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エリザ王女とマリル、それぞれが抱く使命
魔女見習いは王女の復讐の依頼を受けた
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「どうして、フランセン王国の王女さまがブリティアン王国の皇太子を選ぶのですか?」
マリルの問いかけに、エリザ王女が話したのは、国家機密ともいえるものだった。
エリザ王女の大叔母エレインは、十七歳のときにブリティアン王国に嫁ぎ、前王との間に現国王であるパウロンともう一人王子を儲けた。
前王亡き後は、王城から馬車で二時間ほどの距離にあるラインブリッジの領に下り、ラインブリッジ公爵夫人として領土を収めている。
その大叔母から、エリザ王女の父であり、フランセン王国の国王であるロランに宛てて、密書が届いたのは約一年前。ブリティアン王国の第二王子のアルバートと第三王子のザイアンが、皇太子の継承権を得られる十八歳の誕生日を迎える前に、王妃ガルレアが自分の生んだ第一王子のハインツを皇太子にしようと企み、議会のメンバーの諸侯に圧力をかけているという内容が認めてあった。
皇太子を決めるのは国王の一存ではならず、議会の承諾もいる。以前は政務に勤しんでいたパウロン王が、このところ人が変わったようにシークレットパーティーに入り浸って酒と女に溺れているのを知っている議会のメンバーたちは、王が正常な判断を持って皇太子を選べるとは思っていなかった。また、そのパーティーを裏で手配しているのが、王妃ガルレアだというから世も末だ。
堪りかねた議会のメンバーたちは、代表者を立てて、ラインブリッジ公爵夫人に相談することにした。
もし、ハインツに人を統べる力か、国を発展させていけるような先見の目があれば、議会のメンバーも退位した元王妃を頼ったりしなかっただろう。
ハインツは、国を背負う王たる資質は皆無で、しかも王妃の操り人形ときている。
それだけでなく一番の懸念は、王妃が頻繁に訪れる祖国ジャンマンの使者を通して、ブリティアン王国の領土をいかに損失なく手に入れられるかタイミングを計っているのではないかということだ。
議会のメンバーたちは、ガルレア王妃に目をつけられないように気を配り、何度もケンブリッジ公爵の館を訪ねて、ハインツが立太子するのを防ぐ手立てを相談した。
その結果、ラインブリッジ公爵夫人は、ブリティアン王国を正しく導ける王子を皇太子にするために、ロラン国王の知恵をお貸し頂きたいと、密書で切々と訴える方法を取った。
「それでも、フランセンの国王が表立って他国の政に介入するわけにもいかないので、お父さまは考えた末、私にブリティアン王国の王子との政略結婚を命じました。三人の王子の中で、私がもっとも優れていると思った者を夫に選び、その者を皇太子にするという条件を、ブリティアン王国の議会のメンバーから国王に上手く進言して、認めさせたのです」
エリザ王女の話を黙って聞いていたサンサが、う~むと唸って首を振った。
「この国のために身を犠牲にして嫁いでくれようとしたのに、皇太子候補から命を絶たれたというのか。あなたの怒りはもっともだし、犯人を殺したいほど憎む気持ちはよく分かる。知らなかったこととはいえ、あなたの態度を批判して申し訳なかった」
「いえ、憎しみが先走るあまりに、まだ十二歳の女の子が粛清の手伝いをしてくれないからといって、激した私にも非があります。普段はここまでわがままではないのです。ただ、悔しくて……。私で少しでも役に立てるならと、見知らぬ国で生きる覚悟をしたのに、あんな殺され方をするなんて、ただ、ただ辛くて、憎くて堪らなくなるのです」
涙を流すエリザに、マリルが抱きついた。
「ごめんね、ごめんね。王女さま。何とかしてあげたいけれど、殺さなきゃだめ? 王子として威厳をなくすぐらい、みんなの前で恥ずかしめるのではだめかな? 王女さまの気持ちも晴れるかもしれないし、私も契約を無視した形にならないから、魔力量を失うことも、殺人で闇堕ちすることもなくなるわ」
