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第3章 旅立ち
第20話 入学試験2
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リングに上がると、金髪のポニーテールと、茶髪のショートボブの2人の女子学生が杖を持ってリング上に登ってきた。
『さっきの試験で片方怪我しとったから入れ替わったんかな?』
確かにさっき戦っていた剣士風の学生の姿はなかった。
『ふふ、今度は私の番ですね』
アクアが張り切っていた。
『魔法使い2人って……、あぁ金髪の姉ちゃんのほうは、スキルが詠唱破棄やな』
「なにそれ?」
『一度唱えたり聞ぃたりした魔法は詠唱せんとっても、魔法名だけでええんや』
「それって、全属性?」
『そらちゃうよ、自分の適性魔法だけやね、ちなみに彼女の適正は火やね』
全属性だったら、ずるいって思うところだった。
「受験生!大きな声で受験番号と、名前を!」
審判の人が叫ぶように言った。
「252番ラミナです!よろしくお願いします!」
「よろしい!双方準備を」
「私達は大丈夫です」
試験官役の方は問題なさそうだった。
『私も大丈夫ですよ』
そう言うと、アクアは私の肩の上に乗り右腕を上にあげていた。
「こちらも大丈夫です!」
「では、位置について!」
近くにあるラインに立った。
「それでは、はじめっ!」
審判がそう叫んだ瞬間、金髪の女子学生が。
「ファイヤーランス!」
そう叫ぶと、女子学生の周囲に20本以上の槍状の炎が現れた。
『うわっ、えっぐ……』
『大丈夫ですよ』
アクアはそう言うと、指パッチンするような動作を見せた。
次の瞬間目の前に、水の壁ができ、さらには空気がひんやりしてきた。
『あれやね、金髪の姉ちゃん、うちとは相性がええけど、アクアとは相性最悪やん』
飛んできたファイヤーランスはすべて水の壁に吸収された。
ただ気になる事がある。水の壁が凍ってきているのだ。おまけに空気中には、キラキラとした何かが舞っていた。
前方に居る女子学生2人もそうだが、審判もすごく寒そうに自分の身体をさすっていた。
「何が起きてるの?」
『手を少し伸ばしてみ』
ミントに言われて、手を少し前に出すと、冷たいとか寒いじゃなく痛かった。
「痛っ」
『せやろ、濡れたタオルを振り回したら即凍るで』
「すごく、寒い状態ってこと?」
『そうです。寒くて魔法名すらはっきりと言えないでしょうね』
それはガラスのような氷の壁越しに見ててもわかる。口元辺りがガタガタしているのが分かる。
「そうなんだ」
『ラミナ、審判の方をこのラインの手前に来るように誘導してもらっても?』
「寒くないの?」
『えぇ、今いる所と比べたらね』
「審判さん!このラインより、こっち側に来ると寒くないそうです~」
そう伝えると、審判が何も言わず足早にこちらに来た。
女性と2人も、こちら側に駆けてこようとするが、アクアがアイスウォールを展開して阻止していた。
「すまない、ありがとう」
『2人とも降参しませんね』
「降参しないというより、降参しますって言えないんじゃない……?」
降参って言えるなら、ファイヤーランス撃ち込んできそうだ。
『そうかもしれませんね』
2人の様子を見ていると、必死にこちら側に来たそうにしていた。
もういいんじゃないかな?
と、思い審判の方を見ると、審判が頷いた。
「それまで!」
審判がそう言うと、常温に戻り、アイスウォールも姿を消した。
そして次の瞬間、女子学生2人がその場にへたり込んだ。
『やり過ぎましたかねぇ』
「そうなの?」
『せやなぁ、2人とも軽度の凍傷を負ってん、ラミナ、ハイヒールポーションを渡したったら?』
まぁ残り1戦だし、構わないけど……、2人の女子学生の元に行った。
「大丈夫ですか?」
「えぇ……、何とか……」
2人とも汗びっしょりだった。そりゃそうだろう、あの極寒の空間が元の気温に戻ったんだから。
「あの、これ私が作ったハイヒールポーションなんですけど、飲んでください」
「え?」
女子学生は、受け取る前に審判の方を見た。
「受け取っても構いませんよ」
「ありがと~」
「ありがとうございます」
審判からOKが出ると、2人ともハイヒールポーションを受け取り飲んでくれた。
「はぁ~生き返る~」
金髪の女子学生がそう言った。
「だね~、ラミナちゃんだっけ?強いね、魔法名を言ったりしてなかった辺り無詠唱か精霊使いかな?」
茶髪の女子学生の方が、私に質問してきた。
「あっ、そうです。精霊使いです」
「いいな~私も聖女リタ様に憧れていたから、精霊使いが欲しかったんだよね~、ラミナちゃん、もう1戦よろしくね」
