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第7章 学園生活 不穏な夏休み編

第171話 2次災害

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 宿で寝ていると、小さな地鳴りのような音と、僅かに揺れているような感触で目を覚ました。

「ん……」
『まだ寝ていて大丈夫ですよ』

 私が体を起こすとアクアが優しく言った。
 今は揺れを感じないし気のせいだったかな?

「ん、なんか揺れた気がして」
『さっき地揺れあったよ~』
「あっ、そうなの?」
『この辺りは震源地から離れてるから大して揺れてないじゃん』
『だね~』

 ……、だんだん頭がすっきりしてきた。

 昨日の懸念だった天然ダムはどうなったのだろうか?

「もしかしてなんだけど、昨日の天然ダムって……」
『先ほどの地揺れで決壊しましたね』

 だよね~、そんな気がしたよ!

「え、じゃあ川の側で野営していた人達って……」
『えぇ、皆流されましたよ』
「え?残ってる物とかなく?」
『えぇ、あそこにたまっている水見ましたよね?あれが全部流れ出たんです』

 ……、確かにあの量の水が一気に押し寄せたら、川辺の野営地なんて押し流すのは容易に想像出来るけども……。

「後詰めの人達は全滅と……」
『それだけじゃないよ~手前にあった砦も崩れて大半が閉じ込められてるよ~』
「……、それってさ、今回ミネユニロント王国との戦いに出ていた騎士団と兵士って全滅って事……?」
『せやな、今は生きとるけど、このままやったら死ぬやんな』
『砦で無事なのは見回りで外にいた一部の人くらいだからね~』

 これが精霊達を敵に回した結果なのかな……?

「あのさ、ちょっと質問なんだけど、ルマーン革命のときも自然災害で相手の兵士が消えたりした?」
『たまにあったか?』
『そうですね、最初の陣での火災みたいなことはありましたけど、あれは人災ですからね』

 きっかけとなった風は自然だと思うんだけど?

『あの時は、リタが落とし穴とかゆうてやっとったもんな』

 天災みたいなことは無かったと、気のせいかな……、私の中では精霊達が絡んでるように思えて仕方ないけど、全てが天気とか起こるべくして起こった結果で、“たまたま運が悪かった”って内容だったりするから、精霊達の仕業だと思えない部分もあると言えばある。

「そっか……」
『まだ2時過ぎなので、朝まで寝てください』
「そうする」

 再び寝ることにした。

 朝、少し町が騒がしく目が覚めた。

「何かあったの?」
『夕べの地震の件ですね、砦から生存者が来て状況報告と言ったところです』
「って事は、人手を借りにって事かな?」
『そういうことですね』
「夕べ話してた、第2騎士団の団長さんはどう動く感じ?」
『すでに第2騎士団は砦に向かっていますね』

 ん~、とりあえず私も向かうかな、ひとまず最初の国境での戦が止められたし、私も砦に向かおうかな?

 それ以前に橋も無く、ダムも無い川を渡る方法はあるのかな?

「第2騎士団の人を追って砦に行こうか」
『わかりました』

 とりあえずは増やせる味方は増やしたいところ。

 宿を後にし、そのままコーレンの町を出て昨日来た道を引き返した。

 ルナにまたがり、第2騎士団の後を追っていると、川はまだ先だというのに水浸しになっている。

「結構広範囲が水浸し?」
『えぇ』
「ルナ、足下気をつけて進んでね」
「ブ、ブブ……」

 ルナに注意を促すも、変わらないペースで走り続けた。 

『ラミナ、少し急いだ方が良いかもしれません、湖の主がこちらに流れ出ています』
「ぇ?」
『ネッシアンといって巨大な蛇型の魔物なんだが、この時間帯は一般人じゃ姿を見ることが出来ねぇんだよ』
「この時間帯?」
『月明かりを浴びないと姿が見えないのさ』
『そういうことです、既に第2騎士団が接敵して戦闘に入っているのですが……』

 せっかく味方になってくれる可能性がある人を失うわけには行かない。

「まん丸、地の子達と一緒に先に行ってゴーレムで助けてあげて!」
『は~い』

 周囲に散っていた地の精霊達がまん丸のもとに集まり、まん丸と共に先行していった。

「大丈夫そうかな?」
『まん丸達が到着してしまえば問題は無いと思いますよ』

 それなら良いけど、間に合うことを祈りつつ、私も急いだ。
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