「でも生かしておけば、また私は命を狙われるかもしれないのよ。私がアルバート王子を許せないのは、親切めいた密書で私たちを懐柔して、騙し討ちにしたからです」
「密書? ラインブリッジ公爵夫人だけではなく、アルバート王子からも密書が送られてきたんですか?」
「ええ。王子の密書には、良からぬことを企むものがいて、道中で王女のすり替えを狙っているとありました」
「王女のすり替えですって? そんな大胆なことを企む人がいるなんて信じられない。フランセン国王はその嘘を信じたんですか?」
マリルの驚きはもっともで、フランセン国王と重鎮たちで密かにアルバート王子の身辺を調査したことを、エリザ王女は語った。
その結果、文武に秀で冷静沈着。何度も暗殺の憂き目にあいながら、うまく立ち回って生き抜いた王子であることが分かった。
送られてきた密書の文面にも余計な駆け引きやおもねりはなく、立場を考慮しながらの密告は誠実であり、ラインブリッジ公爵夫人の宮廷内部を認めた手紙と照らしあわせても、嘘偽りはないように感じられるものだった。
「何度かやり取りをして、私たちはアルバ―ト王子を信じることに決めました。万が一私が窮地に陥ったときに私が本物であると分かるよう、フルランセン式の絵画が描かれた馬車ではなく、できるだけシンプルな白い馬車で来て欲しいという指示にも従ったのです。自分の胸に矢が突き刺さるまで、罠だとも疑いもしなかった。痛みとどうしてという疑問で混乱する中で、足音を聞いた私はとっさに目を閉じて意識の無いふりをしました。おかげで、私を殺した犯人を知ったのです」
―——アルバート、お前のせいだ。お前がエリザ王女を殺したんだ―――
「その言葉は私も聞きました。でもどうしてアルバート王子はエリザ王女さまを殺さなければならなかったの? 密書で信頼を得ていたならば、自分が皇太子に選ばれる可能性があったのに」
マリルの疑問を聞き、サンサが確かになと相づちを打った。
「第一王子のハインツと第三王子のザイアンは後ろ盾がしっかりしているが、第二王子のアルバートの母君のご実家は、あまり裕福ではない子爵家だと聞いたことがある。身分上、ハインツに従うしかなかったのかもしれない。それにこの度の縁組が、ハインツ王子を皇太子から外すことだとガルレア王妃に知れていたら、ガルレア王妃に邪魔者を消すように命じられ、アルバート王子が動いた可能性がある」
マリルは粟立つ腕をさすりながら、エリザ王女に同情の目を向けた。
「お師匠さまが、宮廷は夢を抱くようなところじゃないと言った意味がよく分かりました。ひょっとして今回のことはルーカス大魔導師にも関係あるのでは? お師匠さまの加護魔法が破れたのとタイミングが合い過ぎて、怖いです」
「私もそれを考えていた。マリルに黙っていたが、私は魔術管理委員会の役員の一人で、ルーカスのように魔術を使って悪を働く者を制する役割を担っている」
「はい? 何ですかそれ? 聞いたことがありません」
マリルは学校で習ったことや、指南書の内容をざっと思い返してみたが、魔術管理委員会などという名前は記憶になかった。どうして、教えてくれなかったのだと不満気に訴えると、マリルは困ったように笑った。
「それはな、国の秘密機関の一つだから、身近な人間にも伝えてはいけないのだ。闇堕ちした魔術師に接近して拘束するにも、正体がバレてしまっていては逃げられてしまうからな、
その委員会の存在もメンバーもメンバー以外には秘密にされている」
「じゃあ、どうして規則を破って、私に秘密を話したの?」
「マリルに頼みたいことがあるからだ。エリザ姫と王宮に入ってルーカスが今回の件に関与した証拠を探して欲しい。どんな小さなことでもいい。後は私が引き継いで、奴から魔術を奪い、魔術界から追放する手筈を整える。最初から私が踏み込めば、さすがのルーカスもただごとではないと分かって姿を消すかもしれないだろうから、頼みの綱はエリザ王女さまとマリルだけだ」
