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第6章 学園生活 キラベルサバイバル学習編

第122話 キラベル大災害!

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 キラベルサバイバル学習初日を終え夜も更けた頃、ふと目を覚まし屋根の上に出ると、ジョーイが空を見上げていた。

「眠れないの?」

 私が声をかけると、一瞬こちらを見て再び空に視線を戻していた。

「ラミナか、何か嫌な感じが強くなっててな」

 今日、明日噴火って言っていたし、既にいつ噴火や地震が起きてもおかしくない状況だからだろう。

「そっか」

 キラベル火山の方を見ると頂上付近が赤くなっていた。

「ねぇ、これもう噴火するんじゃないかな……?」

 どう見ても尋常じゃない雰囲気がするけど。

『どうだろうな、まだ噴火する段階にはなってないが、ラミナが見ている赤は子ども達が集まっているからだからな?』
「あっ、そうなんだ」
『オーク達が森から姿を消してん』
『彼らも危険を察知して離れたって事でしょうね』
「それって、この実習意味ないのでは……?」

 キラベルサバイバル学習の主な目的はオーク討伐だったはず。

『そうなりますね』
『オークだけやないで、キラベルディアとか他の魔物も姿を消してんで』

 オークが姿を消しただけならいざ知らず、他の魔物まで姿を消しているとなると、サバイバル学習の意味が全く成さないわけで……。

「何のためにここにいるの……」
『クロエを始め先生達も異変を察知して、今調査に向かっているみたいですよ』

 とりあえず、この実習が普通の実習じゃなくなったのは確定かな?

 女性陣が寝ている寝室に戻ったものの寝付けないままでいた。時間がもったいないのでポーション作りをしていると。午前3時に過ぎた頃に私でも分かるような変な感覚に襲われた。

『そろそろ地震が来るよ~』

 まん丸が声を発した。

 とりあえず寝ているメンバーを起こせば良いかな?

 ミアンやミッシェルを起こしていると、“ドーン”大きな地鳴りがした直後に立っていられないほどの大きな揺れが襲ってきた。

「うわぁ」

 思わず膝をつき、両手で体を支えた。

「大きいですわね」
「建物大丈夫?」
『それは大丈夫だよ~』

 まん丸の緊張感のないのんびりした声が聞こえた。

「大丈夫だって」
「キラベルの町の方が心配ですわね」
『実際に多くの建物が倒壊していますからね』
「ぇ」

 時刻は午前3時過ぎ、ほとんどの人が寝ているだろうし建物の下敷きになっているのでは!?

「キラベルに行かないと!」

 揺れが続く中、自分のカバンを取り実習の拠点を飛び出して丘を下ってキラベルに向かった。

 丘を下る途中でも町の中ではいくつか明かりが灯り始め、月明かりでも分かるくらいに倒壊している建物が複数あった。

 下敷きになっている人たちを助けるのに一番良い手段はと考えたとき、地の精霊達のゴーレムが真っ先に頭に浮かんだ。

「まん丸、ゴーレムになって助けられないかな?」
『いけるよ~子ども達も呼ぶね~』

 まん丸がそう言うと、キラベル周辺にいた地の精霊達が私の元に集まってきた。

「魔素もってっていいよ、速く皆を助けてあげて!」
『それじゃ~魔素貰った子から散開!』

 まん丸がそう言うと、地の子ども達は私から魔素を受け取り次第キラベルの町の方へ消えていった。

『ラミナ、マジックポーションを飲んでください』

 アクアに言われ、カバンからハイマジックポーションを3本取り出し立て続けに飲んだ。

 私の元に集まった地の子達がいなくなる頃にキラベルの町に到着した。

 城壁や門にもヒビが入ったり崩れ落ちているところが所々みられ、町の中は建物のほとんどが1階部分が潰れていたり、前に傾いていたりと、とてもじゃないが人が住めるような状況ではなかった。

 思っていたよりも多くの人が建物の外にいて、生き埋めになったと思われる地の精霊達と一緒に人の救助に当たっていた。

「まん丸達、がれきを利用してゴーレムになっているの?」
『そうみたいですね』

 私はまず何をすべきだろうか、真っ先に浮かぶのはヒールポーションもあるし、回復魔法も使えるし怪我人の回復だろうか?

「やっぱり嬢ちゃんか」

 急に背後から声がして振り向くと、以前キラベルに来たときに会ったゾッフが居た。

「お久しぶりです」
「あぁ、久しいなさっきから町の中でゴーレムが現れたって聞いたが、嬢ちゃんのだろ?」
「私のっていうより、地の精霊達ですね」
「助かるよ、動ける冒険者達を救助に回しているが、救助中に倒壊して埋まっちまうなんてことになっちまうからな」
「あの、ヒールポーションとか水魔法が使えるんですけど、怪我人の治療はどこで!?」
「町の中央広場を使っているが、埋まりそうでな、東西の門の外に作ろうと指示をだしてる」
「中央広場には、回復魔法使える人はいるんですか?」
「あぁ、冒険者の中からヒーラーをやれるやつを中心に、この町の薬師がいるから大丈夫だ」

 それなら私は、西門で治療に当たれば良いだろう。

「じゃあ私が西門で治療にあたります!」
「頼む、じきに怪我人が運ばれてくるだろう」
「分かりました」

 西門から外に出ると、さっきはいなかったが、数名の冒険者と町の兵士達がテント設営に励んでいた。

「まん丸戻って来られないかな?」

 どうせなら、まん丸に塀と一緒にちゃんとした建物を建てて貰った方が良いような気がした。

 テント設営をしていると、大きなゴーレムが西門まできた。

「まん丸?」
『だよ~』
「ここに治療拠点つくるんだって、地震に耐えられる建物と塀建ててくれない?」
『いいよ~』

 テント設営してくれている人たちを囲むように土で壁をテキパキと作っていき、広く空いているスペースに3階建ての大きな建物を建ててくれた。

こんなに大きくする必要あったかな?

内心そんなことを思いながら、運ばれてくる人の治療にあたっていた。

 4時を回る頃になると辺りがだんだんと明るくなり、多くの怪我人が私の居る西門に担ぎ込まれてきた。

 ただの怪我ならヒールポーション系で十分だが、失血量が多い人に関してはヒールポーションで止血してブラッドポーションで失血量を補充、脱臼はミント入ったウッドゴーレムが対処、開放骨折には骨を元に戻してからヒールポーションを使って傷口をふさいでから固定、骨折に対する薬を持ってないことに気づいた。

「骨折の薬ってどうやって作るの?」
『ホーンラビットの角、ヒール草を使ったもの一般的ですね』
『せやなぁ、1本あれば10人分位作れんで』

 スペルン遺跡で3本貰ったのを思い出しカバンからとりだした。

 ヒールポーションはすでに持っている分全部だして、西門で治療に当たっている人たちがいつでも使える状態にしてある。

 ちょっと治療から抜けて骨折用の薬を作り始めた。

 角1本から10人分を作るのに結構な時間を要し、その間にサバイバル学習に参加していた教師陣を始め先輩方同級生達が丘から降りてきて教師陣の指示のもと色々と動き始めていた。

 光もしくは水適正があるひとはヒール系で怪我人の治療、調合の知識がある物はポーション作り、体を動かすことに自信がある物は、ヒール草などの薬草採取や炊き出しの手伝い、ミアンについているホープが大量に子ども達を量産し治療拠点に運び込まなくても救助できた時点で回復させる等、皆がそれぞれ自分に出来る事をしていた。

『噴火するな』

 グレンがそう言った瞬間、再び地面が揺れ、大きな爆発音がなり、キラベル火山が噴火した。

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