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ある一日
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まとわりつくような暑さも鳴りを潜め、散歩日和な天気が続く今日この頃。
明日は久し振りの休日なので普段あまり行かないような所まで足を伸ばそうと思い立ち、せっかくならとお弁当をつくって遠くに足を伸ばそうと思い立った。
仕事帰りにスーパーに寄って調達した食材たちは秋の味覚が多く、ちゃんと秋になったんだなとどこか感慨深くなりながらある程度料理をしておいた。栗の下処理は祖母がやっているのを簡単なところだけを手伝っていただけだったので、一から調べていろいろな手順と時間がかかることに驚く。自分で食べるだけなのでそこまで丁寧にする必要はないな、とあまり時間のかからない方法で進めていく。ひと段落つく頃には眠気で目が開かなかった気がする。
起きてからは急いでお米を洗って、栗と一緒に炊飯器に入れる。炊きあがるのを待つ間にグリルに鮭を二切れ入れて焼き、卵焼きを作る。色が足りない気がしたので卵に刻みネギをいれて一緒に焼き始める。母もよくお弁当に入れてくれたなぁと懐かしさにひたりながら、追加でほうれん草のごま和えも作り、他にも、作り置きしておいた人参とごぼうのきんぴらとプチトマトも入れる。トマトは中の種の部分が苦手なので切ってそこだけ取り出しておいた。
ごはん以外のおかずをお弁当箱に詰め終わったタイミングで炊飯器が炊き終わったのを教えてくれる。竹串を使って栗がちゃんとほくほくになっているのを確認した後、お弁当箱に入れて冷ましながら朝ご飯の分をお茶碗によそって食べた。さすがにお弁当に入れる分とまるきり同じ味なのは飽きると思ったので、お弁当の方にゴマ塩を振りかけておいた。
完成したお弁当をリュックに入れてキャップを被りお気に入りのスニーカーを履く。誰もいない空間に向かって「いってきます」とつぶやいたら、靴箱の上で花瓶にさしてあるシュウメイギクが揺れた気がした。
私の家の付近には小学校や公園、少し歩けば駅もある。が、川や山はない。幼い頃は親に連れられて祖父母の家の近くの山に探検に行ったりしていたこともあったが。
なんとなく山のほうに行きたくなり、行き先を気にせず電車に乗る。
車窓から外の景色をぼんやりと眺める。まだらにあった背の高い建物もだんだんなくなり、しばらくの間住宅街が続く。
途中で乗り換えたローカル線は座席が向かい合わせのタイプで、1人で4人席を占領するというちょっとした贅沢感を味わった。
なんとなく気になった駅で降りてみて、住宅街の家々の屋根の上からちらりと見える紅色の方に向かって歩いてみる。地図アプリを使わずに行ったので途中いくつか袋小路に迷い込んだりもしたが、そのうちの一つが猫の溜まり場で幸せな空間だった。
三毛、白、茶トラといろいろな種類の猫たちが、お互いに毛繕いしていたり日向ぼっこしていたり…と平和そのものな空間で、みんな人慣れしているらしく手を伸ばしたら撫でることができる距離まで近付いても逃げる子はいなかった。
白猫の前に手を差し出して匂いを嗅いでもらう。しばらくすると猫の方から頭をこすりつけてきた。その撫でて撫でて、というアピールに胸を打たれつつ逆らうことなくゆっくり撫でてあげる。
しばらく撫でていると満足したらしく、起き上がって伸びをする。そのまま立ち上がって路地の出口の方に歩き始める。そろそろ通りに出るというところで振り向いてきたので、私も立ち上がってついていく。他にも何匹かついてくる子たちもいるようだ。
しっぽを少し揺らしながらトコトコと進む後ろをついていくと、途中で塀の上に上って目線の高さが同じになったりマタタビしか生えていない空き地で足を止めたり。ゆったりとどこかに案内するかのように歩いていく。
