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第二章
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才蔵は石田方の警戒が厳しい東海道ではなく、深い山の道なき道をひた走っていた。
小袖にたっつけ袴を身に着け、総髪は風になびくままにしている。
九月十三日の夜が明けはじめている。
遠くの方から発砲音が聞こえる。狩りをしている者がいるのであろう。
次第に乳白色の朝靄が辺りを包み始めてきた。
――これでは狩りは無理だろうな。
不意に何かの気配に気づいて才蔵は横に跳んで身を伏せた。
草の中に人が倒れている。
しばらく様子をうかがうが、身動き一つしない。
――死んでいる。
音もなく近づくと、やはり男が死んでいた。鉄砲を手に持っているので、狩りをしていた者であろう。
死体には眉間に小さな穴が空いて血が盛り上がって固まっていた。
「棒手裏剣か。見事に眉間の真ん中を貫いている。手練れだな」
世鬼一族が追って来ているのかもしれない。ならば、家康の下命である、「世鬼一族の残り二人も討て」はやりやすくなる。
大坂に着く前に、影の天下分け目のいくさを決してみせよう。
才蔵はほくそ笑んだ。
山靄はみるみる濃くなっていく。深緑の世界が乳白色の世界に変貌してしまった。
才蔵の忍びの目をもってしても視界は狭まっている。
風は向かい風。才蔵の行く手を阻んでいるようだ。
そのあと、才蔵はさらに二人の男の死体を見つけた。狩人か近くの里の者であろう。一人は眉間、もう一人は心臓を過たずに真ん中を棒手裏剣で貫いていた。
「さぞかし人を殺めるのが好きとみえる」
突然、右ひざの力が抜けた。
目の前が霞む。靄のせいだけではない。
「体が痺れている。よもや風の中に毒が混ぜてあったか」
目のまえの靄の中の中で土を踏みしめる音がする。
「ようやく効いてきたか。思うたより時間がかかったわ。わしは世鬼一族が一人、銅斎」
銅斎は才蔵と同じく小袖にたっつけ袴姿の痩身の男。禿頭の右半分が陥没しているのが特徴的だ。
左手に持った香炉を差し出す。
「世鬼忍法、春香。この先に風穴があってな。そこから風が吹き出している。勘づかれないほどに風に薬を混ぜる塩梅が難しい。とくにうぬのような勘の鋭そうな奴にはな」
「なぜ先回りできた。おれが大坂に行くのを知っていたのか」
銅斎は今度は右手を差し出した。掌に黒いものがのっている。
「耳か」
「そうだ。昨日うぬに殺された鵬一の耳よ。世鬼忍法、遠鳴り。死して一刻(二時間)の内に聞いたことはこの耳に入っている。鵬一の亡骸からわしが切り取ってきたのだ」
「それで家康さまの言葉を聞いたか」
「うぬが大坂へ行って秀頼さまのご出陣を止める、ということをな」
才蔵は両ひざを地についた。体が重い。目を開けているのもつらくなってきている。
「ほうれ。ここまで近づいて春香を嗅いだらあっという間に体の自由を失うぞ」
「なぜ、きさまは動ける」
「ふふふ。春香はこの香炉から発する毒だけではない。わしはふつうの人間が二十回呼吸をする間に一回しか呼吸をしない」
つまり銅斎は常人より毒を吸収しないので効き目がほとんどないということだ。
「大坂に……」
才蔵は髪に右手を入れる。
「無駄よ。うぬはここで死ぬ。それにたとえ大坂に行っても無駄なわけがある」
才蔵は雄たけびあげて十数本の髪を束ねて作った太い針を太ももに突き刺した。
「おほ。気つけか。悪あがきを」
朦朧とした意識の中で才蔵はゆらりと立ち上がった。
「まさか立ち上がるとは。霧隠才蔵、恐るべき男よ」
「銅斎とやら、決着をつけよう。おまえは棒手裏剣の手練れとみた。棒手裏剣をお互いの心臓を狙って打つのはどうだ」
才蔵はひきつった笑みを浮かべる。
「いいだろう」
風穴から一颯の風が流れて、二人の間の靄が消えた。
銅斎は香炉を落とした。
才蔵と銅斎が同時に棒手裏剣を打つ。
銅斎は同時に左腕を己の心臓を守る位置に置いた。
