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しおりを挟む「やめっ、もっとゆっくり――ッぁあア、あっ、やァアあああ!」
無意識にミサの手が爪を立てた。
髪を振り乱しながら、ミサはメルウィンにがむしゃらにしがみつく。
「もうダメッ、やだっ! イくっ、イッちゃうぅ!」
「いいよ、イッて。僕も出しちゃうから」
その台詞が合図だったかのように、ミサはまたも絶頂に襲われた。
同時に、深奥に熱いものが叩き込まれる。
重なった快楽は限界を超えて、ミサから呼吸を奪った。声すら出せずに、ミサは仰け反る。
敏感な最奥が熱い粘液に犯されて、意識が芯まで痺れるようだった。
それだけでもどうにかなってしまいそうなのに、メルウィンはその上、さらに律動を続ける。
奥に注がれる白濁はミサが絶頂から脱することを許してはくれず、熱い昂りに蹂躙され続ける秘部はミサの意思に反して、歓喜の蜜を絶やさなかった。
それに律動が加わったことにより、ミサはいよいよ過度な法悦に明確な恐怖を覚える。
気持ちがよすぎて、このままでは本当に死んでしまうのではないかと思ったのだ。
「やめっ、まっ――止まっ、てぇ……!」
喉の掠れと不十分な酸素が、ミサの発声の邪魔をする。
だが、声が掠れているのはミサだけではなかった。
「ごめん、止めらんない……っ」
そう苦しげに返したメルウィンが腕にチカラを込めて、今まで以上にミサを強く抱きしめる。
快楽から逃れたいミサは相手を押し返そうと試みたものの、当然うまくいくはずもなかった。
「も、こわれちゃうぅ……!」
我ながら、幼い子供の泣き声のような声音だと感じる。
現在ふたりがしている行為は、子供らしさとはかけ離れたものであるというのに。
「あっ、アッ……また、イッ――!」
言いさして、ミサは再び絶頂に至った。
自分の意識がどこにあるのか、もはや、なにもかもがわからない。
すると、メルウィンがひと際つよく腰を押しつけてくる。最後の白濁を、ミサの深いところで出しきったのだ。
ミサの全身はガクガクと震えて、もう声を出す気力もない。
涙に濡れた瞳は、視界もにじませていた。
くちは、なんとか呼吸をするので精一杯という有様である。
そんな状態のミサがどこを見るともなく見ながらぼんやりとしていると、メルウィンに優しく顎を掴まれて、視線を彼のほうへと誘導させられた。
次いで、唇に優しく口付けられる。触れるだけの、シンプルなキスだった。
今の今までしていた行為の激しさとは乖離した、いたく純真な口付けである。
唇を離すと、メルウィンがなにかを言いたげな眼差しでミサを見ているのがわかった。
あの饒舌な魔術師が感情を言葉にすることを躊躇している様子に違和感はあったものの、それを問う体力も気力もすでにミサには残っていない。
結局、ミサが意識を手放して眠ってしまうまで、メルウィンはなにも言わなかった。
それに少しの寂しさを感じてしまったのは、どうしてなのだろう――。
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