しばらくそんな時間が流れた後、不意に白猫は塀の上でこちらを向いて座る。青色の中で瞳孔が少し広がった後にきゅう、と細くなる。その様子をじっと見ていたら、青色の中に紅がひらりと舞うのが見えた。はっとして周囲を見渡すと、一軒家よりも背の高い紅葉の木が植わっているちょっとした丘があった。
どうやら駅を出たときに見えた紅色はこの紅葉だったらしい。最初に何となく目指そうと思っていた場所に到着できた、ということだ。案内してくれた白猫にお礼を言おうと振り返ると、壁の向こうに消えていくしっぽしか見えなかった。猫らしく気まぐれにふらりとしているらしい。今度来た時になにかおやつをあげよう。
広場に入り木の根元の方まで歩いていく。かなり古い木らしくごつごつとした根があらわになっており、椅子のようなものもあった。かなり横の方に枝が広がっており根元であればどこも木陰になっているので、座ってお昼ご飯にすることにする。
猫たちとの交流で意外と時間がたっていたようで、太陽は真上から若干ずれた位置から、紅葉の葉を通り抜けてやさしい紅色に色付いた光を届けている。住宅街の周りを見渡してみると、川が横たわっているさらに奥の方にビル群が霞んで見えた。
持ってきたお弁当を開けて食べ始める。就職してからはお弁当を作る機会がほとんどなかったので冷えたときの味が少し心配だったが、ちゃんとおいしくてよかった。
食べながら川の方を改めて観察する。両岸の道にちらほらと屋台が並び先生に引率された子供たちがきゃいきゃいとはしゃいでいたり、多分桜であろう木の紅葉した葉が風にのって川にまで流れているのが見えたり。
食べ終わった後もゆったりと過ごす。目線で川の流れを辿っていると、下流の方には商店街と駅が、上流の方はちょっとした雑木林が広がっていて途中で辿るのが難しくなってしまった。雑木林を散策してから商店街の方に行こうと何となく決めて、大体の方角を把握する。道を覚えて行った方が簡単にたどり着けるのだろうけど、なにげない発見が減るのが嫌なので道の方は見ないようにしながら紅葉の根元を離れていく。
子供たちの声が閑静な住宅街に響いており、完全に迷子になることはなさそうで少しホッとする。丘の上から見たときはそこまで遠くないと思っていたが、何気に距離があったらしい。いつかは着くだろう、と気にせずに歩く。さっきの猫たちには会えなかったが、途中にあった家の窓から黒柴がこちらにしっぽを振ってきてくれたのがかわいかった。
お祭りでよく見る屋台がいくつかと石焼き芋の軽トラが止まっている。さっきお弁当を食べたばかりなので先に雑木林の方に向かう。桜の木の間にひもが渡してあり提灯が吊られているのを、夜に見たら幻想的なんだろうなと思いながら歩く。川の中をカモが泳いでいたりサギが魚を獲っていたり、川の水がとても綺麗なのか泳いでいる鯉まで見えた。
遠くからパッと見たときは紅一色だったが、近くまで来てみると黄色や茶色も交じっているのがわかる。「朱に交われば赤くなる」のことわざを実際に見たような気になりながら、中に入っていく。覚悟していたような虫や蛇はあまりおらず、どこからか鳥の鳴き声がきこえてくる。どこらへんで鳴いているのかを聞き取るために目を閉じていると、しゃわしゃわ、と木の枝たちが動いている音が聞こえた。風が吹いているわけでもないし、なにより一部分からしか聞こえなかったので、これは何か生物がいるなと思いゆっくりと目を開けて音がしたほうを見やる。
木の枝を縦横無尽に動き回っているのに、足音はいっさいたてない。少し高めの位置の枝にのったときに陽の光に照らされてしっぽの部分の毛が透き通る。少し濃い灰色の毛をもったリスがそこにはいた。木についているどんぐりを取りほお袋にどんどん入れていく。そこそこに膨らむまで入れてからようやく私の存在に気づいたらしく、しばらくこちらを見つめた後に猛スピードでどこかに走り去っていった。
