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第十九章 天の幕はいま開かれり
第六話 亡霊と美しき銀世界
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前回のあらすじ
このひとはどこからきてどこへいくのだろうか。
切ない疑問の裏で、雪国に隠された人身売買の闇がウルウの身体利用権を勝手に行使するのであった。
美しいものが見たい。
思えば私の旅の目的はそれだった。
リリオという飛び切りの物語を見つけて、それに乗っかってきたけど、あの時の私の選択は大いに正解だったのだろう。
たくさんの景色を見てきた。
知らない町。知らない山並み。知らない海原。
賑やかな市場。木漏れ日とせせらぎ。無限に跳ね続ける波兎たち。
もう見るべきものなんてないと思っていた私の脳に、新しい世界が毎日のように刻まれていく。
一面の銀世界は、そんな私を圧倒させる美しさだった。
見るもの全てを完全に覚えてしまう私の頭の中に、無数の白い絵が積み重なっていく。
ただ白いだけの雪が、極夜の薄暮の中で、様々な顔を見せてくれる。
光のきらめきのその一粒一粒さえもが、鮮やかに輝いて見えた。
そう。
これはきっと。
きっとこれは。
多分、鬱の回復の反動じゃないかなと思うんだよね。
躁状態ってやつ。
体の悪い所はあらかた治って生まれ変わったけど、私のメンタルは完全には治ってなくて、リリオと旅していくうちに躁鬱を繰り返しながら若干健康に向かいつつある途中で、いまは躁に走ってる時なんだって。
自分でやばいなーと思うもんねこのメンタル。
元々日によってテンションにがたつきのある人種だったし……いや昔はそうでもなかった気もするからこれもやっぱり躁鬱かな。
まあでももとがひねくれネガ人間だから、ポジティブ気味の躁状態のときは違和感やばいって言うか、自分がキワキワだなって感じはするので、ちょっとメートル下げていかないとな。
まあそういうキワキワでヤバヤバなメンタルで瞳孔ガン開きでなくても、雪景色はきれいなものだ。
リリオたちはすぐ飽きるって言うけど、まあ、私は雪国のつらさをあんまり味わってないからしばらくは楽しめそうだ。
雪かきとかさせられたら一瞬で嫌いになりそうだけど。
さて、銀世界は美しいだけじゃない、って言うのを、二人から道々聞かせてもらった。
私は男爵さんに貰った防寒着も着こんでるし、《ミスリル懐炉》のおかげで寒さ知らずだけど、それでも風に吹かれて飛んでくる雪が顔に当たると普通に痛い。冷たすぎて痛い。
幌の中では鍋にずっとあったかいものを用意していて、定期的に御者席に寄越してくれる。
それだけじゃなく、短い間に何度も幌の中に引っ込んで休憩もとる。
リリオは、ウルウがいるからだらだらした感じになっちゃいますねーなんて笑うけど、トルンペートによれば普通なら奥歯がなるほど凍え切った体を溶かすための作業に成り果てるらしい
もし《ミスリル懐炉》なしで吹きさらしの御者席に座っていたらと思うとなかなかぞっとしない。
特に二人は体も小さいんだから、すぐに体温を奪われてしまいそうだ。
私が景色を見たいがために御者席にお邪魔してるけど、生存率的な意味でも正解だったかもしれない。
御屋形を出てからそれなりに経ったけど、極夜の最中である辺境は、いまもまだ薄明の中だ。
全く真っ暗というわけではないけれど、南の空が夕焼けのようにぼんやりと明るいばかりで、あとは薄紫から紫、藍色、紺色と夜を引きずったような薄暮が続く。
私の目はこのくらいの暗さなら全然大丈夫で、その玄妙な美しさにため息をつく余裕くらいあるけど、たとえばこの暗さで車を運転しろって言われたら普通に勘弁してほしいと思う。
私はペーパードライバーだし、雪道も運転したことないけど、なれたドライバーでも街灯もない雪道、というかそもそも道なんだか何だかわからないままに走るのは怖すぎると思う。
おまけに風が吹けば横から雪が飛んでくる地吹雪とかいうのがあるし、視界も常に開けているわけじゃない。
さっききらきらしたのが見えたけどあれダイヤモンドダストじゃなかろうな。結構寒くないと見えないはずだけど。
