107 / 171
第87話 教会での審問
しおりを挟む
アルたちは男たちに連れられ、なぜかカタルの教会に連れてこられる。教会で出迎えたのは、カタルと背の高い金髪の男だった。
その金髪の男には、アルは見覚えがあった。以前ジャファールに会いに行った時に牢屋前で出会った男だ。その隣にはカタリ神父が何故かいる。
呆然とするアルに、隣にいるソラルは上機嫌な様子だ。
「ねぇ、ねぇ、見てくれたアル君?俺結構つよいんだよ?こう見えても」
にこにこ場違いに陽気に話しかけてくるソラルを、アルを睨んだ。
「あなたなんか、大嫌いです!」
アルの大嫌い発言に、見るからに呆然とするソラル。
アルは突き飛ばされ、教会の中へと入った。怪我をして気絶しているソルは、別の甲冑の男に抱きかかえられている。
アルは教会の席に、後ろ手を縛られて強引に座らされる。
アルの目の前にガタイのでかい金髪の男がやってきて、口を開く。
「我が名はヴェルディ・ヒューギング・ヒル。これより正義の女神シルベリアの名において、お前の罪を裁く」
そういうと、周囲の甲冑の男たちは、剣を胸元につける。
「お前には悪質な獣人と結託し、公共の秩序を乱した、国家反逆罪の罪がかかっている。これよりこの教会での審問を開く。神の身元で、お前の罪の真偽を問う」
アルはその言葉にぞっとした。
この世界には弁護士とかどうなっているのだろう?不安に思う。罪を裁くっていうことは、罪を明らかにする前の段階がないんじゃ。
「あの、私は悪いことは別にやっていません」
焦るアルは慌てる。
「お前は獣人を家に招き入れ、獣人たちの犯罪の手伝いをしていたな」
「いえ、全然そんなことはしていません。子供預かり所や食事処を経営していましたが、べつに獣人の子供だけに限ったことじゃありませんし。獣人の子供たちはこの教会のような、預ける場所がないので、獣人の子供ばかり預かることになったことは確かですけど」
「黒猫獣人で構成される反社会団体と密接に関係し、関与していたな」
「いえ、黒猫獣人さんはお客さんとして、うちの店に来ていただけです」
「急に黒猫獣人たちが消えた。黒猫獣人の行方に心当たりは?」
ヴェルディの剣の切っ先が、アルの喉元に突き付けられた。
「知りません」
「隠し事は許されない。これからお前は本庁に輸送され、尋問を受けることになる。ここで本当のことを言わなければ、罪は重くなる」
「黒猫獣人さんたちの行方はまったく知りません。本当です!
あの子たち、狼獣人の子供たちはどうなったんでしょうか?姿が見えません!あの子たち怪我をしてたんじゃ。あの子たちには何も罪はありません」
「何故人のくせに、獣人となれ合う。それ自体この公共社会を乱す行為だ。許されない行為だ」
そのヴェルディ言葉に、アルは悲しくなる。
「獣人と人は仲良くなれないんでしょうか?」
「獣人が増えれば、いつ人を攻めてくるかわからない。お前のやったことは重罪だ。無意味に獣人どもに加担し、公共の人々を不安に陥れた。よって、お前は重罪だ。
だが、部下の話によると、お前は人間の子供や大人に、食事を与え、この教会にも通っている。よって、死刑は免れることになる。
だが牢の中で罰を受け、犯罪奴隷として売りに出されるだろう」
「あの、子供たちはどうなるのでしょうか?子供たちには何も罪はないんです。お願いします。子供たちは自由にさせてあげてください」
アルは必死でヴェルディに、懇願する。
「それは私の決めることではない。神の代弁者である、教会の神父が決めることだ」
ヴェルディの視線の先には、カタリ神父の姿があった。
お願いしますよ、カタリ神父!!と、アルは必死で、カタリ神父に視線を向けた。
カタリは頷くといった。
「残念ですが、高い可能性で獣人の子供たちは、この国の強制獣人施設に送られることになると思います」
その言葉に、アルは絶望した。
その金髪の男には、アルは見覚えがあった。以前ジャファールに会いに行った時に牢屋前で出会った男だ。その隣にはカタリ神父が何故かいる。
呆然とするアルに、隣にいるソラルは上機嫌な様子だ。
「ねぇ、ねぇ、見てくれたアル君?俺結構つよいんだよ?こう見えても」
にこにこ場違いに陽気に話しかけてくるソラルを、アルを睨んだ。
「あなたなんか、大嫌いです!」
アルの大嫌い発言に、見るからに呆然とするソラル。
アルは突き飛ばされ、教会の中へと入った。怪我をして気絶しているソルは、別の甲冑の男に抱きかかえられている。
アルは教会の席に、後ろ手を縛られて強引に座らされる。
アルの目の前にガタイのでかい金髪の男がやってきて、口を開く。
「我が名はヴェルディ・ヒューギング・ヒル。これより正義の女神シルベリアの名において、お前の罪を裁く」
そういうと、周囲の甲冑の男たちは、剣を胸元につける。
「お前には悪質な獣人と結託し、公共の秩序を乱した、国家反逆罪の罪がかかっている。これよりこの教会での審問を開く。神の身元で、お前の罪の真偽を問う」
アルはその言葉にぞっとした。