人生で初めて実際にリスを見たことに感動しながら雑木林を出る。子供たちはもう園に戻っていったらしく、代わりに犬の散歩をしている人がちらほらといる。先ほど見た黒柴はいなさそうだったが、犬同士の交流でじゃれあっている犬たちがいて癒された。
ベビーカステラの屋台で20個入りの袋を買う。歩きながら食べられるし余ったらおやつとしていつか食べればいいので。小学生のころ近所のお祭りに行くと、毎回買って帰って次の日の朝ごはんで食べていたのを思い出して懐かしくなっていた。
そのまま商店街の方まで移動すると、八百屋や駄菓子屋の並びに地元の工芸品を売っているお店を見つけたので寄ってみる。先ほどまで歩いていた雑木林の木を軸に使っているペンや、明らかに手編みであろうマフラーや手袋が並んでいる。お店のおばあちゃんに話を聞いてみると商店街の近くに工房があり、そこで作られた商品を並べているとのこと。今日はペンしか並んでいないが、椅子や机も並ぶことがあるらしい。今日ここに来た記念に、ということでヤマザクラのボールペンを購入する。おばあちゃんが秋の味覚を使った炊き込みご飯の作り方のレシピをおまけに入れてくれたので、今度家で作ってみることにした。
お店を出て駅の方に向かう。来るときに電車に乗っていた時間を考えるとそろそろ帰り始めた方がいい時間だったので、半日ぶりにスマホを開く。どの駅で乗り換えるのか、などを一通り調べながら列車を待つ。
メッセージアプリを開くと友人から何かメッセージが送られてきていた。友人も休日を利用して遠出をしていたらしく、綺麗な貝殻が写った砂浜と海に沈む太陽の写真と場所の名前が送られてきていた。写真を一切撮っていなかったので列車の窓枠をフレームのようにして撮ってみる。紅葉の木は写せなかったが丁度あかりが灯り始めた提灯に照らされた桜が写せたので、その写真を友人に送信する。
そのまま一言二言送信した後スマホの電源を落として窓の外を眺める。なかなかに歩いたので疲れていたらしく、だんだん瞼が重くなってくる。乗り換えの駅まではまだまだ時間があるので、一応タイマーをセットしてから完全に目を閉じる。車窓の外から三日月が優しく照らしていた。
明日は久し振りの休日なので普段あまり行かないような所まで足を伸ばそうと思い立ち、せっかくならとお弁当をつくって遠くに足を伸ばそうと思い立った。
仕事帰りにスーパーに寄って調達した食材たちは秋の味覚が多く、ちゃんと秋になったんだなとどこか感慨深くなりながらある程度料理をしておいた。栗の下処理は祖母がやっているのを簡単なところだけを手伝っていただけだったので、一から調べていろいろな手順と時間がかかることに驚く。自分で食べるだけなのでそこまで丁寧にする必要はないな、とあまり時間のかからない方法で進めていく。ひと段落つく頃には眠気で目が開かなかった気がする。
起きてからは急いでお米を洗って、栗と一緒に炊飯器に入れる。炊きあがるのを待つ間にグリルに鮭を二切れ入れて焼き、卵焼きを作る。色が足りない気がしたので卵に刻みネギをいれて一緒に焼き始める。母もよくお弁当に入れてくれたなぁと懐かしさにひたりながら、追加でほうれん草のごま和えも作り、他にも、作り置きしておいた人参とごぼうのきんぴらとプチトマトも入れる。トマトは中の種の部分が苦手なので切ってそこだけ取り出しておいた。
ごはん以外のおかずをお弁当箱に詰め終わったタイミングで炊飯器が炊き終わったのを教えてくれる。竹串を使って栗がちゃんとほくほくになっているのを確認した後、お弁当箱に入れて冷ましながら朝ご飯の分をお茶碗によそって食べた。さすがにお弁当に入れる分とまるきり同じ味なのは飽きると思ったので、お弁当の方にゴマ塩を振りかけておいた。
完成したお弁当をリュックに入れてキャップを被りお気に入りのスニーカーを履く。誰もいない空間に向かって「いってきます」とつぶやいたら、靴箱の上で花瓶にさしてあるシュウメイギクが揺れた気がした。
私の家の付近には小学校や公園、少し歩けば駅もある。が、川や山はない。幼い頃は親に連れられて祖父母の家の近くの山に探検に行ったりしていたこともあったが。
