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第九章 静かの音色
第一話 白百合と陰気な町
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前回のあらすじ
川を下り、陸の旅へと移った三人。
果たしてどんな旅が待っているのだろうか。
プラート男爵領にあるムジコの町は、昔から多くの音楽家を輩出してきた音楽の町として有名です。東部はもともと他に何もない分、芸術は非常に洗練された土地柄なのですけれど、その中でもとくに音楽に秀でた町ということで期待していました。
いましたけれど。
「陰気だね」
「陰気ね」
「陰気ですねえ」
異口同音に思わずそう口にしてしまうほどに、ムジコの町は薄暗く疲れ果てた空気が漂っていました。ボイちゃんの牽く馬車に揺られて町に入っては見ましたけれど、いつもならやかましいくらいの喧騒に迎えられるはずが、立ち並ぶ宿も店もまるで軒並み葬儀の準備でも進めているかのように陰気です。
空は抜けるように青く、お日様も心地よい良い陽気だと言うのに、なんだか灰色の靄でもかかったように町全体がそのような調子なのでした。
そんな調子ですから、勿論音楽などひとっつも聞こえてきはしません。
以前旅雑誌で読んだ限りでは、吟遊詩人たちが辻々で歌いあい、どの家からも楽器の音が絶えることはないなんて、まあ盛ってはいるんでしょうけれど、少なくとも音楽が絶えることのない町だというのは確かなはずでした。
「その雑誌、いつの?」
「まあ古いは古いですけれど、そんな何年も前のってことはないですよ」
東部で書かれたものが北部まで届けられるくらいですから、必ずしも最新ということはないでしょうけれど、それでもこんなに極端な変化がそんなに短時間で起こるとはなかなか考えづらいものです。
しかし実際には御覧の通りの有様で、道行く人々はみな俯いて人生の楽しみなど何一つないという風情ですし、そもそも出歩いている人々も少ないです。
私たちと同じように外からやってきた商人たちもいますけれど、みな町の空気に困惑し、動揺しているようでした。
「こういう時は、とりあえず冒険屋組合の支部に顔を出してみましょう」
「そんなのあるの?」
「小さな町とか村だとないですけど、ある程度大きめの町ならあるはずですよ」
道行く人を捕まえてなんとか道を尋ねて、亡者のうめきのようにもごもごとした返答をどうにか聞き取り、向かった先の冒険屋組合もまた陰気でした。
「《ムジコ冒険屋組合》……ここで間違いないはずですね」
「どこもこんな感じなの?」
「うーん。ヴォーストの組合館はもっと盛況でしたけれどねえ」
首を傾げながら入ってみますと、成程内装はヴォーストに負けず劣らず、むしろ芸術的美観から言えば実際見事なもので、北部や辺境の質素を旨とする人間からするとちょっとした貴族の館のようですらあります。
しかし、不思議なもので、どんなにすぐれた内装でもそこにいる人間次第ということなのでしょうか、誰も寄り付かないがらんとした室内にはきらびやかさとは裏腹の陰気な空気が満ちていて、たった一人受付で待ち構えている受付嬢も背中がすっかり曲がっています。
「あのう」
「…………」
「あのう?」
「…………はっ、もしやお客さんですか」
「でなければなんだと?」
「てっきり暇すぎて幻覚が見え始めたのかと」
受付嬢はそんな風に言って、ぎちぎちと曲がった背中を伸ばして、にっこりと微笑んで見せました。
「ようこそ《ムジコ冒険屋組合》へ。ご用向きをお伺いいたします」
ただまあ、目の下にはくっきりと隈ができ、唇もカサカサに乾燥したその笑顔は、不気味というほかにありませんでしたけれど。
「ええと、私たちは北部からやってきた冒険屋なんですけれど」
「北部から。それはまたはるばるよくおこしに」
「音楽で有名な町だと聞いて楽しみにしていたんですけれど、その」
みなまで言うなとばかりに受付嬢はそっと手で制しました。
「わかります。つまり、こう仰るのでしょう。喋る死体どもがうごめいている、と」
「その自虐ネタ、エッジがきつくない?」
「我が冒険屋組合がここまで暇なのも、つまるところ住人一同あの調子で生気が枯れ果て、依頼しに来るだけの元気もないからなのです。多分組合所属の事務所も似たような感じでしょうね」
受付嬢が語るには、これは入り口ばかり陰気なのでなく、町全体にわたって陰気であり、目に見えない部分まですべからく陰気なのだということでした。
「私も正直なところ仕事なのでここに座っていますが、今も帰って寝たい気持ちでいっぱいです」