この世界には弁護士とかどうなっているのだろう?不安に思う。罪を裁くっていうことは、罪を明らかにする前の段階がないんじゃ。
「あの、私は悪いことは別にやっていません」
焦るアルは慌てる。
「お前は獣人を家に招き入れ、獣人たちの犯罪の手伝いをしていたな」
「いえ、全然そんなことはしていません。子供預かり所や食事処を経営していましたが、べつに獣人の子供だけに限ったことじゃありませんし。獣人の子供たちはこの教会のような、預ける場所がないので、獣人の子供ばかり預かることになったことは確かですけど」
「黒猫獣人で構成される反社会団体と密接に関係し、関与していたな」
「いえ、黒猫獣人さんはお客さんとして、うちの店に来ていただけです」
「急に黒猫獣人たちが消えた。黒猫獣人の行方に心当たりは?」
ヴェルディの剣の切っ先が、アルの喉元に突き付けられた。
「知りません」
「隠し事は許されない。これからお前は本庁に輸送され、尋問を受けることになる。ここで本当のことを言わなければ、罪は重くなる」
「黒猫獣人さんたちの行方はまったく知りません。本当です!
あの子たち、狼獣人の子供たちはどうなったんでしょうか?姿が見えません!あの子たち怪我をしてたんじゃ。あの子たちには何も罪はありません」
「何故人のくせに、獣人となれ合う。それ自体この公共社会を乱す行為だ。許されない行為だ」
そのヴェルディ言葉に、アルは悲しくなる。
「獣人と人は仲良くなれないんでしょうか?」
「獣人が増えれば、いつ人を攻めてくるかわからない。お前のやったことは重罪だ。無意味に獣人どもに加担し、公共の人々を不安に陥れた。よって、お前は重罪だ。
だが、部下の話によると、お前は人間の子供や大人に、食事を与え、この教会にも通っている。よって、死刑は免れることになる。
だが牢の中で罰を受け、犯罪奴隷として売りに出されるだろう」
「あの、子供たちはどうなるのでしょうか?子供たちには何も罪はないんです。お願いします。子供たちは自由にさせてあげてください」
アルは必死でヴェルディに、懇願する。
「それは私の決めることではない。神の代弁者である、教会の神父が決めることだ」
ヴェルディの視線の先には、カタリ神父の姿があった。
お願いしますよ、カタリ神父!!と、アルは必死で、カタリ神父に視線を向けた。
カタリは頷くといった。
「残念ですが、高い可能性で獣人の子供たちは、この国の強制獣人施設に送られることになると思います」
その言葉に、アルは絶望した。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!
をち。
BL
公爵家の3男として生まれた俺は、家族からうとまれていた。
母が俺を産んだせいで命を落としたからだそうだ。
俺は生まれつき魔力が多い。
魔力が多い子供を産むのは命がけだという。
父も兄弟も、お腹の子を諦めるよう母を説得したらしい。
それでも母は俺を庇った。
そして…母の命と引き換えに俺が生まれた、というわけである。
こうして生を受けた俺を待っていたのは、家族からの精神的な虐待だった。
父親からは居ないものとして扱われ、兄たちには敵意を向けられ…。
最低限の食事や世話のみで、物置のような部屋に放置されていたのである。
後に、ある人物の悪意の介在せいだったと分かったのだが。その時の俺には分からなかった。
1人ぼっちの部屋には、時折兄弟が来た。
「お母様を返してよ」
言葉の中身はよくわからなかったが、自分に向けられる敵意と憎しみは感じた。
ただ悲しかった。辛かった。
だれでもいいから、
暖かな目で、優しい声で俺に話しかけて欲しい。
ただそれだけを願って毎日を過ごした。
物ごごろがつき1人で歩けるようになると、俺はひとりで部屋から出て
屋敷の中をうろついた。
だれか俺に優しくしてくれる人がいるかもしれないと思ったのだ。
召使やらに話しかけてみたが、みな俺をいないものとして扱った。
それでも、みんなの会話を聞いたりやりとりを見たりして、俺は言葉を覚えた。
そして遂に自分のおかれた厳しい状況を…理解してしまったのである。
母の元侍女だという女の人が、教えてくれたのだ。
俺は「いらない子」なのだと。
(ぼくはかあさまをころしてうまれたんだ。
だから、みんなぼくのことがきらいなんだ。
だから、みんなぼくのことをにくんでいるんだ。
ぼくは「いらないこ」だった。
ぼくがあいされることはないんだ。)
わずかに縋っていた希望が打ち砕かれ、絶望しサフィ心は砕けはじめた。
そしてそんなサフィを救うため、前世の俺「須藤卓也」の記憶が蘇ったのである。
「いやいや、俺が悪いんじゃなくね?」
公爵や兄たちが後悔した時にはもう遅い。
俺は今の家族を捨て、新たな家族と仲間を選んだのだ。
★注意★
ご都合主義です。基本的にチート溺愛です。ざまぁは軽め。みんな主人公は激甘です。みんな幸せになります。
ひたすら主人公かわいいです。
苦手な方はそっ閉じを!
