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第7章 学園生活 不穏な夏休み編

第143話 真夜中の来訪者

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 どれだけ寝ていただろうか?

 寝ていると、何かが落ちた大きな音で目が覚めた。

「何事?」
『馬車が落ちよった』
『こんな夜更けにあれだけスピード出せばな……』

 馬車が落ちてきたと……。

 ここに来た時の懸念事項が現実になった瞬間だった。

「えっと人とか馬は大丈夫かな……?」
『まだ生きていますね、馬の方は幌が守ったようで奇跡的に無傷のようですよ』

 どういう事だろうか?

 自分が引っ張っていた馬車の幌で助かるの難しくない?

「現場に案内して」
『こっち~』

 建物を出て月と星々と精霊達の明りの中現地に行くと。

 馬車に積んでいたであろう荷物やらが散らばっていた。

 馬の方を見ると、理解した。

 以前おちた馬車の幌の上に落ちたって事だろう。

 馬の方に駆け寄り、馬車と馬をつなぐ革紐を切って馬を救出した。

『こいつ希少種やん』
「ぇ?そうなの?」
『そうですね、今はまだ幼体のようですが、成体になると羽が生え、ある程度の高さまでなら飛べますよ』
「へぇ、なんでそんな子がこんなところに居るの?」
『さぁ?』

 精霊達が分からないなら分からないか。

『ですが、直にわかると思いますよ』

 直に?

「そっか、というか人は?」
『1人は荷台の下敷きや』
「ぇ……、まん丸お願い」
『は~い』

 まん丸が近くの土を纏ってゴーレム化し荷台を持ち上げどかしてくれた。

 どかしてくれたが……、どう見ても助かるような状況ではない、だって広範囲の血だまり出来てるし……

「アクア」
『彼を助けるんですか?』
「ん?なんかある?」
『違法奴隷商や、つまりは罪人や』
「ん~……、罪人……、違法奴隷商ってことは奴隷が?」
『えぇ、こっちです』

 とりあえず罪人の方は後回しにしてと……。

 アクアに案内された先は私位なら入れそうな木箱だった。

「んと木箱……?」
『この中に居ますよ』
「ミントあけられる?」
『ええで』

 木箱が妙な動きをした後開いた。

 布団の様な物でくるまれ身動きできない黒髪の5歳くらいの女の子がいた。

「えっと大丈夫?」

 ぼーっと私の方を見るだけで、うんともすんとも返事しない。

『彼女の名はアカネ、国境の町ラックバードで攫われたようですね』
「ぇ、なんで……」
『使徒ってスキル持ちやからな』

 確か先祖の話の中に出てきた気がする。

「えっと神様と話出来るとかだっけ?」
『そうです。だからこそ攫われたんでしょうね』

 なんか、可愛そうだけど私自身がとんでもない事に巻き込まれるような気がしてきた。

「おねえちゃんがラミナ?」

 今まで私に視線を向けるだけで返事をしなかった少女が喋りだした。

 自己紹介してないのに私の名を出した……。

「うん……」
「よかった、本当に会えた」
「ぇっと……、神様から私に会うようにって?」
「うん、あなたのお友達が大変な目にあってるの、そしてこれからこの国と、トロランディア、そしてステルツィアと3国を巻き込んだ大きな波が来るって」

 とんでもない事に巻き込まれた気がする。
 スキルを貰うときに言っていた試練ってこれの事かな?

 というか……、ステルツィアって何処?
お友達ってだれだろ?

 ミッシェルとミアンなら何かあればアクアが言うと思うんだけど。

「アクア、ミッシェルとミアンって無事だよね?」
『えぇ、今日の夕方には王都に到着されていますよ』
「お友達って誰!?」
「ラミィーって人と、シーア人とクロードって人」

 ラミィーとシーアはミッシェルの取り巻きだ、クロードはサバイバル学習で同じ班の男の子だった。

 3人は私の中ではお友達というよりは、クラスメイト程度の仲で、きっかけがあれば喋ったりはするけど……。

「助けなきゃいけないって事だよねきっと……」

 酷な考えだが、正直クラスメイト位だったらあまり危険な事をしてまで助けたいとは思わないけれど、多分ラミィーとシーアに何かあればミッシェルが悲しむのは分かる。

「はぁ……、わかった……、どこに行けばいいのかな?」
「ロシナティスの領主邸」
『なるほど、そこに繋がりましたか』

 アクア何か知っているのかな?

「何か知ってるの?」
『えぇ、実はトロランディアの中枢を調べていると諜報部のトップまでは掴んだのですが、命令を出しているのは彼じゃなさそうでしたので』
「そこから先は追えてなかった?」
『えぇ、お恥ずかしながら……、ですが候補は2人まで絞っていて、そのうちの1人がロシナティス領主、バルラック侯爵です』
『そしてな、そのバルラック侯爵だが、ステルツィアと繋がっているんだよ』
『ほんで、トロランディア不作の原因もそいつなんや』
『僕らから繋がりを隠し通す位だから相当用心深いよ~』
『おそらく連絡は数か月に1度とかそういうレベルなんでしょうね』

 あ~なんか嫌な感じがしてきた。
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