瞬間、二本の棒手裏剣が空中で交差する。
銅斎の棒手裏剣は才蔵の心臓に、才蔵の棒手裏剣は銅斎の眉間にそれぞれ刺さっていた。
唖然とした表情を顔に張り付けたまま銅斎は倒れた。
才蔵は再び両ひざを地についた。が、倒れはしなかった。
左胸に突き立った棒手裏剣を抜く。
小袖の襟をはだけて、左胸を露わにする。そこには黒い板があった。
板を取り出すと、解きほぐれるように数十本の髪の毛になって風に流れて行く。
「伊賀忍法、黒鉄髪。正直な奴で助かった。道中でみた亡骸はことごとく眉間や心臓の真ん中ばかりが貫かれていた。おまえがどこを狙うのか見当をつけるのは容易いことだった」
黒鉄髪。才蔵は己の髪を使って粘土をこねるように、あるいは針金細工のように様々な形状の物体を作り出すことができる。硬さの調節も自在であった。
今は、前もって鉄板状にした髪を左胸に仕込んでいた。そして銅斎が得意とする棒手裏剣勝負に持ち込み、あえて鉄板を仕込んだ心臓を狙わせたのであった。
銅斎の笑い声が聞こえた。才蔵がゆっくりと顔を向ける。
「才蔵。大坂に行っても無駄なわけを教えてやろう。淀のお方さまは秀頼さまをご出陣なされようとしている。あのお方をお止めすることは叶わぬぞ」
それだけ言うと銅斎はこと切れた。
才蔵はゆっくりと歩き出した。大坂に向かって。
その夜。才蔵は大坂城に潜入していた。
明かりのない廊下を音を立てずに進む。両側には幾枚もの板戸が並んでいる。
板戸の向こうにあからさまな気配。
突如、板戸を突き破って白く太い腕が伸びてきた。才蔵の襟を掴んで板戸を破壊しつつ部屋の中に投げ入れた。
同時に才蔵は腰の刀を抜いて腕の主に斬りつけていた。
才蔵は畳の上を軽やかに転がって片膝立ちで起き上がった。
目の前には白小袖に打掛を腰巻にした女中姿があった。美しいが大きな赤い唇が壮絶な印象を与える。その体は才蔵より頭ひとつ分大きかった。
「あたしは世鬼一族が一人、水葉。霧隠才蔵、よくぞここまで来た」
才蔵は水葉の体を見た。先ほどの一刀で白小袖は斬れているが血は出ていない。
「おまえの体、刀で斬れぬのか」
「ほほほ。世鬼忍法、肉泥。そうあたしの体は泥のように柔らかい。刀では傷つけることはできない」
才蔵は刀を畳に突き立てて、両手を髪に入れた。
それより早く、水葉に才蔵は両腕を取られている。抗いがたい力であった。
水葉は小袖の両襟をはだけており、白く大きな乳房を露わにしていた。
「肉泥の真髄、とくと味わえ」
言うや、水葉は才蔵の両腕を己の両乳房に当てた。そしてそのまま才蔵の両腕は手首が隠れるまで乳房に埋没していった。
才蔵は両腕を引き抜くことができない。
水葉は右腕を振りぬいて才蔵の顔を殴りつけた。
次は左腕で才蔵の顔を殴る。左右の殴打はしばらく止まることはなかった。
才蔵はほとんど意識が飛びそうになっている。
「ほほほ。美しい顔もこれでは台無しだねえ」
才蔵は動かなくなった。
「死んだか」
水葉の殴打が止まった。
瞬間、才蔵は両肩の関節を外す。両腕の縛めから解放された体を思い切り捻った。
回転の勢いで広がった総髪が巨大な鎌と化す。
黒鉄髪の鎌は水葉の首を薙いだ。
数瞬ののち、水葉の首から水平に半円を描くように鮮血が噴出した。
水葉の乳房から才蔵の両腕が外れる。水葉は真っ赤に染まった畳の上に濡れた音とともに倒れた。
最後の攻撃は才蔵の賭けであった。
水葉の油断で肉泥の効果が薄れていたのか、黒鉄髪の大鎌の鋭さが肉泥を凌駕したのかは分からない。
「世鬼一族。四人すべて倒した」
才蔵は世鬼一族との連戦の疲労で朱に染まった部屋に倒れた。
才蔵が目を開けるとほのかな灯りにまるく浮かび上がった格天井が見えた。
布団に寝かされている。
「目が覚めたかえ」
穏やかな声の主に目を向けると、雪洞の灯りの中に尼僧が座っていた。
「世鬼一族と戦ってこの城に来たということは家康どのの忍びであろう」
「あ、あなたは」
「湖月尼――」
才蔵は布団をはねのけて部屋の隅までさがって平伏した。