憎まれ3男の無双!
初投稿です。細かな矛盾などはお許しを…
感想など、コメント頂ければ作者モチベが上がりますw
【完結】二年間放置された妻がうっかり強力な媚薬を飲んだ堅物な夫からえっち漬けにされてしまう話
なかむ楽
恋愛
ほぼタイトルです。
結婚後二年も放置されていた公爵夫人のフェリス(20)。夫のメルヴィル(30)は、堅物で真面目な領主で仕事熱心。ずっと憧れていたメルヴィルとの結婚生活は触れ合いゼロ。夫婦別室で家庭内別居状態に。
ある日フェリスは養老院を訪問し、お婆さんから媚薬をもらう。
「十日間は欲望がすべて放たれるまでビンビンの媚薬だよ」
その小瓶(媚薬)の中身ををミニボトルウイスキーだと思ったメルヴィルが飲んでしまった!なんといううっかりだ!
それをきっかけに、堅物の夫は人が変わったように甘い言葉を囁き、フェリスと性行為を繰り返す。
「美しく成熟しようとするきみを摘み取るのを楽しみにしていた」
十日間、連続で子作り孕ませセックスで抱き潰されるフェリス。媚薬の効果が切れたら再び放置されてしまうのだろうか?
◆堅物眼鏡年上の夫が理性ぶっ壊れで→うぶで清楚系の年下妻にえっちを教えこみながら孕ませっくすするのが書きたかった作者の欲。
◇フェリス(20):14歳になった時に婚約者になった憧れのお兄さま・メルヴィルを一途に想い続けていた。推しを一生かけて愛する系。清楚で清純。
夫のえっちな命令に従順になってしまう。
金髪青眼(隠れ爆乳)
◇メルヴィル(30):カーク領公爵。24歳の時に14歳のフェリスの婚約者になる。それから結婚までとプラス2年間は右手が夜のお友達になった真面目な眼鏡男。媚薬で理性崩壊系絶倫になってしまう。
黒髪青眼+眼鏡(細マッチョ)
※作品がよかったら、ブクマや★で応援してくださると嬉しく思います!
※誤字報告ありがとうございます。誤字などは適宜修正します。
ムーンライトノベルズからの転載になります
アルファポリスで読みやすいように各話にしていますが、長かったり短かったりしていてすみません汗
"死神"と呼ばれた私が、"バケモノ"と呼ばれた彼らに溺愛されました
夢風 月
ファンタジー
とある王国の伯爵家令嬢として幸せに暮らしていたはずの少女は、訳あって奴隷へと身を落とした。
奴隷商人の元から何とか逃げ出そうとしたところ、真っ黒なマントに身を包んだ男に出会う。
美醜への目が厳しいその国でとても"醜い"見た目をしている彼は『バケモノ』と呼ばれていた。
"醜い"彼に連れられやって来た小さな家には、男の他にも数人の"醜い"男達が肩を寄せ合って暮らしていた。
彼らはどうやら醜さ故に様々な問題を抱えているようで……?
これは、心に傷をおった4人が贈る、ちょっぴり切ない恋物語──。
※溺愛に至るまでそこそこ時間がかかりますがどうぞご容赦を※
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
離縁しようぜ旦那様
たなぱ
BL
『お前を愛することは無い』
羞恥を忍んで迎えた初夜に、旦那様となる相手が放った言葉に現実を放棄した
どこのざまぁ小説の導入台詞だよ?旦那様…おれじゃなかったら泣いてるよきっと?
これは、始まる冷遇新婚生活にため息しか出ないさっさと離縁したいおれと、何故か離縁したくない旦那様の不毛な戦いである
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる