上 下
207 / 263
第9章 学園生活 先輩達の卒業編

第207話 先輩達へのプレゼント作り

しおりを挟む
 アルバライトを後にした翌日、午前中には帝都の寮に帰宅していた。

 今日までが休みだから、ある程度まで作っておきたいが、どんな物を作るか悩む。

「どんな飾り物がいいかなぁ?」
『壁に飾れるタイプで良いと思いますよ』
「壁に飾れるタイプか~」

 そう言われてもデザインがぱっと思いつかない。

『リタが作ったやつを再現するとか~?』
「どんなの?」
『1枚の大きな羽の中央に、プレートをくっつけたシンプルな奴だよ~』
『プレートにヴィッシュと奥さんの名前を彫っていましたね』

 結構シンプルかも、大きい羽だし、そうしようかな。

「プレート素材取りに行かないとかな?」
『ボッシュの所なら金属板なら売っていますよ』

 雑貨コーナーにそんな物あったっけ?

 ランフォール商会に行くと、アクアが言っていた小さなプレートがあった。

 他にも必要になりそうな物を色々買って帰ってきた。

「よっし、つくろう!」

 4枚の白い羽と1枚の黒い羽があるけれど、白4枚だけ使って行こう。

 精霊達に手伝って貰いながら、プレートにプリムと旦那となる男性の名前を入れたり、これまで狩った魔物の魔石を削って飾り付けたりして完成させた。

「プリム先輩にはこれでいいかな」
『ええんちゃう』
『そうですね、幸運と守護の付与されましたし』

 飾り物に守護が付与されて意味があるかどうか不明だけども……。

「んじゃ、次はハンゾー先輩と、ミラ先輩のだね」

 この2人は考えてある、ワイバーンの牙か鱗を使ったアクセサリーだ。

 ハンゾーは剣士だから筋力向上で、ミラは魔法系なので魔法の威力向上に繋がる付与の予定だ。

 以前、ファラから教わったやり方をそのままだったり、応用しながら2人のアクセサリーを作った。

「付与は大丈夫そうかな?」
『問題ないな』
『だね~ちょっと強い感じがするけど~』
『十分だね!』

 3人がOKというなら大丈夫だろう。そして最後にファラの分だ、個人的には他の3人よりは、もっと良い物を作りたいなんて思っている。

「ねぇ、まん丸ドラゴン相手でも使える武器を作りたいんだけど」

 ファラの卒業後は、強力な魔物達が跋扈する魔大陸にあるポートリタでの守護隊だ。以前精霊達が言っていたが、いつ死んでもおかしくないような場所らしい。

 だからこそ、無事に生きられるように私に出来る最大限のプレゼントをしたいと思っている。

『ん~、ファラの分だよね?』
「うん」
『なら、俺が使っていた手甲を使えば良い』
「あれって、オリハルコンだったよね?」
『だな、なにげにドラゴンのブレス系を軽減する付与がついているからな』
「サイズも大丈夫なの?」
『内側の革紐で調整すれば良いだろ』

 ん~、どうせなら1から自分で作りたい。

「グレン、ありがとう、でもせっかくだから1から作りたい」
『そうだよね~、プレゼントだもんね』
『ならクゥのコアルームに行くか』
「うん」

 まん丸に素材となるオリハルコンを用意して貰うために、クゥにお願いして、ダンジョンコアのある部屋に移動した。

「まん丸お願い」
『は~い』

 まん丸の必要量のオリハルコンを用意して貰った。

『ここでやっていく~?』
「そうだね、やっちゃおう」
『じゃあ、これとこのインゴットで肘から手首の分を作ろうか~』
「うん、冷やすんだよね?」
『そうだよ~』
『手伝いましょうか?』
「うん、できるだけ私の力でやりたいからサポートお願い」
『分りました』
『じゃあ、まず冷やそうか~』
「うん、クールミストでいいかな?」
『えぇ、それで大丈夫です』

 まん丸が用意した金敷の上にある2つのオリハルコンインゴットを冷やすことをイメージしながら。

「水の精よ、寒さをもたらせ。クールミスト!」

 徐々に周囲の気温が下がっていく。

「もうちょっと冷やす?」
『形状を変えるくらいだからこれで大丈夫だよ~』
「わかった」
『じゃあ、ハンマーで形を整えていくよ~』
「うん」
『想いを込めながら叩いてくださいね』
「うん」

 まん丸に持ってもらいながら、指示された場所を叩いて伸ばしていく。

 込める想いは決まっている。どんな攻撃を受けても衝撃無効化出来るように強い想いを込めて叩いた。

 腕の形状に合わせて湾曲させていく、肘から手首までの長さが出来たらもう片方も同様にたたきながら作っていく。

『次は手の甲部分だよ~、さっきとは違う想いで大丈夫だよ~』

 次はどんな想いすべきだろうか?

 健康かな、どんなときも健康で居られますようにと想いを込めてたたき始めた。

 両手の甲部分が出来た。

「次は指?」
『うん~、薄くのばした鉄板を曲げて作っていくの~』

 指は筋力向上とか身体能力向上を想いながら作った。

『じゃあ、最後は繊維でそれぞれをつなげていくんだけど~、難しいからやっちゃって良い~?』
「うん……」

 ずっとたたき続けて腕がパンパンになっている。

『じゃあ、やっちゃうね~』

 まん丸がオリハルコン繊維で編んだ布を使い各部位をつなげて行く。

『これで完成~』
『これだけ付与されてたら、死ぬ方が難しい気がするが……』
『同感ですね、絶対健康が地味に大きいですね』
『せやね~』
『今ならグレンも倒せそう!』
『負けねぇよ!』

 どんな付与が出来ていて、どんな効果が発揮出来るかは分らないけれど、これを身につけていれば、ダンジョンでの大怪我みたいな事にならないことを祈って作った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話

ルジェ*
ファンタジー
 婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが─── 「は?ふざけんなよ。」  これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。 ********  「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください! *2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!

婚約破棄られ令嬢がカフェ経営を始めたらなぜか王宮から求婚状が届きました!?

江原里奈
恋愛
【婚約破棄? 慰謝料いただければ喜んで^^ 復縁についてはお断りでございます】 ベルクロン王国の田舎の伯爵令嬢カタリナは突然婚約者フィリップから手紙で婚約破棄されてしまう。ショックのあまり寝込んだのは母親だけで、カタリナはなぜか手紙を踏みつけながらもニヤニヤし始める。なぜなら、婚約破棄されたら相手から慰謝料が入る。それを元手に夢を実現させられるかもしれない……! 実はカタリナには前世の記憶がある。前世、彼女はカフェでバイトをしながら、夜間の製菓学校に通っている苦学生だった。夢のカフェ経営をこの世界で実現するために、カタリナの奮闘がいま始まる! ※カクヨム、ノベルバなど複数サイトに投稿中。  カクヨムコン9最終選考・第4回アイリス異世界ファンタジー大賞最終選考通過! ※ブクマしてくださるとモチベ上がります♪ ※厳格なヒストリカルではなく、縦コミ漫画をイメージしたゆるふわ飯テロ系ロマンスファンタジー。作品内の事象・人間関係はすべてフィクション。法制度等々細かな部分を気にせず、寛大なお気持ちでお楽しみください<(_ _)>

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...