湖月尼といえば、誰あろう亡き太閤秀吉の正妻。秀吉がまだ木下藤吉郎時代から天下人に君臨するまでの苦楽を共にした妻。
すなわち北政所――寧々。
小袖にたっつけ袴を身に着け、総髪は風になびくままにしている。
九月十三日の夜が明けはじめている。
遠くの方から発砲音が聞こえる。狩りをしている者がいるのであろう。
次第に乳白色の朝靄が辺りを包み始めてきた。
――これでは狩りは無理だろうな。
不意に何かの気配に気づいて才蔵は横に跳んで身を伏せた。
草の中に人が倒れている。
しばらく様子をうかがうが、身動き一つしない。
――死んでいる。
音もなく近づくと、やはり男が死んでいた。鉄砲を手に持っているので、狩りをしていた者であろう。
死体には眉間に小さな穴が空いて血が盛り上がって固まっていた。
「棒手裏剣か。見事に眉間の真ん中を貫いている。手練れだな」
世鬼一族が追って来ているのかもしれない。ならば、家康の下命である、「世鬼一族の残り二人も討て」はやりやすくなる。
大坂に着く前に、影の天下分け目のいくさを決してみせよう。
才蔵はほくそ笑んだ。
山靄はみるみる濃くなっていく。深緑の世界が乳白色の世界に変貌してしまった。
才蔵の忍びの目をもってしても視界は狭まっている。
風は向かい風。才蔵の行く手を阻んでいるようだ。
そのあと、才蔵はさらに二人の男の死体を見つけた。狩人か近くの里の者であろう。一人は眉間、もう一人は心臓を過たずに真ん中を棒手裏剣で貫いていた。
「さぞかし人を殺めるのが好きとみえる」
突然、右ひざの力が抜けた。
目の前が霞む。靄のせいだけではない。
「体が痺れている。よもや風の中に毒が混ぜてあったか」
目のまえの靄の中の中で土を踏みしめる音がする。
「ようやく効いてきたか。思うたより時間がかかったわ。わしは世鬼一族が一人、銅斎」
銅斎は才蔵と同じく小袖にたっつけ袴姿の痩身の男。禿頭の右半分が陥没しているのが特徴的だ。
左手に持った香炉を差し出す。
「世鬼忍法、春香。この先に風穴があってな。そこから風が吹き出している。勘づかれないほどに風に薬を混ぜる塩梅が難しい。とくにうぬのような勘の鋭そうな奴にはな」
「なぜ先回りできた。おれが大坂に行くのを知っていたのか」
銅斎は今度は右手を差し出した。掌に黒いものがのっている。
「耳か」
「そうだ。昨日うぬに殺された鵬一の耳よ。世鬼忍法、遠鳴り。死して一刻(二時間)の内に聞いたことはこの耳に入っている。鵬一の亡骸からわしが切り取ってきたのだ」
「それで家康さまの言葉を聞いたか」
「うぬが大坂へ行って秀頼さまのご出陣を止める、ということをな」
才蔵は両ひざを地についた。体が重い。目を開けているのもつらくなってきている。
「ほうれ。ここまで近づいて春香を嗅いだらあっという間に体の自由を失うぞ」
「なぜ、きさまは動ける」
「ふふふ。春香はこの香炉から発する毒だけではない。わしはふつうの人間が二十回呼吸をする間に一回しか呼吸をしない」
つまり銅斎は常人より毒を吸収しないので効き目がほとんどないということだ。
「大坂に……」
才蔵は髪に右手を入れる。
「無駄よ。うぬはここで死ぬ。それにたとえ大坂に行っても無駄なわけがある」
才蔵は雄たけびあげて十数本の髪を束ねて作った太い針を太ももに突き刺した。
「おほ。気つけか。悪あがきを」
朦朧とした意識の中で才蔵はゆらりと立ち上がった。
「まさか立ち上がるとは。霧隠才蔵、恐るべき男よ」
「銅斎とやら、決着をつけよう。おまえは棒手裏剣の手練れとみた。棒手裏剣をお互いの心臓を狙って打つのはどうだ」
才蔵はひきつった笑みを浮かべる。
「いいだろう」
風穴から一颯の風が流れて、二人の間の靄が消えた。
銅斎は香炉を落とした。
才蔵と銅斎が同時に棒手裏剣を打つ。
銅斎は同時に左腕を己の心臓を守る位置に置いた。
瞬間、二本の棒手裏剣が空中で交差する。
銅斎の棒手裏剣は才蔵の心臓に、才蔵の棒手裏剣は銅斎の眉間にそれぞれ刺さっていた。
唖然とした表情を顔に張り付けたまま銅斎は倒れた。