「その割によく喋る」
「口から先に生まれたとよく言われていた私がこの程度ですので、街の皆さんはお察しですよ」
かなり重症みたいですねえ。
詳しく話を聞いてみたところ、このような次第でした。
なんでも原因と思しきは、しばらく前から夜な夜な不思議な音色が流れてくるようになったそうです。
最初のうちは、まあどこかの音楽家が寝るのも忘れて演奏に夢中になっているのだろうと、よくあることと誰もが思っていたのだそうです。
そう言うことがよくあるくらい、音楽に満ち溢れた町だったのですね。
ところがそれが毎晩続く。
毎晩毎晩、夜になるとどこからともなく鳴り響き始め、そして夜が明けるとともにどこへやらと掻き消えてしまう。
どうにも奇妙な事ですけれど、その音色の見事なこともあって、街の住人は不思議に思いながらもそっとその響きに耳を傾けていたそうです。悠長な方々ですね。
しかしどうにもその不思議な音色が続くたびに、人々はだんだんと生気を奪われたかのように力が抜けていってしまい、気づけば今ではあのように、歩くのさえも億劫だ、呼吸するのも面倒くさいと言わんばかりに枯れ果ててしまったようです。
もう少し早い段階で冒険屋が何組か原因の調査に乗り出したようでしたけれど、その冒険屋たちさえも音色の魔力に生気を奪われてしまって、結局原因の究明には辿り着かなかったのだそうでした。
そして今では出がらしのようになった冒険屋たちは満足に働くこともできず、そもそも住人達も冒険屋に依頼を出すだけの元気もなく、町全体憂鬱状態の陰気な町になり果ててしまったのだそうでした。
それだけ話し終えるのにも随分と体力を使ったようで、受付台に突っ伏したまま受付嬢はもごもごと続けました。
「そんなわけで、いまこの町は観光どころか滞在するにも向かないので、商人たちもみんなほとんど素通りという訳ですよ」
これは、そう、つまり、そういうことです。
冒険の匂いがしますよ、これは。
用語解説
・ムジコ(Muziko)
プラート男爵領にある音楽の町。
男爵の援助もあって音楽が非常に推奨されており、住民のほとんどは楽器を扱える。
・冒険屋組合の支部
冒険屋の事務所をまとめる冒険屋組合は、ある程度大きな町には必ず支部を置いている。
その支部では冒険屋口座の扱いや、町から集められた依頼の仲介などが行われている。
川を下り、陸の旅へと移った三人。
果たしてどんな旅が待っているのだろうか。
プラート男爵領にあるムジコの町は、昔から多くの音楽家を輩出してきた音楽の町として有名です。東部はもともと他に何もない分、芸術は非常に洗練された土地柄なのですけれど、その中でもとくに音楽に秀でた町ということで期待していました。
いましたけれど。
「陰気だね」
「陰気ね」
「陰気ですねえ」
異口同音に思わずそう口にしてしまうほどに、ムジコの町は薄暗く疲れ果てた空気が漂っていました。ボイちゃんの牽く馬車に揺られて町に入っては見ましたけれど、いつもならやかましいくらいの喧騒に迎えられるはずが、立ち並ぶ宿も店もまるで軒並み葬儀の準備でも進めているかのように陰気です。
空は抜けるように青く、お日様も心地よい良い陽気だと言うのに、なんだか灰色の靄でもかかったように町全体がそのような調子なのでした。
そんな調子ですから、勿論音楽などひとっつも聞こえてきはしません。
以前旅雑誌で読んだ限りでは、吟遊詩人たちが辻々で歌いあい、どの家からも楽器の音が絶えることはないなんて、まあ盛ってはいるんでしょうけれど、少なくとも音楽が絶えることのない町だというのは確かなはずでした。
「その雑誌、いつの?」
「まあ古いは古いですけれど、そんな何年も前のってことはないですよ」
東部で書かれたものが北部まで届けられるくらいですから、必ずしも最新ということはないでしょうけれど、それでもこんなに極端な変化がそんなに短時間で起こるとはなかなか考えづらいものです。
しかし実際には御覧の通りの有様で、道行く人々はみな俯いて人生の楽しみなど何一つないという風情ですし、そもそも出歩いている人々も少ないです。
私たちと同じように外からやってきた商人たちもいますけれど、みな町の空気に困惑し、動揺しているようでした。
「こういう時は、とりあえず冒険屋組合の支部に顔を出してみましょう」
「そんなのあるの?」
「小さな町とか村だとないですけど、ある程度大きめの町ならあるはずですよ」
道行く人を捕まえてなんとか道を尋ねて、亡者のうめきのようにもごもごとした返答をどうにか聞き取り、向かった先の冒険屋組合もまた陰気でした。
