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女児パ〇ツの購入と新たな敵?

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 今、私たちはメドを真ん中に手を繋ぎ、街中を散策している。

 本当は私が真ん中でメアド (メドとアドの略)を両手に花みたく歩きたかったんだけど、アドが私が近づくと「がるるっ」て威嚇するから諦めた。

 一体いつになったら私に触らせてくれる……
 んじゃなくて、仲良くしてくれるんだろうなぁ?


「メドが知ってる服飾屋さんって可愛いのもあるの?」

 私は手を繋ぐメドに聞いてみる。
 できればお揃いの可愛いパンツ欲しいからねっ。

『うん?』

 ちょっと待てよぉ?

 別にお揃いじゃなくても良く無くない?

 むしろ違う柄を買ったほうが良い気がするよ。
 メドもアドも、そして私も。

 何でかって?

 そんなの決まってるじゃない。
 
『ふふんっ!』

 別々な柄だこそ『見せあいっこ』が出来るんだよぉっ!

 だってお揃いだったらお互いに見る必要がないでしょ!

――――

 『フーナさまの可愛い。ワ、ワタシのも見て?』

 そう言って白いワンピースを捲り上げ「クマさん」パンツを見せるメド。
 その顔は視線を脇に逸らして涙ぐんでいる。頬も羞恥で赤く染まっている。

「ぐふふふふっ! つ、次は――――」

 『フーナ姉ちゃんの可愛いなっ! 俺のも見てくれよぉっ!』

 青いホットパンツをズリ下げて「青い縞々」パンツを見せるアド。
 その顔は無邪気な笑顔で、口端からは八重歯が覗いている。

「ぶふふっ! い、いいよっ!二人ともっ!!」
「………………」
「…………びくっ」

 私はそんな妄想をしながら街の中を歩いていく。
 早くそんなイベント来ないかなって期待して。


 あ、そう言えば、あの後ギルドがどうなったかっていうと……


※※


「ん、これ修理代」

 メドが冒険者ギルドの従業員の一人にお金を払う。

「あ、ああ。すまんな」

 それを受け取り頭を下げる一番の年長の男の人。
 名前は「ジーア」さん。年齢は30代前半の渋い人。

「メドちゃんに守ってもらって、しかも修理代貰っちゃうなんて気が引けるっす」

 こっちの若い男の人は「コータ」さん。まだ見習いだそうだ。
 見た目は髪も長くてチャラいけど、意外と真面目で優しそうだ。

「そうよね。でも受け取らないとキツイのも事実。なにせここのギルドはお金ないよのねぇ。討伐レベルの低い魔物ばっかだし」

 最後のお姉さんは「シーラ」さん。年齢は10代後半くらいに見える。
 ちょっと派手めな美人さんだ。

 私がもろもろ壊した、そういった物の弁償をメドがしてくれた。

 屋根や床もそうだし、建屋の中にあった家具とか壁とかも。


「メドありがとうねっ! 私が甲斐性なしのせいで……」

 ギュッ

 私は感激のあまりメドのお腹に縋りつく。
 そしてついでに嗅覚に意識を集中する。

 くんか、くんか

「ん、別にいい。それよりも買い物行く」
「でも……」

 メドは私の頭に手を置いてそう言ってくれる。
 ちょっと申し訳なかった。

「そもそもあの屋敷の物はフーナさまの物。あそこにあったお金も同じ」
「えっ!? あのお屋敷に金庫なんてあったの?」
「地下にある。宝物庫が」
「宝物庫?」
「ん、ワタシの財産が」
「へ、へぇ~~」

 そ、そんなものがあったんだ。

 ドラゴンのメドが言うんだから、結構なお宝だよね?

