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第二章【能力者狩り編】
肝試し
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それでもやらなければならない、それが肝試し。
俺はサタコを落ち着かせるため、背中をポンと叩く。
「ぴぎゃぁぁぉぁぁぁ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
サタコの悲鳴につられて俺も思わず絶叫! そんな俺達を見て大吉はニヤニヤ。
「お前ら大丈夫かよ? まだ始まってもねーんだからな」
「お、おぅ悪ぃ。れ、練習だよ練習! 怖がってやんねぇと、幽霊もか、可哀想だろ?」
黙れ俺の口ぃぃぃ!! なに意地張ってんだよぉ!? 帰りたい! 本当は今すぐにでも帰りたい!!
口を引きちぎり、ドブに投げ捨てたい衝動に駆られたのは生まれて初めてだ。しかし言ってしまった手前取り下げられない。
もう……やるしかねぇ。
「んじゃま、とりあえず二人一組で行動する事にするか。四人で固まって行ってもしゃーないしな」
何言ってんだコイツ!! 馬鹿なの!? ねぇ? 馬鹿なんじゃないの!?
「あそこの二階の窓見えるか? あの窓枠に、人形が二体置いてあるよな? アレを一体づつ持って帰ってくる! これでミッションコンプリートだ!!」
大吉の指差す方向には窓があり、確かにフランス人形が二体並んでいる。しかし、よりにも寄って『フランス人形』を持って来るだ? そんなん呪って下さいって言ってるのうなもんじゃねぇか!?
「よ、余裕だぜ……な、なあ? サタコ?」
「あ、あああ当たり前だ、だ。私をだ、誰だと思、思っておるのだ!」
ダメだぁぁこりゃ! そして俺の口!! もしも口にファスナーが付いてるなら、閉めてその上で接着剤で固めて、コンクリート漬けにしてやりてぇ!!
「という訳で、早速パートナー決めをしよーぜ?」
大吉の提案に俺はピーンと来た!
もしやジャンケンか!? プールではいい思いはしなかったが、これは逆にチャンス!!
普通にやれば当然俺とサタコのペアになるだろう… …
しかーし! しかしだ。運命を変える手段はある!! 俺はそれを知っている。
俺はチラリと横目でシルシルを見る。何度も何度もサインを送った。それはもう必死に。
ようやくその視線に気づき、意味を悟ったのか頷くシルシル。
ジャンケンであるならば、シルシルに勝てる奴はこの地球上には居ない。
もらったぜ!
俺は勝利を確信していた。しかし──、
「今回はこれで決める」
大吉が取り出したのはティッシュ箱。なんでも、その中に『A』と書かれた紙と『B』と書かれた紙が入っているのだそうだ。
こんのやろぉぉぉ!! これじゃ未来視が使えねぇだろぉがぁぁぁ!! 余計な事すんじゃねぇぇ!!
くじを順番に引き、同時にオープン。これでは三秒先が見えると言っても、操作する事は不可能だ。実質完全なる『運』勝負。
そして──、
順番にクジを引いていく。その後合図と共に一斉にオープン!!
大吉『A』
俺『B』
シルシル『A』
サタコ『B』
終わった……これからエベレスト登頂する奴が、敢えて役に立たない重りを背負って登りますか? いいえ、登りません。
ましてやその重りが『爆弾』だとしたら?
まさにそんな状況。
生きて帰ってこれる気が全くしない。
何が日頃の感謝だよ。
青ざめた顔をした俺とサタコをよそに、「じゃ俺達先に行くから、五分後にお前らも来いよ」と言い残し、大吉とシルシルは洋館の扉を開き暗闇へと消えていった。
五分経ち、俺達も洋館の扉を開き中に入る。
中は月明かりが窓から差し込み、薄らと周りを確認できた。
これなら意外と何とかなるかも知れない。
頼みの最強ボディガードサタコと言うと、俺の右足にしがみつき『コアラ』の様に完全に一体化していた。
「おいサタコ! 歩きにくいんだけど! ちゃんと自分であるけよ!!」
「き、恭が怖がってるからな、し、仕方なくだ」
とにかく歩きにくい。こんな所を幽霊さんに追いかけ回されたら逃げられやしい。
そんなのはゴメンだと、サタコの顔をグイッと押し退けなんとか引き剥がそうと試みる。しかしサタコはしつこくしがみついてくる!
