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第3章 旅立ち
第22話 入学試験4
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実技試験の会場を後にし、受付まで戻って来た。
「すいません~、実技と魔法が終わったのですが~」
「受験番号とお名前を教えてもらってもいいですか?」
「252番のラミナです」
「ありがとうございます。ミランダさん」
近くに居た女子学生が駆け寄ってきた。
「はい?」
「この方を、筆記試験の教室へ」
「あっ、はい、こちらです」
1人の女子学生の後に続き校舎内に入った。
いくつかの教室から受験生と思しき人が出てきたりしていた。
身なりの良さそうな子達ばかりだった。
「あれ?あっちの教室は?」
「あぁ、貴族の子ども達ですよ、彼等は先に筆記試験で、その後に実技と魔法試験なんです」
なるほど、待ち時間とかを減らすためか、なんて思っていた。
そして、誰も居ない教室に案内された。
「それじゃあ、ここで待ってってくださいね」
「はい」
それだけ言うと、女子学生が教室から出て行った。
その後、待てど、待てど誰も来ず、やる事もなく暇を持て余していた。
『暇やね』
『ですね』
ミントとアクアも暇を持て始めた。
道具があれば薬作りするんだけどなぁ、なんて思いながら窓の外を眺めていた。
待っていると、次第に人が集まって来た。
教室が定員に達すると、試験官と思しき人が入って来た。
「はい、それでは筆記試験の説明をはじめます。各机にインクとペンが入っていると思いますので出してください」
言われた通りに机の中を探ってみると、インクとペンが出てきたので、2つを机の上にだした。
「皆さん出しましたね、これから答案用紙を配布しますが、私が“試験はじめ”と言うまで裏面のままにしてください」
そう言うと、試験官が、1人1人の机の上に答案用紙を置き始めた。
最後に私の所に置いて、試験官が教壇に戻った。
「それでは、試験について説明します」
その後も細かい説明を延々と話しをしていて頭に入ってこなかった。
『なんや、リタの時と全く同じやん』
『計算問題が少し違う位ですかね』
まだ裏面の状態なのに、問題がすべてわかっているようだった。
もう2人に任せよう、そんなことを思った。
『いいですよ、直ぐに終わらしましょうか』
『ん?なにをするの?』
『試験が始まったら右手でインクの瓶に触れて、左手で答案用紙を撫でてください』
ん?
良く分からないけど、インクを持って答案用紙を撫でればいいだけ?
『わかった』
とりあえず、アクアの言う事聞いておこう。
「それでは、試験はじめっ!」
いつの間にか説明が終わっていたようだ。
答案用紙を表にして、アクアに言われた通りインクの入った瓶に触れて、答案用紙を撫でると……、不思議な事に、撫でた場所に答えが浮き出ていた。
ぇ?