さっきも二人で、私がいなかったらまつげが凍るとか吐息が凍るとか辺境あるあるトークしてたから、私が考えている数倍以上は寒いんだろう。
そんな恐ろしい寒さの中でも、まばらにだけど木立が通り過ぎていく。
濃い緑の針葉は、極寒の世界でなお凍り付かない力強い生命力を思わせた。
なんにもない真っ白な世界に見えて、生命というものはしぶとくしたたかに生きているものらしい。
いまも、木々の間を何か駆けていったようだった。
大きさ的に、狐かなにかだろうか。一瞬だったし、雪に紛れる白さだったのでいまいちわからなかった。
まあ仮に狐的な生き物だったとしても、哺乳類かどうかは怪しいのがこの世界の困ったところだ。
特に、天狗とかと一緒にやってきたのか、鳥類的な生き物がよくみられる。哺乳類のニッチを鳥類が埋めてしまったような、四つ足の鳥とか、ほぼ痕跡しか残ってないような鳥類とか、そういうの。
爬虫類も同じような事例があるけど、鳥類よりは少ない印象。
もしかすると寒い地方に住んでないだけで、私があんまりうろつきまわっていない南部とか西部とかには多いのかもしれない。
ああ、それに、でかい虫。
私としてはあんまり直視したくない生き物なんだけど、意外とおいしいんだよなあ。
見たくないし意識したくないんだけど、普通に美味しかったのが悔しい。
そのうちリリオたちみたいに、脱皮したての蝉とか見つけて今日はご馳走だねとか言い始めるのかと思うと怖い。
そう言えば辺境ではたいがいの動物が大きいというけど、さっきの狐みたいなのもそうなんだろうか。
少なくとも御屋形のでかい狼とか虎とか熊とか、そう言うのを見る限り狐サイズの鼠とかでもおかしくはない。
いまも、通り過ぎる木立の向こうに、なにか大きなものがゆっくり動いているのが見えた、ような気がする。
いや、あれが生き物だとするとあんまりでかすぎる気もする。象かなんかか。
いちいちその全てを指さして尋ねてみてもいいんだけど、リリオだしなあ。
最初期は大分助かったんだけど、トルンペート加入後は異世界ペディアとして圧倒的に差をつけられた感があるね。
滅茶苦茶大雑把な時もあるし、なんかの雑誌の受け売りだったりする時もあるし。
それに、知識なしでただ眺めて圧倒されるていうのも、悪くない。
私は設定資料とか大好き人間だけど、言葉で説明されず雰囲気だけで描写してくる奴も好きなのだ。
はっきり見えるときとか、どうしても気になる時だけ尋ねればいいだろう。
どうせリリオじゃ大した説明は期待できないし。
などと考えていたら、頼れるトルンペートがあったかいものを手に交代を宣言した。
リリオもごねるけど、これで三度目の交代打診だからね。トルンペートもそれで折れて交代したんだし、リリオもこれには逆らえない。
「よーっし、あたしの番ね!」
「ぐぬぬ、以前だったら絶対御者嫌がったくせに……」
「お互い様でしょ。ほら閉めなさいよ、暖気が逃げるでしょ」
トルンペートがリリオを幌に押し込み、我が物顔で私の膝に座る。
まあ、私の膝はどうやらこの二人の共有財産らしいんだけど。
あげた覚えはないんだけど、うん、まあ、そういうものらしい。
個人の肉体は普通は資産として共有しないものだと思うんだけどなあ。
ともあれ、異世界ペディアことトルンペートが来てくれたのは頼もしい。
知識なしで眺めるのも悪くないとかいったばかりだけど、それはそれとしてコメンタリーつきのも好きなんだよ私は。
例えば……お、あれとかどうかな。
少し先の方の木に、なんか丸っこい栗鼠みたいなのがいたから指さしてあっ死んだ。
質問しようと口を半開きにした私の視線の先で、丸っこい栗鼠みたいなのが投げナイフに射抜かれてぴぎぇみたいな断末魔を残して落下する。
「縞椋栗鼠よ。結構いるわね。丁度いいからお昼にしましょっか」
それはとても清々しい微笑みだった。
用語解説
・縞椋栗鼠(tamiasturno)
シマムクリス。帝国の広範に分布する羽獣。
主に平野や低山地の他、都市部などにも生息する。
体色は縞模様のある灰色で、くちばしは黄色い。
発達した素嚢を持ち、前足で器用に餌を詰め込む。
十羽以上の群れをつくることが多い。
農村などでは害虫を捕食するが、同時に農作物も食害するので厄介。
都市部でもごみをあさったり、糞害がある他、泣き声が非常にうるさく騒音も問題になる。
