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第4章 学園生活 友人の難病編

第47話 キラベル

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 翌朝

 目を開けると、見慣れない土色の天井が目に入った。

「あれ?ここは?」
『お、起きたか、おっす』

 グレン、あぁそうかキラベル丘陵か。

『ラミナおはよ~』
『おはようございます』
『おはよん~』
「みんなおはよ~」

 4人それぞれが挨拶してくれたのでこちらも返した。

『今日はどうするん~?』

 グレンとも契約したし、予定外だけどオーク解体もしたし当初目的は達成していた。

「ん~帰ろうかな?」
『ラミナ、冒険者登録してないのか?』
「うん、まだやってないかな」
『ならやっとくと良い、さっきのオーク1人で解体するのはきついだろ?冒険者登録しておけばギルドに解体依頼できるぞ』
『そうですね、今後私達が狩った物をギルドに依頼して解体してもらう方がラミナに取って良いかもしれませんね』

 なら登録しようかな、正直昨日のオーク解体は結構疲れた。あれをあと2体やりたいとは思えなかった。

「そうだね、キラベルで登録してから帰ろうか」
『ラミナ~、お金に余裕あるなら靴も変えたら~?結構ボロボロだよ~?』

 まん丸に言われて靴を見ると、靴の底がかなりすり減り厚みが無くなっていた。

『そりゃあれだけ走ればそうなりますよね』
『せやな、もうちょっと丈夫なもんを買えば?』
『どんだけ走ったんだ……?』
「帝都を出てから麓の村まで」
『なるほどな、安もんならそんなもんだな』

 ん~高い物買ったほうが良いのかな~?
 村を出るときにおばあちゃんが買ってくれた靴だけど、私としては結構いい値段の靴だったと思うんだけどな……。

「そっか、んじゃ、キラベルで靴を買って、冒険者登録して、帝都に戻ってから解体依頼かな?」
『それでええんちゃう?』

 予定が決まった。

「んじゃ、キラベル行こうか」
『ここ出たら潰しちゃうね~』
「ぇ?いいの?」
『オークの拠点になったら町の人に迷惑かけますからね』
「あぁなるほど」

 確かにこの場所は、キラベルの町が見下ろせる位置にある。知能があるオークなら利用する可能性があるのか、そう言う事も考えて行動しないと駄目だね、今後そいう事も頭に入れて行動しよう、カバンに入れられる物をすべてしまい小屋を出た。

小屋を出ると形を保っていた力が失われたようにグシャっと潰れ土の山と化した。

「んじゃキラベルに行こ~」
『あぁ』
『いこ~』
『はい』
『せやな~』

 丘の斜面を下りキラベルに向かった。
   
 近づくにつれキラベルの町を囲む城壁が思った以上に高かった。

「城壁高くない?」
『ここは常にオークに襲われる危険と隣り合わせですからね』

 私の問いにアクアが答えてくれた。

「そんなに襲われているの?」
『せやで、近くにオークの集落があるからな~あいつらも食べもん目的で人を襲ってんねん』
「そうなんだ……」

 常に戦いと隣り合わせの町なのか、ふと思った。

「オークを壊滅させることって出来ないの?」
『出来ませんよ、集落の数は1つじゃないんですよ、10や20以上の集落が存在するのです。さらにオークは繁殖力が高く直ぐに増えるんです』
『そう言う事だ、帝国の騎士団全部ぶつけても全滅させることが出来ないんだよ』
「そうなんだ……、もしかして6月のサバイバル学習って……」
『せや、オーク討伐や!』
「あれ?リタの時オーク殲滅しなかったの?」

 リタと精霊達が居ればすべてを灰にしそうなイメージなんだけども……。

『したんだよ~、でもね~オークが生息しているのはここだけじゃないんだ~』
「ぇ?殲滅しても、どこかから集まってくるの?」
『そう言う事だ、キラベル火山とその周辺は魔素が濃いんだよ、だから空白が出来れば魔族や魔物が寄って来るってわけだ』
「あれ?もしかしてスペルン遺跡と同じで地脈が?」
『そう言う事だ、あそこと比べると、広範囲で魔素の濃度が高いがな』

 なるほど、火山だからグレンが居たというわけじゃなく、地脈があるから居たってことかな?

「スペルン平原の魔物達も遺跡の魔素目当てだった?」
『そうだよ~、あそこら辺はボクの子ども達が時々掃除していたんだよ~』
「へぇ~」

 精霊達とそんな話をしながらキラベルの入口まで来た。入口には槍を持った2人の兵士が居た。

「ん?嬢ちゃん丘の方から来たけど丘の上に小屋を建てていた子かい?」
「あっ、そうです」
「その歳で小屋を建てられる程の地魔法使いか」

 これは何と答えればいいのだろうか?

「えっとそんな感じです」
「そっか、身分を証明するものを見せてもらっても良いかい?」
「はい」

 カバンから学生証を取り出し、兵士に渡した。

「へぇ~、アカデミーの1年生か、しかもSクラスなんだね」
「丘の上に小屋を建てたのダメだったりしました?」
「いや、構わないよ、オーク討伐に向かう冒険者が家やらテントを張る人が多いんだよ」
「ぇ?町が目の前にあるのにですか?」
「丘の頂上付近に行く手間を考えてだな、町に引きやすい位置でもあるからね」

 後退するときの事も考えての野営地なのか理解した。

「そうなんですね、ありがとうございます」
「うん、通っていいよ」

 兵士はそう言うと、学生証を返してくれた。

「ありがとうございます」

 お礼を伝えて門をくぐった。
 門をくぐるとハーヴァーとあまり変わらない町並みが広がっていた。
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