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第四章 カルルク帝国
第62話 冬の冒険者②
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目的地に着いた。
フロストベアは巨大な熊のような姿をしてる。その体は厚い白い毛皮で覆われ、凍結した氷の結晶が体表に現れている。
巨大な爪と牙を持ち、立ち上がると3メートルを超えることもある。
フロストベアは城壁の付近をうろうろしているようだ。奴らが城門を発見したら大変だ。
「よし、やるぞシャルロット」
「ええ、まっかせなさい!」
二体のフロストベアは俺達が近づくと警戒態勢をとる。やはり魔物だ、その辺の感覚は人間よりも優れている。
「まずは先制攻撃よ。くらえ! 『ヘルファイア』!」
シャルロットは連続で2発のヘルファイアを放つ。
魔法が着弾すると二本の大きな火柱が立つ。
その炎は周りの雪を蒸発させ、周辺の空間は水蒸気の煙に覆われた。
視界が悪い。だが炎はフロストベアの弱点属性だ、魔法使いの戦いとしては正しい。
だが地形を考慮すれば悪手とも言える。実戦は教科書通りにはいかないか。
反省はあとだ。火柱の中から一体がこちらに突っ込んでくる。奴はシャルロットを狙っている
「ヘイスト!」
俺は素早く強化魔法を唱え。シャルロットの前に立ち、フロストベアの鋭い爪の一撃を受け止める。
「シャルロット! もう一体どこかにいる。警戒を怠るな」
「わ、わかったわ。くそ。魔法を間違えた! こんなはずじゃ!」
「反省は後だ、今は戦いに集中するんだ!」
目の前のフロストベアは両手を器用に使い攻撃を繰り返す。
弱点属性の炎の魔法をまともに喰らったはずなのに弱っているそぶりはない。
それにもう一体はどこだ? 水蒸気で良く見えない。
水蒸気……そうか。地形の効果だ、いくら強力な火炎魔法でも周りの雪を巻き込んでしまって威力が大幅に落ちたのだ。
俺は砂漠で水魔法の効果が弱くなっていたのを思い出した。
次の瞬間。
目の前の一体は大きく息を吸い込んだ。フロストベアの最大の攻撃『氷の咆哮』だ。
強力な吹雪を浴びせる魔物の固有スキル。
「シャルロット! 防御魔法!」
「ええ、『マジックシールド』!」
間一髪、マジックシールドのおかげで致命傷は避けたが。剣を持ってる俺の両手は氷に覆われてしまった。
両手から突き刺すような痛みを感じる。
指先の感覚がない。まるで両手がもげてしまったかのようだ。
「カイル! 両手を見せて!『グレーターヒール』!」
咄嗟にシャルロットが回復魔法を掛けてくれたおかげで痛みは消え。指先まで温かい血の流れを感じる。
俺は両手に力を入れ氷を割る。
シャルロットの息が荒い。魔法を連続で使い過ぎたのだろう。
だがおかげでチャンスが生まれた。
奴は最大の一撃を放って動きが止まった。
そして俺は剣を水平に構える。
セバスティアーナさんに習った通りに。気を集中させる。
「いくぞ! モガミ流忍術・表。壱の太刀『牙』!」
闘気をまとわせた剣の切っ先はフロストベアの胸部を突き刺し、そのまま心臓を貫いた。
背中まで貫通させるにはまだまだ威力が足りなかったが、一応は完成だ。
「よし、このままもう一体だ」
俺は突き刺した剣を引き抜こうと両手に力を入れる。
だが、そのまま手に込めた力は中空に霧散した。
剣が俺の握っている柄の直ぐ上、刀身の根本から折れてしまったのだ。
……こんな時に。
もう一体いるというのに。
いつの間にか水蒸気の煙は消えて、視界は良好になっていた。
もう一体は少し離れた場所でうずくまっている。
奴の足元の地面にはナイフのような刃物が刺さっていた。
あの武器はセバスティアーナさんが服の中に隠している搭適用のナイフだ。
たしかクナイと言っていた。
なるほど『影縫い』で動きを止められていたのだ。
「シャルロット様、雪が積もるほどの地形では炎の攻撃魔法は弱くなります。つまりは逆もあるということです。お分かりですね?」
「ええ、ありがとう、勉強になったわ。『アイスジャベリン』!」
シャルロットが放つ氷の槍は普段よりも鋭く、そして大きかった。その槍は真っすぐにもう一体のフロストベアの胸部を貫いた。
「お見事です。任務完了ですね。街に戻りましょうか」
帰りの道中。シャルロットは俺に言った。
珍しく落ち込んでいた。
「ねえ……今回は私、失敗しちゃった……。貴方に怪我もさせたし……」
「いや、後半は上手くいってた。立て直せたさ。それに、俺も戦いの最中に剣を折るなんて剣士失格だ。もっと強くならないと」