コイツ! どこにこんな力が!!
それどころか、今度は左足までズシリと重くなる始末。
「おい! いい加減にしろ! 歩けねぇだろ!!」
「ききききききょょょぉぉぉぉ……」
「あん? なんだよ、左足にも掴まったら歩けねえって……………」
俺の全身の血が『干潮』に達した。左足にしがみつくソレは、サタコでは無く『フランス人形』だったからだ!
「ぎぉあぁぁぁぁぉぁぁあああ!!!」
サタコを足にくっつけたまま俺は走った!!
恐怖でもはやパニック!!
床に手足をつけるが如くに必死に走る!
途中で『フランス人形』を振り落とし、なんとか空いていた部屋へと逃げ込んだ!
入った部屋は応接間だろうか? 大きなテーブルが真ん中に置いてあり、その周りに高級そうなソファーが並んでいた。俺達は身を隠すように一番奥のソファーの後ろに、丸まる様に身を寄せる。
「ささささサタコさん? ああ、アレはなんですか!?」
「知らない知らない知らない知らない見てない見てない見えない見えない」
うわ言の様に繰り返すサタコ。完全に目が死んでいる。
──ギイィ……
っと部屋の扉が開く……必死さのあまり、俺には鍵を閉める余裕なんてなかった。
コツ……コツ……コツ……
ハイヒールを響かせ『フランス人形』が近づいてくるのがソファーの影から見える……そして、辺りを見渡す『フランス人形』の首が、ぐるりと一回転した所で俺達と目が合った。
「エロイムエッサイム! エロイムエッサイム! エロイムエッサイム! エロイムエッサイムエロイムエッサイムエロイムエッサイム」
俺は咄嗟に昔大好きだったアニメの魔法を唱える!
呪文の様に何度も何度も!
当然効くはずもない。作中ではこの魔法は悪魔を退治するどころか召喚する魔法として使われていたからだ。
「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」
大好きなアニメの名ゼリフを頭を抱え、呪文の様に繰り返すサタコさん。
今だけは逃げてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!?
俺は堪らずサタコを抱えて部屋を飛び出した。このままでは本当に呪い殺されてしまう!!
出口に向かうという発想は無かった。というより、パニック状態で考えが及ばなかった。とにかく大吉と合流したい!その一心で、俺は見つけた階段をかけ登る!!
二階に着くと長い通路が広がっており、突き当たりで曲がり更に奥に続いている。
両サイドに別れて扉が十はあるだろうか。しかし、どの部屋が例の部屋かはもうわからない。とにかく頭の中は真っ白で、俺の思考回路は完全に停止していた。
「ど、どこがその部屋だ……?」
大吉達とはすれ違っては居ない。例の部屋にさえ辿りつければ、大吉達と合流出来るはずなのだ。
一つ、二つと扉の前を通り過ぎていく……
俺はふと、ある部屋の前で立ち止まった。この部屋、何か『声』が聞こえてくるのだ……
「ハ……ハ……ハ……ハ……」
息遣いのようにも聞こえる。
俺は大吉かも知れないという、淡い思いを込めて扉を開く……
ギイィ……
そこに居たのは大吉では無く。暗がりでしゃがんでは立ち、しゃがんでは立ちを繰り返すゴリマッチョビキニ男だった!!
「ぎゃあぉあぁぁあいぁぁぁぁぁああぁ!!!!」
「あばばびぶばばぼビィやぁぁぁぁあぃあ!!!!」
俺達は恐怖のあまり、もはや言葉にならない声を上げ必死に逃げる!!!
とにかく逃げた!!
一番近くにあった扉を開き、中に転がり込む!!!
