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命の色
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翌日、ICUに行くと、美咲は思いのほか元気なようで、ドアの外から看護師と一緒に笑う美咲の声が聞こえた。笑い声を聞くのは久しぶりだ。
フラフラと引き込まれるようにドアをスライドすると、美咲が大悟の姿を見つけて手を振った。
元気よく振られた手と顔色を見て安心し、すばやく廃液袋に目をやると、脳脊髄液の赤い色が薄くなっていた。
斎賀医師が入ってきて、もう大丈夫だから脳脊髄液を抜くのはやめましょうと俺に告げた。
心配はあったが、血管収縮はいつ起こるか分からない。血管を拡張し、血液をさらさらにする薬は必要なのだろうと思い、俺は黙って頷いた。
液を抜くのを止め、脳内の圧力が高まったせいか、美咲は再び頭が痛いと言って、食事も食べたくないと言った。
「少しでも食べろよ。強い薬を飲むんだ。食べないと胃が荒れるぞ」
大悟は水分のあるうどんをスプーンで短く切って、美咲の口に運ぶ。
美咲は大悟の真剣さに押され、口をあき、うどんだけでなく豆腐や、ホウレンソウの和え物、果物も、少しずつだが、ゆっくり咀嚼して食べた。
フラフラと引き込まれるようにドアをスライドすると、美咲が大悟の姿を見つけて手を振った。
元気よく振られた手と顔色を見て安心し、すばやく廃液袋に目をやると、脳脊髄液の赤い色が薄くなっていた。
斎賀医師が入ってきて、もう大丈夫だから脳脊髄液を抜くのはやめましょうと俺に告げた。
心配はあったが、血管収縮はいつ起こるか分からない。血管を拡張し、血液をさらさらにする薬は必要なのだろうと思い、俺は黙って頷いた。
液を抜くのを止め、脳内の圧力が高まったせいか、美咲は再び頭が痛いと言って、食事も食べたくないと言った。
「少しでも食べろよ。強い薬を飲むんだ。食べないと胃が荒れるぞ」
大悟は水分のあるうどんをスプーンで短く切って、美咲の口に運ぶ。
美咲は大悟の真剣さに押され、口をあき、うどんだけでなく豆腐や、ホウレンソウの和え物、果物も、少しずつだが、ゆっくり咀嚼して食べた。
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