味は良いとされ、害獣として積極的に捕らえ、食べてしまうことが多い。
このひとはどこからきてどこへいくのだろうか。
切ない疑問の裏で、雪国に隠された人身売買の闇がウルウの身体利用権を勝手に行使するのであった。
美しいものが見たい。
思えば私の旅の目的はそれだった。
リリオという飛び切りの物語を見つけて、それに乗っかってきたけど、あの時の私の選択は大いに正解だったのだろう。
たくさんの景色を見てきた。
知らない町。知らない山並み。知らない海原。
賑やかな市場。木漏れ日とせせらぎ。無限に跳ね続ける波兎たち。
もう見るべきものなんてないと思っていた私の脳に、新しい世界が毎日のように刻まれていく。
一面の銀世界は、そんな私を圧倒させる美しさだった。
見るもの全てを完全に覚えてしまう私の頭の中に、無数の白い絵が積み重なっていく。
ただ白いだけの雪が、極夜の薄暮の中で、様々な顔を見せてくれる。
光のきらめきのその一粒一粒さえもが、鮮やかに輝いて見えた。
そう。
これはきっと。
きっとこれは。
多分、鬱の回復の反動じゃないかなと思うんだよね。
躁状態ってやつ。
体の悪い所はあらかた治って生まれ変わったけど、私のメンタルは完全には治ってなくて、リリオと旅していくうちに躁鬱を繰り返しながら若干健康に向かいつつある途中で、いまは躁に走ってる時なんだって。
自分でやばいなーと思うもんねこのメンタル。
元々日によってテンションにがたつきのある人種だったし……いや昔はそうでもなかった気もするからこれもやっぱり躁鬱かな。
まあでももとがひねくれネガ人間だから、ポジティブ気味の躁状態のときは違和感やばいって言うか、自分がキワキワだなって感じはするので、ちょっとメートル下げていかないとな。
まあそういうキワキワでヤバヤバなメンタルで瞳孔ガン開きでなくても、雪景色はきれいなものだ。
リリオたちはすぐ飽きるって言うけど、まあ、私は雪国のつらさをあんまり味わってないからしばらくは楽しめそうだ。
雪かきとかさせられたら一瞬で嫌いになりそうだけど。
さて、銀世界は美しいだけじゃない、って言うのを、二人から道々聞かせてもらった。
私は男爵さんに貰った防寒着も着こんでるし、《ミスリル懐炉》のおかげで寒さ知らずだけど、それでも風に吹かれて飛んでくる雪が顔に当たると普通に痛い。冷たすぎて痛い。
幌の中では鍋にずっとあったかいものを用意していて、定期的に御者席に寄越してくれる。
それだけじゃなく、短い間に何度も幌の中に引っ込んで休憩もとる。
リリオは、ウルウがいるからだらだらした感じになっちゃいますねーなんて笑うけど、トルンペートによれば普通なら奥歯がなるほど凍え切った体を溶かすための作業に成り果てるらしい
もし《ミスリル懐炉》なしで吹きさらしの御者席に座っていたらと思うとなかなかぞっとしない。
特に二人は体も小さいんだから、すぐに体温を奪われてしまいそうだ。
私が景色を見たいがために御者席にお邪魔してるけど、生存率的な意味でも正解だったかもしれない。
御屋形を出てからそれなりに経ったけど、極夜の最中である辺境は、いまもまだ薄明の中だ。
全く真っ暗というわけではないけれど、南の空が夕焼けのようにぼんやりと明るいばかりで、あとは薄紫から紫、藍色、紺色と夜を引きずったような薄暮が続く。
私の目はこのくらいの暗さなら全然大丈夫で、その玄妙な美しさにため息をつく余裕くらいあるけど、たとえばこの暗さで車を運転しろって言われたら普通に勘弁してほしいと思う。
私はペーパードライバーだし、雪道も運転したことないけど、なれたドライバーでも街灯もない雪道、というかそもそも道なんだか何だかわからないままに走るのは怖すぎると思う。
おまけに風が吹けば横から雪が飛んでくる地吹雪とかいうのがあるし、視界も常に開けているわけじゃない。
さっききらきらしたのが見えたけどあれダイヤモンドダストじゃなかろうな。結構寒くないと見えないはずだけど。
さっきも二人で、私がいなかったらまつげが凍るとか吐息が凍るとか辺境あるあるトークしてたから、私が考えている数倍以上は寒いんだろう。
そんな恐ろしい寒さの中でも、まばらにだけど木立が通り過ぎていく。
濃い緑の針葉は、極寒の世界でなお凍り付かない力強い生命力を思わせた。