 だってドラゴンは光るお宝集めるのが好きなんだもん。
 どっかの薄い本で見た事あるもん。そういった系の。

「でも管理はメドに任せてもいいかな?」
「ん、何で?」

「だってわたしが持ってると衝動買いしそうだし、アドには任せられないし。だからメドに持ってって欲しいんだ。わたしとアドはお小遣い制でいいからね」

「ん、わかったフーナさまの命令。ワタシが持ってる」
「うん、よろしくねっ!」

※※


 そんなこんなで冒険者ギルドの一件は無事に済んで、3人で歩いている。


「へぇ~色んなお店があって活気あるね」

 私はお上りさんの様に周囲の街並みを見て、そう感想を述べる。


 私たちが歩いてるところは恐らく繁華街。
 色々な屋台やたくさんの露店が道を埋めている。

 見た事もない、色とりどりの果物や野菜らしい形の物。調理して売られている種類の多い串焼きやスープや飲み物。海鮮物は少ないけれど、干物みたいなものが売られていた。

 そしてここを抜けると商店街。
 私たちは街の中央に近づくように歩いている。

「うわ~~、ここも色んなお店があるねっ!」
「ん」
「がうっ!」

 雑貨屋さんに靴屋さん、武器屋さんに、アイテム屋さん。
 何かの占い屋さんに、ペットショップみたいなのもある。


「ん、着いた。フーナさま」
「おお、結構おっきいねっ!
「がうっ! デカいなっ!」

 3人で仲良く歩く事10分。
 ようやくメドに案内されたお店の前に着いた。

 歩くって言っても私だけ『ほばー』の魔法で地面スレスレを浮いていたけど。
 だって無駄に長いローブのせいで転んじゃうから。

「ふえ~何でも売ってるんだね?」

 2階建ての店内に入り中を見渡してひとり呟く。

 衣服を買うために来たから、服ばっかりだと思ったけど違った。
 もちろん服が主で売ってるけど、寝具や家具関係も充実していた。

 入って中央付近には衣料関係の、肌着や上着、靴下や下着などがあった。
 店内の壁際には手前が寝具関係で、奥に行くほど家具も置いてあった。

 庶民的なものや、少し高級そうな生地や意匠なものまである。
 随分と幅広い商品を置いてるようだった。

「いらっしゃいませぇ~っ! 本日はどういったご用件ですかぁ?」

「はい?」
「ん」
「がう」

 私が奥にある天蓋付きのベッドを見ていると、女性の店員さんが声を掛けてくる。
 なんか甘ったるい声の若い女の人だった。

「あ、あのわたしたち下着買いに来たんですっ!」
「ん」

 私は手を繋いでるメドを見ながら店員さんに答える。
 メドは店員さんに頷く。

「あ、それでしたら私がご案内しますぅ」

 そう言って前に立って先導してくれる。


「では長いローブの方と、白いワンピースの方はこちらですぅ」

「は、はい」
「ん」

 私とメドは手前のコーナーに案内された。
 
 そこはいかにも女児が身に着けそうな、布地の面積が大きいもの、そして動物の刺繍入りの下着が色とりどり置いてあった。

 子供向けのもあるけど、ちょっとだけ背伸びしたい女児用のものまである。

 うん、幼女の微妙な女児心もわかってるねっ!

「あ、お姉さんありがとうございますっ」
「ん、ありがとう」

「いえいえ、どういたしましてぇ~」

 私は早速手に取りパンツを物色する。

「おお、可愛いの結構あるねっ! 色もたくさんだよぉ!」

 できればメドにも試着してもらわないとねっ!

 何て思いながらあちこち手にしてると、

「それではお客さまは、こちらにご案内しま~すぅ」
「がう?」

 店員さんに連れられて、アドだけは別に行ってしまう。
 
 あれ? そこって

 メドと不思議そうに二人の行く先を見ていると、アドが一人だけ案内されたのは「大人肌着コーナー」だった。

「………………」
「ん?」

 きっとアドの二つのカボチャを見て勘違いしたのだろう。
 確かに私とメドのところにはないサイズだからね。
 そもそもブラジャーも置いてないし。

「もし付け方とか分からないようでしたら、お声かけてくださいねぇ~。それと、もしサイズが無くても、オーダーでお渡しすることも可能ですよぉ。では~」

 アドの案内を終えた店員さんは、それで店内の巡回に戻っていった。

「が、がうぅ? メド姉ちゃんお願いっ!」
「ん。分かったすぐ行く」

 そうアドに返事してメドは歩き出す。

「あ、ああ、メドは買わないのっ!」
「ん、今日はフーナさまとアドの分だけ。ワタシは大丈夫」
「えっ!?」

 そう言ってアドのところに行ってしまった。

「なっ、なっ、なっ……」

 なんてこったぁぁぁぁ――――っ!!!!

 メドも私も試着して、お互いに見せっこする予定だったのにっ!
 そしてこっそりメドが試着したもの買う予定だったのにっ!!

