57 / 106
芽吹
しおりを挟む
お待たせしました!ゆっくり目の更新にまるかと思いますが、よろしくお願いします!過去のお話からスタートです!
運悪く、海で難破したエルメレの戦艦があった。嵐に揉まれ岩場で座礁したのだ。
運悪く…まさにそこは領海とはいえ敵対する国同士が主権を主張する、酷く堺が曖昧な場所である。
敵対する王国側も必ず巡航する場所だ。
降り頻る雨の中一体何人生きているか…ある兵士は辺りを見渡した。
海に放り出された者、怪我をした者、なんとか生き残ろうと必死に小型ボートを下ろそうとする者…
戦わざるして死ぬとは。
天は、嘲笑っているだろうか。
人間同士が命を奪い合わなくとも、嵐1つ…こんなにも簡単に命は尽きるというのに…甲板で呆然とする兵士は動かぬ戦友を抱きながら座り込む。
『敵だ!王国の戦艦だ!』
遂に、命運が尽きる…兵士は瞼を瞑る。 誰も生き残れないだろう。
故郷が目に浮かぶ
家族が目に浮かぶ
風の薫り
土を踏む音
後ろからは、聞き慣れた笑い声
振り返ると、家族が居る
帰りたい…
家へ…自らの帰りを待つ人の元へ…
『ちょっと待て、何かおかしいぞ…小船が来る…』
ハッとしてその小船の方向を見る。
乗り移るならば船を寄せるはずだ。
いくら岩場とはいえ遠すぎる…
必死に望遠鏡を覗き、様子を伺う者が何か動きがあるたびに大声でそれを皆に伝える。
『船が3隻こちらに来ます!』
雨が小降りになってきた…。
一体、何を…
『戦闘の意思は無いようです…』
『そんな訳あるかっ!皆殺しか捕虜だ!』
交戦出来るのだろうか…最早何も、戦える武器なぞない。
むしろ今必要なのは…
兵士は動かぬ戦友に目を落とす。
『あ、…諦めるな!』
片言のエルメレの言葉が、響き渡る。
発したのは王国側の小船からだ。
無謀にも小舟に乗った王国側の船員は生き残った全ての船員を王国の戦艦へ収容し、エルメレの国旗を掲げて1番近くの島へ向かった。
そこで事情を説明し、無事生き残った全員をエルメレ側へ引き渡した。
その際、1番位が高いであろう、王国側の男が流暢なエルメレ語で、生き残ったエルメレの者達へこう言った。
『我々が救ったのでは無く、救われたのだ。戦場で人は獣と化す…だが奪うのでは無く、与える事が出来るのだと教えてくれた。
敵では無く、同じ人間なのだと。失われた命に哀悼の意を送ると共に、生きて救えた者達に感謝したい。
よく、生き延びてくれた』
敵同士、憎み合っているのに…
説明のつかない涙が兵士の頬を伝う。
急いでそれを隠そうと拭ったが、皆一様に同じ動作をするので、そのうち隠す事もせず、皆同じように涙を流した。
夕焼けの宮殿、といっても首都にある宮殿では無い。郊外にある皇族所有の別邸だ。
その洗練された建物の一室、開かれたバルコニーに中年の男が2人、夕陽に体を向けて座っている。
1人はいかにも豪華な威厳ある装いで、もう1人は緊張した面持ちの軍服の男だ。
エルメレ帝国とアレキサンドロス王国の平和条約は互いの領海沿いの海の上で結ばれた。
今日で長い殺し合いは終わり、前途多難であるが平和への第一歩を踏み出した記念すべき日だ。
『…コナー・ローリーよ。
あの時、なぜ届けた。沈める方が簡単であったろう』
エルメレの頂に立つ、白髪混じりの男が先日の行いを行った張本人に問う。
男達は気持ちの良い風に当たりながら、意匠を凝らされた小さな卓を挟んでいる。
向き合っているわけでは無い。
椅子は夕陽に向けられていた。
軍服の男もそれに倣って、まるで横に並んで夕陽を眺める様に座っているのだ。
『恐れながら、皇帝陛下。