なんにもない真っ白な世界に見えて、生命というものはしぶとくしたたかに生きているものらしい。
いまも、木々の間を何か駆けていったようだった。
大きさ的に、狐かなにかだろうか。一瞬だったし、雪に紛れる白さだったのでいまいちわからなかった。
まあ仮に狐的な生き物だったとしても、哺乳類かどうかは怪しいのがこの世界の困ったところだ。
特に、天狗とかと一緒にやってきたのか、鳥類的な生き物がよくみられる。哺乳類のニッチを鳥類が埋めてしまったような、四つ足の鳥とか、ほぼ痕跡しか残ってないような鳥類とか、そういうの。
爬虫類も同じような事例があるけど、鳥類よりは少ない印象。
もしかすると寒い地方に住んでないだけで、私があんまりうろつきまわっていない南部とか西部とかには多いのかもしれない。
ああ、それに、でかい虫。
私としてはあんまり直視したくない生き物なんだけど、意外とおいしいんだよなあ。
見たくないし意識したくないんだけど、普通に美味しかったのが悔しい。
そのうちリリオたちみたいに、脱皮したての蝉とか見つけて今日はご馳走だねとか言い始めるのかと思うと怖い。
そう言えば辺境ではたいがいの動物が大きいというけど、さっきの狐みたいなのもそうなんだろうか。
少なくとも御屋形のでかい狼とか虎とか熊とか、そう言うのを見る限り狐サイズの鼠とかでもおかしくはない。
いまも、通り過ぎる木立の向こうに、なにか大きなものがゆっくり動いているのが見えた、ような気がする。
いや、あれが生き物だとするとあんまりでかすぎる気もする。象かなんかか。
いちいちその全てを指さして尋ねてみてもいいんだけど、リリオだしなあ。
最初期は大分助かったんだけど、トルンペート加入後は異世界ペディアとして圧倒的に差をつけられた感があるね。
滅茶苦茶大雑把な時もあるし、なんかの雑誌の受け売りだったりする時もあるし。
それに、知識なしでただ眺めて圧倒されるていうのも、悪くない。
私は設定資料とか大好き人間だけど、言葉で説明されず雰囲気だけで描写してくる奴も好きなのだ。
はっきり見えるときとか、どうしても気になる時だけ尋ねればいいだろう。
どうせリリオじゃ大した説明は期待できないし。
などと考えていたら、頼れるトルンペートがあったかいものを手に交代を宣言した。
リリオもごねるけど、これで三度目の交代打診だからね。トルンペートもそれで折れて交代したんだし、リリオもこれには逆らえない。
「よーっし、あたしの番ね!」
「ぐぬぬ、以前だったら絶対御者嫌がったくせに……」
「お互い様でしょ。ほら閉めなさいよ、暖気が逃げるでしょ」
トルンペートがリリオを幌に押し込み、我が物顔で私の膝に座る。
まあ、私の膝はどうやらこの二人の共有財産らしいんだけど。
あげた覚えはないんだけど、うん、まあ、そういうものらしい。
個人の肉体は普通は資産として共有しないものだと思うんだけどなあ。
ともあれ、異世界ペディアことトルンペートが来てくれたのは頼もしい。
知識なしで眺めるのも悪くないとかいったばかりだけど、それはそれとしてコメンタリーつきのも好きなんだよ私は。
例えば……お、あれとかどうかな。
少し先の方の木に、なんか丸っこい栗鼠みたいなのがいたから指さしてあっ死んだ。
質問しようと口を半開きにした私の視線の先で、丸っこい栗鼠みたいなのが投げナイフに射抜かれてぴぎぇみたいな断末魔を残して落下する。
「縞椋栗鼠よ。結構いるわね。丁度いいからお昼にしましょっか」
それはとても清々しい微笑みだった。
用語解説
・縞椋栗鼠(tamiasturno)
シマムクリス。帝国の広範に分布する羽獣。
主に平野や低山地の他、都市部などにも生息する。
体色は縞模様のある灰色で、くちばしは黄色い。
発達した素嚢を持ち、前足で器用に餌を詰め込む。
十羽以上の群れをつくることが多い。
農村などでは害虫を捕食するが、同時に農作物も食害するので厄介。
都市部でもごみをあさったり、糞害がある他、泣き声が非常にうるさく騒音も問題になる。
味は良いとされ、害獣として積極的に捕らえ、食べてしまうことが多い。
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