そんなことを思いながら答案用紙の全面を撫で、すべての問題の解答を埋めた。
本来ならあり得ないが、答えを埋めてから問題を見て見た。
一番最後には、ボッシュから聞いていた通り、得意魔法の魔法陣を書けという問題があった。
そして、その問題の解答は、“私の使う精霊魔法に魔法陣は存在しません”と記入されていた。
他の問題は、計算問題以外では、アカデミー志望動機や、将来どうしたいか等簡単なものが多くみられた。
『終わりましたし、家に帰りましょ』
『せやな』
『途中退出していいの?』
『そう説明しとったで』
『手順ある?』
説明をほとんど聞いてなかったためかどうすればいいのか分からなかった。
『答案用紙を裏面にし、挙手するんです。試験官が答案用紙回収したら退出していいそうですよ』
『そうなんだ、ありがとう』
アクアに言われた通り、答案用紙を裏面にし挙手すると、すぐに試験官が来て、答案用紙を回収していった。
『ほな、出よか』
『うん』
静かに席を立ち、廊下に出て、そのままアカデミーを後にした。
こうして、ほとんど何もしていない入学試験が終わった。
「すいません~、実技と魔法が終わったのですが~」
「受験番号とお名前を教えてもらってもいいですか?」
「252番のラミナです」
「ありがとうございます。ミランダさん」
近くに居た女子学生が駆け寄ってきた。
「はい?」
「この方を、筆記試験の教室へ」
「あっ、はい、こちらです」
1人の女子学生の後に続き校舎内に入った。
いくつかの教室から受験生と思しき人が出てきたりしていた。
身なりの良さそうな子達ばかりだった。
「あれ?あっちの教室は?」
「あぁ、貴族の子ども達ですよ、彼等は先に筆記試験で、その後に実技と魔法試験なんです」
なるほど、待ち時間とかを減らすためか、なんて思っていた。
そして、誰も居ない教室に案内された。
「それじゃあ、ここで待ってってくださいね」
「はい」
それだけ言うと、女子学生が教室から出て行った。
その後、待てど、待てど誰も来ず、やる事もなく暇を持て余していた。
『暇やね』
『ですね』
ミントとアクアも暇を持て始めた。
道具があれば薬作りするんだけどなぁ、なんて思いながら窓の外を眺めていた。
待っていると、次第に人が集まって来た。
教室が定員に達すると、試験官と思しき人が入って来た。
「はい、それでは筆記試験の説明をはじめます。各机にインクとペンが入っていると思いますので出してください」
言われた通りに机の中を探ってみると、インクとペンが出てきたので、2つを机の上にだした。
「皆さん出しましたね、これから答案用紙を配布しますが、私が“試験はじめ”と言うまで裏面のままにしてください」
そう言うと、試験官が、1人1人の机の上に答案用紙を置き始めた。
最後に私の所に置いて、試験官が教壇に戻った。
「それでは、試験について説明します」
その後も細かい説明を延々と話しをしていて頭に入ってこなかった。
『なんや、リタの時と全く同じやん』
『計算問題が少し違う位ですかね』
まだ裏面の状態なのに、問題がすべてわかっているようだった。
もう2人に任せよう、そんなことを思った。
『いいですよ、直ぐに終わらしましょうか』
『ん?なにをするの?』
『試験が始まったら右手でインクの瓶に触れて、左手で答案用紙を撫でてください』
ん?
良く分からないけど、インクを持って答案用紙を撫でればいいだけ?
『わかった』
とりあえず、アクアの言う事聞いておこう。
「それでは、試験はじめっ!」
いつの間にか説明が終わっていたようだ。
答案用紙を表にして、アクアに言われた通りインクの入った瓶に触れて、答案用紙を撫でると……、不思議な事に、撫でた場所に答えが浮き出ていた。
ぇ?
そんなことを思いながら答案用紙の全面を撫で、すべての問題の解答を埋めた。
本来ならあり得ないが、答えを埋めてから問題を見て見た。
一番最後には、ボッシュから聞いていた通り、得意魔法の魔法陣を書けという問題があった。
そして、その問題の解答は、“私の使う精霊魔法に魔法陣は存在しません”と記入されていた。
他の問題は、計算問題以外では、アカデミー志望動機や、将来どうしたいか等簡単なものが多くみられた。
『終わりましたし、家に帰りましょ』
『せやな』
『途中退出していいの?』
『そう説明しとったで』
『手順ある?』
説明をほとんど聞いてなかったためかどうすればいいのか分からなかった。
『答案用紙を裏面にし、挙手するんです。試験官が答案用紙回収したら退出していいそうですよ』
『そうなんだ、ありがとう』
アクアに言われた通り、答案用紙を裏面にし挙手すると、すぐに試験官が来て、答案用紙を回収していった。
『ほな、出よか』
『うん』
静かに席を立ち、廊下に出て、そのままアカデミーを後にした。
こうして、ほとんど何もしていない入学試験が終わった。
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