なんとなく山のほうに行きたくなり、行き先を気にせず電車に乗る。
車窓から外の景色をぼんやりと眺める。まだらにあった背の高い建物もだんだんなくなり、しばらくの間住宅街が続く。
途中で乗り換えたローカル線は座席が向かい合わせのタイプで、1人で4人席を占領するというちょっとした贅沢感を味わった。
なんとなく気になった駅で降りてみて、住宅街の家々の屋根の上からちらりと見える紅色の方に向かって歩いてみる。地図アプリを使わずに行ったので途中いくつか袋小路に迷い込んだりもしたが、そのうちの一つが猫の溜まり場で幸せな空間だった。
三毛、白、茶トラといろいろな種類の猫たちが、お互いに毛繕いしていたり日向ぼっこしていたり…と平和そのものな空間で、みんな人慣れしているらしく手を伸ばしたら撫でることができる距離まで近付いても逃げる子はいなかった。
白猫の前に手を差し出して匂いを嗅いでもらう。しばらくすると猫の方から頭をこすりつけてきた。その撫でて撫でて、というアピールに胸を打たれつつ逆らうことなくゆっくり撫でてあげる。
しばらく撫でていると満足したらしく、起き上がって伸びをする。そのまま立ち上がって路地の出口の方に歩き始める。そろそろ通りに出るというところで振り向いてきたので、私も立ち上がってついていく。他にも何匹かついてくる子たちもいるようだ。
しっぽを少し揺らしながらトコトコと進む後ろをついていくと、途中で塀の上に上って目線の高さが同じになったりマタタビしか生えていない空き地で足を止めたり。ゆったりとどこかに案内するかのように歩いていく。
しばらくそんな時間が流れた後、不意に白猫は塀の上でこちらを向いて座る。青色の中で瞳孔が少し広がった後にきゅう、と細くなる。その様子をじっと見ていたら、青色の中に紅がひらりと舞うのが見えた。はっとして周囲を見渡すと、一軒家よりも背の高い紅葉の木が植わっているちょっとした丘があった。
どうやら駅を出たときに見えた紅色はこの紅葉だったらしい。最初に何となく目指そうと思っていた場所に到着できた、ということだ。案内してくれた白猫にお礼を言おうと振り返ると、壁の向こうに消えていくしっぽしか見えなかった。猫らしく気まぐれにふらりとしているらしい。今度来た時になにかおやつをあげよう。
広場に入り木の根元の方まで歩いていく。かなり古い木らしくごつごつとした根があらわになっており、椅子のようなものもあった。かなり横の方に枝が広がっており根元であればどこも木陰になっているので、座ってお昼ご飯にすることにする。
猫たちとの交流で意外と時間がたっていたようで、太陽は真上から若干ずれた位置から、紅葉の葉を通り抜けてやさしい紅色に色付いた光を届けている。住宅街の周りを見渡してみると、川が横たわっているさらに奥の方にビル群が霞んで見えた。
持ってきたお弁当を開けて食べ始める。就職してからはお弁当を作る機会がほとんどなかったので冷えたときの味が少し心配だったが、ちゃんとおいしくてよかった。
食べながら川の方を改めて観察する。両岸の道にちらほらと屋台が並び先生に引率された子供たちがきゃいきゃいとはしゃいでいたり、多分桜であろう木の紅葉した葉が風にのって川にまで流れているのが見えたり。
食べ終わった後もゆったりと過ごす。目線で川の流れを辿っていると、下流の方には商店街と駅が、上流の方はちょっとした雑木林が広がっていて途中で辿るのが難しくなってしまった。雑木林を散策してから商店街の方に行こうと何となく決めて、大体の方角を把握する。道を覚えて行った方が簡単にたどり着けるのだろうけど、なにげない発見が減るのが嫌なので道の方は見ないようにしながら紅葉の根元を離れていく。