難破船を沈めろ、と命令は受けていません。命令であれば従うでしょう』
命令…そう聞いても皇帝陛下と呼ばれる男は一切表情を変えない。
『救え、とは言われておらんはずだ』
皇帝陛下がそう言っても、コナーと呼ばれる男も表情は変えない。
『…皆、ああいった時に浮かぶのは家族や故郷の事でしょう。私にも経験があります。奪わずに済むのであれば、それに越した事はありません。』
コナーは姿勢を崩さず両手は軽く握り膝の上に置かれ、頭だけを下げそう応えた。
『お人好しよのう』
そう言って指輪がいくつも光る手がグラスに伸び、葡萄酒を飲み干す。
『ではそなたに聞こう。
…争いを無くすにはどうしたらいい』空のグラスを眺めながら、皇帝陛下は質問を続ける。
この者ならどのような答えが返ってくるのか、例え耳障りが良い建前でも聞いてみたかった。
『…その者の良き友人となりましょう。
友人の家に刃物を持って押し入ろうとは思いません。私なら、このように美味しい酒が手に入ったら…共に飲みたい、と…友人の家を尋ねます』
このように、とコナーは酒瓶を手にして不躾にも皇帝のグラスに注ぐ。
『…美味であろう?』
皇帝陛下は両眉を上げてコナーを見る。
震えもせず、大胆にもグラスに葡萄酒を注ぐ男を。
『…はい。普段は葡萄酒はあまり嗜みませんが…今日は、格別美味しいです』
そこで初めてコナーの表情が緩んだ。
今日…平和条約が結ばれたその日…
『この国で1番美味い酒を持ってこさせたのだ…』
夕陽を眺めながら、男2人はポツリポツリと言葉を交わす。
静かで、穏やかで、心地よい時間がそこに流れていた。
少し開いたドアから父上と敵国の服を着たジジイが見える…とフィデリオは思った。
そしてその隙間を興味深く覗き込む。
とはいえ身長の小さなフィデリオにはソファや家具が邪魔してよく見えない。
この部屋は皇帝陛下であるフィデリオの父が持つ私室の一つで、宮殿の中でも入れる物が極小数なのをフィデリオは知っていた。
『ベルナルディ侯爵、父上がやられてしまう』
フィデリオは心配そうな顔で声を顰め、ここに居る唯一の大人に言った。
『大丈夫ですよ、フィデリオ皇子。お二人とも武器は持っていません』
笑みを浮かべた恰幅の良いベルナルディ侯爵と呼ばれた子守は、覗き込むフィデリオを止めはしない。
剣術の稽古をしよう、とフィデリオがベルナルディ侯爵にせがんだが、侯爵も皇帝陛下の様子を気にする子供達の気持ちを汲んで、侍女や侍従を下がらせた。
ベルナルディ侯爵も子守は慣れていないので、注意するよりも様子を見ている、といった感じだ。
『どうします、姉様、レオ。王国人だ。
父上がやられてしまう。我等が助けなかれば!』
フィデリオの声には焦りが見える。
『大丈夫だと言っているだろう、フィデリオ』
姉のキアラは顔色一つ変えずにフィデリオに言った。
『なぜですか?敵なのに…』
フィデリオはなんとかもっと中の様子が見えないかと背伸びをして覗き込む。
レオはベルナルディ侯爵を見上げて2人は目を合わせた。
少し不安そうにそれぞれの顔を見渡すレオの顔とあっけらかんとしているキアラ…
キアラの肝の座り様にベルナルディ侯爵は子供らしさを感じない。
なんと答えようか…ベルナルディ侯爵は考える。
もう敵では無いと伝えても、納得できる程の軽い喧嘩とは違うのだ。
長い長い間奪い合った…命や財産、その他の全てを。
『邪魔するな、フィデリオ。そなたは小さくて見えないのか。
父上は今、友と盃を交わしている。
邪魔すると怒られるぞ』
キアラは背の小さなフィデリオの木剣をひったくり、笑みを浮かべて揶揄う。
『なぜ友なのですか!?敵です!
