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第4章 学園生活 友人の難病編

第43話 キラベル丘陵へ

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 洞窟から出ると、ダシュが待っていた。

「会えたか?」
「はい、ただ竜神様とは会えませんでした」
「そうか、もう10年以上姿を見てなかったからな、もしかしたらとは思っとったが」
「その竜神様から伝言です。大きな噴火が間もなく起こるのでキラベルより遠くへ逃げなさいと」

 ダシュは大きくため息をついた。

「そうか、近頃地揺れが多いからなもしかしてとは思っとった、忠告通り村を出るとしよう」

 いないと伝えたのに伝言は信じるのだろうか?

「伝言は信じるんですか?」
「おまえさんが直々に伝言を聞いたのだろう?」
「そそうですね」
「よい、精霊使いは不要な嘘をつかぬからな」
「そうなんですか?」
「あぁ、リタの嬢ちゃんがそうじゃったからな、それは精霊も同様じゃろう」
『知っている事に関しては嘘をつけんね』

 ダシュの発言と同時にミントが教えてくれた。

「そうなんだ」

 ダシュと雑談しながら村まで戻ってきた。

「嬢ちゃんはもう帰るのかい?」

 正直決めてない、目的も果たしているしその選択肢もありだと思っている。

『キラベル丘陵に行きませんか?』

 アクアからの提案があった。

「キラベル丘陵ってどこにあるんですか?」
「村の西にある道を行くとキラベル丘陵に繋がるが……、あそこはキラベルブラックエルクやキラベルウルフやオークの縄張りだぞ」

 オーク……、なるほど、アクアの提案はこのためか。

「多分大丈夫だと思います」

 仮に魔物達が襲ってきても精霊達が何とかしてくれると思っている。

「そうか、それならあそこの道を抜けるとキラベル丘陵に出る。気を付けて行けよ」

 ダシュは、そういうと、村に来た時の道とは違う道を指さしていた。

「ありがとうございます」
「あぁ、気を付けてな」

 こうして村を後にし、キラベル丘陵へ向かった。

 その途中で、お腹が空いている事に気づいた。

「なんかお腹すいた……」
『魔物でも狩ればいいだろう、幸い近くにオークが3匹居るぞ』

 そう教えてくれたのはグレンだった。

「大丈夫かな?」
『俺に任せろ!』
『あっ、グレン待ってください』

 グレンが行動を起こそうとする前にアクアが止めた。

『なんだ?』
『体の構造を教えたいので丸焦げにしないで貰えると』

 アクアはオークの死体を体の構造を教えるための教材として考えているようだった。

『は?体の構造?』

 理由を知らないグレンは当然の反応を見せた。

『あんな、ラミナは魔素硬化症を治そうとしてるんねん』
『は?無理だろ、リタにも治せなかったんだぞ』

 ミントの答えに対して、即答えるグレン。

『そう思うよね~』
『実は、メフィーと同じ血筋の子が魔素硬化症を発症しているんです。そしてラミナはそれを治そうと考えているんですよ』
『は?マジで?どうやって?』
『お腹を切って、患部を切り取るんやって』
『は?生きたまま腹切るのか?死ぬだろ、何言ってんだ……?』
『でもね~ラミナの考えている事は可能性あるよ~』
『マジで?』
『えぇ、先日胃に穴があいてお腹の中で炎症を起こしている方を治療したんですよ』
『それって、治せなかったんじゃなかったか?痛み止めとヒールポーションで延命する手段しかなかった奴だよな?』
『そうです。それを治したんですよ』
『どうやって……?』
『中が空洞の針を作って~、アクアのクリーンで直していたよ~』

 なんか肝心なところが抜けているまん丸。

『そうです。その針を腸を傷つけずにお腹に刺し、クリーンをしたんです』
『なるほど……、病を治すために傷つけるやり方か』
『えぇ、魔素硬化症もお腹を切り、患部を切り取ればと言っているんです』
『なるほど、俺は止血をすればいいんだな?』
『流石察しがいいですね、それともう一つ、空気中の雑菌やらゴミを消してほしいんです』
『なるほどな、分かった協力しよう』

 そう言うとグレンが目の前にやって来た。

『お前面白そうなこと考えんのな、リタと一緒の時も楽しかったが、お前と一緒に居るのも楽しめそうだな』
『グレンは不安に思ったりせんの?』
『なぜだ?』
『不確定要素が多いやん』
『それをオークで試して潰していくんだろ?』
『そうです』
『ならいいじゃねえか、リタが治せなかった病気の治療、俺は見届けてみたいぞ、そうなると、オークを捕らえるのはまん丸か、アクアがいいな』
『えぇ、そうさせてもらえるとありがたいです』
『んじゃ任せた。俺とミントはラミナの護衛だな』
『お願いしますね、まん丸行きますよ』
『ほ~い』

 まん丸とアクアが森の中に姿を消した。

 私が何か言う前に精霊達で話し合って物事が進んで行く……。

『んじゃ俺らは先に森を抜けようぜ、何をするにしてもこの先の丘でやるべきだろ?』
『せやね、ラミナ行こか』
「うん……」

 ミントとグレンに守られながら森を抜けた。
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