【R18】異世界転移少女、イケオジと猫耳プレイする

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　複雑な気持ちで彼女からグラスを受け取ったヴィクトールは、ノアの無邪気な笑顔に見守られながら、仕方なしに液体を己の喉へと流し込んだ。

　舌の上を流れ、喉の奥へと落ちていくそれは、たしかに普通のジュースとなんら変わらないようにも感じられる。が、その程度の理由でヴィクトールは警戒を解く気はない。

　ナツネが笑ってヴィクトールに訊いた。

「な？　なんともねぇだろ？」
「いや、まだわからん。時間差で来る可能性もある」

「俺、そんなにお前に信用されないこと、なんかしたか？」
「日頃のおこないというものがあろう」

「お前に迷惑は掛けてねぇつもりなんだけどなー」
「それは、貴様に巻き込まれる前に、儂が避難しとるからだ」

　ふたりのやり取りを見ていたノアが、意外そうに呟く。

「あの……おふたり、仲良しなんですね」
「これが仲良く見えるのか？」

　ヴィクトールは信じられない思いで返した。ナツネと親しい言葉を交わした覚えは微塵もない。むしろ、彼に対してはありったけの不信感を向けているつもりだった。

　ナツネは軽やかに笑う。忌々しい笑みであった。

「ほら、ノアちゃんだってこう言ってるじゃねーか。仕事で一緒になることも多いんだから、今後はもっと交流を深めてだなー」

　直後、ヴィクトールとナツネの目の前で、ノアに異変が起こる。
　ヴィクトールは最初、それをなにかの見間違いだと思った。

　ノアの頭から、なにやらふわふわとした物体がふたつ、ひょこりと生えてきたのである。

　ヴィクトールの視力になんら問題がなければ、それは獣の耳に見えた。ふわふわとした三角形の獣の耳がふたつ、ノアの頭部に突如として出現したのだった。

　が、ノア本人はまだそれに気付いていないふうである。彼女は自らの頭部を見つめて固まったふたりの男に、小首を傾げた。

「……どうかしましたか？」

　どう答えればよいものか。そう返事に迷った次の瞬間、ヴィクトールは己の頭部にも異変を感じた。

　おかしな話だが、なんだか頭がむずむずとするのである。初めての感覚に戸惑う気持ちがまるでなかったと言えば嘘になったが、そんなものは迫りくる嫌な予感の前では些細な感情であった。

　ヴィクトールは、テーブルの上にあった手鏡に手を伸ばす。そうして、信じたくない思いに指先を震わせながら、おそるおそる鏡を覗き込んだ。

　鏡の向こうの己を認めて、ヴィクトールは眩暈がしそうになる。
　そう、ノアだけでなく、ヴィクトールの頭にも、ふざけたものは生えてきていた。

　三角形の、ふわふわ――。
　そう、獣の耳である。

　ノアが、驚きに目を丸くしてヴィクトールを見上げていた。そんな彼女に、ヴィクトールは手鏡を見せてノアに自身の状況をも教えてやる。

　ここで初めて己にも獣の耳が生えている事実に気付いたノアは、さらに驚いた顔をして鏡を凝視した。