだぞ。だから早くゴナタと交換――――」

「やはり引っ掛かりましたね」 

「がう? うが――――っ!?」

 アドの小さな体が破裂したように弾け飛び、後方に吹っ飛ぶ。
 蹴りを受けた右脇腹から薄っすらと、白い煙をあげながら。


「がうっ!? なんだ? 爆発したぞっ!?」

「まだ終わりませんっ!」

 シュ ン――――

 淡い光を体に纏わせ、飛んで行ったアドの姿を追う。
 
 そのまま能力を使用し、目に見えぬ程の鋭い蹴りを放つ。 
 両剣も併用して、四方八方から攻撃をする。


「うがっ! ぐがっ! どうして、うごぉっ! 爆発するんだっ! がうっ!」

 ナゴタの蹴りを喰らう度に、アドの小さい体が跳ねる様に弾ける。
 その弾け飛ぶ先にも回り込まれ、両剣での斬撃と、蹴りでの爆裂を数多に受ける。


 その爆発が起きる原因は、ナゴタの装備しているブーツ(アイテム)にあった。


 『デトネイトHブーツ』(サイズ・カラー調整可)

 地面を高速でホバー移動でき、攻撃にも使えるブーツ。
 蹴りの強弱によって、爆発の威力が変わる。


 このアイテムはスミカから受け取ったもの。
 強力なアイテムが保管されている、スミカのホームにあるストレージボックスのものだ。

 ナゴタの長所を活かし、尚且つ、弱点を補うものと与えられたもの。
 爆発の推進力でもっと速度を、足技には爆発を付与して、更に威力を上げるものだ。
 

「がうっ! ゴナタよりは強くないけど、体中がチクチクとうるさいぞっ!」

 その威力に、鬱陶しそうに腕を交差させて縮こまるアド。
 僅かでも被弾箇所を減らそうと、背中を丸めて防御態勢を取る。

 
「ようやく隙が出来ましたねっ!」

「がう? 隙?」

 絶え間なく続く爆発の中で、目だけを覗かせ首を傾げるアド。

「そうです。あなたは自然体が構えで、今見せたその動作が一般的なんです」

「がう?」

「まぁ、これを言ってもわからないでしょうね? 自然体がある意味、脅威だったと言っても。避ける事もかばう事もしないから、今までの攻撃が無意味だったなんて、不安に駆られる事も」 

「が、う?」

「ナゴ姉ちゃんっ!」 

「っと、おしゃべりはここまでみたいです。ようやく人間らしい隙を見せたあなたに、痛恨の一撃をお見舞いする時が来ました」

 ドガンッとアドの腕を下から蹴り上げ、すぐさま離れるナゴタ。
 
「がうっ!?」

 蹴りと爆発の威力で腕が弾かれ、驚くアドの顔が見える。

 そこへゴナタが、

「今度はさっきのとは違うぞっ! お姉ぇの力も加わってるんだからなっ!」

 猛スピードで滑走しながら、空いた右脇腹にハンマーをたたき込む。
 
 
 ドゴォォォォ――――――ンッ!!


 ブーツでの助走と遠心力、そして剛力の能力も加わって、威力が倍増されたゴナタの一撃。
 その強烈無比な一撃を受けたアドは、


「うがぁ――――――っ!」

 絶叫を上げながら、廃屋目掛けて吹っ飛んでいき、

「もう一撃ですっ!」

 ドガァ――――――ンッ!!

「んがぅっ!」

 壁に激突する寸前で、腹部に踵落としを喰らい、盛大に地面に叩きつけられる。
 俊敏の能力で追い付いたナゴタが、追い打ちとばかりに放ったものだった。


「さて、次は俺の出番だ――――」

 姉妹の攻撃を受けたアドの惨状を見て、ルーギルが潜んでいた廃屋から姿を現すが、


「がうっ! がうがうがうがうがうがっ――――!!」

 遠吠えのような雄たけびを上げて、ムクリとアドが立ち上がる。


「な、なんだぁッ!? あれほどの攻撃が効いてねぇのかッ!?」
「いえ、確実に効いてます。ゴナちゃんの攻撃を二度も同じところに受けたんですから」
「んあッ? そう言えばさっきも脇腹を押さえてたなッ?」

 それはルーギルの言う通りだった。
 限界を変えたゴナタの攻撃を受けた際も、左手で右の脇腹を押さえていた。

 だたその時の表情と態度からは、一時の痛みなのか、体に残るダメージを負ったのかの判断はできなかった。


「だけど今なら断言できます。ゴナちゃんの攻撃、そして私の攻撃も無駄ではなかったって事に」
「ん? ゴナタのだけじゃなく、ナゴタの攻撃もか?」  
「はい。お腹を押さえている手がおかしいのに気が付きませんか?」
「手?…… そう言えばさっきも――――」

「おいっ! ナゴ姉ちゃんとルーギル、なんかアドが変だぞっ!」

 駆け付けたゴナタが、ハンマーを構えながらアドの様子を伝える。

「はい、わかってるわ。ゴナちゃん」
「変だとッ? それは元々…… って、何やってんだぁッ?」

 ナゴタとゴナタとルーギルの三人が注目する中、


 ムニュムニュ

『――――もう、いいよな? メド姉ちゃん。俺、もう、我慢できない。だってコイツ等と戦うの、楽しい、ぞ、だからもうちょっと――――』 

 そんなアドは、身長に似つかわしくない巨大な胸を、何故か揉みしだいていた。
 虚ろな目で何かを呟きながら、無表情で行為を続けている。


「あ、あいつ一体何をッ!?」
「なんか急に大人しくなったな? もっと怒ってくると思ったのになっ!」
「…………はい、それが逆に不気味です。まるで嵐の前の静けさみたいで」

「……………………がう」

 予想外の反応に、各々が不自然さを感じる中、不意に片足を上げるアド。
 僅かに口角を上げながら、そのまま勢いよく地面を踏み抜く。


 ダンッ!


 ピキッ


「なッ!」
「はっ!?」
「いっ!?」


 ピキキキキキ――――――――ンッ!!


 地面を踏みしめたアドの足元から、波紋のように冷気が迸り、ナゴタたち三人を襲った。


「何だこれはッ! 魔法かッ!?」
「そ、それよりも足がっ!?」
「ワ、ワタシの武器が地面と一緒にっ!?」

 アドから放たれた冷気によって、一瞬で膝上まで凍り付いた三人。
 ゴナタは愛用のハンマー地面に降ろしていたために、同時に凍り付いていた。


「がう、ちょっとだけ約束破るぞっ!」

 動けない三人に向かって、何かを決心ようにゆっくりと歩を進める。
 凡そアドには似つかわしくない、妖しい笑みを浮かべたままで。 



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

処理中です...