上 下
128 / 140

*128

しおりを挟む


「やめっ、もっとゆっくり――ッぁあア、あっ、やァアあああ!」

 無意識にミサの手が爪を立てた。
 髪を振り乱しながら、ミサはメルウィンにがむしゃらにしがみつく。

「もうダメッ、やだっ! イくっ、イッちゃうぅ!」
「いいよ、イッて。僕も出しちゃうから」

 その台詞が合図だったかのように、ミサはまたも絶頂に襲われた。
 同時に、深奥に熱いものが叩き込まれる。

 重なった快楽は限界を超えて、ミサから呼吸を奪った。声すら出せずに、ミサは仰け反る。

 敏感な最奥が熱い粘液に犯されて、意識が芯まで痺れるようだった。

 それだけでもどうにかなってしまいそうなのに、メルウィンはその上、さらに律動を続ける。

 奥に注がれる白濁はミサが絶頂から脱することを許してはくれず、熱い昂りに蹂躙され続ける秘部はミサの意思に反して、歓喜の蜜を絶やさなかった。

 それに律動が加わったことにより、ミサはいよいよ過度な法悦に明確な恐怖を覚える。

 気持ちがよすぎて、このままでは本当に死んでしまうのではないかと思ったのだ。

「やめっ、まっ――止まっ、てぇ……!」

 喉の掠れと不十分な酸素が、ミサの発声の邪魔をする。
 だが、声が掠れているのはミサだけではなかった。

「ごめん、止めらんない……っ」

 そう苦しげに返したメルウィンが腕にチカラを込めて、今まで以上にミサを強く抱きしめる。

 快楽から逃れたいミサは相手を押し返そうと試みたものの、当然うまくいくはずもなかった。

「も、こわれちゃうぅ……!」

 我ながら、幼い子供の泣き声のような声音だと感じる。
 現在ふたりがしている行為は、子供らしさとはかけ離れたものであるというのに。

「あっ、アッ……また、イッ――!」

 言いさして、ミサは再び絶頂に至った。
 自分の意識がどこにあるのか、もはや、なにもかもがわからない。

 すると、メルウィンがひと際つよく腰を押しつけてくる。最後の白濁を、ミサの深いところで出しきったのだ。

 ミサの全身はガクガクと震えて、もう声を出す気力もない。
 涙に濡れた瞳は、視界もにじませていた。
 くちは、なんとか呼吸をするので精一杯という有様である。

 そんな状態のミサがどこを見るともなく見ながらぼんやりとしていると、メルウィンに優しく顎を掴まれて、視線を彼のほうへと誘導させられた。

 次いで、唇に優しく口付けられる。触れるだけの、シンプルなキスだった。

 今の今までしていた行為の激しさとは乖離した、いたく純真な口付けである。

 唇を離すと、メルウィンがなにかを言いたげな眼差しでミサを見ているのがわかった。

 あの饒舌な魔術師が感情を言葉にすることを躊躇している様子に違和感はあったものの、それを問う体力も気力もすでにミサには残っていない。

 結局、ミサが意識を手放して眠ってしまうまで、メルウィンはなにも言わなかった。

 それに少しの寂しさを感じてしまったのは、どうしてなのだろう――。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!

臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。 そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。 ※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています ※表紙はニジジャーニーで生成しました

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

完結 R18 媚薬を飲んだ好きな人に名前も告げずに性的に介抱して処女を捧げて逃げたら、権力使って見つけられ甘やかされて迫ってくる

シェルビビ
恋愛
 ランキング32位ありがとうございます!!!  遠くから王国騎士団を見ていた平民サラは、第3騎士団のユリウス・バルナムに伯爵令息に惚れていた。平民が騎士団に近づくことも近づく機会もないので話したことがない。  ある日帰り道で倒れているユリウスを助けたサラは、ユリウスを彼の屋敷に連れて行くと自室に連れて行かれてセックスをする。  ユリウスが目覚める前に使用人に事情を話して、屋敷の裏口から出て行ってなかったことに彼女はした。  この日で全てが終わるはずなのだが、ユリウスの様子が何故かおかしい。 「やっと見つけた、俺の女神」  隠れながら生活しているのに何故か見つかって迫られる。  サラはどうやらユリウスを幸福にしているらしい

フィッシングにはご注意を

リビドー360
恋愛
知人の誘いでクルージングを楽しむ女子大生のリホと、リホの幼馴染でちょっとエッチな発明家のワタル。船上で釣りを楽しむことになったのだが、 いつもの様にワタルが仕掛ける数々のエロ攻撃がリホを襲う。 80年代のちょっとエッチな少年漫画をオマージュし、そこに少し過激度を加えたお話です。 パクリじゃないよ!インスパイアだよ!

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

処理中です...