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第二章

第71話 フルチャージ

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 数日が経過した。魔力の変換は順調に進み、この身体の魔力コアである、太陽の魔石はフルチャージを果たした。

「やった、やったぞ! シルビーよ、君のおかげでロボさんと少年との約束を果たすことが出来た」

『それはおめでとうございます』

「うむ、ありがとう、これで俺の一つ目の目的である魔力の補充は完了した!」

『一つ目ですか? あなたは勇者としての力を取り戻したのですよ? 他に何があるのですか?』

「うむ、まさにそれだ、正直いって魔力の確保は、ある程度やりようはあるからそこまで問題じゃないんだ、……そうだな、君には悪いがそれこそ自然エネルギーとか、そういうので代用しようと思ってたくらいだ」

『自然エネルギーですか? それはのんびりな話ですね、話に聞くとこの世界の技術は原始時代に戻ってるそうですが、それで、自然エネルギーでしょうか? 石炭や石油でも掘るのですか? 機械の私でも爆笑してしまいそうですが?』

 露骨に馬鹿にされてるが、一つ発見があった、石炭は自然エネルギーだったか……。たしかにな、俺のいた地球では自然エネルギーって何だっけか……。

「うむ、それでも何とかなる目途はあるんだ、まあ、核融合とかそういう自然エネルギーはこれから実験しようと思ってた」

『オゥ! マスター! これはご無礼を、自然エネルギーを曲解しておりました。やはり、勇者様はこの時代の技術からは逸脱しておられるようです、核融合は最も効率のよい技術でしょう』

(そうです、謎のコンピューター、シルビーとやら、マスターはすばらしいのですよ? 馬鹿にしないでください)

 普段なら絶対言わない俺への擁護……、まあ、身内に対しては辛口なロボさんだけども外部の者に対しては、俺に対してのリスペクトはあるのだろう、……初めて聞いたがな。

「まあ、それはそうだが、話を戻そう、ぶっちゃけると一番の問題は俺なんだよ、おかしいだろう? この身体は俺の物じゃない、ロボさんに返さないといけないのだが、未だにその目途が立たない」

(マスター……、私としてはそれは優先順位は低いと思いますが、それにマスターが私に身体を返すということはマスターの居場所がなくなってしまいます、今さら消失エンドは勘弁してほしいですよ?)

『なるほど、なるほど、当代の勇者様は色々問題があるようですね。それでも時間的な猶予はあるようですし、失礼ながら助言させてもらうと、それは時間が解決するのでは?』

(それは同意です、とりあえずマスターには、シルビアを生涯にわたって幸せにするという義務があります)

 うん、それはおっしゃる通りだ、でもそんな言い方されると緊張してしまうぞ。結婚はもっとライトな感じにならないのか……。

『オゥ! マスター、結婚を控えていらっしゃいましたか、ワタクシとしては様々なプランをご用意して……、あれやこれや、ブライダルプランニング等、お任せください』

「ロボさん! こいつは何をいっているんだ?」
(マスター、そこは、ぼやかさなくてもよいのでは、結婚はライト感覚で、では先が思いやられます、覚悟してください。そういうとこですよ? これまで散々ハーレム系主人公に対してディスってたではないですか)

「ぐぬぬ、それはそうだが、あれ、なんの話をしてたんだっけ?」

『マスターは結婚に対しての幻想があるようですね、それは悪い事ではないのですが私から助言させていただきますと――』
(マスター、それは今、聞く必要は有りません、どうせそうなるのですから今聞く必要などありません)

 おい、結婚することに対しての認識が厳しいのでは? そんなこと言われると今から鬱だぞ。まあ、俺を最優先してくれるのはありがたいが……。

 ……まあ、その程度なら俺も受け入れるよ。その程度ならな……。
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