マリルとエリザ姫は互いに顔を見合わせ、ごくりと唾を飲んだ。
「もし、私とエリザ姫さまが証拠を見つけられなかったらどうなるの? 証拠がなくても、大魔導師ルーカスを捕らえて吐かせられないのですか?」
「吐くと思うか? 吐くのを待っているうちに、ことは悪化する。悪事に手を染めた魔術師にはどんどん魔が寄ってきて、ますます悪の思考を止められなくなるのだ。こちらが殺さぬように手加減しても、あちらは逃げおおせるために本気で殺しにかかる。私がもし倒れても、ほんのちいさな証拠でもあれば、魔術管理委員会の誰かがあとを引き継いで、あいつを無力化してくれる」
サンサが倒れる? そんなことはないと反論しかけて、マリルはぐっと言葉を飲み込んだ。例え今はサンサの魔術力がルーカスを上回っているとしても、悪の力と思考を取り入れたルーカスがどれほど強くなるかは誰にもわからない。
行く当てのないマリルを弟子としてかわいがってくれたサンサに報いる機会は、最初で最後になるかもしれないのだ。
「お師匠様が生きていてくれるなら、私は一生弟子でも構いません。だから絶対に証拠を掴んでみせます」
「ありがとう、マリル。頼みましたよ。エリザ王女さま、アルバート王子も憎いだろうが、もし今度のことにルーカスが絡んでいるとしたら、悪の根源を絶たなければ、あなたがブリティアン王国で安らげる日はないだろう。マリルを王城に連れていってやってくれますか」
エリザ王女は、サンサから魔導師ルーカスの話を聞くうちに無口になり、じっと考える様子を見せていたが、サンサの問いかけに顔を上げた。その目は意志を持って輝いていた。
「そちらがルーカス大魔導師をやっつけるつもりなら、私も自分の敵をやっつけるつもりで行きます。いつかアルバート王子とハインツ王子とガルレア王妃を屠るために、ザイアン王子を伴侶に選んで味方につけようと思います。そのためには、私も彼らが悪事を働いた証拠が欲しい。マリル、私が危ない時に魔法で守ってくれるなら、あなたをコンパニオンとして連れて行きましょう」
マリルの問いかけに、エリザ王女が話したのは、国家機密ともいえるものだった。
エリザ王女の大叔母エレインは、十七歳のときにブリティアン王国に嫁ぎ、前王との間に現国王であるパウロンともう一人王子を儲けた。
前王亡き後は、王城から馬車で二時間ほどの距離にあるラインブリッジの領に下り、ラインブリッジ公爵夫人として領土を収めている。
その大叔母から、エリザ王女の父であり、フランセン王国の国王であるロランに宛てて、密書が届いたのは約一年前。ブリティアン王国の第二王子のアルバートと第三王子のザイアンが、皇太子の継承権を得られる十八歳の誕生日を迎える前に、王妃ガルレアが自分の生んだ第一王子のハインツを皇太子にしようと企み、議会のメンバーの諸侯に圧力をかけているという内容が認めてあった。
皇太子を決めるのは国王の一存ではならず、議会の承諾もいる。以前は政務に勤しんでいたパウロン王が、このところ人が変わったようにシークレットパーティーに入り浸って酒と女に溺れているのを知っている議会のメンバーたちは、王が正常な判断を持って皇太子を選べるとは思っていなかった。また、そのパーティーを裏で手配しているのが、王妃ガルレアだというから世も末だ。
堪りかねた議会のメンバーたちは、代表者を立てて、ラインブリッジ公爵夫人に相談することにした。
もし、ハインツに人を統べる力か、国を発展させていけるような先見の目があれば、議会のメンバーも退位した元王妃を頼ったりしなかっただろう。
ハインツは、国を背負う王たる資質は皆無で、しかも王妃の操り人形ときている。
それだけでなく一番の懸念は、王妃が頻繁に訪れる祖国ジャンマンの使者を通して、ブリティアン王国の領土をいかに損失なく手に入れられるかタイミングを計っているのではないかということだ。
議会のメンバーたちは、ガルレア王妃に目をつけられないように気を配り、何度もケンブリッジ公爵の館を訪ねて、ハインツが立太子するのを防ぐ手立てを相談した。
