上 下
79 / 118
Let's ギルドバトル!

Stage Seventy-Three

しおりを挟む
「キラはいつなのよ?」
「誕生日か? 7月8日だ」
「もう少しじゃない。祝ってあげましょうか?」
「好きにしてくれ」

 俺はそこまで誕生日が好きって訳じゃないし、どうでもいいかな。さて、ミライ、カオリ、サクラの誕生日がわかって、冒険者ギルドも見えてきたし、本格的に準備に取り掛かりますか!

「カオリ、何でもいいから【龍神山】の近くのクエストを持ってきてくれ」
「【龍神山】?なら【転移テレポート】で行けばいいじゃない?」
「冒険者ランク上げだよ。せっかくだし最高まで上げようかなって」
「余裕で出来そうね」
「まぁ、そうだろうな」

 俺のレベルやステータスで最高ランクまで上がらないなら、種族転生しないとできないってことだからな。もしそうでもすぐに種族転生するか、レベル上げに行くかするだけだから何の支障もないけどな。

「キラ、クエスト受注してきたわよ」
「ありがと。じゃ、早速行こうか ───【転移】」

 久しぶりに感じる浮遊感。やっぱりなれないなぁ。

 で、【龍神山】に着いたわけだが・・・。

「ねぇねぇキラさん?私の目がおかしいのかしら?」
「いやいやカオリさん。俺の目もおかしくなったのかもしれない」

 軽く現実逃避していた。理由は、この前俺が龍神に敵の出現率あげられるだけあげてって言ったけど、そのせいでそこら中に魔物がいた。エンカウントしないように移動するなど不可能。魔物と戦闘でもすれば周囲の魔物に気付かれて集団リンチ。これ、やりすぎじゃね?ほら、【神護ゴットプロテクション】も破れかけてるし。【昇華】使ってるんだよ?

 さらに眼下にはここよりもたくさんいる魔物の数。俺のせいで七大危険地域で一番の危険地域になったかもしれない。ボスはそこまで強くなさそうだけど。むしろ創造神が頭一つ抜けてるけど。

「殲滅でいいか。 ───【炎滅ファイナルフレア】」

 サクッと周りの魔物を倒して先へ進む。

〈レベルが264から、265に上がりました。〉
〈レベルが265から、266に上がりました。〉

 あ、久しぶりに聞いたレベルアップアナウンス。知らされるレベルがおかしいのは無視する方向で。

「で、なんでキラはここに来たかったのよ?」
「実はな、この山のどこかに内部に通じる洞穴?洞窟?があるらしいんだよ。で、内部には珍しいものがあるからそれが欲しいなって」

 珍しいものとは、宝石がほとんどだ。その宝石の種類だけど、誕生石のこと。勿論ただの宝石や屑石もある。

「その宝石をミライにあげるのね?・・・いいなぁ」
「なんだ?カオリも欲しいのか?」
「べ、別に欲しいわけじゃないけど!ミライだけ貰ってるなんて不公平だって言ってるだけで!欲しいわけじゃないのよ!本当よ!?」
「んじゃ、要らないんだな?」

 否定が必死過ぎませんかね?

「そ、それは・・・欲しいに決まってるじゃない。だって───」
「カオリ、止まれ」
「なに───むぐっ!?」

 この気配に魔力の強さ。今までの魔物より格段に強い。ただ、俺の相手ではないし、ここはカオリに戦わせようかな。事前に知って無かったら俺が瞬殺してたかも。持ってて良かった【気配察知】と【魔力察知】。

「カオリ、この先に強い魔物がいる。ちょっと戦って来いよ」
「いやよ!死にたくないもの!」
「大丈夫。危ないときは助けるから」
「そ、それなら」

 カオリを後押しして、今から遭遇するであろう魔物と戦わせる。因みに、今カオリは俺とパーティーを組んでいて、さっき俺が倒した大量の魔物の経験値も貰ってるからレベルが100より上になってる。楽勝だな。

「うぅ・・・もぉなんでこんな奴と戦わないといけないの・・・?」

 カオリが何か泣き言を言っているが、無視だ。カオリの前に立っている魔物は重そうな鎧を着ていて、立派な体躯の馬に乗り、手にはリーチの長い槍を持っている。さらに背中に大剣も見えることから、槍と大剣を交互に使いながら戦ってくるのだろう。そして、一番の特徴は、その見た目から騎士とわかる魔物の首がない事。つまり、デュラハンということだ。・・・凄い。今度は大剣が小さく見える。このゲームに丁度いい大剣の使い手はいないのか?

「とりあえず、攻撃してみましょ」
「【昇華】 ───【身体強化フィジカルブースト】【昇華】 【強化〈攻〉】【昇華】 ───【上昇ブースト攻撃力パワー〉】 ───【衰退ウィー防御力ディフェンス〉】【昇華】」

 カオリに聞こえないように小声で魔法と武技の名を言う。このゲームは思考することで魔法が使えるとかそういう機能は無くて、使う度に言わないといけないのが面倒な所だな。【無詠唱】持ってなかったらいちいち詠唱しないといけないからもっと面倒だよな。

「【電光石火】!」

 スパッ

「え・・・?」

 カオリが武技を放った瞬間、敵のデュラハンの身体が真っ二つに分かれた。予想はしてたけど、俺も少し驚いた。馬鹿みたいに強化(【賢者】による威力弄り+【昇華】)しまくった攻撃と、馬鹿みたいに弱体化しまくった防御力が衝突するとそうなるわな。一応騎士の魔物っぽいから防御力とHPは高いはずなんだけどなぁ。

 守護していた魔物を瞬殺した俺達は、その穴の奥に進んでいた。

「ここには魔物がいないのね」
「・・・【機械仕掛けの迷宮メカニカル・ラビリンス】の時と同じトラップか?」
「あのトラップはもうこりごりよ」

 あの時と同じく、この穴に魔物が一切出現しないのだ。理由はいくつか考えつく。まず、もともと出現しない。次に魔物部屋のよう場所が至る所にある。他には、たまたま遭遇していないだけとかもあるな。

「キラ、今更だけどこんなところに何しに来たのよ?」
「そりゃ、鉱石採掘に決まってんだろ」
「なんの?」
「指輪に使う鉱石だよ」
「(指輪・・・ミライの、よね)」
「ん?なんだ?」

 カオリが小さく何か言っているようだが、上手く聴き取れない。聴力強化系のスキルあったかなぁ。

 そんな話をしながら進んでいき、遂に最奥まで辿り着いた。そこには壁だけなく天井までもがゴツゴツした岩肌に、輝く宝石の原石があった。これを見ただけでここに来てよかったと思えるような場所だ。

「ここが最奥ね。で、何をどれくらい集めればいいのかしら?」
「ここの中だったらどこでも採掘できるんだな。一応鶴嘴はたくさん持ってきたから、全てなくなるまでだな。種類は、トリカラートルマリンだという綺麗な宝石だ」
「トリカラ―トルマリンね。わかったわ」

 いくつかカオリに鶴嘴を渡し、手分けして採掘するこちにした。早めに出るといいけど。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~

神城弥生
ファンタジー
なろう小説サイトにて「HJ文庫2018」一次審査突破しました!! 皆様のおかげでなろうサイトで120万pv達成しました! ありがとうございます! VRMMOを造った山下グループの最高傑作「Another Of Life Game」。 山下哲二が、死ぬ間際に完成させたこのゲームに込めた思いとは・・・? それでは皆様、AOLの世界をお楽しみ下さい! 毎週土曜日更新(偶に休み)

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件

なかの
ファンタジー
異世界に転生した僕。 そこで与えられたのは、この世界ただ一人だけが持つ、ユニークスキル『スキル合成 - シンセサイズ』だった。 このユニークスキルを武器にこの世界を無双していく。 【web累計100万PV突破!】 著/イラスト なかの

沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜

雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。 剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。 このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。 これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は 「このゲームをやれば沢山寝れる!!」 と言いこのゲームを始める。 ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。 「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」 何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は 「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」 武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!! ..........寝ながら。

異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース
ファンタジー
主人公の青年、藤堂飛鳥(とうどう・あすか)。 彼は、新発売のVRMMOを購入して帰る途中、事故に合ってしまう。 だがそれは神様のミスで、本来アスカは事故に遭うはずでは無かった。 神様は謝罪に、チートスキルを持っての異世界転生を進めて来たのだが・・・。 アスカはそんなことお構いなしに、VRMMO! これは、神様に貰ったチートスキルを活用して、VRMMO世界を楽しむ物語。 異世界云々が出てくるのは、殆ど最初だけです。 そちらがお望みの方には、満足していただけないかもしれません。

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

処理中です...