「《ムジコ冒険屋組合》……ここで間違いないはずですね」
「どこもこんな感じなの?」
「うーん。ヴォーストの組合館はもっと盛況でしたけれどねえ」
首を傾げながら入ってみますと、成程内装はヴォーストに負けず劣らず、むしろ芸術的美観から言えば実際見事なもので、北部や辺境の質素を旨とする人間からするとちょっとした貴族の館のようですらあります。
しかし、不思議なもので、どんなにすぐれた内装でもそこにいる人間次第ということなのでしょうか、誰も寄り付かないがらんとした室内にはきらびやかさとは裏腹の陰気な空気が満ちていて、たった一人受付で待ち構えている受付嬢も背中がすっかり曲がっています。
「あのう」
「…………」
「あのう?」
「…………はっ、もしやお客さんですか」
「でなければなんだと?」
「てっきり暇すぎて幻覚が見え始めたのかと」
受付嬢はそんな風に言って、ぎちぎちと曲がった背中を伸ばして、にっこりと微笑んで見せました。
「ようこそ《ムジコ冒険屋組合》へ。ご用向きをお伺いいたします」
ただまあ、目の下にはくっきりと隈ができ、唇もカサカサに乾燥したその笑顔は、不気味というほかにありませんでしたけれど。
「ええと、私たちは北部からやってきた冒険屋なんですけれど」
「北部から。それはまたはるばるよくおこしに」
「音楽で有名な町だと聞いて楽しみにしていたんですけれど、その」
みなまで言うなとばかりに受付嬢はそっと手で制しました。
「わかります。つまり、こう仰るのでしょう。喋る死体どもがうごめいている、と」
「その自虐ネタ、エッジがきつくない?」
「我が冒険屋組合がここまで暇なのも、つまるところ住人一同あの調子で生気が枯れ果て、依頼しに来るだけの元気もないからなのです。多分組合所属の事務所も似たような感じでしょうね」
受付嬢が語るには、これは入り口ばかり陰気なのでなく、町全体にわたって陰気であり、目に見えない部分まですべからく陰気なのだということでした。
「私も正直なところ仕事なのでここに座っていますが、今も帰って寝たい気持ちでいっぱいです」
「その割によく喋る」
「口から先に生まれたとよく言われていた私がこの程度ですので、街の皆さんはお察しですよ」
かなり重症みたいですねえ。
詳しく話を聞いてみたところ、このような次第でした。
なんでも原因と思しきは、しばらく前から夜な夜な不思議な音色が流れてくるようになったそうです。
最初のうちは、まあどこかの音楽家が寝るのも忘れて演奏に夢中になっているのだろうと、よくあることと誰もが思っていたのだそうです。
そう言うことがよくあるくらい、音楽に満ち溢れた町だったのですね。
ところがそれが毎晩続く。
毎晩毎晩、夜になるとどこからともなく鳴り響き始め、そして夜が明けるとともにどこへやらと掻き消えてしまう。
どうにも奇妙な事ですけれど、その音色の見事なこともあって、街の住人は不思議に思いながらもそっとその響きに耳を傾けていたそうです。悠長な方々ですね。
しかしどうにもその不思議な音色が続くたびに、人々はだんだんと生気を奪われたかのように力が抜けていってしまい、気づけば今ではあのように、歩くのさえも億劫だ、呼吸するのも面倒くさいと言わんばかりに枯れ果ててしまったようです。
もう少し早い段階で冒険屋が何組か原因の調査に乗り出したようでしたけれど、その冒険屋たちさえも音色の魔力に生気を奪われてしまって、結局原因の究明には辿り着かなかったのだそうでした。
そして今では出がらしのようになった冒険屋たちは満足に働くこともできず、そもそも住人達も冒険屋に依頼を出すだけの元気もなく、町全体憂鬱状態の陰気な町になり果ててしまったのだそうでした。
それだけ話し終えるのにも随分と体力を使ったようで、受付台に突っ伏したまま受付嬢はもごもごと続けました。
「そんなわけで、いまこの町は観光どころか滞在するにも向かないので、商人たちもみんなほとんど素通りという訳ですよ」
これは、そう、つまり、そういうことです。
冒険の匂いがしますよ、これは。
用語解説
・ムジコ(Muziko)
プラート男爵領にある音楽の町。
男爵の援助もあって音楽が非常に推奨されており、住民のほとんどは楽器を扱える。
・冒険屋組合の支部
冒険屋の事務所をまとめる冒険屋組合は、ある程度大きな町には必ず支部を置いている。
その支部では冒険屋口座の扱いや、町から集められた依頼の仲介などが行われている。
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