その結果、ラインブリッジ公爵夫人は、ブリティアン王国を正しく導ける王子を皇太子にするために、ロラン国王の知恵をお貸し頂きたいと、密書で切々と訴える方法を取った。
「それでも、フランセンの国王が表立って他国の政に介入するわけにもいかないので、お父さまは考えた末、私にブリティアン王国の王子との政略結婚を命じました。三人の王子の中で、私がもっとも優れていると思った者を夫に選び、その者を皇太子にするという条件を、ブリティアン王国の議会のメンバーから国王に上手く進言して、認めさせたのです」
エリザ王女の話を黙って聞いていたサンサが、う~むと唸って首を振った。
「この国のために身を犠牲にして嫁いでくれようとしたのに、皇太子候補から命を絶たれたというのか。あなたの怒りはもっともだし、犯人を殺したいほど憎む気持ちはよく分かる。知らなかったこととはいえ、あなたの態度を批判して申し訳なかった」
「いえ、憎しみが先走るあまりに、まだ十二歳の女の子が粛清の手伝いをしてくれないからといって、激した私にも非があります。普段はここまでわがままではないのです。ただ、悔しくて……。私で少しでも役に立てるならと、見知らぬ国で生きる覚悟をしたのに、あんな殺され方をするなんて、ただ、ただ辛くて、憎くて堪らなくなるのです」
涙を流すエリザに、マリルが抱きついた。
「ごめんね、ごめんね。王女さま。何とかしてあげたいけれど、殺さなきゃだめ? 王子として威厳をなくすぐらい、みんなの前で恥ずかしめるのではだめかな? 王女さまの気持ちも晴れるかもしれないし、私も契約を無視した形にならないから、魔力量を失うことも、殺人で闇堕ちすることもなくなるわ」
「でも生かしておけば、また私は命を狙われるかもしれないのよ。私がアルバート王子を許せないのは、親切めいた密書で私たちを懐柔して、騙し討ちにしたからです」
「密書? ラインブリッジ公爵夫人だけではなく、アルバート王子からも密書が送られてきたんですか?」
「ええ。王子の密書には、良からぬことを企むものがいて、道中で王女のすり替えを狙っているとありました」
「王女のすり替えですって? そんな大胆なことを企む人がいるなんて信じられない。フランセン国王はその嘘を信じたんですか?」
マリルの驚きはもっともで、フランセン国王と重鎮たちで密かにアルバート王子の身辺を調査したことを、エリザ王女は語った。
その結果、文武に秀で冷静沈着。何度も暗殺の憂き目にあいながら、うまく立ち回って生き抜いた王子であることが分かった。
送られてきた密書の文面にも余計な駆け引きやおもねりはなく、立場を考慮しながらの密告は誠実であり、ラインブリッジ公爵夫人の宮廷内部を認めた手紙と照らしあわせても、嘘偽りはないように感じられるものだった。
「何度かやり取りをして、私たちはアルバ―ト王子を信じることに決めました。万が一私が窮地に陥ったときに私が本物であると分かるよう、フルランセン式の絵画が描かれた馬車ではなく、できるだけシンプルな白い馬車で来て欲しいという指示にも従ったのです。自分の胸に矢が突き刺さるまで、罠だとも疑いもしなかった。痛みとどうしてという疑問で混乱する中で、足音を聞いた私はとっさに目を閉じて意識の無いふりをしました。おかげで、私を殺した犯人を知ったのです」
―——アルバート、お前のせいだ。お前がエリザ王女を殺したんだ―――
「その言葉は私も聞きました。でもどうしてアルバート王子はエリザ王女さまを殺さなければならなかったの? 密書で信頼を得ていたならば、自分が皇太子に選ばれる可能性があったのに」
マリルの疑問を聞き、サンサが確かになと相づちを打った。
「第一王子のハインツと第三王子のザイアンは後ろ盾がしっかりしているが、第二王子のアルバートの母君のご実家は、あまり裕福ではない子爵家だと聞いたことがある。身分上、ハインツに従うしかなかったのかもしれない。それにこの度の縁組が、ハインツ王子を皇太子から外すことだとガルレア王妃に知れていたら、ガルレア王妃に邪魔者を消すように命じられ、アルバート王子が動いた可能性がある」