そうだ、俺達はまだまだ成長途中なんだ。幸いにも教えてくれる人がいる。
これから頑張ろう。二人で。
フロストベアは巨大な熊のような姿をしてる。その体は厚い白い毛皮で覆われ、凍結した氷の結晶が体表に現れている。
巨大な爪と牙を持ち、立ち上がると3メートルを超えることもある。
フロストベアは城壁の付近をうろうろしているようだ。奴らが城門を発見したら大変だ。
「よし、やるぞシャルロット」
「ええ、まっかせなさい!」
二体のフロストベアは俺達が近づくと警戒態勢をとる。やはり魔物だ、その辺の感覚は人間よりも優れている。
「まずは先制攻撃よ。くらえ! 『ヘルファイア』!」
シャルロットは連続で2発のヘルファイアを放つ。
魔法が着弾すると二本の大きな火柱が立つ。
その炎は周りの雪を蒸発させ、周辺の空間は水蒸気の煙に覆われた。
視界が悪い。だが炎はフロストベアの弱点属性だ、魔法使いの戦いとしては正しい。
だが地形を考慮すれば悪手とも言える。実戦は教科書通りにはいかないか。
反省はあとだ。火柱の中から一体がこちらに突っ込んでくる。奴はシャルロットを狙っている
「ヘイスト!」
俺は素早く強化魔法を唱え。シャルロットの前に立ち、フロストベアの鋭い爪の一撃を受け止める。
「シャルロット! もう一体どこかにいる。警戒を怠るな」
「わ、わかったわ。くそ。魔法を間違えた! こんなはずじゃ!」
「反省は後だ、今は戦いに集中するんだ!」
目の前のフロストベアは両手を器用に使い攻撃を繰り返す。
弱点属性の炎の魔法をまともに喰らったはずなのに弱っているそぶりはない。
それにもう一体はどこだ? 水蒸気で良く見えない。
水蒸気……そうか。地形の効果だ、いくら強力な火炎魔法でも周りの雪を巻き込んでしまって威力が大幅に落ちたのだ。
俺は砂漠で水魔法の効果が弱くなっていたのを思い出した。
次の瞬間。
目の前の一体は大きく息を吸い込んだ。フロストベアの最大の攻撃『氷の咆哮』だ。
強力な吹雪を浴びせる魔物の固有スキル。
「シャルロット! 防御魔法!」
「ええ、『マジックシールド』!」
間一髪、マジックシールドのおかげで致命傷は避けたが。剣を持ってる俺の両手は氷に覆われてしまった。
両手から突き刺すような痛みを感じる。
指先の感覚がない。まるで両手がもげてしまったかのようだ。
「カイル! 両手を見せて!『グレーターヒール』!」
咄嗟にシャルロットが回復魔法を掛けてくれたおかげで痛みは消え。指先まで温かい血の流れを感じる。
俺は両手に力を入れ氷を割る。
シャルロットの息が荒い。魔法を連続で使い過ぎたのだろう。
だがおかげでチャンスが生まれた。
奴は最大の一撃を放って動きが止まった。
そして俺は剣を水平に構える。
セバスティアーナさんに習った通りに。気を集中させる。
「いくぞ! モガミ流忍術・表。壱の太刀『牙』!」
闘気をまとわせた剣の切っ先はフロストベアの胸部を突き刺し、そのまま心臓を貫いた。
背中まで貫通させるにはまだまだ威力が足りなかったが、一応は完成だ。
「よし、このままもう一体だ」
俺は突き刺した剣を引き抜こうと両手に力を入れる。
だが、そのまま手に込めた力は中空に霧散した。
剣が俺の握っている柄の直ぐ上、刀身の根本から折れてしまったのだ。
……こんな時に。
もう一体いるというのに。
いつの間にか水蒸気の煙は消えて、視界は良好になっていた。
もう一体は少し離れた場所でうずくまっている。
奴の足元の地面にはナイフのような刃物が刺さっていた。
あの武器はセバスティアーナさんが服の中に隠している搭適用のナイフだ。
たしかクナイと言っていた。
なるほど『影縫い』で動きを止められていたのだ。
「シャルロット様、雪が積もるほどの地形では炎の攻撃魔法は弱くなります。つまりは逆もあるということです。お分かりですね?」
「ええ、ありがとう、勉強になったわ。『アイスジャベリン』!」
シャルロットが放つ氷の槍は普段よりも鋭く、そして大きかった。その槍は真っすぐにもう一体のフロストベアの胸部を貫いた。
「お見事です。任務完了ですね。街に戻りましょうか」
帰りの道中。シャルロットは俺に言った。
珍しく落ち込んでいた。
「ねえ……今回は私、失敗しちゃった……。貴方に怪我もさせたし……」
「いや、後半は上手くいってた。立て直せたさ。それに、俺も戦いの最中に剣を折るなんて剣士失格だ。もっと強くならないと」
そうだ、俺達はまだまだ成長途中なんだ。幸いにも教えてくれる人がいる。
これから頑張ろう。二人で。
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