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第4章 学園生活 友人の難病編

第63話 精霊無双

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 ダンジョンの入り口とおぼしき所に到着した。
 そこは入り口の両脇の壁に青白い炎が灯ったたいまつが飾られていた。

「ここからは、どこから魔物が襲ってくるか分からないからな」
「どうしようか、ハンゾー前で私後ろかな?」
「いや、自分が後ろだろう」
「じゃあ、私が前かな?」
「そうなるな」
『ラミナが先頭をやればいい』

 先頭って……、真っ先に襲われるんじゃ?

『安心しろ、俺らが魔物を処理するからな、それにまん丸が道案内する』

 グレンが言うなら良いのかな?

「私が先頭を歩きます」
「ぇ?」
「大丈夫なのか?」
「まん丸が道案内するみたいで……」

 そのまん丸はまだ寝ているのか、どこを見てもまん丸の姿が見えなかった。

「分かった。とりあえず1層で様子見て難しそうならミラに頼む」
「そうだね……」

 取り合えず許可は出たけど大丈夫なのかな?

 そしてダンジョンに足を踏み入れた。

 ダンジョンに入ると、辺りの風景がお城の廊下ような風景に変わった。

「なんか……、今までとは全然違う空間……」
「そうだよ~10層毎に風景が変わるんだよ~」

 ミラとそんなことを話していると、通路の奥で火の手が上がった。

『うっし!一番槍は俺だ!先に行くぜ!』
『では、私も行きますね』

 そう言うと、グレンとアクアがそれぞれ別方向に飛び去っていった。

「……、もしかして今の火って……」
「うん……グレンがやった」
「……ねぇ、ハンゾーもしかしたら私ら……」

 ミラがハンゾーに向かって何か言いかけていた。

「言うな、自分も同じ事を思ったところだ……」

 側に居るのはミントだけかと思ったけど、まん丸がふわふわっと前を飛び始めた。

「まん丸そっち行くの?」
『うん、こっちだよ~』
「こっちみたいです」

 まん丸の後についてダンジョン内を進んでいると、赤い光がすごい早さで前から後ろへ飛んで行った。

「ん?グレン?」
『ちゃうで、火の子や』
「ぇ?子を使っているの?」
『せやで、もうちょいしたら見えてくるで』
「何が……?」

 と思った瞬間、何かが分かった。

 壁に焦げた跡があり、近くに白い粉が落ちていた。

「これは精霊が?」
『せやで』
「そうみたいです」
「そうか……、この粉は魔石か?」
『せや、魔石の魔素を吸ったから砕けたんや』

 ミラとハンゾーの問いに対して、聞こえてないだろうがミントが答えていた。

 なるほど……、魔物を倒してでた魔石で魔素を補充して子を作ったってことか……。

「そうだって」
「そうか」

 さらに進んでいくと、後ろから水の子が飛んできたり横から火の子が飛んできたりと、火と水の精霊達が忙しそうにあちらこちら飛び回っていた。

「黒焦げた後結構あっちこっちにあるね」

 砕けた魔石しかないのは水の子達の仕業かな?

「砕けた魔石しか残っていないな」
「だねぇ~」

 二人の会話を聞きながら進んでいると、今度はまん丸が地面に降りて何かし始めた。

 そして次の瞬間、まん丸の頭上を矢が飛びだし、矢が壁に当たり落ちていた。

「ねぇラミちゃん、もしかして精霊さん罠解除もしてる?」

 あれが罠なんだと思いながら。

「みたいです」
「ハンゾー……」
「言うな……」

 私らはなにもせずまん丸の後をついて行っているだけだった。

 しばらく進むと、下に続く階段の前でグレンとアクアと2人の子供達が待っていた。

 2人の子達がえらい数になっていた。10とか20じゃなく、水も火もどちらも100くらい居るんじゃないかと思うくらいになっていた。

「おそかったな」
「あっ、グレン君とアクアちゃん!」
「こんばんは、道中は私達が掃除するので安心して進んでください」

 魔素補給できるからか可視化したってことだろう。心なしかいつもより一回り大きいきがした。

「2人ともありがと~」

 ミラがいつもの明るい感じでグレンとアクアにお礼をしていた。

「気にするな、俺らは俺らで楽しんでいるからな」
「ですよ、私達は好きに遊んでいるだけなので、さぁ急ぎましょう」

 精霊達と一緒に2層に降りると1層同様に、降りた瞬間グレン隊、アクア隊が一斉に散開した。

「一瞬で行っちゃったね……」

 ミラの言うとおり、降りた瞬間皆が見えない早さで散っていった。

 再びまん丸先導のもと進み10層まで降りてきた。

 10層に降りてくる頃には、アクアとグレンは、私と同じくらいの身長になり、周囲の子はミント曰く、すべて上位精霊になっているとか……。

「本当に歩いているだけだね……」
「ペースを上げられるか?」
『いいよ~』
「大丈夫みたいです」
「そうか、なら駆け足でいくか」
『まん丸、魔石落ちていたらそっちがつこうてや』
『ありがと~』

 10層を歩いていると、ぽつぽつ魔石が落ちていた。

「魔石が放置されているね~」
「ラミナ、何かわかるか?」
『アクアとグレンが十分な位魔素ため込んでいるから、まん丸とうちにって事や』

 あぁ、さっきのやり取りがあったのはそのためか。

「まん丸とミント用の魔石みたい」
「なるなる~」

 まん丸が落ちている魔石に触れた瞬間魔石が砕け散った。

 触れただけで砕けるんだなぁなんて思い、駆け足でどんどん進んで行った。

 進むと凄く大きな部屋があり、その奥には大きな扉があった。その扉の前でアクアとグレンが待っていた。

「やっと来たな進もうぜ」

 やる気満々なグレン。

「ボスだな、ホブゴブリンだったか」
「だねぇ」
「ではいくか」

 そう言いつつハンゾーが扉を開けると中で大きな火柱が上がり、次の瞬間大きな魔石含む色々な物が床に落ちた。

「さすが精霊さん……」
「出番がないな」
 
 そう言いつつ、皆でボスの部屋に入り、部屋に落ちている魔石はまん丸が吸収し、ボスが持っていた短剣等を拾い集めた。

「あれだな、ラミナが居れば年度末のサバイバル学習は余裕だろうな」
「年度末のサバイバル学習?」
「1年の最後のサバイバル学習はここなんだよ~、10層までの攻略」
「あれ?そうなんですか?」

 偶数月の1~2週目にサバイバル学習があるのは知っているけど、場所については書かれていなかった気がする。

「2年次以降は帝国各地のダンジョンの10層までの攻略、どこも癖があるんだけどね~」
「へぇ……」

 多分精霊さん達が何とかしてくれると思っている……。

 というか、この調子ならダンジョン最深部まで潜れるのでは!?

 その後も順調に進み途中攻略中のパーティを抜きながら、危なげなく60層までやって来た。

 このころにはミントもまん丸を含めて皆普通の大人の人達同じくらいの身長になっていた。

「ボス部屋の手前にあるセーフティーエリアまで行くだけだね」
「そうだな」

 忙しなく動き回る、水と火の子達をよそにまん丸の後について行くと、扉のある大きな部屋にたどり着いた。
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