「ハンゾーの初撃をいなされたら、勝てそうにないけどね……」
「そうだね~、そうなったら潔く諦めましょ」
そう言って2人は笑っていた。
『さっきの試験で片方怪我しとったから入れ替わったんかな?』
確かにさっき戦っていた剣士風の学生の姿はなかった。
『ふふ、今度は私の番ですね』
アクアが張り切っていた。
『魔法使い2人って……、あぁ金髪の姉ちゃんのほうは、スキルが詠唱破棄やな』
「なにそれ?」
『一度唱えたり聞ぃたりした魔法は詠唱せんとっても、魔法名だけでええんや』
「それって、全属性?」
『そらちゃうよ、自分の適性魔法だけやね、ちなみに彼女の適正は火やね』
全属性だったら、ずるいって思うところだった。
「受験生!大きな声で受験番号と、名前を!」
審判の人が叫ぶように言った。
「252番ラミナです!よろしくお願いします!」
「よろしい!双方準備を」
「私達は大丈夫です」
試験官役の方は問題なさそうだった。
『私も大丈夫ですよ』
そう言うと、アクアは私の肩の上に乗り右腕を上にあげていた。
「こちらも大丈夫です!」
「では、位置について!」
近くにあるラインに立った。
「それでは、はじめっ!」
審判がそう叫んだ瞬間、金髪の女子学生が。
「ファイヤーランス!」
そう叫ぶと、女子学生の周囲に20本以上の槍状の炎が現れた。
『うわっ、えっぐ……』
『大丈夫ですよ』
アクアはそう言うと、指パッチンするような動作を見せた。
次の瞬間目の前に、水の壁ができ、さらには空気がひんやりしてきた。
『あれやね、金髪の姉ちゃん、うちとは相性がええけど、アクアとは相性最悪やん』
飛んできたファイヤーランスはすべて水の壁に吸収された。
ただ気になる事がある。水の壁が凍ってきているのだ。おまけに空気中には、キラキラとした何かが舞っていた。
前方に居る女子学生2人もそうだが、審判もすごく寒そうに自分の身体をさすっていた。
「何が起きてるの?」
『手を少し伸ばしてみ』
ミントに言われて、手を少し前に出すと、冷たいとか寒いじゃなく痛かった。
「痛っ」
『せやろ、濡れたタオルを振り回したら即凍るで』
「すごく、寒い状態ってこと?」
『そうです。寒くて魔法名すらはっきりと言えないでしょうね』
それはガラスのような氷の壁越しに見ててもわかる。口元辺りがガタガタしているのが分かる。
「そうなんだ」
『ラミナ、審判の方をこのラインの手前に来るように誘導してもらっても?』
「寒くないの?」
『えぇ、今いる所と比べたらね』
「審判さん!このラインより、こっち側に来ると寒くないそうです~」
そう伝えると、審判が何も言わず足早にこちらに来た。
女性と2人も、こちら側に駆けてこようとするが、アクアがアイスウォールを展開して阻止していた。
「すまない、ありがとう」
『2人とも降参しませんね』
「降参しないというより、降参しますって言えないんじゃない……?」
降参って言えるなら、ファイヤーランス撃ち込んできそうだ。
『そうかもしれませんね』
2人の様子を見ていると、必死にこちら側に来たそうにしていた。
もういいんじゃないかな?
と、思い審判の方を見ると、審判が頷いた。
「それまで!」
審判がそう言うと、常温に戻り、アイスウォールも姿を消した。
そして次の瞬間、女子学生2人がその場にへたり込んだ。
『やり過ぎましたかねぇ』
「そうなの?」
『せやなぁ、2人とも軽度の凍傷を負ってん、ラミナ、ハイヒールポーションを渡したったら?』
まぁ残り1戦だし、構わないけど……、2人の女子学生の元に行った。
「大丈夫ですか?」
「えぇ……、何とか……」
2人とも汗びっしょりだった。そりゃそうだろう、あの極寒の空間が元の気温に戻ったんだから。
「あの、これ私が作ったハイヒールポーションなんですけど、飲んでください」
「え?」
女子学生は、受け取る前に審判の方を見た。
「受け取っても構いませんよ」
「ありがと~」
「ありがとうございます」
審判からOKが出ると、2人ともハイヒールポーションを受け取り飲んでくれた。
「はぁ~生き返る~」
金髪の女子学生がそう言った。
「だね~、ラミナちゃんだっけ?強いね、魔法名を言ったりしてなかった辺り無詠唱か精霊使いかな?」
茶髪の女子学生の方が、私に質問してきた。
「あっ、そうです。精霊使いです」
「いいな~私も聖女リタ様に憧れていたから、精霊使いが欲しかったんだよね~、ラミナちゃん、もう1戦よろしくね」
「ハンゾーの初撃をいなされたら、勝てそうにないけどね……」
「そうだね~、そうなったら潔く諦めましょ」
そう言って2人は笑っていた。
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