 何だよっ! 
 もう何だよぉっ!

 私はブツブツと一人で文句言いながら、それでも物色を開始する。

「まだだ、まだわたしの野望は終わらんよぉっ!」

 まだメドに似合う可愛いの買って、お屋敷での見せあいっこが残っている。
 それにアドの分も買って3人でパンツパーティーも出来る。

 私の野望はついえる時がないのだ。
 いくらでも創造できるのだ。
 そこに幼女が存在する限り。永遠に、だ。


 そうして私の分とアドの分を大量に購入してお店を後にする。
 結局メドは買わなかったけど、それは私が買ったから大丈夫。

 今夜は部屋中に女児パンツが乱舞する「パンツパーティー」開催だ。

『ゲフフフフっ――――』

 私は一人ホクホク顔でメドの手を握りぶんぶん振る。

「何かフーナさま嬉しそう?」
「ま、まぁねっ! 可愛いのいっぱい買えたしねっ!」 

 そんな事をメドと話していると、歩く先から悲鳴や怒号が聞こえてくる。

「うわっ――――今度はドラゴンが現れたぞぉ――――っ!!!!」
「ド、ドラゴンだってっ!! ロックバードがいなくなったのにかっ!」
「みんな、に、逃げろぉ~~~~っ!!」
「うわぁ~~~~っ!!」

 突然の事に、街中の人たちが大声を上げ逃げ惑う。

 建物の中に避難するものや、門に向けて駆けだすもの。
 我先にと人々を押しのけるもの。
 子供を抱いたまま固まるもの。
 諦めて立ち竦むもの。


「メ、メド、アドも、ドラゴンだってっ!」

 私は手を繋いだままの二人に呼びかける。

「………………」
「………………」

 そんな二人は上を見たまま呆然としている。

「メドっ? アド?」

「エンド」
「………………」

 メドはそう言って自分の体を抱きうずくまる。
 アドは言葉こそ発せないが、メドと同じく

「~~~~っ!」

  震えている。

 それを抑えようとメドは体を抱いてるけど抑えられないらしい。
 アドは立ち竦みながら震えている。それから目を離せずに。

「エンドって、あのドラゴン『END』なのっ!?」

 私は目を凝らし、空に目を向ける。

 そこには上空を旋回している巨大なシルエットが目に映る。
 逆光で分からないがその色は漆黒の様に見える。


 『グウオォォォォッ――――ッッッ!!!!』


「わっ!?」
「きゃっ!」
「がうつ!?」

 私たちに影を落としながら漆黒のドラゴンが咆哮する。

 ビリビリと大気を震わせ、その振動が私たちまで届く。
 立ってる地面さえ揺れているように思える。

「エンドがワタシとアドを呼んでる……」
「………………」

 メドが立ち上がりまた上空に目を向ける。

「呼んでるって何っ!? メドとアドを取り返しに来たのっ?」

 私は慌ててメドに確認するが、その姿はさっきよりも

 誰もがひと目で分かる程に怯えていた。
 小さな体がより細かく震えていた。
 カチカチと歯も鳴らしている。

「フ、フーナさま、ワタシ…………」
「メド姉ちゃん、俺…………」

「行かせないっ!」

「フーナさま?」
「フーナ姉ちゃん?」

「わたしが絶対に行かせないし、アイツも生かせないっ! メドとアドを怖がらせるならわたしが退治してやるっ! わたしが絶対に守ってメドとアドを渡さないっ!!」

 怯える二人を見てそう決断し宣言する。

「それじゃ、ENDとはわたし一人が戦うから、二人は混乱する街の人たちをお願いねっ! これは主人の命令だよっ!!」

 私は二人にそう言い残し『ふらい』を唱えてENDに向かう。

「フ、フーナさまっ!」
「フーナ姉ちゃん……」


 本当にENDが私たちの敵かどうか分からない。
 それでも女神の願いの一つになっている。

 どのみち、あれが本物のENDだったら私には選択肢はない。
 敵味方関係なく倒さなければならない。

 いや、そんな事よりもっと大事な理由がある。

「メドとアドがあんなに怯えるんだ。だからなんとかしなきゃダメだっ!」

 そう強く心に決めて、私はENDに向かって行く。
 二人の笑顔と心を守るために私は戦うんだ。

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