才蔵は再び両ひざを地についた。が、倒れはしなかった。
左胸に突き立った棒手裏剣を抜く。
小袖の襟をはだけて、左胸を露わにする。そこには黒い板があった。
板を取り出すと、解きほぐれるように数十本の髪の毛になって風に流れて行く。
「伊賀忍法、黒鉄髪。正直な奴で助かった。道中でみた亡骸はことごとく眉間や心臓の真ん中ばかりが貫かれていた。おまえがどこを狙うのか見当をつけるのは容易いことだった」
黒鉄髪。才蔵は己の髪を使って粘土をこねるように、あるいは針金細工のように様々な形状の物体を作り出すことができる。硬さの調節も自在であった。
今は、前もって鉄板状にした髪を左胸に仕込んでいた。そして銅斎が得意とする棒手裏剣勝負に持ち込み、あえて鉄板を仕込んだ心臓を狙わせたのであった。
銅斎の笑い声が聞こえた。才蔵がゆっくりと顔を向ける。
「才蔵。大坂に行っても無駄なわけを教えてやろう。淀のお方さまは秀頼さまをご出陣なされようとしている。あのお方をお止めすることは叶わぬぞ」
それだけ言うと銅斎はこと切れた。
才蔵はゆっくりと歩き出した。大坂に向かって。
その夜。才蔵は大坂城に潜入していた。
明かりのない廊下を音を立てずに進む。両側には幾枚もの板戸が並んでいる。
板戸の向こうにあからさまな気配。
突如、板戸を突き破って白く太い腕が伸びてきた。才蔵の襟を掴んで板戸を破壊しつつ部屋の中に投げ入れた。
同時に才蔵は腰の刀を抜いて腕の主に斬りつけていた。
才蔵は畳の上を軽やかに転がって片膝立ちで起き上がった。
目の前には白小袖に打掛を腰巻にした女中姿があった。美しいが大きな赤い唇が壮絶な印象を与える。その体は才蔵より頭ひとつ分大きかった。
「あたしは世鬼一族が一人、水葉。霧隠才蔵、よくぞここまで来た」
才蔵は水葉の体を見た。先ほどの一刀で白小袖は斬れているが血は出ていない。
「おまえの体、刀で斬れぬのか」
「ほほほ。世鬼忍法、肉泥。そうあたしの体は泥のように柔らかい。刀では傷つけることはできない」
才蔵は刀を畳に突き立てて、両手を髪に入れた。
それより早く、水葉に才蔵は両腕を取られている。抗いがたい力であった。
水葉は小袖の両襟をはだけており、白く大きな乳房を露わにしていた。
「肉泥の真髄、とくと味わえ」
言うや、水葉は才蔵の両腕を己の両乳房に当てた。そしてそのまま才蔵の両腕は手首が隠れるまで乳房に埋没していった。
才蔵は両腕を引き抜くことができない。
水葉は右腕を振りぬいて才蔵の顔を殴りつけた。
次は左腕で才蔵の顔を殴る。左右の殴打はしばらく止まることはなかった。
才蔵はほとんど意識が飛びそうになっている。
「ほほほ。美しい顔もこれでは台無しだねえ」
才蔵は動かなくなった。
「死んだか」
水葉の殴打が止まった。
瞬間、才蔵は両肩の関節を外す。両腕の縛めから解放された体を思い切り捻った。
回転の勢いで広がった総髪が巨大な鎌と化す。
黒鉄髪の鎌は水葉の首を薙いだ。
数瞬ののち、水葉の首から水平に半円を描くように鮮血が噴出した。
水葉の乳房から才蔵の両腕が外れる。水葉は真っ赤に染まった畳の上に濡れた音とともに倒れた。
最後の攻撃は才蔵の賭けであった。
水葉の油断で肉泥の効果が薄れていたのか、黒鉄髪の大鎌の鋭さが肉泥を凌駕したのかは分からない。
「世鬼一族。四人すべて倒した」
才蔵は世鬼一族との連戦の疲労で朱に染まった部屋に倒れた。
才蔵が目を開けるとほのかな灯りにまるく浮かび上がった格天井が見えた。
布団に寝かされている。
「目が覚めたかえ」
穏やかな声の主に目を向けると、雪洞の灯りの中に尼僧が座っていた。
「世鬼一族と戦ってこの城に来たということは家康どのの忍びであろう」
「あ、あなたは」
「湖月尼――」
才蔵は布団をはねのけて部屋の隅までさがって平伏した。
湖月尼といえば、誰あろう亡き太閤秀吉の正妻。秀吉がまだ木下藤吉郎時代から天下人に君臨するまでの苦楽を共にした妻。
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