いなくなればいいのです』
フィデリオはキアラから木剣を取り返そうと手を伸ばし、ぴょこぴょこと跳ぶが、キアラは更に腕を伸ばしフィデリオに届かないようにして揶揄い続けた。
『友でなけれな酒なぞ2人で父上は飲まない。ほら、見てみろ。この角度なら見えるか?』
キアラがフィデリオの肩を掴み、ほんんの僅かに見える2人の様子を見せてやる。
笑ってる…とフィデリオが呟いた。
レオもすかさず覗き込んだ。
『これ、レオ。そなたまで』
父に咎められても、レオはその様子を興味深く見続けた。
まるで敵同士には見えない…
『日が暮れる。さっさと行こう』
キアラは木剣2つを器用にくるくると回し、さっさと歩き出した。
新しい世代が新しい時代を作る、それに相応しい後継者が居る事に、ベルナルディ侯爵は誇らしさと可能性を感じた。
失われたもの、流された血、取り返しのつかない事は数え切れない。
だが、その中にもしっかりと希望の芽が育っていた。そこに、安堵した。
救いはきっとそこにある、と。
運悪く、海で難破したエルメレの戦艦があった。嵐に揉まれ岩場で座礁したのだ。
運悪く…まさにそこは領海とはいえ敵対する国同士が主権を主張する、酷く堺が曖昧な場所である。
敵対する王国側も必ず巡航する場所だ。
降り頻る雨の中一体何人生きているか…ある兵士は辺りを見渡した。
海に放り出された者、怪我をした者、なんとか生き残ろうと必死に小型ボートを下ろそうとする者…
戦わざるして死ぬとは。
天は、嘲笑っているだろうか。
人間同士が命を奪い合わなくとも、嵐1つ…こんなにも簡単に命は尽きるというのに…甲板で呆然とする兵士は動かぬ戦友を抱きながら座り込む。
『敵だ!王国の戦艦だ!』
遂に、命運が尽きる…兵士は瞼を瞑る。 誰も生き残れないだろう。
故郷が目に浮かぶ
家族が目に浮かぶ
風の薫り
土を踏む音
後ろからは、聞き慣れた笑い声
振り返ると、家族が居る
帰りたい…
家へ…自らの帰りを待つ人の元へ…
『ちょっと待て、何かおかしいぞ…小船が来る…』
ハッとしてその小船の方向を見る。
乗り移るならば船を寄せるはずだ。
いくら岩場とはいえ遠すぎる…
必死に望遠鏡を覗き、様子を伺う者が何か動きがあるたびに大声でそれを皆に伝える。
『船が3隻こちらに来ます!』
雨が小降りになってきた…。
一体、何を…
『戦闘の意思は無いようです…』
『そんな訳あるかっ!皆殺しか捕虜だ!』
交戦出来るのだろうか…最早何も、戦える武器なぞない。
むしろ今必要なのは…
兵士は動かぬ戦友に目を落とす。
『あ、…諦めるな!』
片言のエルメレの言葉が、響き渡る。
発したのは王国側の小船からだ。
無謀にも小舟に乗った王国側の船員は生き残った全ての船員を王国の戦艦へ収容し、エルメレの国旗を掲げて1番近くの島へ向かった。
そこで事情を説明し、無事生き残った全員をエルメレ側へ引き渡した。
その際、1番位が高いであろう、王国側の男が流暢なエルメレ語で、生き残ったエルメレの者達へこう言った。
『我々が救ったのでは無く、救われたのだ。戦場で人は獣と化す…だが奪うのでは無く、与える事が出来るのだと教えてくれた。
敵では無く、同じ人間なのだと。失われた命に哀悼の意を送ると共に、生きて救えた者達に感謝したい。
よく、生き延びてくれた』
敵同士、憎み合っているのに…
説明のつかない涙が兵士の頬を伝う。
急いでそれを隠そうと拭ったが、皆一様に同じ動作をするので、そのうち隠す事もせず、皆同じように涙を流した。
夕焼けの宮殿、といっても首都にある宮殿では無い。郊外にある皇族所有の別邸だ。
その洗練された建物の一室、開かれたバルコニーに中年の男が2人、夕陽に体を向けて座っている。
1人はいかにも豪華な威厳ある装いで、もう1人は緊張した面持ちの軍服の男だ。
エルメレ帝国とアレキサンドロス王国の平和条約は互いの領海沿いの海の上で結ばれた。
今日で長い殺し合いは終わり、前途多難であるが平和への第一歩を踏み出した記念すべき日だ。
『…コナー・ローリーよ。
