15 / 31
☆神に突き落とされた天使は(人外/ハピエン(?))
しおりを挟む
天界には誰でも知ってる有名な天使様もいれば 人間から転生したばかりの天使もいるし、悪いことばかりして堕天に下った者もいる。
私はと言えば 可もなく不可もなく 新米でもお局でも無い 落ちこぼれ天使だ。
だけどこの前、何故か私を気にかけて下さる神様の宴(聞こえは仰々しいがただの飲み会である)にお呼ばれした際、ちょっと否 だいぶ酔った神様から『人から愛されない者は人を愛しえないのよ。たくさん恋をさせなさい 。そして愛されなさい。さすれば貴方も迷える仔羊ちゃんを愛せる立派な天使になれるわ』とありがた(迷惑っぽ)いお言葉を頂いた。
しかも『"恋"は地上でお探しなさい♡でも、本気になってはダメよ☆』と天界から落とされてしまったのだ。
たまたま降り立った人通りの少ない道で羽根をしまい、辺りを見回した。
「まったく、何も準備して無いのにいきなりとか困りますね……でもそのまま帰ったら怒られるでしょうし……これからどうしましょう」
溜息と共に愚痴をこぼした。1歩足を踏み出し 何も身に着けていない足がゴツゴツとしたほんのり熱いアスファルトの上に乗ると その感触に早くも挫けそうになった。
「あ、あの!」
男性の若い声に呼びかけられて振り向くが やはり先程同様 誰もない。気のせいかと歩き出そうとするとまた同じように声がした。
「あの!上です!うえ!こっち!」
「うえ……?ぁ……貴方が私を呼んだんですか?」
小綺麗な3階建てのアパートの一室から、20そこそこの男性がベランダから身を乗り出すように手を振っている。声を掛けると嬉しそうに何度も頷いて「今そっち行くんで そこ居てください!」と言い置いて姿が見えなくなった。どうしようかと悩みながらも立ち尽くしているとロングコートとサンダルを持った先程の男が息を切らせて近寄って来た
「良かった、待っててくれて。これ、足痛そうだから使って下さい」
「有難う存じます。今は何もお返し出来ませんが宜しいのでしょうか?」
差し出された私の足より大きなサンダルを履き「気にしないで下さい」と言いながら肩にかけてくれたもう少しで引きずってしまいそうなコートを借りた。
「実はさっき、君が降ってくるのを見てたんだ。とても美しい天使様みたいに見えて……酔ってるからかなって何度も目を擦っちゃったよ」
ふわふわと優しい笑顔を向けるその男は部屋に私を案内するとそう言いながらテーブルの上に置かれた空き缶を片付けた。
「私が美しいかは別として、天使なのは確かですよ。ちょっと上機嫌な神様に地上で勉強して来るようにと派遣されまして」
「へぇ~!それっていつまでなんですか?あ!君は仮に天使じゃなくてもとっても綺麗で美しくて可愛くて素敵な子だと思うよ!」
冷蔵庫からまた持ってきた新たな酒を呑みながら、まじまじと私の顔を見ながら言って幸せそうな笑顔を向けた。
「私だって成人男性です。可愛いはあまり嬉しくないですね」
「顔真っ赤だよ?酔った?あ、君はまだ呑んでないね!何呑む?……そうそう、お仕事終わるまで俺ん家に居ていいよ。天使様」
それから彼との同居が始まり、気付けは5年の月日が経とうとしていた。それだけそばに居ればお互い自然と恋心も芽吹き……5年目の今日、少し豪華なディナーをしながら彼に真面目な顔で「好きです。俺と恋人になって貰えませんか」と告白をされた。
人間を本気で愛しては天界に帰れなくなる天使の掟も、神に言われた言葉も忘れ、天使は彼の気持ちを受け入れた。
天使と彼は 初めて互いを求め合って朝までめいっぱい幸せな一時を過ごしました。
END……?
私はと言えば 可もなく不可もなく 新米でもお局でも無い 落ちこぼれ天使だ。
だけどこの前、何故か私を気にかけて下さる神様の宴(聞こえは仰々しいがただの飲み会である)にお呼ばれした際、ちょっと否 だいぶ酔った神様から『人から愛されない者は人を愛しえないのよ。たくさん恋をさせなさい 。そして愛されなさい。さすれば貴方も迷える仔羊ちゃんを愛せる立派な天使になれるわ』とありがた(迷惑っぽ)いお言葉を頂いた。
しかも『"恋"は地上でお探しなさい♡でも、本気になってはダメよ☆』と天界から落とされてしまったのだ。
たまたま降り立った人通りの少ない道で羽根をしまい、辺りを見回した。
「まったく、何も準備して無いのにいきなりとか困りますね……でもそのまま帰ったら怒られるでしょうし……これからどうしましょう」
溜息と共に愚痴をこぼした。1歩足を踏み出し 何も身に着けていない足がゴツゴツとしたほんのり熱いアスファルトの上に乗ると その感触に早くも挫けそうになった。
「あ、あの!」
男性の若い声に呼びかけられて振り向くが やはり先程同様 誰もない。気のせいかと歩き出そうとするとまた同じように声がした。
「あの!上です!うえ!こっち!」
「うえ……?ぁ……貴方が私を呼んだんですか?」
小綺麗な3階建てのアパートの一室から、20そこそこの男性がベランダから身を乗り出すように手を振っている。声を掛けると嬉しそうに何度も頷いて「今そっち行くんで そこ居てください!」と言い置いて姿が見えなくなった。どうしようかと悩みながらも立ち尽くしているとロングコートとサンダルを持った先程の男が息を切らせて近寄って来た
「良かった、待っててくれて。これ、足痛そうだから使って下さい」
「有難う存じます。今は何もお返し出来ませんが宜しいのでしょうか?」
差し出された私の足より大きなサンダルを履き「気にしないで下さい」と言いながら肩にかけてくれたもう少しで引きずってしまいそうなコートを借りた。
「実はさっき、君が降ってくるのを見てたんだ。とても美しい天使様みたいに見えて……酔ってるからかなって何度も目を擦っちゃったよ」
ふわふわと優しい笑顔を向けるその男は部屋に私を案内するとそう言いながらテーブルの上に置かれた空き缶を片付けた。
「私が美しいかは別として、天使なのは確かですよ。ちょっと上機嫌な神様に地上で勉強して来るようにと派遣されまして」
「へぇ~!それっていつまでなんですか?あ!君は仮に天使じゃなくてもとっても綺麗で美しくて可愛くて素敵な子だと思うよ!」
冷蔵庫からまた持ってきた新たな酒を呑みながら、まじまじと私の顔を見ながら言って幸せそうな笑顔を向けた。
「私だって成人男性です。可愛いはあまり嬉しくないですね」
「顔真っ赤だよ?酔った?あ、君はまだ呑んでないね!何呑む?……そうそう、お仕事終わるまで俺ん家に居ていいよ。天使様」
それから彼との同居が始まり、気付けは5年の月日が経とうとしていた。それだけそばに居ればお互い自然と恋心も芽吹き……5年目の今日、少し豪華なディナーをしながら彼に真面目な顔で「好きです。俺と恋人になって貰えませんか」と告白をされた。
人間を本気で愛しては天界に帰れなくなる天使の掟も、神に言われた言葉も忘れ、天使は彼の気持ちを受け入れた。
天使と彼は 初めて互いを求め合って朝までめいっぱい幸せな一時を過ごしました。
END……?
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる