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第三章【陰陽師編】
運が悪いは不幸か
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サタコ達まではまだ距離がある。しかしながら、一体どうやって助けたらいいのか?周りは青服達で囲まれているし、下手に動けば彼女達が傷つけられるかも知れない。とにかくもう少しだけ近づくか。ここだと何かあった時に助けに入ることが出来ないからな。
更に近づこうと、大きな木のコンテナに手をかけ、屈みながら前にジリジリと進もうとした、その矢先。手をかけたコンテナが腐っていたらしく、スドドドーンと雪崩が起きた様に崩れ落ちた。
俺の凶運よぉぉ!今日だけは邪魔しないでくれ!
俺は、大きすぎる異変に気づいた青服達に、あっという間に囲まれ、サタコ達同様に縛り上げられ、ドベッと床に転がされた。
「よ、よう。無事か?」
「恭、何しに来たのだ?」
サタコさん。それは言わない約束ですよね?
それにしてもだ……
「サタコとシルシルが居て、こんなにアッサリ捕まってるなんて、何かあったのか?」
俺のシンプルな疑問に、顔を伏せるサタコとシルシル。代わって答えたのはマジョリんだった。
「あの男のせいよ」
歯をギリッと鳴らし、睨みつけるような視線の先には、青服の部下達を従えた『赤服』が居た。青の中にただ一人赤い服。コイツが親玉か?
コツコツと靴を鳴らして歩み寄ってくる赤服。見るからに只者ではない様子だ。
「コイツが……そんなに強いのか?」
「まぁね。ああ見えて陰陽師だもの。私達にとっては天敵よ」
──!!
陰陽師だと!?それってつまり、マジョリんと同じように、魔法や能力を封じる術を使うって事かよ!?
「陰陽師って……まさか」
「そのまさか。私の父よ」
衝撃の事実。まさか敵対しているボスが自分の父親だったとは……え!?
俺が目にしたのは、信じられない光景だった。なんと赤服がマジョリんのお腹の辺りを思い切り蹴り上げたのだ!
「くはっ」と呼吸の止まる様な声をあげ、床を転げ回るマジョリん。
「喋りすぎだ」
と、更に喉元を掴み恫喝する赤服。コイツはヤバイやつだ。
「やめろぉ!それでも親か!!!」
ギロリと目線が動き、俺の方に敵意が向けられる。
「君の事は知っている。なんでも魔王を手懐けてるんだってな?次のターゲットが自らやって来るとは、私は運がいい。対して君はどうだ?毎日毎日運が悪いと嘆いているそうじゃないか。実に不幸な人生だ。そんな君が私に勝てるとでも思っているのか?笑わせるな」
確かに俺の人生は不運だらけの人生だった。あの時も、あの時も……そして今回だって、もっと上手く立ち回れた筈だった。もしくは、助けを呼ぶ事だって。それが俺の凶運のせいで……
「それは違うぞ。恭は不幸などでは無い。不運=不幸ではないからだ」
サタコが誰よりも早く反応した。それにしても不運はやっぱり不幸ではないのか?
「恭、前にも言ったが運が悪いとは一時的な事象に過ぎん。人は産まれながらに皆平等。この言葉はあながち間違いではない。人の幸福とは、価値観によるところが大きいのだ。お金があるから幸せ?逆に時間があるから幸せか?はたまた、全てを手に入れたらそれは幸せなのか?そうではない、価値観こそが幸せを決めるのだ。恭、お前は毎日不運に見舞われて、不幸な人生だったのか?」
「俺の人生……」
サタコの聞いたことのない様な饒舌っぷりに、俺は戸惑うと共に、自分の人生を振り返る。
「恭、周りをよく見てみろ。お前が凶運体質だから皆と出会えたのだ。お前が凶運体質だったから私と出会えた。お前は私と出会ってこの七ヶ月、自分が不幸だと思ってたのか?」
確かにこの七ヶ月、散々な不運に晒されてきて大変な目にあって来たけど、それでも充実した七ヶ月だった。俺にとっては、かけがえの無い時間であり、大切な仲間もできた。それもこれも俺が凶運だったからだ。そしてこの七ヶ月、俺はとても幸せだったのかもしれない。
そんな風に考え始めた俺だったが、それを頭から赤服が否定してくる。
「不運は不幸だ。誰がどう考えても揺るぎない、その考えは弱者の戯言だ。それより、そんな話はもうどうでもいい。お前達は終わったのだ。大人しく死ぬか、売られるのを待つんだな」
──そうでもねぇぜ──
どこからとも無く聞こえたその声。凄く聞き覚えのある声だ。この声は……
どりゃぁぁ!と木のコンテナを大袈裟に蹴り倒し登場したのは、全身ボロボロでアザだらけの、
「なんでお前がここにいるんだよ……」
「おぉ!大吉ぃ!早く助けてくれ」
「大吉さん!?」
「末永くん?だっけ?」
──大吉だった!!──
「男大吉、只今参上ぉ!!」
コイツと出会えたのも凶運のおかげってか。
更に近づこうと、大きな木のコンテナに手をかけ、屈みながら前にジリジリと進もうとした、その矢先。手をかけたコンテナが腐っていたらしく、スドドドーンと雪崩が起きた様に崩れ落ちた。
俺の凶運よぉぉ!今日だけは邪魔しないでくれ!
