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本編
不機嫌スイッチ②
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雰囲気の悪くなって来た室内で、小さく深呼吸をする。
ため息はダメだ。より徳仁を刺激して本気で帰らなくなってしまうから。
「……流行りのヒス構文ってやつ? 俺は別に徳仁が休みをゆっくり休めないままだと大変だろうと思って、早めに帰宅するのをオススメしただけだよ」
心なしか明るい声を意識して 食べ終えた皿を持って立ち上がると、徳仁が俺の手首を掴んだ。
「へぇー? そんなに心配してくれるんだ? それなら、俺がゆっくり休めるように 環にマッサージして欲しいな」
「ッ……片付け、して 来るから……待って」
手に持った食器を落とさぬ様に少し掲げて見せると、徳仁はまだ少し残っている自分の皿を横目でチラッと見てから、分かったと言って口元だけで笑う。
手が解放されると、反動で少しよろけたが そそくさとシンクへ移動した。
黙々と皿を洗っている間も、徳仁はソファからねっとりと絡み付くような視線をこちらに向けているのが 背中から伝わって来る。
カチャンッと小さく食器の鳴る音が響いた。
背後に、いつの間にか 徳仁が立っていて、脇の隙間から食器を持った手が伸びてくる。
反対の手は俺の尻にいやらしく這わせて、耳元で「美味しかったよ。ごちそうさま」と囁かれた。
「! ……持っ……て来てくれて、ありがとう」
悪寒が全身を巡って、皮膚が粟立つ。驚き過ぎて 持っている食器も落としそうだった。
「キッチンに立つ姿は 無防備でイタズラしたくなるね」
「アッ……ちょっと、やめッ!」
食器を持って泡だらけの状態では、確かに大した抵抗も出来ず……徳仁の手が服の中へと侵入するのを 防ぐ事が出来なかった。
「暴れたら落としちゃうよ?」
「んッ、ヤっ、だめッ徳仁やめてッ」
胸の突起を爪の先でカリカリと探り、ボクサーパンツの上から形をなぞるように撫で上げられる。
その不快な快感は 脳が可笑しくなりそうで、 急いで食器をシンクへ戻して手をすすぐ。
「ねぇ知ってる? 環みたいにボクサータイプの締め付けが強い下着って、精巣の温度の上昇や血流障害とかで精巣に障害が起こって、代償機能が働くんだって。精巣に働きかけるホルモンが増加して 精巣での精子の形成がうまくできないんだって。つまり、結果的に精子数が減少する可能性があるらしいよ」
先程までの不機嫌そうな態度も無くなり、どこか愉しげな徳仁の声がすぐ側から鼓膜を震わせる。
「んッぁ……そんなのしらなっ……も、そう言うの良いからっんんッ止めて」
そんなつもりは無くとも 腰が引けて徳仁の昂りへ自ら臀部を押し付ける形になっている事が嫌だった。
早く、この場から逃げたい。
濡れたままの手で賢明に徳仁の動きを止めようともがく。すぐ隣りに置いている冷蔵庫に身体が当たって 上に乗せていた炊飯器からしゃもじが 落ちた。
ため息はダメだ。より徳仁を刺激して本気で帰らなくなってしまうから。
「……流行りのヒス構文ってやつ? 俺は別に徳仁が休みをゆっくり休めないままだと大変だろうと思って、早めに帰宅するのをオススメしただけだよ」
心なしか明るい声を意識して 食べ終えた皿を持って立ち上がると、徳仁が俺の手首を掴んだ。
「へぇー? そんなに心配してくれるんだ? それなら、俺がゆっくり休めるように 環にマッサージして欲しいな」
「ッ……片付け、して 来るから……待って」
手に持った食器を落とさぬ様に少し掲げて見せると、徳仁はまだ少し残っている自分の皿を横目でチラッと見てから、分かったと言って口元だけで笑う。
手が解放されると、反動で少しよろけたが そそくさとシンクへ移動した。
黙々と皿を洗っている間も、徳仁はソファからねっとりと絡み付くような視線をこちらに向けているのが 背中から伝わって来る。
カチャンッと小さく食器の鳴る音が響いた。
背後に、いつの間にか 徳仁が立っていて、脇の隙間から食器を持った手が伸びてくる。
反対の手は俺の尻にいやらしく這わせて、耳元で「美味しかったよ。ごちそうさま」と囁かれた。
「! ……持っ……て来てくれて、ありがとう」
悪寒が全身を巡って、皮膚が粟立つ。驚き過ぎて 持っている食器も落としそうだった。
「キッチンに立つ姿は 無防備でイタズラしたくなるね」
「アッ……ちょっと、やめッ!」
食器を持って泡だらけの状態では、確かに大した抵抗も出来ず……徳仁の手が服の中へと侵入するのを 防ぐ事が出来なかった。
「暴れたら落としちゃうよ?」
「んッ、ヤっ、だめッ徳仁やめてッ」
胸の突起を爪の先でカリカリと探り、ボクサーパンツの上から形をなぞるように撫で上げられる。
その不快な快感は 脳が可笑しくなりそうで、 急いで食器をシンクへ戻して手をすすぐ。
「ねぇ知ってる? 環みたいにボクサータイプの締め付けが強い下着って、精巣の温度の上昇や血流障害とかで精巣に障害が起こって、代償機能が働くんだって。精巣に働きかけるホルモンが増加して 精巣での精子の形成がうまくできないんだって。つまり、結果的に精子数が減少する可能性があるらしいよ」
先程までの不機嫌そうな態度も無くなり、どこか愉しげな徳仁の声がすぐ側から鼓膜を震わせる。
「んッぁ……そんなのしらなっ……も、そう言うの良いからっんんッ止めて」
そんなつもりは無くとも 腰が引けて徳仁の昂りへ自ら臀部を押し付ける形になっている事が嫌だった。
早く、この場から逃げたい。
濡れたままの手で賢明に徳仁の動きを止めようともがく。すぐ隣りに置いている冷蔵庫に身体が当たって 上に乗せていた炊飯器からしゃもじが 落ちた。
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