はぁはぁはぁ……
心臓の音が部屋中に響いているんじゃないかと思う程に大きく聞こえる。
隣のサタコは「あうぁぁ」と絞り出すような声を上げ、震えながら俺の足にしがみつく。その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
偶然入ったその部屋だったが、窓辺には『フランス人形』が二体並んで座っていた。
「こ、ここって──、」
そう、ここは最初に大吉が指差した『ゴール』の部屋だ。俺達はやっと辿り着いたのだ!
「サタコ! しっかりしろ! もう終わるぞ!!!」
無事に部屋に辿り着けた事に少し安堵する。
部屋に辿り着けた事に……
大吉達は?
すれ違わなかった。
人形は……
二体ある……
「「わっ!!」」
突然後ろから声をかけられた!!
心臓が飛び出た。
俺達はなりふり構わず部屋を飛び出す。
階段を転げ回る様に落ちながら降り、壁にピンボールの様にぶつかりながらも出口に向かった!!
「ひぃィィィィィィィッ!!!」
「あびゃわばばばばわわわぁぁぁぁ!!!」
出口から飛び出し尚も走る!!!
走って走って自分の家に飛び込み、布団を被って震えながら朝を待つ!
その間サタコとはピタリと寄り添い離れることは無かった。
■■■■
次の日。
ゲッソリとした顔で学校に行くと、俺は大吉に大笑いで出迎えられた。
「かーっはっはっは!! わりぃわりぃ!! あんなにビビるとは思わなかったぜ!!」
満面の笑が憎らしい!!
後に聞けば、最後に脅かしたのは、大吉とシルシルの二人の計画だったようだ。一応シルシルは止めたみたいだが、悪趣味だ。
そしてあの洋館は、ゴリマッチョビキニ男ことサクの住処らしい。
実家暮らしの涼の家に住まわせる訳にはいかず、廃墟となった洋館に住んでもらってるとかなんとか。
それでも皆が口を揃えて言うのは──、
『フランス人形が動いておそって来た?そんな馬鹿な話ない』
だとさ……
俺はサタコを落ち着かせるため、背中をポンと叩く。
「ぴぎゃぁぁぉぁぁぁ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
サタコの悲鳴につられて俺も思わず絶叫! そんな俺達を見て大吉はニヤニヤ。
「お前ら大丈夫かよ? まだ始まってもねーんだからな」
「お、おぅ悪ぃ。れ、練習だよ練習! 怖がってやんねぇと、幽霊もか、可哀想だろ?」
黙れ俺の口ぃぃぃ!! なに意地張ってんだよぉ!? 帰りたい! 本当は今すぐにでも帰りたい!!
口を引きちぎり、ドブに投げ捨てたい衝動に駆られたのは生まれて初めてだ。しかし言ってしまった手前取り下げられない。
もう……やるしかねぇ。
「んじゃま、とりあえず二人一組で行動する事にするか。四人で固まって行ってもしゃーないしな」
何言ってんだコイツ!! 馬鹿なの!? ねぇ? 馬鹿なんじゃないの!?
「あそこの二階の窓見えるか? あの窓枠に、人形が二体置いてあるよな? アレを一体づつ持って帰ってくる! これでミッションコンプリートだ!!」
大吉の指差す方向には窓があり、確かにフランス人形が二体並んでいる。しかし、よりにも寄って『フランス人形』を持って来るだ? そんなん呪って下さいって言ってるのうなもんじゃねぇか!?
「よ、余裕だぜ……な、なあ? サタコ?」
「あ、あああ当たり前だ、だ。私をだ、誰だと思、思っておるのだ!」
ダメだぁぁこりゃ! そして俺の口!! もしも口にファスナーが付いてるなら、閉めてその上で接着剤で固めて、コンクリート漬けにしてやりてぇ!!
「という訳で、早速パートナー決めをしよーぜ?」
大吉の提案に俺はピーンと来た!
もしやジャンケンか!? プールではいい思いはしなかったが、これは逆にチャンス!!