子供たちの声が閑静な住宅街に響いており、完全に迷子になることはなさそうで少しホッとする。丘の上から見たときはそこまで遠くないと思っていたが、何気に距離があったらしい。いつかは着くだろう、と気にせずに歩く。さっきの猫たちには会えなかったが、途中にあった家の窓から黒柴がこちらにしっぽを振ってきてくれたのがかわいかった。
お祭りでよく見る屋台がいくつかと石焼き芋の軽トラが止まっている。さっきお弁当を食べたばかりなので先に雑木林の方に向かう。桜の木の間にひもが渡してあり提灯が吊られているのを、夜に見たら幻想的なんだろうなと思いながら歩く。川の中をカモが泳いでいたりサギが魚を獲っていたり、川の水がとても綺麗なのか泳いでいる鯉まで見えた。
遠くからパッと見たときは紅一色だったが、近くまで来てみると黄色や茶色も交じっているのがわかる。「朱に交われば赤くなる」のことわざを実際に見たような気になりながら、中に入っていく。覚悟していたような虫や蛇はあまりおらず、どこからか鳥の鳴き声がきこえてくる。どこらへんで鳴いているのかを聞き取るために目を閉じていると、しゃわしゃわ、と木の枝たちが動いている音が聞こえた。風が吹いているわけでもないし、なにより一部分からしか聞こえなかったので、これは何か生物がいるなと思いゆっくりと目を開けて音がしたほうを見やる。
木の枝を縦横無尽に動き回っているのに、足音はいっさいたてない。少し高めの位置の枝にのったときに陽の光に照らされてしっぽの部分の毛が透き通る。少し濃い灰色の毛をもったリスがそこにはいた。木についているどんぐりを取りほお袋にどんどん入れていく。そこそこに膨らむまで入れてからようやく私の存在に気づいたらしく、しばらくこちらを見つめた後に猛スピードでどこかに走り去っていった。
人生で初めて実際にリスを見たことに感動しながら雑木林を出る。子供たちはもう園に戻っていったらしく、代わりに犬の散歩をしている人がちらほらといる。先ほど見た黒柴はいなさそうだったが、犬同士の交流でじゃれあっている犬たちがいて癒された。
ベビーカステラの屋台で20個入りの袋を買う。歩きながら食べられるし余ったらおやつとしていつか食べればいいので。小学生のころ近所のお祭りに行くと、毎回買って帰って次の日の朝ごはんで食べていたのを思い出して懐かしくなっていた。
そのまま商店街の方まで移動すると、八百屋や駄菓子屋の並びに地元の工芸品を売っているお店を見つけたので寄ってみる。先ほどまで歩いていた雑木林の木を軸に使っているペンや、明らかに手編みであろうマフラーや手袋が並んでいる。お店のおばあちゃんに話を聞いてみると商店街の近くに工房があり、そこで作られた商品を並べているとのこと。今日はペンしか並んでいないが、椅子や机も並ぶことがあるらしい。今日ここに来た記念に、ということでヤマザクラのボールペンを購入する。おばあちゃんが秋の味覚を使った炊き込みご飯の作り方のレシピをおまけに入れてくれたので、今度家で作ってみることにした。
お店を出て駅の方に向かう。来るときに電車に乗っていた時間を考えるとそろそろ帰り始めた方がいい時間だったので、半日ぶりにスマホを開く。どの駅で乗り換えるのか、などを一通り調べながら列車を待つ。
メッセージアプリを開くと友人から何かメッセージが送られてきていた。友人も休日を利用して遠出をしていたらしく、綺麗な貝殻が写った砂浜と海に沈む太陽の写真と場所の名前が送られてきていた。写真を一切撮っていなかったので列車の窓枠をフレームのようにして撮ってみる。紅葉の木は写せなかったが丁度あかりが灯り始めた提灯に照らされた桜が写せたので、その写真を友人に送信する。
そのまま一言二言送信した後スマホの電源を落として窓の外を眺める。なかなかに歩いたので疲れていたらしく、だんだん瞼が重くなってくる。乗り換えの駅まではまだまだ時間があるので、一応タイマーをセットしてから完全に目を閉じる。車窓の外から三日月が優しく照らしていた。
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