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第10章 世界へ ポートリタ編

第222話 グリフォンと……

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 多くのグリフォンを引き連れながら夕方には目的地のプロック岬到着した。

 ここに来るまでの道中でずいぶんグリフォンが増えた気がする。

「なんか増えてない?」
「増えているよね~」
『道中に居たグリフォンたちが集まってきていますからね』

 こんなにグリフォン集めてどうするの……。

「フゥ~、この子達集まってきたけど、どうするの~?」
「ん~、お腹空かせている子もいるから、ドラゴンのお肉分けてあげられる?」
「いいよ」

 ファイヤードラゴン自体は元々彼らの獲物だし、アースドラゴンもフゥが片付けたから構わないと思っている。

 プロック岬は結構開けているので、野営と夕食の準備に取りかかることにした。

「まん丸~解体お願い~」
『は~い』

 いつものように、ミスリル粒子やまん丸用の解体道具をだした。

『応援呼んで良い~?』
「うんうん、いいよ~」

 ドラゴンはかなりの巨体だ、まん丸1人では時間がかかるのだろう。

 地の子達が私の元に集まり魔素を受け取ると近くの土や砂、石、岩を利用してそれぞれゴーレム化しまん丸と一緒に解体を始めた。

「先輩、今夜はここで野営でいいんですか?」
「あぁ、直ぐそこのダンジョンに付き合って貰う予定だったが今夜はもういいだろう」

 ダンジョン目的だったのか、なにかあるのかな?

「それじゃあ、野営道具だしていきますね」

 カバンから野営道具を取り出すと、ミントのウッドゴーレムを含めて皆で野営を準備を始めた。

準備していると、膝丈しかないグリフォンの幼獣が数匹、足下に寄ってきた。

「可愛い~」

 つぶらな瞳で見上げる子見ているとなんか無性に保護欲が沸き撫でたくなった。

「ほ~ら、2人とも遊ぶなら設営終わってからにしろよ~」

 2人?

 ミアンの方を見ると、ミアンも私と同じように足下の子を撫でたそうにしていた。

 ささっと設営を手伝った。

 手伝いが終り、足下に来ていた子を抱き上げた。

 グリフォン達を見ていると、人に対してあまり警戒していない、普段からあまり人と対峙していないからなのかな?

「グリフォンって、人と戦ったりしないんです?」
「空飛ぶ相手に分が悪いからな、この辺りはうまみもないし来る奴はほとんど居ないと思うぞ」
「そうなんだ」

 魔法でどうとでもなりそうだけど、そういう物なのだろうか?


 ミアンもグリフォンの幼獣を抱き上げ、もふもふ堪能してた。

「ん~」

 私が抱き上げている子の親とおぼしきグリフォンも近くに居て私の側にいる。

「フゥ~、この子達何を食べるの?」
「何でも食べるよ~」

 ならば、有り余っている精霊農場の果物とかを与えてみようかな?

 マジックコンテナを取り出し、リンゴ等の果実から麦等を取り出すと、私の周りに多くのグリフォンが集まり食べ始めた。

 これ、人と共生出来ないかな?

 ここまで人に警戒しないし、餌をあげれば普通に懐く気がする。

「先輩、グリフォンと共存できないんですかね?」
「ん~、どうだろうな、餌代がかかりそうだが出来そうだな」

 確かに、食べる量が人の数倍かかりそう。

 まん丸が解体して出た内蔵なんかをグリフォンの群れに放り込むと、それも食べ始めた。

 みんなお腹を空かせているのかな?

「フゥ~」
「なに~?」
「この子達って、みんな飢えているの?」
「うん、この子等が捕食するのはフォレストウルフとかキラーラプトルなんかが主だからね~」
「狩れてない?」
「十分に狩りは出来てないかもね~」

 肉がだめなら、木の実とかはどうだろうか?

「木の実とかは?」
「今の時期この辺りはあんまりないかな~」

 植物によって実をつける時期が違うのも確かだけど、今は春だからありそうな物だけどな。

「ドラゴンは?」
「さっきみたいに縄張りに侵入してきたらやるみたいだけど、基本的に手を出さないみたい」
「強いから?」
「うん」

 ん~、ピラミッドでいったら半分下なのかな?

「この島で空を飛べる魔物って何が居るの?」

 近くに居るグレンに尋ねた。

「ロックバード、ヒッポグリフ、ワイバーン、スカイドラゴンって所だな」
「なんとなくだけどロックバードが弱くて、スカイドラゴンが強いとかそんなかんじ?」
「あぁ、弱い順だな」
「グリフォンは?」
「ヒッポグリフとワイバーンの間だな」

 低くは無いけれど高くも無い微妙な位置。

 もういっそのこと、共生できるなら共生すれば良いのに。

「フゥ、この子達ってさ、人と共生する気ないのかな~?」
「聞いてみる~」

 フゥと一回り大きなグリフォンで何かやりとりしている様子。

「寝床とご飯もらえるなら~だって~」

 そんなんで、いいのか?

「だって、先輩」
「寝床な……、場所なんて無いぞ」

 確かに、人ですら海上に家を建てているくらいだ、グリフォンの寝床で分けてくれるとは思えない。

「城壁の上とかは?」
「あぁ、良いかもしれねぇが、こいつらが納得するのか?」

 下が固いし寝床には不向きか……。

「堅いし、だめか……」

 最後の手段はポートリタ拡張だろう。

「んじゃ、ここに町を作るとか?」
「ん?」
「この場所なら、この子達の住処でしょ、この子らの住処を残しつつ、他のスペースに人が住めるようにすれば良いんじゃ無いかなと」
「あ~、実はおまえをここに誘ったのは、ここにもう1つ町をと思っていたんだよ」
「ぇ?もしかしてダンジョンが関係ある?」
「あぁ、ダンジョンが有る町は結構栄えるからな、だからこの辺りにダンジョン都市をと思ったんだ」
「今回の目的って、ダンジョンに潜って何が居るかチェックとかだったり?」
「だな、何が採れるかそういったものをチェックするつもりで居たな」

 ダンジョン内の調整はやらせてくれるだろうか?

「んじゃ、ここに町を作りましょう!」
「はっ?」
「いや、先輩が考えていたならちょうど良いじゃないですか、グリフォン達と共に住むダンジョン都市!都市って規模になるか知りませんけども」
「いいのか?町作りはおまえと精霊達を頼ることになると思うぞ」
『私は構いませんよ、久々の大仕事ですし楽しそうです』
『うちもええで~』
「俺も構わんな」
「もちろんボクも!」
「ぼくもいいよ~」

 エセリアを見るとニコニコして頷いていた。

 ルナは“ぼ~”っとしている。

「精霊達は満場一致ですね、グリフォン達は?」

 フゥにグリフォン達がどう思っているか確認してもらうことにした。

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