普通にやれば当然俺とサタコのペアになるだろう… …
しかーし! しかしだ。運命を変える手段はある!! 俺はそれを知っている。
俺はチラリと横目でシルシルを見る。何度も何度もサインを送った。それはもう必死に。
ようやくその視線に気づき、意味を悟ったのか頷くシルシル。
ジャンケンであるならば、シルシルに勝てる奴はこの地球上には居ない。
もらったぜ!
俺は勝利を確信していた。しかし──、
「今回はこれで決める」
大吉が取り出したのはティッシュ箱。なんでも、その中に『A』と書かれた紙と『B』と書かれた紙が入っているのだそうだ。
こんのやろぉぉぉ!! これじゃ未来視が使えねぇだろぉがぁぁぁ!! 余計な事すんじゃねぇぇ!!
くじを順番に引き、同時にオープン。これでは三秒先が見えると言っても、操作する事は不可能だ。実質完全なる『運』勝負。
そして──、
順番にクジを引いていく。その後合図と共に一斉にオープン!!
大吉『A』
俺『B』
シルシル『A』
サタコ『B』
終わった……これからエベレスト登頂する奴が、敢えて役に立たない重りを背負って登りますか? いいえ、登りません。
ましてやその重りが『爆弾』だとしたら?
まさにそんな状況。
生きて帰ってこれる気が全くしない。
何が日頃の感謝だよ。
青ざめた顔をした俺とサタコをよそに、「じゃ俺達先に行くから、五分後にお前らも来いよ」と言い残し、大吉とシルシルは洋館の扉を開き暗闇へと消えていった。
五分経ち、俺達も洋館の扉を開き中に入る。
中は月明かりが窓から差し込み、薄らと周りを確認できた。
これなら意外と何とかなるかも知れない。
頼みの最強ボディガードサタコと言うと、俺の右足にしがみつき『コアラ』の様に完全に一体化していた。
「おいサタコ! 歩きにくいんだけど! ちゃんと自分であるけよ!!」
「き、恭が怖がってるからな、し、仕方なくだ」
とにかく歩きにくい。こんな所を幽霊さんに追いかけ回されたら逃げられやしい。
そんなのはゴメンだと、サタコの顔をグイッと押し退けなんとか引き剥がそうと試みる。しかしサタコはしつこくしがみついてくる!
コイツ! どこにこんな力が!!
それどころか、今度は左足までズシリと重くなる始末。
「おい! いい加減にしろ! 歩けねぇだろ!!」
「ききききききょょょぉぉぉぉ……」
「あん? なんだよ、左足にも掴まったら歩けねえって……………」
俺の全身の血が『干潮』に達した。左足にしがみつくソレは、サタコでは無く『フランス人形』だったからだ!
「ぎぉあぁぁぁぁぉぁぁあああ!!!」
サタコを足にくっつけたまま俺は走った!!
恐怖でもはやパニック!!
床に手足をつけるが如くに必死に走る!
途中で『フランス人形』を振り落とし、なんとか空いていた部屋へと逃げ込んだ!
入った部屋は応接間だろうか? 大きなテーブルが真ん中に置いてあり、その周りに高級そうなソファーが並んでいた。俺達は身を隠すように一番奥のソファーの後ろに、丸まる様に身を寄せる。
「ささささサタコさん? ああ、アレはなんですか!?」
「知らない知らない知らない知らない見てない見てない見えない見えない」
うわ言の様に繰り返すサタコ。完全に目が死んでいる。
──ギイィ……
っと部屋の扉が開く……必死さのあまり、俺には鍵を閉める余裕なんてなかった。
コツ……コツ……コツ……
ハイヒールを響かせ『フランス人形』が近づいてくるのがソファーの影から見える……そして、辺りを見渡す『フランス人形』の首が、ぐるりと一回転した所で俺達と目が合った。
「エロイムエッサイム! エロイムエッサイム! エロイムエッサイム! エロイムエッサイムエロイムエッサイムエロイムエッサイム」
俺は咄嗟に昔大好きだったアニメの魔法を唱える!
呪文の様に何度も何度も!
当然効くはずもない。作中ではこの魔法は悪魔を退治するどころか召喚する魔法として使われていたからだ。
「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」
大好きなアニメの名ゼリフを頭を抱え、呪文の様に繰り返すサタコさん。
今だけは逃げてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!?
俺は堪らずサタコを抱えて部屋を飛び出した。このままでは本当に呪い殺されてしまう!!
出口に向かうという発想は無かった。というより、パニック状態で考えが及ばなかった。とにかく大吉と合流したい!その一心で、俺は見つけた階段をかけ登る!!
二階に着くと長い通路が広がっており、突き当たりで曲がり更に奥に続いている。
両サイドに別れて扉が十はあるだろうか。しかし、どの部屋が例の部屋かはもうわからない。とにかく頭の中は真っ白で、俺の思考回路は完全に停止していた。
「ど、どこがその部屋だ……?」
大吉達とはすれ違っては居ない。例の部屋にさえ辿りつければ、大吉達と合流出来るはずなのだ。
一つ、二つと扉の前を通り過ぎていく……
俺はふと、ある部屋の前で立ち止まった。この部屋、何か『声』が聞こえてくるのだ……
「ハ……ハ……ハ……ハ……」
息遣いのようにも聞こえる。
俺は大吉かも知れないという、淡い思いを込めて扉を開く……
ギイィ……
そこに居たのは大吉では無く。暗がりでしゃがんでは立ち、しゃがんでは立ちを繰り返すゴリマッチョビキニ男だった!!
「ぎゃあぉあぁぁあいぁぁぁぁぁああぁ!!!!」
「あばばびぶばばぼビィやぁぁぁぁあぃあ!!!!」
俺達は恐怖のあまり、もはや言葉にならない声を上げ必死に逃げる!!!
とにかく逃げた!!
一番近くにあった扉を開き、中に転がり込む!!!
はぁはぁはぁ……
心臓の音が部屋中に響いているんじゃないかと思う程に大きく聞こえる。
隣のサタコは「あうぁぁ」と絞り出すような声を上げ、震えながら俺の足にしがみつく。その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
偶然入ったその部屋だったが、窓辺には『フランス人形』が二体並んで座っていた。
「こ、ここって──、」
そう、ここは最初に大吉が指差した『ゴール』の部屋だ。俺達はやっと辿り着いたのだ!
「サタコ! しっかりしろ! もう終わるぞ!!!」
無事に部屋に辿り着けた事に少し安堵する。
部屋に辿り着けた事に……
大吉達は?
すれ違わなかった。
人形は……
二体ある……
「「わっ!!」」
突然後ろから声をかけられた!!
心臓が飛び出た。
俺達はなりふり構わず部屋を飛び出す。
階段を転げ回る様に落ちながら降り、壁にピンボールの様にぶつかりながらも出口に向かった!!
「ひぃィィィィィィィッ!!!」
「あびゃわばばばばわわわぁぁぁぁ!!!」
出口から飛び出し尚も走る!!!
走って走って自分の家に飛び込み、布団を被って震えながら朝を待つ!
その間サタコとはピタリと寄り添い離れることは無かった。
■■■■
次の日。
ゲッソリとした顔で学校に行くと、俺は大吉に大笑いで出迎えられた。
「かーっはっはっは!! わりぃわりぃ!! あんなにビビるとは思わなかったぜ!!」
満面の笑が憎らしい!!
後に聞けば、最後に脅かしたのは、大吉とシルシルの二人の計画だったようだ。一応シルシルは止めたみたいだが、悪趣味だ。
そしてあの洋館は、ゴリマッチョビキニ男ことサクの住処らしい。
実家暮らしの涼の家に住まわせる訳にはいかず、廃墟となった洋館に住んでもらってるとかなんとか。
それでも皆が口を揃えて言うのは──、
『フランス人形が動いておそって来た?そんな馬鹿な話ない』
だとさ……
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