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番外編(徳仁)

初めての情動

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 小さい頃、勉強すれば褒めてもらえるのが大好きだった。父様も母様も、俺がにしてればにこにこ笑って褒めてくれるのが幸せだった。


 従弟いとこの環は赤ちゃんの頃からまるで向日葵みたいに笑顔が可愛くて大好きだった。

 そんな環の勉強を、アルバイトとして見てやって欲しいと言われた時にはラッキーだと思った。

 毎回いっぱい褒めてやれば、暖かい気持ちになれる笑顔が帰ってくるんだ。
 
 ある日の勉強中、環が難しい顔をして、哀しげに呟きながら俺を見た。



「最近ね、保健体育で性についての問題を勉強してるの。でもね、授業の後 なんだか気持ち悪くなっちゃうんだ。だから、ちっとも覚えられないの……」 

「うーん……気持ち悪くなっちゃうのは困るね。保健体育かぁ。うーん、環が覚えやすくなるように僕も考えておくよ」
 
「ほんと? ありがとう!」


 
 環が向日葵みたいな笑顔で俺に抱き着いて喜んでいる事に、なんだかドキドキと胸の高鳴りを感じて 今までに無い感覚を覚えた。
 
 それから2週間ほど保健体育の性に関する問題や、それられに関する問題を自分の脳に叩き込んだ。

 こんなに性について勉強するのは初めてだと思う。

 何となく、環とエッチな事するこんな関係になる人はどんな人なんだろうと考えたら、胸の鼓動が早まり  下半身はムズムズして不思議な感覚を覚えた。
 


「今日は徳仁くんが居る間にお買い物に行って来ても良いかしら? 3時間……2時間くらいで帰ってくるわ」

「大丈夫ですよ。僕が責任もって勉強も教えますから、安心してお買い物に行ってきてください」
 
「徳仁くんが居てくれて本当に助かるわ。ありがとう 環も徳仁くんが来てくれる日は嬉しそうだし、成績も上がってて 感謝してるのよ。じゃ、行ってくるわね」



 そう言って環の母は出掛けていった。

 勉強中に叔母が入って来れば何となく気まずくなってしまうだろう 性に関する保健体育の勉強をするなら、叔母が出掛けた今日しかない と思って急いで環の部屋に上がった。



 今日の環はピタッとしたチノパンに緩めの半袖Tシャツを着ていて、それほど喉仏の出ていない首筋から鎖骨までのラインが綺麗だった。

「今日は数学でここを教わったんだけど、よく分かんなくて……徳仁兄さん、教えてくれる?」

「ああ、それは」

 ノートを広げて、困ったように小首を傾げる環がやたらと可愛く見えて、今日の俺は、少し変かもしれないな。なんて思いながらいつも通り数学、化学、歴史と環の難しかったと言う科目を中心に教え終わると、大きく伸びをした環の脇が袖から見えた。

「その服、なんか大きくない?」

「うん、友達が選んでくれたんだけどMサイズしかなくて。まだちょっと大きいけど、僕も成長期だからすぐちょうどよくなるかなって!」

 無邪気に笑う環が俺の方に手を着いた瞬間、緩いTシャツの襟元から環の可愛い乳首が見えた。

  ゾクゾクっと心が騒がしくなり、ムラムラと中心が疼いた

 何故だか分からないけど、今日の環はやたらと可愛く見えるし、色っぽく見える。

先程から見え隠れしている鎖骨も、乳首も、俺の鼓動を早くして、下半身が緩く反応している。


まるで、環に欲情しているみたいに。
 
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