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安慶⑦
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「じゃあ、入宮は無理なの?」
あてが外れてしまい、木蓮は落胆の色を隠せなかった。
しかしこのまま引き下がるわけにはいかない。
別の方法はないかと考えていると、周瑛が何かを思いついたようだ。
「仙女様はお住まいこそ後宮になりますが、お立場は朝廷の人間になります。まだ一人も付き人がおりませんので、その娘を侍女に召されては?」
「その案採用!周瑛凄い!天才!」
「陛下のお許しがあれば、出立の際に莞莞を連れていくことも叶いましょう」
胸を撫で下ろして安堵する木蓮を、周瑛は何か言いたげな目で見ていた。
その視線に気づき、木蓮は首をかしげた。
「私、何か変なことしてる?」
「一般的には、どんなものであれ親が決めた縁談に娘は従うものです。拒絶した莞莞も、その莞莞を受け入れた貴女も、大胆なことをしたなと……そう思っただけです」
「へえ」
薄々気づいてはいたが、周瑛の言葉に木蓮ははっきりと確信した。
この世界の価値観は、男尊女卑が基本のようだ。
帰るのがいつになるかはわからなくとも、しばらくは過ごす世界である。
木蓮は挑むように言った。
「私の国では今じゃほとんど男女平等だから、莞莞を助けることこそ私の中では一般的なことだよ」
「そう睨まないでください。私は大胆だと言っただけで、別に非難はしておりません。むしろ好ましく思っておりますよ」
「えっ、そうなの?」
毒気を抜かれた木蓮は、脱力しきった、あまり賢くなさそうな緩い顔に戻った。
「私は、自分の信念をはっきり持っている仙女様のような女子が好みです」
サラッと付け加えられた周瑛の一言は、あまり木蓮のハートに響かなかった。
それどころかデュフフフという木蓮の気持ち悪い笑い声の引き金になった。
「英文とはタイプ違うけど、イケメンにそんなお世辞言ってもらえるとか異世界最高かよ。いや、ありがとう。今までの人生で一番嬉しいお世辞だった」
「いえ、決してお世辞などでは……」
曲解した木蓮の誤解を解こうとした周瑛だったが、タイミング悪く木蓮の部屋の扉が叩かれた。
「仙女様、そろそろ広間へ移動しなければなりませぬ。お支度を整えるため、入ってもよろしいでしょうか?」
「はーいどうぞー!じゃあね、周瑛!また後で」
周瑛は、ピシャリと閉まった扉の外でしばらく呆然としていた。
真面目に褒めたつもりだったのに、いまいち伝わらなかったようだ。
あてが外れてしまい、木蓮は落胆の色を隠せなかった。
しかしこのまま引き下がるわけにはいかない。
別の方法はないかと考えていると、周瑛が何かを思いついたようだ。
「仙女様はお住まいこそ後宮になりますが、お立場は朝廷の人間になります。まだ一人も付き人がおりませんので、その娘を侍女に召されては?」
「その案採用!周瑛凄い!天才!」
「陛下のお許しがあれば、出立の際に莞莞を連れていくことも叶いましょう」
胸を撫で下ろして安堵する木蓮を、周瑛は何か言いたげな目で見ていた。
その視線に気づき、木蓮は首をかしげた。
「私、何か変なことしてる?」
「一般的には、どんなものであれ親が決めた縁談に娘は従うものです。拒絶した莞莞も、その莞莞を受け入れた貴女も、大胆なことをしたなと……そう思っただけです」
「へえ」
薄々気づいてはいたが、周瑛の言葉に木蓮ははっきりと確信した。
この世界の価値観は、男尊女卑が基本のようだ。
帰るのがいつになるかはわからなくとも、しばらくは過ごす世界である。
木蓮は挑むように言った。
「私の国では今じゃほとんど男女平等だから、莞莞を助けることこそ私の中では一般的なことだよ」
「そう睨まないでください。私は大胆だと言っただけで、別に非難はしておりません。むしろ好ましく思っておりますよ」
「えっ、そうなの?」
毒気を抜かれた木蓮は、脱力しきった、あまり賢くなさそうな緩い顔に戻った。
「私は、自分の信念をはっきり持っている仙女様のような女子が好みです」
サラッと付け加えられた周瑛の一言は、あまり木蓮のハートに響かなかった。
それどころかデュフフフという木蓮の気持ち悪い笑い声の引き金になった。
「英文とはタイプ違うけど、イケメンにそんなお世辞言ってもらえるとか異世界最高かよ。いや、ありがとう。今までの人生で一番嬉しいお世辞だった」
「いえ、決してお世辞などでは……」
曲解した木蓮の誤解を解こうとした周瑛だったが、タイミング悪く木蓮の部屋の扉が叩かれた。
「仙女様、そろそろ広間へ移動しなければなりませぬ。お支度を整えるため、入ってもよろしいでしょうか?」
「はーいどうぞー!じゃあね、周瑛!また後で」
周瑛は、ピシャリと閉まった扉の外でしばらく呆然としていた。
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