あの時、なぜ届けた。沈める方が簡単であったろう』
エルメレの頂に立つ、白髪混じりの男が先日の行いを行った張本人に問う。
男達は気持ちの良い風に当たりながら、意匠を凝らされた小さな卓を挟んでいる。
向き合っているわけでは無い。
椅子は夕陽に向けられていた。
軍服の男もそれに倣って、まるで横に並んで夕陽を眺める様に座っているのだ。
『恐れながら、皇帝陛下。
難破船を沈めろ、と命令は受けていません。命令であれば従うでしょう』
命令…そう聞いても皇帝陛下と呼ばれる男は一切表情を変えない。
『救え、とは言われておらんはずだ』
皇帝陛下がそう言っても、コナーと呼ばれる男も表情は変えない。
『…皆、ああいった時に浮かぶのは家族や故郷の事でしょう。私にも経験があります。奪わずに済むのであれば、それに越した事はありません。』
コナーは姿勢を崩さず両手は軽く握り膝の上に置かれ、頭だけを下げそう応えた。
『お人好しよのう』
そう言って指輪がいくつも光る手がグラスに伸び、葡萄酒を飲み干す。
『ではそなたに聞こう。
…争いを無くすにはどうしたらいい』空のグラスを眺めながら、皇帝陛下は質問を続ける。
この者ならどのような答えが返ってくるのか、例え耳障りが良い建前でも聞いてみたかった。
『…その者の良き友人となりましょう。
友人の家に刃物を持って押し入ろうとは思いません。私なら、このように美味しい酒が手に入ったら…共に飲みたい、と…友人の家を尋ねます』
このように、とコナーは酒瓶を手にして不躾にも皇帝のグラスに注ぐ。
『…美味であろう?』
皇帝陛下は両眉を上げてコナーを見る。
震えもせず、大胆にもグラスに葡萄酒を注ぐ男を。
『…はい。普段は葡萄酒はあまり嗜みませんが…今日は、格別美味しいです』
そこで初めてコナーの表情が緩んだ。
今日…平和条約が結ばれたその日…
『この国で1番美味い酒を持ってこさせたのだ…』
夕陽を眺めながら、男2人はポツリポツリと言葉を交わす。
静かで、穏やかで、心地よい時間がそこに流れていた。
少し開いたドアから父上と敵国の服を着たジジイが見える…とフィデリオは思った。
そしてその隙間を興味深く覗き込む。
とはいえ身長の小さなフィデリオにはソファや家具が邪魔してよく見えない。
この部屋は皇帝陛下であるフィデリオの父が持つ私室の一つで、宮殿の中でも入れる物が極小数なのをフィデリオは知っていた。
『ベルナルディ侯爵、父上がやられてしまう』
フィデリオは心配そうな顔で声を顰め、ここに居る唯一の大人に言った。
『大丈夫ですよ、フィデリオ皇子。お二人とも武器は持っていません』
笑みを浮かべた恰幅の良いベルナルディ侯爵と呼ばれた子守は、覗き込むフィデリオを止めはしない。
剣術の稽古をしよう、とフィデリオがベルナルディ侯爵にせがんだが、侯爵も皇帝陛下の様子を気にする子供達の気持ちを汲んで、侍女や侍従を下がらせた。
ベルナルディ侯爵も子守は慣れていないので、注意するよりも様子を見ている、といった感じだ。
『どうします、姉様、レオ。王国人だ。
父上がやられてしまう。我等が助けなかれば!』
フィデリオの声には焦りが見える。
『大丈夫だと言っているだろう、フィデリオ』
姉のキアラは顔色一つ変えずにフィデリオに言った。
『なぜですか?敵なのに…』
フィデリオはなんとかもっと中の様子が見えないかと背伸びをして覗き込む。
レオはベルナルディ侯爵を見上げて2人は目を合わせた。
少し不安そうにそれぞれの顔を見渡すレオの顔とあっけらかんとしているキアラ…
キアラの肝の座り様にベルナルディ侯爵は子供らしさを感じない。
なんと答えようか…ベルナルディ侯爵は考える。
もう敵では無いと伝えても、納得できる程の軽い喧嘩とは違うのだ。
長い長い間奪い合った…命や財産、その他の全てを。
『邪魔するな、フィデリオ。そなたは小さくて見えないのか。
父上は今、友と盃を交わしている。
邪魔すると怒られるぞ』
キアラは背の小さなフィデリオの木剣をひったくり、笑みを浮かべて揶揄う。
『なぜ友なのですか!?敵です!