俺は、大きすぎる異変に気づいた青服達に、あっという間に囲まれ、サタコ達同様に縛り上げられ、ドベッと床に転がされた。
「よ、よう。無事か?」
「恭、何しに来たのだ?」
サタコさん。それは言わない約束ですよね?
それにしてもだ……
「サタコとシルシルが居て、こんなにアッサリ捕まってるなんて、何かあったのか?」
俺のシンプルな疑問に、顔を伏せるサタコとシルシル。代わって答えたのはマジョリんだった。
「あの男のせいよ」
歯をギリッと鳴らし、睨みつけるような視線の先には、青服の部下達を従えた『赤服』が居た。青の中にただ一人赤い服。コイツが親玉か?
コツコツと靴を鳴らして歩み寄ってくる赤服。見るからに只者ではない様子だ。
「コイツが……そんなに強いのか?」
「まぁね。ああ見えて陰陽師だもの。私達にとっては天敵よ」
──!!
陰陽師だと!?それってつまり、マジョリんと同じように、魔法や能力を封じる術を使うって事かよ!?
「陰陽師って……まさか」
「そのまさか。私の父よ」
衝撃の事実。まさか敵対しているボスが自分の父親だったとは……え!?
俺が目にしたのは、信じられない光景だった。なんと赤服がマジョリんのお腹の辺りを思い切り蹴り上げたのだ!
「くはっ」と呼吸の止まる様な声をあげ、床を転げ回るマジョリん。
「喋りすぎだ」
と、更に喉元を掴み恫喝する赤服。コイツはヤバイやつだ。
「やめろぉ!それでも親か!!!」
ギロリと目線が動き、俺の方に敵意が向けられる。
「君の事は知っている。なんでも魔王を手懐けてるんだってな?次のターゲットが自らやって来るとは、私は運がいい。対して君はどうだ?毎日毎日運が悪いと嘆いているそうじゃないか。実に不幸な人生だ。そんな君が私に勝てるとでも思っているのか?笑わせるな」
確かに俺の人生は不運だらけの人生だった。あの時も、あの時も……そして今回だって、もっと上手く立ち回れた筈だった。もしくは、助けを呼ぶ事だって。それが俺の凶運のせいで……
「それは違うぞ。恭は不幸などでは無い。不運=不幸ではないからだ」
サタコが誰よりも早く反応した。それにしても不運はやっぱり不幸ではないのか?
「恭、前にも言ったが運が悪いとは一時的な事象に過ぎん。人は産まれながらに皆平等。この言葉はあながち間違いではない。人の幸福とは、価値観によるところが大きいのだ。お金があるから幸せ?逆に時間があるから幸せか?はたまた、全てを手に入れたらそれは幸せなのか?そうではない、価値観こそが幸せを決めるのだ。恭、お前は毎日不運に見舞われて、不幸な人生だったのか?」
「俺の人生……」
サタコの聞いたことのない様な饒舌っぷりに、俺は戸惑うと共に、自分の人生を振り返る。
「恭、周りをよく見てみろ。お前が凶運体質だから皆と出会えたのだ。お前が凶運体質だったから私と出会えた。お前は私と出会ってこの七ヶ月、自分が不幸だと思ってたのか?」
確かにこの七ヶ月、散々な不運に晒されてきて大変な目にあって来たけど、それでも充実した七ヶ月だった。俺にとっては、かけがえの無い時間であり、大切な仲間もできた。それもこれも俺が凶運だったからだ。そしてこの七ヶ月、俺はとても幸せだったのかもしれない。
そんな風に考え始めた俺だったが、それを頭から赤服が否定してくる。
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──そうでもねぇぜ──
どこからとも無く聞こえたその声。凄く聞き覚えのある声だ。この声は……
どりゃぁぁ!と木のコンテナを大袈裟に蹴り倒し登場したのは、全身ボロボロでアザだらけの、
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