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第83話 魔法のことと、月夜の出来事
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「まぁ、魔力がなければ魔法も使えないんですけどね」
ジルはそうつけくわえる。
「あの魔力って何でしょうか?」
恐る恐るアルは手を上げて、質問する。
「魔力とはですか?……ふむ。なかなか難しい質問ですね。そういう体の器官があると聞いたことがあります。この世界に満ちているエネルギーである魔力を感知し、呼吸と一緒に取り込み、自分の中にもともとあるエネルギーで感応して、願い、魔法を発動するのだと聞いたことがあります。
まぁ、この世界の住人でもなさそうな、あなたには魔力を感知はできないかもしれませんね」
「そんな」
地味にショックである。ソニアたちの助けになりたいのに。この世界の住人でもないアルは魔法を使えないかもしれない。
がっくり肩を落とすアル。
「まぁ、いつかあなたも魔法を使えることができるかもしれませんね。生物は進化してきたものですから。低俗なあなたにもいつか魔法がつかえるやもしれませんね」
「低俗って、ひどいです。ジルさん」
「あなたの顔は歩くわいせつ物です」
「顔で人を判断しないでください。顔と性格は別に関係ない。……それに、そう感じるのは、ジルさんがそう思っているからなんじゃ?」
言ってて恥ずかしくなって、アルはジルから顔をそらす。
その言葉に、ジルは目を見開く。
「あなたは」
何か言おうとして、ジルは青白い顔をして崩れ落ちて、膝をつく。
「だ、大丈夫ですか!?」
慌ててジルの側により、アルはジルの肩に手を置いて、顔を覗き込もうとする。
ジルは苦悶の表情を浮かべて、汗をかいていた。
ジルは震える手で、肩にあるアルの手を振り払う。
「触るな!汚らわしい」
ジルは叫んでから、はっと、我に返り、「失礼します。今日はどうかしていました。もう魔法のことは教えたので、私は帰ります」
そう言い終えると、ジルは速攻でその場から離れて消えた。
アルはただ茫然としていた。
ジルと仲良くしたいのになと、アルは落ち込む。遠くの方から赤ん坊の泣き声がしている。スノーリーが赤ん坊を見ているのだろう。
スノーリーは疲れているから、お茶やマッサージでもどうだろうかと、考える。
寝る前に水を飲むといいということで、アルたちは子供や大人全員に安眠できるような、お茶を出している。今日はクワイエットさんが、お茶係だ。
アルはルナルのおむつというか布を巻いた下着を変えなければと、アルはルナルの元へと向かった。
アルがルナルのいる部屋につくと、なんとルナルはその日初めて独り言を誰もいない空間に呟くこともなく、月を見ていた。
「る、ルナルさん!?」
まさか正気にもどったのかと、アルは興奮する。
ルナルは不思議な瞳で輝く目で、アルのことを見る。
「もうすぐ裁定が始まる。女神がやってくるだろう」
そんなことをルナルはつぶやくと、また月を眺め始めた。
「ルナルさん?」
恐る恐るルナルの肩を手に置き、顔を覗き込むと、ルナルはやはりいつもの調子で、ぶつぶつ呟くだけだった。
ルナルは以前アルを殺しかけたことがある。アルは警戒しながら、ルナルの手を縛り上げて、下半身の布を取り始めた。
手早く下半身をお湯で拭く。
まったくルナルは自分で処理をしていないのか、そこは反応してしまっている。とても嫌だが、別にアルに対して反応しているわけでもないだろう。我慢してとっととアルはそこを処理をすることにした。
ジルはそうつけくわえる。
「あの魔力って何でしょうか?」
恐る恐るアルは手を上げて、質問する。
「魔力とはですか?……ふむ。なかなか難しい質問ですね。そういう体の器官があると聞いたことがあります。この世界に満ちているエネルギーである魔力を感知し、呼吸と一緒に取り込み、自分の中にもともとあるエネルギーで感応して、願い、魔法を発動するのだと聞いたことがあります。
まぁ、この世界の住人でもなさそうな、あなたには魔力を感知はできないかもしれませんね」
「そんな」
地味にショックである。ソニアたちの助けになりたいのに。この世界の住人でもないアルは魔法を使えないかもしれない。
がっくり肩を落とすアル。
「まぁ、いつかあなたも魔法を使えることができるかもしれませんね。生物は進化してきたものですから。低俗なあなたにもいつか魔法がつかえるやもしれませんね」
「低俗って、ひどいです。ジルさん」
「あなたの顔は歩くわいせつ物です」
「顔で人を判断しないでください。顔と性格は別に関係ない。……それに、そう感じるのは、ジルさんがそう思っているからなんじゃ?」
言ってて恥ずかしくなって、アルはジルから顔をそらす。
その言葉に、ジルは目を見開く。
「あなたは」
何か言おうとして、ジルは青白い顔をして崩れ落ちて、膝をつく。
「だ、大丈夫ですか!?」
慌ててジルの側により、アルはジルの肩に手を置いて、顔を覗き込もうとする。
ジルは苦悶の表情を浮かべて、汗をかいていた。
ジルは震える手で、肩にあるアルの手を振り払う。
「触るな!汚らわしい」
ジルは叫んでから、はっと、我に返り、「失礼します。今日はどうかしていました。もう魔法のことは教えたので、私は帰ります」
そう言い終えると、ジルは速攻でその場から離れて消えた。
アルはただ茫然としていた。
ジルと仲良くしたいのになと、アルは落ち込む。遠くの方から赤ん坊の泣き声がしている。スノーリーが赤ん坊を見ているのだろう。
スノーリーは疲れているから、お茶やマッサージでもどうだろうかと、考える。
寝る前に水を飲むといいということで、アルたちは子供や大人全員に安眠できるような、お茶を出している。今日はクワイエットさんが、お茶係だ。
アルはルナルのおむつというか布を巻いた下着を変えなければと、アルはルナルの元へと向かった。
アルがルナルのいる部屋につくと、なんとルナルはその日初めて独り言を誰もいない空間に呟くこともなく、月を見ていた。
「る、ルナルさん!?」
まさか正気にもどったのかと、アルは興奮する。
ルナルは不思議な瞳で輝く目で、アルのことを見る。
「もうすぐ裁定が始まる。女神がやってくるだろう」
そんなことをルナルはつぶやくと、また月を眺め始めた。
「ルナルさん?」
恐る恐るルナルの肩を手に置き、顔を覗き込むと、ルナルはやはりいつもの調子で、ぶつぶつ呟くだけだった。
ルナルは以前アルを殺しかけたことがある。アルは警戒しながら、ルナルの手を縛り上げて、下半身の布を取り始めた。
手早く下半身をお湯で拭く。
まったくルナルは自分で処理をしていないのか、そこは反応してしまっている。とても嫌だが、別にアルに対して反応しているわけでもないだろう。我慢してとっととアルはそこを処理をすることにした。
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