マリルは粟立つ腕をさすりながら、エリザ王女に同情の目を向けた。
「お師匠さまが、宮廷は夢を抱くようなところじゃないと言った意味がよく分かりました。ひょっとして今回のことはルーカス大魔導師にも関係あるのでは? お師匠さまの加護魔法が破れたのとタイミングが合い過ぎて、怖いです」
「私もそれを考えていた。マリルに黙っていたが、私は魔術管理委員会の役員の一人で、ルーカスのように魔術を使って悪を働く者を制する役割を担っている」
「はい? 何ですかそれ? 聞いたことがありません」
マリルは学校で習ったことや、指南書の内容をざっと思い返してみたが、魔術管理委員会などという名前は記憶になかった。どうして、教えてくれなかったのだと不満気に訴えると、マリルは困ったように笑った。
「それはな、国の秘密機関の一つだから、身近な人間にも伝えてはいけないのだ。闇堕ちした魔術師に接近して拘束するにも、正体がバレてしまっていては逃げられてしまうからな、
その委員会の存在もメンバーもメンバー以外には秘密にされている」
「じゃあ、どうして規則を破って、私に秘密を話したの?」
「マリルに頼みたいことがあるからだ。エリザ姫と王宮に入ってルーカスが今回の件に関与した証拠を探して欲しい。どんな小さなことでもいい。後は私が引き継いで、奴から魔術を奪い、魔術界から追放する手筈を整える。最初から私が踏み込めば、さすがのルーカスもただごとではないと分かって姿を消すかもしれないだろうから、頼みの綱はエリザ王女さまとマリルだけだ」
マリルとエリザ姫は互いに顔を見合わせ、ごくりと唾を飲んだ。
「もし、私とエリザ姫さまが証拠を見つけられなかったらどうなるの? 証拠がなくても、大魔導師ルーカスを捕らえて吐かせられないのですか?」
「吐くと思うか? 吐くのを待っているうちに、ことは悪化する。悪事に手を染めた魔術師にはどんどん魔が寄ってきて、ますます悪の思考を止められなくなるのだ。こちらが殺さぬように手加減しても、あちらは逃げおおせるために本気で殺しにかかる。私がもし倒れても、ほんのちいさな証拠でもあれば、魔術管理委員会の誰かがあとを引き継いで、あいつを無力化してくれる」
サンサが倒れる? そんなことはないと反論しかけて、マリルはぐっと言葉を飲み込んだ。例え今はサンサの魔術力がルーカスを上回っているとしても、悪の力と思考を取り入れたルーカスがどれほど強くなるかは誰にもわからない。
行く当てのないマリルを弟子としてかわいがってくれたサンサに報いる機会は、最初で最後になるかもしれないのだ。
「お師匠様が生きていてくれるなら、私は一生弟子でも構いません。だから絶対に証拠を掴んでみせます」
「ありがとう、マリル。頼みましたよ。エリザ王女さま、アルバート王子も憎いだろうが、もし今度のことにルーカスが絡んでいるとしたら、悪の根源を絶たなければ、あなたがブリティアン王国で安らげる日はないだろう。マリルを王城に連れていってやってくれますか」
エリザ王女は、サンサから魔導師ルーカスの話を聞くうちに無口になり、じっと考える様子を見せていたが、サンサの問いかけに顔を上げた。その目は意志を持って輝いていた。
「そちらがルーカス大魔導師をやっつけるつもりなら、私も自分の敵をやっつけるつもりで行きます。いつかアルバート王子とハインツ王子とガルレア王妃を屠るために、ザイアン王子を伴侶に選んで味方につけようと思います。そのためには、私も彼らが悪事を働いた証拠が欲しい。マリル、私が危ない時に魔法で守ってくれるなら、あなたをコンパニオンとして連れて行きましょう」
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追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
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