いなくなればいいのです』
フィデリオはキアラから木剣を取り返そうと手を伸ばし、ぴょこぴょこと跳ぶが、キアラは更に腕を伸ばしフィデリオに届かないようにして揶揄い続けた。
『友でなけれな酒なぞ2人で父上は飲まない。ほら、見てみろ。この角度なら見えるか?』
キアラがフィデリオの肩を掴み、ほんんの僅かに見える2人の様子を見せてやる。
笑ってる…とフィデリオが呟いた。
レオもすかさず覗き込んだ。
『これ、レオ。そなたまで』
父に咎められても、レオはその様子を興味深く見続けた。
まるで敵同士には見えない…
『日が暮れる。さっさと行こう』
キアラは木剣2つを器用にくるくると回し、さっさと歩き出した。
新しい世代が新しい時代を作る、それに相応しい後継者が居る事に、ベルナルディ侯爵は誇らしさと可能性を感じた。
失われたもの、流された血、取り返しのつかない事は数え切れない。
だが、その中にもしっかりと希望の芽が育っていた。そこに、安堵した。
救いはきっとそこにある、と。
3
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
婚約者が知らない女性とキスしてた~従順な婚約者はもう辞めます!~
ともどーも
恋愛
愛する人は、私ではない女性を抱きしめ、淫らな口づけをしていた……。
私はエスメローラ・マルマーダ(18)
マルマーダ伯爵家の娘だ。
オルトハット王国の貴族学院に通っている。
愛する婚約者・ブラント・エヴァンス公爵令息とは七歳の時に出会い、私は一目で恋に落ちた。
大好きだった……。
ブラントは成績優秀、文武両道、眉目秀麗とみんなの人気者で、たくさんの女の子と噂が絶えなかった。
『あなたを一番に愛しています』
その誓いを信じていたのに……。
もう……信じられない。
だから、もう辞めます!!
全34話です。
執筆は完了しているので、手直しが済み次第順次投稿していきます。
設定はゆるいです💦
楽しんで頂ければ幸いです!
死にかけ令嬢は二度と戻らない
水空 葵
恋愛
使用人未満の扱いに、日々の暴力。
食事すら満足に口に出来ない毎日を送っていた伯爵令嬢のエリシアは、ついに腕も動かせないほどに衰弱していた。
味方になっていた侍女は全員クビになり、すぐに助けてくれる人はいない状況。
それでもエリシアは諦めなくて、ついに助けを知らせる声が響いた。
けれど、虐めの発覚を恐れた義母によって川に捨てられ、意識を失ってしまうエリシア。
次に目を覚ました時、そこはふかふかのベッドの上で……。
一度は死にかけた令嬢が、家族との縁を切って幸せになるお話。
※他サイト様でも連載しています
無彩色なキミに恋をして。
氷萌
恋愛
『お嬢様
私に何なりと御用命ください』
紺色のスーツを身に纏い
眉目秀麗で優しい笑顔を持ち合わせる彼は
日本有するハイジュエリーブランド
“Ripple crown”の代表取締役社長兼CEOであり
わたしの父の秘書・執事でもある。
真白 燈冴(28歳)
Togo Masiro
実は彼
仕事じゃ誰にでも優しく
澄んだ白い心を持つ王子のようなのに…
『何をご冗談を。
笑わせないでください。
俺が想っているのは緋奈星さま、貴女ただ1人。
なんなら、お望みとあれば
この気持ちをその体に刻んでも?』
漣 緋奈星(21歳)
Hinase Sazanami
わたしに向ける黒い笑顔は
なぜか“男”だ。
私がいなければ。
月見 初音
恋愛
大国クラッサ王国のアルバト国王の妾腹の子として生まれたアグネスに、婚約話がもちかけられる。
しかし相手は、大陸一の美青年と名高い敵国のステア・アイザイン公爵であった。
公爵から明らかな憎悪を向けられ、周りからは2人の不釣り合いさを笑われるが、アグネスは彼と結婚する。
結婚生活の中でアグネスはステアの誠実さや優しさを知り彼を愛し始める。
しかしある日、ステアがアグネスを憎む理由を知ってしまい罪悪感から彼女は自死を決意する。
毒を飲んだが死にきれず、目が覚めたとき彼女の記憶はなくなっていた。
そして彼女の目の前には、今にも泣き出しそうな顔のステアがいた。
𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷
初投稿作品なので温かい目で見てくださると幸いです。
コメントくださるととっても嬉しいです!
誤字脱字報告してくださると助かります。
不定期更新です。
表紙のお借り元▼
https://www.pixiv.net/users/3524455
𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
あなたたちのことなんて知らない
gacchi
恋愛
母親と旅をしていたニナは精霊の愛し子だということが知られ、精霊教会に捕まってしまった。母親を人質にされ、この国にとどまることを国王に強要される。仕方なく侯爵家の養女ニネットとなったが、精霊の愛し子だとは知らない義母と義妹、そして婚約者の第三王子カミーユには愛人の子だと思われて嫌われていた。だが、ニネットに虐げられたと嘘をついた義妹のおかげで婚約は解消される。それでも精霊の愛し子を利用したい国王はニネットに新しい婚約者候補を用意した。そこで出会ったのは、ニネットの本当の姿が見える公爵令息ルシアンだった。
公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる