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放課後勉強
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しおりを挟むだけど3人でいることが当たり前で楽しくて、小・中・高とずっとつるんでいた。高校で同じクラスにもなれたことが偶然であったとしても喜ばずにはいられない。運命だっ!と谷垣は笑いながら言っていたけど、俺と山田は気持ち悪いと言いながらも嬉しく笑っていた。
二人が居てくれることは俺の元気の源とも言える。
失いたくない、とても大切な存在だと言うのに、何一つ真実を告げれない俺は、本当の友人なのかと疑問に思う毎日でもあった。
一時間目の授業が終わってすぐ、俺は二人に職員室に行ってくると告げた。二人は「ついていこうか?」と言ってくれたが俺自身の問題に二人に迷惑をかけたくなくて「大丈夫」と笑って返事を返した。
(呼ばれた理由は一つしかない・・・・どーやって誤魔化すかな・・・・)
職員室に入ってすぐに担任と目が合い、俺はスキップしながら不機嫌そうな表情を浮かべる担任の元へと向かう。
「長谷川、なんで呼ばれたか分かるか?」
先生の真面目な顔を見て俺自身も笑うことをやめ真面目に答えた。
「すみません、学校にお菓子を持ってきたことですよね?」
「・・・・お菓子、持って来てるのか?」
「はいっ!!どうにもこうにもお腹が空いてしまうので!!」
「それじゃない!!いや、お菓子も持ってきたらダメだが、そのことじゃない!!成績のことだ!!」
「・・・・あ~はい」
やっぱり。なんとか誤魔化しこの場から逃げたかったが最初から無理な話なのだ。
先生が話す言葉に俺は申し訳ない気持ちで耳を傾けた。
「この間の中間テスト、赤点こそは免れてるがほとんどが30点代。順位も最下位・・・・なんでなんだ」
「へ?」
「入学当初は学年トップだったそうじゃないか・・・・」
俺から目線を逸らし手元にある用紙を見つめ深いため息をつく先生。
ため息をつきたい気持ち、俺自身よく分かる。
確かに俺は高校入学時は学年上位の成績であったが、それは最初だけ。次のテストからは上位から最下位へと転落してしまったのだ。
当時、1年の担任やら学年主任やらが騒ぎ立て、よく呼び出しをくらったことを思い出す。
「へへへ、すみません・・・・」
「はぁ・・・・そんな気の抜けた返事をするな。ちゃんと勉強してるのか?授業態度も悪くない、宿題だってちゃんと提出している・・・・何か悩みでもあるんじゃないのか?」
『悩み』その単語が耳に入るなり、俺の身体は強張ってしまう。
流石、矢吹先生だ。俺はどこまでこの担任に隠し通せるのだろうかと少し心配になるも、
「悩みなんてないっすよ~。上位に上がれたのもまぐれっすよ」
「・・・・でもな長谷川」
「んじゃ俺戻りまっす!」
「あ!おい長谷川!まだ話は終わってないぞ!!」
俺は振り返ることもなく担任の矢吹先生から逃げ出した。これ以上聞きたくなかったし、バレたくもない。
これは俺だけの問題なのだから。
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